「認知症の父親の徘徊がひどくなり、目を離せなくなった」「家族介護に限界を感じており、今の状況を改善したい」などと感じている方はいませんか?認知症の症状が進行すると家族への負担が大きくなり、介護者側の心身に影響を与えるかもしれません。
今回は認知症介護で限界を感じている方に向けて、考えられる解決策や在宅介護と施設入居のメリット・デメリット、入所施設を選ぶ際の注意点などを解説します。
認知症介護で家族が限界と感じる主な理由
認知症の方を介護している家族が「もう限界」と感じる理由は、主に次の4つが考えられます。
介護に対して抵抗される
認知症の程度によっては、身体的な介護や生活面におけるさまざまなサポートが必要です。しかし、なかには「尿や便で汚れた下着を履いていても、交換を拒否される」「何日も入浴しようとしない」など、家族からの介護に抵抗する方もいます。
介護への拒否が続くと、大きなストレスを感じるでしょう。
暴言や暴力を受ける
感情をコントロールする脳機能がうまく働かず、暴言や暴力が表れる方もいます。自分の言い分を否定されたり、不安・恐怖心を感じたりするのが主な原因です。
「バカ野郎」といった暴言、叩く・蹴るなどの暴力が続くと、家族は限界を感じます。
いつも目を離せない
徘徊の症状がひどくてしきりに外へ出ようとしたり、昼夜逆転で夜中に活動的になったりすると、家族は一時も本人から目を離せません。一人で外へ出てしまうと、行方不明や事故に巻き込まれるリスクが生じます。
いつも目を離せないプレッシャーが重なり、ストレスが大きくなっていきます。
仕事を辞めざるを得ない
介護するために仕事を辞めざるを得ない家族もいるでしょう。仕事を辞めれば介護に集中できますが、特別なサポートがなければ収入は減ってしまいます。
経済的な不安が生まれ、限界を感じる家族も少なくはありません。
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家族の限界を放置すると介護うつになるかもしれない
家族が感じている限界を放置すると、介護うつを発症するかもしれません。主な原因や症状、発症しやすい方の特徴は次の通りです。
主な原因
介護うつにつながる主な原因は次の3つです。
- 身体的負担
- 精神的負担
- 経済的負担
食事や排泄、入浴などの介護が必要であればあるほど、家族にかかる身体的負担が大きくなります。また昼夜逆転があると、睡眠不足にもなるでしょう。
自宅で介護をしていると、終わりが見えません。終わりがわからない不安や孤独など、精神的な負担も重なっていきます。
先で述べたように、仕事を辞めると収入が減少します。できるだけ支出を抑えようと好きなものをあきらめたり、外出頻度を減らしたりすると、ストレスがどんどん大きくなっていくでしょう。
主な症状
介護うつにはどのような症状が表れるのでしょうか?特に下記の症状がある場合は注意しましょう。
- 食欲が低下する
- 睡眠がとれない
- 意欲や関心が欠如する
- 身体が疲れる
身体的には問題がないにもかかわらず「食欲が落ちた」「食べようと思っても、口に食べ物が入らない」など、食欲低下が見られます。
介護で身体はヘトヘトに疲れていても「眠れない」「夜間に何度も目が覚めてしまう」といった、睡眠障害も特徴です。続けると不眠症になるかもしれません。
また「やる気が起きない」「以前は好きだったテレビ番組を見たいと思わない」など、意欲や関心の欠如が表れる方もいます。
さらに少し動いただけで疲れやすく、肩こりや頭痛に悩まされる方もいるでしょう。
介護うつになりやすい方の特徴
同じ状況下でも介護うつになりやすい方には、一定の特徴が見られます。
- 完璧さを求める
- 何でも自分一人で抱える
- 他者の気持ちに敏感である
何でも完璧にこなそうとする方は手抜きができず、ストレスを感じやすいといわれています。うまくいかなかったときは自分を責めたり、ひどく落ち込んだりもするでしょう。責任感が強いため他者に頼れず、何でも自分一人で抱え込もうとします。
また他者の気持ちに敏感な方も、介護うつのリスクがあります。認知症の方の気持ちや感情の変化に自分自身も巻き込まれたり、まわりに気を配り過ぎたりと、精神的なストレスを負いやすいでしょう。
認知症がある方を自宅で介護するときのポイント
認知症の方を自宅で介護するときは、いくつかのポイントがあります。以下で紹介する8つのポイントを実践すると、スムーズに介護を進められるでしょう。
参考文献:「新版 認知症よい対応・わるい対応 正しい理解と効果的な予防」「認知症の人のつらい気持ちがわかる本」
相手の気持ちや考えを尊重する
認知症の症状が進行して「大切にされていない」と感じると、気持ちの不安定や混乱、介護拒否などにつながります。そのため、相手を一人の人間として捉え、気持ちや考えを尊重するように心がけましょう。
相手と目線を合わせ、話に対して丁寧に耳を傾けてください。言葉でうまく表現できなくて急かしたりイライラしたりせず、伝えたい内容を想像しながら話を聞くのが効果的です。
ゆっくりと落ち着いた口調で話しかける
こちらから話しかけるときは、ゆっくりと落ち着いた口調を心がけてください。早口では話の内容がうまく伝わらず、混乱を引き起こしかねません。いつもよりゆっくりと、相手がわかりやすいよう簡潔に話すとよいでしょう。
また高圧的な口調は恐怖心を抱かせ、信頼関係を損なうきっかけとなります。どのようなときも冷静に、できるだけ落ち着いた口調で話しかけましょう。
間違いや失敗を否定しない
認知症の方は生活のなかで、以下のような間違いや失敗が多くなりがちです。
- 財布がタンスの中にあるのに「盗まれた」と訴える
- 同じ話を何度もくり返し述べる
- トイレに間に合わずに失敗する
間違いや失敗を否定すると不安や焦りが増長し、プライドや羞恥心が傷つきます。否定したり責めたりせず、共感するような態度を心がけるとよいでしょう。「財布を盗まれた」と訴えたときは「一緒に探してみましょう」「見つかってよかったですね」などの言葉がけが有効です。
介護を拒否している原因を考える
介護を拒否している場合は、原因を考えてみましょう。何かしらの原因があるはずで、特定できれば上手に対処できるかもしれません。
例えば、食事を食べてもらえないときは、時間の感覚がなくなっている可能性があります。まずは見えやすい場所に時計を置いてみましょう。さらに「今は11時なので、昼食まであと1時間ですよ」「今は18時なので、そろそろ夕食ですよ」など、時間を小まめに伝えるのも効果的です。
なかなか入浴してもらえない場合は、入浴自体が面倒だと感じているのかもしれません。無理に入浴を促さず、いつもとは違った入浴剤を準備したり、新しい入浴道具を準備したりすると、気持ちが前向きに変わる可能性があります。
トイレに行くのを拒むときは他者に排泄を見られたり、処理をお願いしたりするのが恥ずかしいと感じているのかもしれません。トイレへ向かったあとは家族は距離を置いて、一人で落ち着いて排泄できるようにしてみましょう。
介護者自身もケアする
イライラせず落ち着いた気持ちで介護するためには、以下のような介護者自身のケアも欠かせません。
同じような仲間と交流する
根本的な問題の解決には至らなくても、自分と同じ悩みを持った仲間と話をすると、不安やストレスの解消に役立ちます。話ができる場所を探してみましょう。
認知症カフェは認知症の方やその家族が集まる場所です。オレンジカフェと呼んでいるところもあるでしょう。認知症の方を介護しているほかの家族と交流できます。
介護サービスを利用する
一時的に介護から離れられる介護サービスを利用する方法があります。例えば、日中に日帰りで通所施設を利用するデイサービス、1泊2日から短期間で施設へ宿泊できるショートステイなど、家族の休息に役立つサービスを上手に利用するとよいでしょう。
介護の専門家へ相談する
介護の専門家へ相談すると、ストレス軽減につながるようなアドバイスがもらえるかもしれません。すでに介護サービスを利用している方は担当ケアマネジャーへ、まだ利用していない方は地域包括支援センターへ相談してみましょう。
認知症介護で利用できる主な介護サービス
認知症介護で利用できる主な介護サービスは次の通りです。
サービスの種類 | 対象者 | 主なサービス内容 |
---|---|---|
訪問介護 | 要介護1以上 | 訪問介護員による身体介護や生活援助 |
訪問看護 | 要支援1以上 | 看護師による健康管理 |
訪問リハビリテーション | 要支援1以上 | リハビリスタッフによる機能訓 |
訪問入浴 | 要支援1以上 | 簡易浴槽を用いた入浴介助 |
デイサービス | 要介護1以上 | 食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを提供する日中の通所施設 |
ショートステイ | 要支援1以上 | 短期間宿泊して、必要な介護やケアを受けられる |
特養(特別養護老人ホーム) | 原則要介護3以上 | 身体介護や生活援助などを行う終身施設 |
老健(介護老人保健施設) | 要介護1以上 | 在宅復帰に向けてリハビリや介護、健康管理などを行う施設 |
グループホーム | 認知症の診断を受けており、要支援2以上 | 介護サービスなどを受けながら、認知症の方が共同生活を送る施設 |
それぞれの詳細を以下で見ていきましょう。
自宅介護で利用できるサービス
まずは自宅介護で利用できるサービスの詳細です。
訪問介護
ホームヘルパーが自宅を訪問して、食事や入浴、排泄などの身体介護、掃除、洗濯といった生活援助を行います。身体介護に関わる直接的な負担を減らしたい方に適したサービスです。
訪問看護
訪問看護ステーションや医療機関の看護師が自宅を訪問して、健康管理や療養上の世話などを行います。必要に応じて主治医と連絡をとってもらえるため安心です。
訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士といったリハビリスタッフが訪問して、身体機能の維持・向上に役立つ機能訓練を行います。
訪問入浴
自宅の浴室設備では入浴が難しい方を対象とするサービスです。介護スタッフや看護師が簡易浴槽を持って訪問し、入浴介護を行います。
デイサービス
日中に施設へ通って身体介護や食事、レクリエーション、リハビリなどのサービスが提供されます。往復の送迎がついているため、家族が送り迎えをする必要はありません。
ショートステイ
特養や老健などへ短期間宿泊して、身体介護や食事、健康管理、リハビリ、レクリエーションなどのサービスが提供されます。1回の連続利用可能日数は、30日までです。
施設への入所サービス
次の3つは、施設へ入所して受けられるサービスです。
特養(特別養護老人ホーム)
常に介護を必要な方を対象に、24時間の介護サービスを提供する施設です。食事や排泄、入浴などの身体介護やサポートをいつでも受けられます。終身施設のため、看取りまで対応できるのは大きな魅力といえるでしょう。
原則として要介護3以上が必要な点、地域によっては入所までの待機期間が長い点には注意してください。
老健(介護老人保健施設)
病状が安定している方を対象に、在宅復帰に向けたリハビリを行う施設です。身体介護や健康管理などもあります。
終身施設ではないため、原則3ヵ月~6ヵ月と、入居可能期間が決まっている点には注意しましょう。
グループホーム
認知症の診断を受けている方が利用できる施設です。1ユニット9名までの居住スペースで、ほかの入所者やスタッフとアットホームな雰囲気の共同生活を送ります。
介護スタッフは24時間常駐し、いつでも必要な介護サービスを受けられるのは安心です。認知症の専門知識を持ったスタッフがいるため、症状に合わせたケアが行われます。
認知症でも入所できる施設が知りたいという方はケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。
「プロに相談したい」という方は、ご気軽に無料相談を活用ください。
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自宅介護と施設入所のメリット・デメリット
認知症の方を自宅で介護するのか、それとも施設へお願いするのかは悩ましいところです。それぞれにメリット・デメリットがあるため、見ていきましょう。
自宅介護のメリット・デメリット
自宅介護のメリットは主に次の2つです。
- 家庭の状況に合わせてサービスの量や内容を調整できる
- 住み慣れた環境で生活できる
「予算を抑えたいため、できるだけ家族で介護する」「仕事が忙しい平日のみ、サービスをお願いする」など、家庭の状態に合わせて利用するサービスの量や内容を調整できます。また環境を変えず、住み慣れた自宅で生活できるのは本人にとってメリットといえるでしょう。
一方で、以下のようなデメリットも考えられます。
- 家族の負担が大きい
- 緊急時に適切な対応ができないかもしれない
家族が介護を直接担うため、かかる負担は大きくなります。また認知症の方が一人で自宅にいるときにケガやトラブルが起きた場合、適切な対応ができないかもしれません。
施設入所のメリット・デメリット
特養やグループホームといった施設へ入所するメリットは、主に次の2つです。
- 家族の負担を減らせる
- 状況に合わせたケアをすぐに受けられる
家族が介護する必要がないため、負担を大きく減らせます。また常にスタッフが近くにいるため、何かあっても状況に合わせたケアを受けられます。
考えられるデメリットは以下の通りです。
- 在宅介護よりも費用がかかる
- 共同生活がストレスとなる可能性がある
手厚いケアを受けられるため、どうしても在宅介護より費用がかかります。さらに認知症の方によっては、ほかの入所者との共同生活自体がストレスと感じるかもしれません。
入所施設を選ぶ際の注意点
これから入所施設を選ぶときは、いくつかの注意点があります。後悔しないためには、次の3点を押さえておくとよいでしょう。
予算や希望条件を整理する
まずは1カ月間に支払える予算と、施設に求める条件を整理してください。例えば、同じグループホームでも、設定している月額費用は施設によって異なります。また希望条件をすべて満たす施設を見つけるのは難しいため、優先順位をつけておくとスムーズに選べます。
介護の専門家へ相談する
担当のケアマネジャーや地域包括支援センターなど、介護の専門家へ相談する方法もあります。特に近隣地域にある施設の情報や評判に精通しており、専門的な観点からのアドバイスをもらえるでしょう。
必ず見学する
気になる施設が見つかったら、必ず本人を連れて見学してください。ホームページやパンフレットではわからない、生の情報を得られます。特にチェックしたいポイントは、次の通りです。
- 介護スタッフや看護師の体制
- 食事の内容
- レクリエーションやイベントの有無
- 認知症ケアに対する取り組み
- 入所者の服装や表情
チェックしておきたい点をメモにまとめておくと、見学当日に忘れず確認できます。
限界を感じず上手に認知症介護をしよう
認知症の方を介護していると、なかには限界を感じてしまう家族がいます。限界をそのまま放置すると介護うつの発症につながるため、注意しなければいけません。介護サービスを利用したり、認知症の特性に合わせたケアの方法を見直したりと、状況を改善できる方法をとってください。
介護の専門家へ相談する方法もあります。ケアマネジャーや地域包括支援センターなどへ相談すると、状況に合わせたアドバイスやサポートをもらえるでしょう。
訴えを否定せず、部屋の中を一緒に探してみましょう。通帳が見つかったら「ありましたよ」「よかったですね」などと優しく声をかけてください。詳しくはこちらをご覧ください。
すでに介護サービスを利用している方は担当のケアマネジャーへ、利用していない方は地域包括支援センターへ相談してみましょう。詳しくは、こちらをご覧ください。