介護老人保健施設(老健)では、比較的低価格な料金で、手厚いリハビリテーション・医療ケアを受けることができます。
しかし、在宅復帰を目的とした施設のため、原則として入所からおよそ3ヶ月~6ヶ月が経過し、施設から健康上問題ないと判断されると、退所を勧告されます。
「そろそろ老健から退所する必要があるけど、在宅復帰はまだ不安」
「今利用している老健にずっと入所できないなら、別の老健に移動することはできないのかな?」
施設の性質上、介護老人保健施設(老健)を利用している、あるいは検討している方々には、そんな思いを抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、老健から老健の移動は可能なのか詳しく解説していきます。

老健から老健への移動は可能?
結論からいうと、老健から老健への移動は可能です。
介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目的とした施設ですが、退所後は必ずしも在宅復帰しなければならない決まりはありません。
退所先は本人や家族の意思によって自由に決めることができ、在宅復帰する以外に特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの長期入所を前提とした施設に転居したり、別の老健に移動する人もいます。また、老健によっては、事情を汲んで余儀なく6ヶ月を超えた入所を許可しているところもあります。
法律的には問題ない
介護老人保健施設(老健)は在宅復帰が目的とされていますが、老健から老健への移動を取り締まる法律や制度はないため、移動は可能です。
家庭の事情で在宅介護が困難であったり、特別養護老人ホームの入所待ちなど、理由はさまざまですが、老健から老健へ移動する方は実際にいらっしゃいます。
他の手立てが無い中で、引き続き低価格で手厚いリハビリテーションや医療ケアを受けることができることは、本人にも家族にもありがたいことと言えるでしょう。
しかし、3ヶ月〜6ヶ月ごとに暮らす環境が変化することにより、本人がストレスを感じやすくなったり、入所の度に書類の記入や入所に伴う面談などを行う必要があるなど、デメリットも存在します。
老健から老健への移動は、本人の身体状況や介護する家族の状況を考えながら、慎重に検討するようにしましょう。
老健の利用者の主な退所先について
令和2年に厚生労働省が発表した「介護老人保健施設(参考資料)」によると、介護老人保健施設(老健)の利用者の退所先は以下のようになっています。
主な退所先としては、「医療機関」が36.6%と最も多く、続いて「家庭」が33.1%、「特別養護老人ホーム」が8.2%となっています。
在宅復帰した方がいる一方で、入所中に持病が悪化し入院する方や、諸事情で在宅介護が難しく他の施設に入所する方もいます。
このうち退所後に介護老人保健施設(老健)へ移動した方は2.5%となっており、具体的な人数で表すと約394人存在することになります。
このデータからも、老健から老健への移動が実際に行われていることがわかります。
また、「介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業(厚生労働省)」では、老健入所者全体の53.5%が退所見込みなしと評価されています。そして、自宅に退所した方の11.8%、医療機関に退所した方の34.5%が、1~3ケ月以内に老健に再入所していることが明らかになっています。
老健に再入所した理由としては、自宅からは「退所当初からの予定(71.8%)」「介護者の疲労(56.8%)」「病状の不安定等(13.2%)、医療機関からは「病状の軽快・治癒(58.3%)「退所当初からの予定(55.2%)」「介護者の疲労(33.7%)」が挙げられています。自宅に帰って老健に再入所した人の7割以上が元の老健に戻ることを退所当初から予定していたことがわかります。
以上より、介護老人保健施設(老健)は在宅復帰支援を目的とする施設ですが、現実的には退所することが難しいと判断されている人が半数以上、退所後に在宅復帰をする方は3割程度で、在宅復帰をしてもその1割以上は老健へ再入所することを前提としています。
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まとめ
老健から老健への移動は可能です。
介護老人保健施設(老健)は在宅復帰が目的とされていますが、老健から老健への移動を取り締まる法律や制度はないため、移動は可能です。
厚生労働省の調査によると、1年間の介護老人保健施設(老健)の退所者のうち2.5%は、そのほかの介護老人保健施設(老健)に入所しており、実際に老健から老健への移動が行われていることが分かります。老健退所後に在宅復帰した人でも、その1割は老健に再入所しています。
老健では、比較的低価格な料金で、引き続き充実したリハビリテーションや医療ケアを受けられるので、本人にとっても家族にとっても大きなメリットです。
その反面、3カ月〜6ヵ月ごとに暮らす環境が変化するため、本人がストレスを感じやすくなるなどのデメリットも存在します。
老健から老健への移動を検討する際は、支援相談員やケアマネジャーと相談したり、ほかの介護施設に入所することも選択肢に入れながら、慎重に考えていくことが大切です。
そのほか、介護老人保健施設(老健)について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
