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  • 【公開日】2022-12-20
  • 【更新日】2023-04-03

介護保険は何歳から使える?サービスの利用方法や支払う時期も徹底解説

介護保険は何歳から使える?サービスの利用方法や支払う時期も徹底解説

「介護保険の利用はいつからできる?」「介護保険を支払うには何歳から?」と考えた経験はありませんか?

中高年になると、将来の自分や親の介護に関して気になったものの、介護保険がどのようなサービスか馴染みがない方も多くいるでしょう。

そこで今回は、介護保険制度が利用できる年齢や介護保険サービスの利用方法を紹介します。介護保険制度をうまく活用したいと考えている方は、参考にしてください。

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公益社団法人青少年健康センター 理事
所有資格:CFP®,FP技能士1級,総合旅行業務取扱管理者
専門分野:高齢期の資金計画
職業: ファイナンシャルプランナー
出身組織: 駒沢大学大学院

1963年、東京都港区生まれ。 大学1年生のときにフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後は、新聞、雑誌、ウエブに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などもおこなう。 ひきこもりのいるご家庭向けに生活設計アドバイスをおこなう「働けない子どものお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスをおこなう「高齢期のお金を考える会」、教育資金アドバイスをおこなう「子どもにかけるお金を考える会」を主宰している。著書・監修書は、「おひとりさまの大往生 お金としあわせを貯めるQ&A」(主婦の友社)ほか、70冊を超える。プライベートでは、二男一女の母。詳しくはこちら

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介護保険サービスは何歳から使える?

法令によって介護保険サービスの対象年齢は、「65歳以上」とされています介護保険料を滞納していなければ、65歳の誕生月になると「介護保険証」が市町村から送付されてきます。

介護保険サービスを利用するなどして、訪問介護や訪問リハビリ、老人ホームでの介護サービスなど介護費用の負担を軽減できます。

65歳以上の要支援・要介護認定された方

65歳以上の方は、介護状態になった要因を問わず、介護保険サービスが利用できます

実際に介護保険サービスを受けるには、要支援や要介護の認定が必要です。介護保険要介護・要支援認定申請書を提出して、「介護保険認定書」を取得するための、認定調査を受けなければなりません。

介護保険サービスの対象年齢を満たしただけでは、利用できない点に注意してください。

なお、要介護認定の申請には「介護保険証」が必須です。きちんと保管しておきましょう。

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40歳〜64歳は制度の利用が制限されている

65歳以上の方は、介護状態になった要因を問われずに介護保険制度を利用できますが、40歳以上〜64歳以下の方は、介護保険制度を利用できないのでしょうか。

介護保険制度は、国民が共同で福祉への責任を連帯する考えに基づき創設されたものです。

人間は年を取ると、肉体の変化にともない、認知症や脳血管障害などの病気を発症した場合に、介護が必要な状態となるリスクが高くなっていきます。

そして40代に入った頃からは、自らの親も介護を必要とした状態になる可能性が高くなります。40歳以上の国民が介護保険料を支払い、各世代が、お互いに介護費用を助け合うのは、制度として合理的だとされています。

40歳以上・16種類の特定疾病の方は例外

例外として、16種類の特定疾病を要因として介護が必要になった方は、40歳以上であっても介護保険サービスを利用できます

「特定疾病」とは、公的・民間保険問わず、特別な治療が必要な病気です。

厚生労働省によると、以下のいずれかの基準に合致する病気を「特定疾病」と定義しています。

  • 罹患率や有病率(類似の指標を含む)などから鑑みて、加齢との関係やその医学的にも明確に定義できる病気
  • 3~6ヶ月以上継続して、要支援・要介護状態になる割合が高いと考えられる病気

次は、16種類の特定疾病がどのような病気か説明していきましょう。

16種類の特定疾病の一覧表

介護保険制度において定められている、16種類の特定疾病は以下の通りです。一覧表の中に病気の概要も簡単に記載しましたので、参考にしてください。

病名 概要
1 がん 進行性で治りにくいと医師が判断した進行がんが対象。抗がん剤などの治療が行われている場合、症状の治癒ではなく、症状を緩和するのが目的であれば、不治の病と見なされる。40代以降に発症する場合が多い。
2 関節リウマチ 全身の関節に炎症が起こり、四肢の痛みやこわばりなどの症状が現れる。30〜50代の女性に多く発症する。
3 筋萎縮性側索硬化症(ALS) ALSとしても知られる疾患。体を動かすために使用される運動ニューロンの異常により、筋肉の萎縮と筋力低下を引き起こす。60歳前後で発症する場合が多いといわれている。
4 後縦靱帯骨化症 50歳前後に多く発症する。後縦靭帯と呼ばれる、背骨を縦に走る靭帯が骨化する病気。靱帯が脊髄などを圧迫し、手足のしびれなどの感覚障害や下肢の筋力低下などの運動障害を引き起こす。
5 骨折をともなう骨粗鬆症 日常生活での軽い負荷や、ちょっとした転倒などで骨がもろくなり、骨折を起こしやすくなる病気。50歳以上の女性に起こりやすい。
6 初老期における認知症 若年性認知症ともいう。物忘れや理解力の低下、判断力の低下などの症状が見られ、進行すると日常生活にも影響を及ぼす。
7 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
【パーキンソン病関連疾患】
筋肉のこわばり、安静時の振戦などのパーキンソン病の症状が現れる。どの疾患も脳内のニューロンの喪失によって引き起こされると判明している。
8 脊髄小脳変性症 後頭部の下側に位置する小脳の障害によって引き起こされる疾患の総称。不安定な歩行、手の震えなどが見られる。30代〜40代で発症し、症状の進行が非常に遅い。
9 脊柱管狭窄症 脊椎の脊柱管が狭くなって神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす。歩くと徐々に腰痛や足のしびれなどの症状が現れる。
10 早老症 実年齢よりも早く全身に老化の徴候が現れる疾患の総称。若年性白内障や白髪、脱毛などの症状が多い。
11 多系統萎縮症 脳の自律神経に関する各部位の変性によって、ろれつが回らない、歩行時のふらつきなどが引き起こされる病気。
12 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 いずれの病気も、糖尿病が進行すると発生する三大合併症といわれている。それぞれの診断基準を満たせば特定疾病と判断される。
13 脳血管疾患 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳血管の異常によって引き起こされる疾患の総称。後遺症が残りやすいといわれている。
14 閉塞性動脈硬化症 脚の血管が狭くなる、詰まるなどして、血流が悪くなる病気。
15 慢性閉塞性肺疾患 慢性気管支炎、気管支喘息といった肺の働きが悪くなる疾患。
16 両側の膝関節または股関節に著しい変形をともなう変形性関節症 両膝の膝関節・股関節が変形し、動かしにくくなる病。痛みや腫れなどをともなう。

実際に特定疾病を要因として介護保険サービスを受けたい場合、特定疾病なのかは、病気の原因や症状などの診断基準に基づいて医師が判断します。病名が同じであっても、必ずしも特定疾病として認定されるとは限りません。

例えば、「がん」を例に挙げると、がんすべてを「特定疾病」に分類するのではなく、「がんの末期」が特定疾病に該当すると位置付けています。また厚生労働省によると、介護保険における特定疾病の「がんの末期」は、以下の定義をすべて満たしたものと定められています。

  1. 自立増殖性:がん細胞が自律的かつ無制限に増殖している状態
  2. 浸潤性:がん細胞が最初に発生した場所から、ほかの組織まで拡大し、浸潤している状態
  3. 転移性:がん細胞が血液やリンパ液にのって進行し、離れた臓器や全身に拡がり、転移している状態
  4. 致死性:何かの治療をしない場合、最終的に1〜3の要因で死にいたる状態

詳しい内容は、最寄りの地域包括支援センターや、治療を担当している医師に相談してください。

介護保険料は何歳から支払う?

介護保険料の支払い義務は、40歳になった月から発生します。もう少し具体的に掘り下げていきましょう。

ちなみに「40歳になった日」とは、誕生日の前日を指します。例えば、誕生日が10月5日の方は10月4日に40歳を迎えるため、誕生月である10月分から介護保険料の支払いがスタートします。

しかしながら、1日が誕生日となる方は、注意が必要です。例えば10月1日が誕生日の方は、誕生日の前日である9月30日に40歳を迎えます。そのため、介護保険料の支払いは、9月分から徴収されることになります。

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介護保険料は何歳まで?

介護保険料の支払いは、一生涯続きます。つまり、40歳になった月からスタートし、死ぬまで払い続けなければなりません

介護保険制度の目的は、高齢者とその家族の負担軽減です。そのため、39歳未満の方には保険料の納付義務がなく、40歳以上で、少しずつ介護に関わる可能性のある年代が負担する仕組みになっています。

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介護保険料の納付額

介護保険料の納付は、被保険者の年齢によって40〜64歳(第2号被保険者)と65歳以上(第1号被保険者)に分かれます。

また介護保険料は、3年ごとに見直されており、制度の導入時から改定されるたびに値上がりを続けています。

1)40〜64歳の場合

40〜64歳(第2号被保険者)の保険料は、加入している医療保険団体(全国健康保険協会、市町村国保など)によって異なります

職場の健康保険組合や協会けんぽ(全国健康保険協会)などの「健康保険」に加入している方と市区町村の「国民健康保険」に加入している方に分けて、それぞれ説明していきます。

職場の健康保険に加入している方

職場の健康保険に加入している方の介護保険料は、標準報酬月額に基づいて決定されます

標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金の保険料を決めるために、収入を数万円ごとに区切って等級ごとに定めた仕訳です。それでは、実際の標準報酬の金額はどのように決められるのでしょうか。

月給基準は、毎年4月から6月までの平均給与額と「月給基準表」の等級を比較して決められます。標準報酬月額に介護保険料率を掛け合わせて、健康保険料と一緒に徴収されます。

例として、協会けんぽ(全国健康保険協会)のケースを見てみましょう。標準報酬月額は24万円に該当するとします。

令和4年3月~の東京都の[畠中1] 40〜64歳(第2号被保険者)に該当する方の保険料は11.45%になっています。保険料負担は月額27,480円で、そのうちの半額である13,740円は会社が負担してくれています。介護保険料を負担しない39歳までの方の健康保険料率は9.81%になっています。保険料負担は月額23,544円で、同じく会社が11,772円を負担してくれています。

今回は東京都のケースを挙げましたが、実際住んでいる都道府県によって健康保険の料率は変わりますので、注意してください。

国民健康保険に加入している方

市区町村が加入する国民健康保険の介護保険料は、家族単位で徴収されます。国保加入者の所得や資産、加入者数などに応じて決定されます。具体的にいうと、各自治体は、以下の項目で金額を決定するでしょう。

  • 所得割:世帯のうち国民健康保険に加入している人の前年の所得を元に決められる
  • 均等割:世帯の被保険者(国民健康保険に加入している家族の数)を元に決められる
  • 平等割:1世帯あたりの金額を計算
  • 資産割:固定資産を持っている場合に課せられる負担

国民健康保険には被扶養者といった概念がありません。世帯主が国民健康保険に加入していなくても、40歳から64歳までの家族に国民健康保険の加入者がいる場合は、世帯主名義で保険料の納付書が届きます。。

2)65歳以上の場合

65歳以上の方の介護保険料は、市町村ごとに算出する「基準額」を基に本人・家族の所得状況を考慮して決定されます

基準額とは、「自治体が介護サービスに支払った費用」に「65歳以上の方の代価分」をかけて、「市区町村の65歳以上の人数」で割った数字です。

具体例を挙げてみましょう。

新宿区の場合、標準基準額の年額は「76,800円」で、一人月額「6,400円」の負担としています。介護保険料を第16段階まで区分し、段階によって決められた「保険料率」と「基準額」を掛け合わせたものが、年間の介護保険料額となります。

「標準基準額」や「所得」の区分わけは、市区町村によって異なるため、正しい算出額を知りたい場合は、お住まいの市区町村の窓口にお問合せください。

介護保険制度は国が運営する制度ではあるものの、実際の運営は自治体に委任されており、自治体ごとにかかっている介護費用が異なるため、保険料の負担額に差が出ているのです。

介護保険料の滞納は家族に負担が及ぶ場合も

介護保険料は被保険者全員で分担しているため、誰かが支払いを怠ると、家族に負担が及ぶ場合が考えられます

滞納をしたまま介護保険サービスを利用すると、保険料の納付額以上の負担となる場合があります。このようなトラブルを避けるために、保険料の支払いは計画的に行い、遅れないようにしましょう。

介護保険サービスを利用する際の利用者負担は、通常支払った費用の1割〜3割ほどです。

それでは、実際にどのくらい滞納をしたら、どのような措置が取られるのか、3つのケースに分けて説明していきましょう。

1)1年以上滞納したケース

1年以上滞納したまま介護保険サービスを利用すると、利用したその費用の全額(10割)をいったん利用者が自己負担する形になります。

申請後に、保険給付費として費用の7割〜9割が払い戻されます。

2)1年6か月以上滞納したケース

利用者が介護保険料を1年6か月以上支払わない場合、介護保険のサービスの全額(10割)を自己負担する形に加え、申請により払い戻される保険給付費が一時差し止めされます

さらに滞納すると、未納している保険料と相殺され、申請により返金されるはずだった保険給付費から充当される場合があります。

3)2年以上滞納したケース

介護保険料の未払いが2年以上続くと、利用者の介護保険サービスを利用する際の負担額が増えます。具体的には、1割〜2割の方は3割に、3割の方は4割に変更になる可能性があります。

この介護保険料の負担が増大する期間は、介護保険料を滞納していた期間に応じて変わります。

さらに追加のペナルティとして、介護保険料の負担が増大する期間中は、「高額介護サービス費」などの軽減措置が受けられません。「高額介護サービス費」とは、1ヶ月に支払った利用者の支払い合計が、限度額を超えたときに払い戻される、利用者の費用軽減を目的としたものです。

「高額介護サービス費」の利用者は多いため、使えなくなった場合の代償はかなり大きいといえるのではないでしょうか。

介護保険サービスの利用方法

介護保険サービスを利用したい場合、どのようにすればよいのでしょうか。ここでは、介護サービスの利用方法を6つに分けて説明します。

  1. 要介護認定の申請・相談介護サービスを使いたい場合は、要支援・要介護認定の申請をしなければいけません。利用者の「介護保険被保険者証」を持参し、市区町村の介護保険課などで申請してください。
  2. 自治体の認定調査・主治医の意見書で一次判定市区町村の調査員が、自宅や施設を訪問し、利用者の状態を調査します。調査結果と主治医の意見書の一部がシステムに反映され、要介護度の判定が下されます。(全国一律)
  3. 一次判定の結果と主治医の意見書を再度反映し、2次判定さらに介護認定調査会によって、2次判定がされます。システムだけでは判断できない、利用者を取り巻く状況なども細かく審議されます。
  4. 要介護・要支援が決定し、結果を通知介護認定調査会で決まった、要介護・要支援の審査結果を申請者に送ります。原則、申請→結果通知までは、30日以内に行われます。
  5. ケアプランの作成や介護保険サービスを利用したい場合は、ケアプラン(サービス計画書)の作成が必要です。詳しくは、最寄りの地域包括支援センターに問合せましょう。
  6. 介護サービスの利用をスタート。ケアプランにそって、介護サービスの利用が始まります。

なお、介護度の認定に不服がある場合、介護保険審査会に結果通知を受け取った日の翌日から3か月以内であれば、申請ができます。

介護保険制度が利用できる年齢や制度内容を知り制度を上手に活用しよう

介護保険制度が利用できる年齢は、以下の通りです。

  • 40歳になると、介護保険制度への加入と支払いが義務付けられる。
  • 職場で働いている40〜64歳の社会保険に加入している方は、介護保険料が自動的に給与から天引きされる。
  • 65歳以上の方は、年金からの天引き、または納付書・口座振替で支払う

介護保険制度は、介護が必要な方にとっては大変頼りになる重要な制度です。未来の自分や親が介護サービスを利用すると考えて、地域包括支援センターや地方自治体が開催するセミナーなどを活用しながら、上手に情報を集めていきましょう。

介護保険料は市町村ごとに異なるのはなぜ?

市町村で介護保険を利用する人数や、どのようなサービスの需要が多いかなどによって、それぞれの市町村ごとに、介護サービスにかかる総費用が異なるからです。詳しくはこちらをご覧ください。

65歳以上が支払う保険料の平均はどのくらい?

高齢化の進行と介護報酬の引き上げが要因となり、年々値上がりしています。2018〜2020年までの介護保険の全国平均は月額5,869円でしたが、2021年度は月額6,014円でした。介護保険料は3年に1回改定が行われていますが、下は3,000円台、上は9,000円以上と、地域によって3倍近い差があります。詳しくはこちらをご覧ください。

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