在宅での介護が大変になり施設入所を考えていた時に「まるめが関係していると入所するときに影響がある」と聞いて不安に思っている方もいるでしょう。
本人の希望に沿って、安心して過ごせる施設へスムーズに入所させてあげたいですよね。
そこで今回は「まるめ」がどういう意味を持つ言葉なのか、どうして施設入所に影響があるかを詳しく解説していきます。
実際に入所できないケースや本人に合った施設を上手に選ぶ方法も併せて紹介しますので、この記事を読んで参考にしてください。
介護施設へ入所するときに影響のある「まるめ」とは?
「まるめ」とは、介護施設の請求に関するもので医療費が介護報酬に包括されることを指します。
介護施設には、出来高払いと包括払い(いわゆる「まるめ」)があります。出来高払いの場合は、診療や投薬などでかかった医療費を請求できます。どんなに医療費がかさんでも施設側の負担はないため、経営に影響は出ません。
しかし包括払い(まるめ)の場合、医療費は介護報酬で請求できる範囲の金額が決まっています。決められた金額以上は請求できないため、上限額を超えて医療費がかかってしまった場合には施設側が支払いを行う必要があります。
医療費がかさむと予想されるのは、診療や薬が多い方です。そのため、診療や内服薬が多い方は入所時に「まるめ」の影響を受けるとされています。
「まるめ」を理由に介護施設へ入所できないケースとは?
「まるめ」を理由に介護施設に入所できないケースは、先ほどお伝えしたように治療や薬が多く医療費が高くなってしまう場合です。
まるめを適用している代表的な施設には「介護老人保健施設」があります。この施設が「まるめ」の請求方式を取っているのは、収入源が介護保険だからです。
介護老人保健施設では、治療が多い方や内服薬の多い方が増えれば増えるほど施設側の損益が大きくなってしまう可能性があります。
そのため、もともと治療や薬が多い方、価格の高い薬が必要な方などは「まるめ」を理由に入所を断られるケースがあるとされています。また介護老人保健施設に入所できたとしても、薬価の低い薬に変更されたり薬の量を減らされたりした結果、慢性疾患が悪化し再入院となったケースも多くあるようです。
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「まるめ」の影響がある施設・ない施設
介護施設には「まるめ」の影響がある施設とない施設があります。
どの施設がまるめの影響を受けてどの施設が受けないのか把握できれば、施設選びの際にも不安を感じずにすむでしょう。
ここからは「まるめ」の影響がある施設とない施設について、詳しく解説していきます。
影響がある施設
「まるめ」の影響があるのは介護老人保健施設です。
介護老人保健施設とは、病状が安定していて入院治療の必要がない要介護1~5の方が家庭復帰を目指して入所する施設です。医師・看護師・理学療法士など専門のスタッフが在籍し、利用者それぞれが目標を達成できるようサポートを行っています。
状態が安定してきた入所者は3ヶ月ごとに支援の見直しを行い、自宅で生活できるよう家族と居宅ケアマネージャーと調整します。先ほどお伝えした通り、介護老人保健施設は、収入源が介護保険です。
そのため、診療や薬などの医療費に関しては施設側がほとんど負担しています。施設を運営するにも、スタッフの給料などさまざまな面でお金がかかります。多くの方の診療や薬代を施設が負担していたら、施設の経営もままなりません。
その結果、家庭復帰を支援する老人保健施設であっても、医療費がかさむ利用者の受け入れは難しく「まるめ」を理由に断るケースが多いとされています。
出典: 日本老年医学会雑誌第58巻第4号 (jst.go.jp)
影響がない施設
以下のような民間施設であれば、「まるめ」の影響はありません。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅とは、介護不要もしくは軽度な介護を必要とする高齢者を対象とした賃貸住宅です。安否確認・生活相談サービスを提供しています。
有料老人ホームは、介護度にかかわらず幅広い方の受け入れを行っている施設です。介護付・住宅型・健康型の3つのタイプがあり、介護サービスや食事サービス、家事・健康管理などの生活支援サービスを提供しています。
これらの施設が影響を受けないのは、出来高払いを採用しているためです。医療費を理由に断られないので、どのような方も入所しやすい施設となっています。
介護施設選びのポイント4つ
介護施設と一言でいっても多くの種類があるため、どの施設を選べばよいのか分からない方もいるかもしれません。
そこで、ここからは施設選びのポイントを紹介します。以下に紹介する項目に沿って最適な施設を探してみましょう。
1.施設に対する希望を洗い出す
まずは、入所する施設に求める条件を考えましょう。
- 家から近いか
- 手厚い介護を受けられるか
- 持病があるのであれば看護・医療ケアを受けられるか
- 本人が楽しめるレクリエーションや趣味などの活動は行われているか など
家族だけで考えるのではなく、実際に入所する本人の希望も聞きましょう。
入所後に気づく点もあるかもしれませんが、ギャップを少しでも埋めるために家族と本人の施設に対する希望をできる限り明確にするのが大切です。
2.施設入所にかかる費用を調べ無理なく支払える範囲か確認する
入所にかかる費用に関しても確認しておくとよいでしょう。
入所自体はできたとしても、月々の支払いが厳しくなってしまったら退所せざるを得ない状況になってしまう可能性があるからです。
以下に施設ごとの費用目安をまとめました。気になっている施設で生活を送るには、どの程度の費用がかかるのか確認してください。
施設の種類 | 公的/民間 | 入居一時金 | 月額料金の目安 |
特別養護老人ホーム | 公的 | 0円 | 5〜15万円 |
介護医療院 | 0円 | 0〜14万円 | |
養護老人ホーム | 0円 | 0〜14万円 | |
介護老人保健施設 | 0円 | 8〜14万円 | |
ケアハウス | 数十万〜数百万円 | 10〜30万円 | |
グループホーム | 民間 | 0〜数十万円 | 15〜20万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0〜数十万円 | 10〜30万円 | |
住宅型有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 15〜30万円 | |
介護付き有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 15〜30万円 | |
健康型有料老人ホーム | 0〜数億円 | 10〜40万円 |
3.ケアマネージャーに相談する
本人の希望や費用の条件などを洗い出しても専門的な知識がなければ、施設を決めるのは難しいかもしれません。
入所の際には、ケアプランが必要なケースもあります。担当のケアマネジャーがすでにいる場合には、ケアマネージャーに相談しましょう。
ケアマネージャーなら、施設に関する細かい情報を持っているので本人に最適な提案をしてくれるはずです。
4.市区町村の公共窓口を利用する
さきほどケアマネージャーへの相談をおすすめしましたが、担当のケアマネージャーがいない方は市区町村の福祉の窓口である地域包括支援センターへの相談もおすすめです。
地域包括支援センターでは看護師や社会福祉士、ケアマネ―ジャーなどが相談員として在籍しています。そのため利用できる施設情報の詳しい説明はもちろん、本人の状態に応じて今後取るべき手続きなどの説明も行ってくれます。
地域によっては社会福祉協議会や市区町村の役所でも対応してくれるケースもあるので、住んでいる地域のホームページなどで確認しましょう。
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まるめで施設に入れなくても介護サービスを利用すれば無理なく本人との生活を続けられる
「まるめ」を理由に施設入所を断られてしまったとしても、適切な介護サービスを利用すれば、在宅での介護も無理なく行えます。ただし、介護サービスはどなたでも利用できるわけではなく、一定の条件が設けられているケースが多いです。
ここでは、介護サービスの種類の特徴とともに利用条件を紹介します。サービス利用に必要となる「要介護認定」の受け方についても説明するので参考にしてください。
在宅介護で利用できるサービスの種類
在宅介護で利用できるサービスは大きく分けて、訪問型、通所型、宿泊型、訪問・通所・宿泊の一体型の4種類となっています。
どんなサービスがあるか把握すれば、選択肢が広がります。以下に種類別のサービスをまとめているので確認してみましょう。
訪問型 | 通所型 | 宿泊型 | 訪問・通所・宿泊一体型 |
訪問介護
訪問入浴介護 訪問看護 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 定期巡回・随時対応型 訪問介護看護 |
通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション (デイケア) 認知症対応型通所介護 (認知症対応型デイサービス) 地域密着型通所介護 療養通所介護 |
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護 (医療型ショートステイ) |
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) |
出典: 8. サービス事業所を比較する | 「基本情報」の読み解き方 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
訪問型
ここで、訪問型の介護サービスの中から代表的な3つのサービスをピックアップして利用条件や特徴について紹介します。
訪問介護 | 訪問看護 | 訪問入浴 | |
利用条件 | 要介護1〜5の方 | 要介護1〜5、要支援1・2の方 | 要介護1〜5、要支援1・2の方 |
サービスの特徴 | 介護士が自宅に訪問し食事・入浴・排泄・買い物・掃除といった生活全般の支援をしてくれる。 | 看護師が自宅に訪問し、医師の指示のもとに食事指導や医療処置などを行う。 | 浴室の環境や利用者の状況により入浴が難しい方のために、看護師と介護士の3人が自宅を訪問し入浴介助を行う。
部分浴や清拭の対応もしてくれる。 |
訪問看護を受けるには、主治医の訪問看護指示書が必要です。
上記のほかにも訪問型のサービスには訪問リハビリテーションや居宅療養管理指導、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などがあります。ただ、それぞれ利用には条件が設定されているので利用前には確認が必要です。
通所型
続いて、通所型の介護サービスから代表的な3種類のサービスをピックアップして詳しく紹介します。
通所介護 | 認知症対応型通所介護 | 通所リハビリテーション | |
利用条件 | 要介護1〜5の方 | 認知症の診断があり要介護1〜5、要支援1~2の方 | 医師から利用が認められた要介護1〜5、要支援1~2の方 |
サービスの特徴 | 日帰りで食事・入浴・レクリエーションなどのサービスを提供する。 | 認知症の方を対象にしたデイサービス。行われるサービスは通所介護に似ているが認知症に対する配慮がなされている。 | 理学療法士・作業療法士・看護師などが在籍し、日帰りで運動機能の維持回復訓練などを行う。 |
通所型は、本人の気分転換はもちろん家族の介護負担軽減にもつながります。
認知症対応型通所介護を利用するには、医師からの認知症の診断が必要です。上記3種類のほかにも療養通所介護・地域密着通所介護があるので、利用者の状態に応じて上手に活用しましょう。
宿泊型
宿泊型には、短期入所生活介護・短期入所療養介護の2種類があります。それぞれの特徴と利用条件を紹介します。
短期入所生活介護 | 短期入所療養介護 | |
利用条件 | 要介護1〜5、要支援1~2の方 | 要介護1〜5、要支援1~2の方 |
サービスの特徴 | 数日から1週間程度の施設にて生活に宿泊してもらい、日常生活支援・生活機能向上に向けた支援を行う。 | 介護老人保健施設や療養病床を持つ病院などの医療施設に短期間宿泊し。医療ケアや介護を提供する。 |
訪問・通所・宿泊一体型
訪問・通所・宿泊一体型には、小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護の2種類があります。それぞれの特徴と利用条件を以下にまとめたので、参考にしてください。
小規模多機能型居宅介護 | 看護小規模多機能型居宅介護 | |
利用条件 | 要介護1〜5、要支援1~2の方 | 要介護1〜5の方 |
サービスの特徴 | 施設へ入所して通所・宿泊・訪問の3つのサービスから希望に応じて選べる。 日常生活費(食費・滞在費・理美容代など)は別途負担 |
小規模多機能型居宅介護に、訪問看護護を組み合わせたサービス。
医療サービスの必要性が高い利用者が対象。 |
上記どちらの場合も、利用中には居宅療養管理指導・訪問リハビリテーション・福祉用具以外のサービスを利用できない点に注意が必要です。
自分に合った介護施設を手軽に探したい方は、ケアスル介護がおすすめです。
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予算・要介護度など様々な条件をもとに介護施設探しが可能ですので、施設探しに失敗したくない方はケアスル介護で相談してみてはいかがでしょうか。
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要介護認定を受けるまでの流れ
介護サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。
ここで、要介護認定を受けるまでの流れを順を追って説明していきます。
1.市区町村窓口にて要介護認定の申請を行う
介護サービスを利用するためには、要介護認定の申請が必要です。
本人が住んでいる市区町村の窓口または地域包括支援センターにて申請を受け付けています。申請自体は無料で行えますが、申請には申請書と介護保険被保険証が必要です。
40〜64歳の方は、健康保険証が必要なので忘れずに持参しましょう。
2.認定調査を受ける
市区町村等の調査員が自宅や施設などに訪問し、認定のために利用者本人の現状を確認します。
主治医意見書が必要となりますが、市町村が依頼してくれるので心配はいりません。主治医がいない場合には、市区町村指定医の診察を受ける必要があります。
3.審査
審査には、一次判定と二次判定があります。一次判定は、調査員の情報と主治医意見書の一部の項目をコンピューターに入力して行われるものです。
一次判定の結果と主治医意見書をもとに介護認定審査会が二次審査を行い、要介護度が決定します。
4.要介護認定認定の結果を受けとる
審査の結果通知は、申請から原則30日以内に届きます。要介護認定は、要支援1~2 、要介護1~5、非該当の7段階に分かれています。
要支援1~2の方は、地域包括支援センターにて今後について相談をしましょう。
要介護1~5の方は、担当のケアマネジャーに相談をするとよいです。ケアプランを作成してもらったら、介護サービスを利用できます。
まるめとは介護施設入所に影響がある可能性もある
まるめとは、介護施設の介護サービス費が、あるいは介護サービス費と医療費が月額包括報酬であることを指します。
例えば介護サービス費と医療費がまるめとなる老健の場合、実際に利用者のためにかかった医療費だとしても、介護報酬で決められた上限までしか請求ができないため、医療ケアが必要な利用者を抱えてしまうと施設側が経営を続けるのが難しくなる可能性があります。
そのため、まるめを適用する介護施設では医療費がかさむ方を受け入れないケースがあるのです。
ただし、まるめの老人保健施設ではあっても「医療保険」から算定できる項目もあります。詳しくは施設にご確認ください。
ただ、すべての介護施設がまるめの影響を受けるわけではないので、今回紹介した施設の選び方をもとに本人も家族も安心できる施設を見つけましょう。
まるめに関するQ&A
Q.介護におけるまるめとは何ですか?
A.まるめとは、介護施設の介護サービス費が、あるいは介護サービス費と医療費が月額包括報酬であることを指します。例えば老人保健施設なら、利用者にかかる医療費は請求できる上限額金額があらかじめ設定されており、「医療保険」から算定できる項目以外の一定額を超えた分は施設側が負担する仕組みです。
Q.まるめを理由に施設へ入所できないケースはあるのですか?
A.まるめが原因となり、施設入所ができないケースもあります。受け入れが拒否されるのは、薬価の高い薬を飲んでいる、多くの治療が必要になるなど医療費が特にかさむ方が多いとされています。