「認知症は、一度発症すると症状の進行を遅らせられるものの、多くは改善できない」とされています。
そのため、「認知症になりたくないけど、どんな対策をしたらいいの?」「ボケ防止にいい食べ物って何かないの?」などと不安に感じている方は多いでしょう。
ここでは認知症予防に効果的と言われている食べ物についてご紹介します。具体的な食材やジャンルだけではなく、認知症のリスクを上げてしまう食べ物についてもご紹介するので、最後までご覧ください。
そもそも認知症とは
そもそも認知症とはどのような病気であり、どのような症状が出るのでしょうか。ここでは以下についてご紹介します。
- 高齢者の5人に1人は認知症?
- 【加齢or認知症による】物忘れの違い
高齢者の5人に1人は認知症と言われており、加齢による物忘れと認知症の症状の一つである物忘れには違いがあります。それぞれについて具体的にご紹介します。
高齢者の5人に1人は認知症?
厚生労働省の調査による65歳以上の認知症を発症した方の推計は以下の通りです。
年 | 65歳以上の認知症者数 |
2020年 | 約600万人 |
2025年 | 約700万人 |
(参考URL:厚生労働省「認知症」)
65歳以上の認知症者数は、2020年には約600万人であったのが2025年には約700万人になると推測されています。
5年間で約100万人の増加です。高齢者の5人に1人は認知症となる可能性があります。年を重ねるほど認知症になるリスクは上がり、今後ますます高齢者が増加すると推測されています。
そのため、認知症への理解を深め、認知症の予防に取り組まなければなりません。
加齢or認知症による物忘れの違い
認知症の症状の一つである物忘れ。認知症の症状として出現する物忘れと、加齢による物忘れは異なります。
物忘れと一言でいっても正常なものと認知症を疑うべきものがあります。両者の物忘れの違いは以下の表の通りです。
加齢によるもの | 認知症によるもの | |
体験 | 一部を忘れる | 体験自体を忘れる |
学習能力 | 維持される | 新しいものを覚えられない |
自覚 | ある | ない |
探し物 | 努力して自身で見つけられる | いつも探している
時には、誰かに取られたと感じる |
症状の進行 | きわめて徐々にしか進行しない | 進行する |
(参考URL:厚生労働省「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」)
夕飯を食べる体験を例にご紹介します。加齢による物忘れであれば、夕飯を食べた体験は忘れませんが、何を食べたかを思い出せません。
認知症による物忘れであれば、夕飯を食べた体験自体を忘れてしまいます。「夕飯をまだ食べてない」と感じるのです。
物忘れが日常生活に影響し始めると、認知症の一つのサインである可能性があります。
一方で、それぞれの物忘れでこのような傾向があるというだけで、上記のような症状であれば必ずしも認知症であると判断ができるわけではないため、理解しておきましょう。
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認知症予防に有効な食べ物6選
一度発症すると症状の進行は遅らせられるものの、改善はできないとされる認知症。脳と日々取っている栄養には密接な関連があります。
そのため、認知症予防には食事の改善が大切です。認知症予防に有効と言われている食べ物は以下の6つです。
- 悪玉コレステロールを減らす効果がある青魚
- 神経伝達物質の生成をサポートする大豆製品
- 体内の免疫を高める効果がある緑黄色野菜
- 抗酸化作用成分が豊富な果物
- 血流を改善する効果があるコーヒー・緑茶
- 記憶力の低下を抑える効果があるカレー
それぞれの食べ物について具体的にご紹介します。
悪玉コレステロールを減らす効果がある青魚
青魚には悪玉コレステロールを減らす効果があるため、認知症予防に有効とされています。
サンマやアジ、イワシ、サバなどの青魚を積極的に摂取するのがおすすめです。青魚に含まれる主な成分は以下の通りです。
- DHA(ドコサヘキサエン酸)
- EPA(エイコサペンタエン酸)
青魚には、DHAやEPAと呼ばれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、悪玉コレステロールを減らす働きが期待できます。悪玉コレステロールが減ると血流の流れが良くなり、脳への血流が改善するため認知症の予防につながります。
DHAは脳の構成成分であり、記憶力や判断力の向上につながります。EPAは血管を拡張し血行を良くするため、生活習慣の予防に効果的です。
神経伝達物質の生成をサポートする大豆製品
大豆製品は神経伝達物質の生成をサポートするため、認知症予防に有効とされています。
納豆や豆乳、豆腐、みそなどの大豆製品の積極的な摂取が認知症の予防に役立ちます。大豆製品に含まれる主な成分は以下の通りです。
- 植物性のタンパク質
- 食物繊維
- ミネラル
- 大豆レンチン
- イソフラボン
大豆製品は大豆レンチンが豊富です。大豆レンチンが神経伝達物質の生成をサポートするため、脳内の情報伝達がスムーズになり記憶力や判断力の向上につながります。
イソフラボンは、ポリフェノールの一種であり、十分に摂取すると認知機や記憶の改善に効果があります。また、大豆の発酵食品であり納豆には血栓を溶解する作用があるため、認知症予防には特に効果的です。
体内の免疫を高める効果がある緑黄色野菜
緑黄色野菜は体内の免疫を高める効果があるため、認知症予防に有効とされています。緑黄色野菜に含まれる主な成分は以下の通りです。
- ビタミンC
- ビタミンE
緑黄色野菜はビタミンが豊富です。ビタミンは免疫を高めたり、老化の原因とされる酸化物質の生成を防いだりする効果があります。
アルツハイマー型認知症の原因の一つは「アミロイドβの脳の沈着」とされています。体内の免疫を高めるとアミロイドβの脳への沈着を防止し、新たな蓄積も予防可能です。
抗酸化作用成分が豊富な果物
果物には抗酸化作用成分が豊富であるため、認知症予防に有効とされています。果物に含まれる主な成分は以下の通りです。
- ポリフェノール
- アントシアニン
- ビタミン
果物は緑黄色野菜と同様にビタミンが豊富です。果物の中でも特にブルーベリーやストロベリーのベリー類にはポリフェノールやアントシアニンなどの抗酸化作用成分が含まれており、脳の酸化ダメージを軽減できます。
つまり、果物を摂取すると「脳の酸化=脳の老化」の抑制につながるため、認知症の予防を期待できます。
血流を改善する効果があるコーヒー・緑茶
コーヒーや緑茶は血流を改善する効果があるため、認知症予防に有効とされています。コーヒーや緑茶に含まれる主な成分は以下の通りです。
- カフェイン
- ポリフェノール
カフェインには利尿作用があり、血液中の老廃物の排出を促します。血流が改善するため、脳内の神経伝達がスムーズになり認知機能の向上が可能です。また、ポリフェノールには生体の酸化ストレスを抑える作用があったり、果物と同様にアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの蓄積を予防できたりするため、認知症の予防を期待できます。
記憶力の低下を抑える効果があるカレー
カレーは記憶力の低下を抑えるため、認知症の予防に有効とされています。カレーに含まれる主な成分は以下の通りです。
- ウコン
- ターメリック
ウコンやターメリックの中には認知症予防につながるクルクミンが含まれています。クルクミンはポリフェノールの一種であり、脳の酸化を防ぐほか、アミロイドβの蓄積を防止します。つまり、記憶力の低下を抑えるため、認知症予防につながるのです。
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認知症のリスクが高まると考えられる食べ物
認知症のリスクが高まると考えられる食べ物は以下の2つです。
- 脂の多い肉類
- マーガリン・ショートニング
認知症の予防には毎日の食事に気をつけなければなりません。ここではそれぞれの食べ物について具体的にご紹介します。
(参照URL:健康長寿ネット「認知症予防のための食事とは」)
脂の多い肉類
脂の多い肉類は、認知症のリスクを高めると考えられる食べ物の一つとされています。
脂の多い肉類をたくさん食べると高血圧を引き起こし、脳にダメージを与えるとされています。高血圧を引き起こすと特殊なタンパク質であるアミロイドβが貯まりやすくなります。
このアミロイドβはアルツハイマー型認知症の主要原因です。
また、不飽和脂肪酸が豊富であり、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病につながるため、認知症の発症や悪化を引き起こします。
マーガリン・ショートニング
マーガリンやショートニングはトランス脂肪酸が豊富です。トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させるため、その結果脳の血流が悪化し認知機能の低下を招きやすくなります。
ショートニングはドーナツや菓子パンなどのお菓子や揚げ物に使用される場合が多いため、食べすぎには気をつけなければいけません。
認知症予防のための食事方法とは
認知症を予防するためにはどのような食事方法があるのでしょうか。具体的な食事方法は以下のとおりです。
- バランスのよい食事
- 地中海式
- 和食
- 摂取カロリー・塩分に気をつけた食事
- 糖分を控えた食事
認知症予防のための食事方法についてそれぞれご紹介します。
バランスのよい食事
認知症のリスクが高まる可能性のある食べ物を避け、認知症予防に効果がある食べ物ばかりを食べればいいわけではありません。
タンパク質や脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどの五大栄養素などバランスよく食べるのが何よりも大切です。
国立長寿医療研究センターの研究によると「食品の多様性と認知機能には相関があり、さまざまな食品を摂取すると認知機能低下のリスクを抑制する」との結果が得られています。多くの食品を摂取すると認知症になりにくいと言われているのです。
バランスのよい食事が生活習慣病を予防し、その結果認知症の予防につながります。
地中海式
イタリアやギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国々の人々が食べている料理を地中海式食といいます。穀類、野菜、果物、オリーブ油、魚、ワインを主体とした食事であり、肉類の摂取が比較的少ないです。
地中海式食で豊富に使用するオリーブオイルは不飽和脂肪酸を多く含んでおり、抗酸化作用が強いのが特徴です。生活習慣病の予防に効果的であり、認知症予防にもつながります。
和食
日本人になじみ深い和食。海外でも健康食として人気です。
東北大学院医学系研究科公衆衛生学分野の陸兪凱氏、辻一郎氏らの研究グループは「日本食パターンの度合いが高い高齢者は動物性食品や乳製品の摂取度合いが高い高齢者と比べ、認知症発症のリスクが20%低下した」としています。
和食は認知症発症のリスクを20%低下させるため、認知症の予防に効果的とされています。和食のメインとなる魚に含まれる抗酸化作用がリスクを軽減します。
摂取カロリー・塩分に気をつけた食事
摂取カロリーがオーバーすると肥満のリスクが高まり、塩分を多く摂取すると高血圧のリスクが高まります。
生活習慣病は動脈硬化につながり、脳血管性の認知症の発症率を高めます。和食は選ぶ食べ物、例えば味噌汁や漬物、干物などの食べ物によっては塩分を多く含むものがあります。和食を選んでいても、塩分に気をつけた食事を心がけましょう。
糖分を控えた食事
糖分を多く摂取すると糖尿病のリスクが高まります。高齢となると徐々に糖分を代謝する能力が低下します。
その状況で糖分が多く含まれる甘いものやお菓子などを取り続けると生活習慣病となります。摂取カロリーがオーバーしたり、塩分を過剰に摂取したりする状況と同様に、動脈硬化につながるため注意しなければなりません。
具体的には糖分の多いお菓子やうどんなどの麺類、食パンなどの摂りすぎには注意し、糖分を控えた食事を取るといいでしょう。
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認知症の家族と食事をする際に気をつけたい3つのポイント
認知症の家族と食事をする際には、認知症の特有の症状からいくつか気をつけたいポイントがあります。以下の3つです。
- 無理に食べさせない
- 一人で料理をさせない
- コミュニケーションを取りながら食事をする
それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。
無理に食べさせない
認知症の方は、食事を拒否する場合もあります。本人には食事をする認識そのものがないのかもしれません。
しかし、食べないからといって、無理やり食べさせるのは禁物です。体調を心配し食べてもらいたいと考える気持ちもわかりますが、誤嚥や肺炎などを起こす可能性があるため注意しなければなりません。
時間をおいてみたり、本人のもともとの食生活習慣に配慮したり、食前に運動をしたりなどの工夫が必要です。
また、無理に食べさせると「食事=嫌なもの」との認識だけが残るため、余計に食べなくなる可能性があるため注意しましょう。
一人で料理をさせない
一人で料理をさせない点も注意しなければなりません。認知症の方が一人で料理をすると、調理の途中でも料理しているのを忘れてしまう可能性があります。また、火を消し忘れると火事になる可能性もあります。
料理には材料を切ったり、調味料を入れたりなどさまざまな行程があり、料理をするのは頭を使う作業であるため認知症の予防にもつながります。そのため、家族と一緒に、家族が見守りながら料理を作るといいでしょう。
コミュニケーションを取りながら食事をする
コミュニケーションを取りながら食事をするのも大切です。
認知症の方は、会話が嚙み合わなかったり、会話をしたがらなかったりする可能性があります。そのため、認知症の方が嫌がらない話題を話したり、ゆっくり分かりやすく話したりなど工夫が必要です。
また、理解できないような発言をする場合がありますが、否定したり、怒ったりしてプライドや自尊心を傷つけないようにしましょう。
コミュニケーションを通して他者と交流をすると、認知症の方が抱えている不安や孤独感を軽減でき信頼関係を築けます。認知症の予防にもつながるでしょう。
認知症予防に効果的な食べ物を知り、食生活を見直そう
認知症予防に効果的な食べ物6つについてご紹介しました。肉ではなく魚中心の料理を心がけ、和食や地中海式食などの食事方法でそのほかの栄養素をバランスよく取ると、認知症予防につながります。認知症のリスクを上げてしまう食材を過剰に取るのは控えましょう。
コミュニケーションを取ったり、一緒に調理をしたりすると認知症予防にもつながります。今回ご紹介した記事を参考に自身の食生活を見直し、認知症予防につなげていきましょう。
効果がないわけではありません。白身魚の中で特に鮭には、青魚に負けないくらいDHAを含んでいます。また、貝類にもDHAが含まれています。詳しくはこちらをご覧ください。
多ければ多い方がいいわけではありません。バランスのよい食事が大切です。果物やコーヒーなどをたくさん摂ると糖尿病となったり、カフェインを取りすぎて不眠につながる可能性もあります。詳しくはこちらをご覧ください。