• 認知症
  • 【公開日】2022-10-17
  • 【更新日】2025-02-25

回想法とは?認知症に期待できる3つの効果と実践方法について徹底解説

回想法とは?認知症に期待できる3つの効果と実践方法について徹底解説

「回想法ってなに?」「回想法はどうやってやるの?」このような疑問を持っていませんか?

回想法は、認知症の方が自分の過去や思い出を人に話すと認知機能の改善や精神状態が安定する効果を期待できるものです。

本記事では、以下の点を中心にお伝えします。

  • 回想法の内容と効果
  • 回想法の実践方法
  • 手軽にできる認知症に効果的なリハビリ

回想法の実践方法や認知症に効果的なリハビリについて学び、注意点を踏まえて実践してみましょう。

東京都健康長寿医療センター 脳神経内科 部長
監修岩田 淳
所有資格:総合内科専門医,日本内科学会認定医,日本神経学会認定神経内科専門医・指導医.日本脳卒中学会認定脳卒中専門医・指導医,日本認知症学会専門医・指導医
専門分野:脳神経内科
職業: 医師
出身組織: 東京大学大学院医学系研究科

東京大学医学部附属病院神経内科の専門外来「メモリークリニック」にてアルツハイマー病(AD)やレビー小体病、前頭側頭葉型萎縮症等の疾患の診断、治療に従事。早期段階のAD、レビー小体型認知症の診療が専門。2020年4年より東京都健康長寿医療センターの脳神経内科部長として赴任。詳しくはこちら

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回想法とは?

回想法は、認知症に効果的な心理療法です。高齢者の過去への回想は、現実からの逃避だと否定的に捉えられていました。しかし、1960年代にアメリカの精神科医のロバート・バトラー氏により「高齢者の回想は、死が近づいてくることにより自然に起こる心理的な過程である。また、過去の未解決の課題を再度とらえ直す役割もある。」と提唱されました。

認知症は記憶障害により新しい物事は忘れてしまいますが、古い記憶は比較的保たれるとされており、認知症の方が自分の過去や思い出を人に話すと認知機能低下の抑制や精神状態が安定する効果が期待できるとされています。そのため、認知症に対する非薬物療法としてレクリエーションの一環で回想法を取り入れている介護施設もあるようです。

 

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回想法の効果

回想法により期待できる具体的な効果は以下の通りです。

  • 気持ちが落ち着いて安心する
  • コミュニケーションの改善
  • 認知症の記憶障害の改善

具体的な効果の内容を解説していきます。

気持ちが落ち着いて安心する

認知症になると、以前のように周囲の方と意思疎通が図れなくなるケースもあり、孤独感や喪失感を抱えてしまいます。しかし、他人に自分の話を聞いてもらうことで孤独感などが薄れて心が安らぐといわれています。自分を再認識できて不安も軽減され、認知機能にもよい影響を与えるでしょう。

コミュニケーションの改善

認知症によって意欲や関心が低下してしまうと引き込もりがちになり、周囲の方との交流も減ってしまいます。しかし回想法によって他者と交流する機会を持てば、認知機能が刺激されたり、他人との関わりの中で温かさや安心感を感じたりできます。したがって、人との関わりにも前向きになり意欲も取り戻せるでしょう。

認知症の記憶障害の改善

認知症の中核症状には、夕食を食べた記憶を忘れる・最近の出来事を忘れるといった記憶障害があります。国立長寿医療研究センターでは、回想法を行った認知症の高齢者において認知機能および記憶障害の改善がみられました。この結果により回想法は、記憶障害の改善に有効だといえるでしょう。

回想法の種類

回想法には、以下の2種類があります。

  • 個人回想法
  • グループ回想法

それぞれの特徴を中心にご紹介します。

個人回想法

1対1で行い、相手の話をじっくりと傾聴できる手法です。生活の場で行えるため、プライベートな思い出を掘り下げられます。大勢の前で話すのが苦手な方に回想法を取り入れる際に有効です。他人だけでなく家族との日常会話の中で過去の思い出話をするのも、回想法にあたります。話すテーマは、地元の出身地の特産品や名所・仕事の内容など話しやすいものの話しやすいテーマにするとよいでしょう。その際、昔の写真や映像を使用するとより会話が弾んでよいかもしれません。

グループ回想法

6~8人の複数人で行ない、参加者同士で交流しながら進めていきます。複数人の話を聞けるために、自分自身の回想を深める効果も期待できます。複数人で実施するため、初めて見たテレビ番組・好きな手料理・学生時代に好きだった教科など、全員が楽しく話せる共通性のあるテーマを選びましょう。

なお、参加者が話したくないと感じるようなテーマは避ける必要があります。また、孤立しがちな方の社会性を取り戻す効果も期待できますが、参加者同士の相性には注意が必要です。

回想法の実践方法

回想法を効果的に実践するには、事前準備が大切です。参加者のプライバシーにもかかわるため、聞き手は事前に参加者の情報を把握しておきましょう。

事前準備

回想法を行うにあたって、以下の準備をしましょう。

  • 対象者が人と話すコミュニケーション能力があるか確認する
  • 個人情報・触れられたくない話題を確認する
  • 対象者が個人回想法とグループ回想法のどちらに適しているのか見極める
  • グループ形式の場合、参加者同士で情報を共有してよいか参加者・家族に確認する
  • 視覚や聴覚などの五感を刺激して記憶を思い出せるような写真・生活用品・季節の花・地域の特産品などを用意する

回想法で使用する写真などは、あらかじめ部屋の中の見える位置に置いておくなどといった下準備も大切です。なお、重度の認知症の方・過去に辛い経験をされた方などの回想法の実施は見送りましょう。

テーマを決める

回想法を行う参加者が気軽に話せるテーマを選びましょう。対象者の性別・世代・居住地域を念頭に置いてテーマを決めると、より効果的に行えます。

例えば、男性の場合は野球・大相撲などのスポーツや囲碁・自動車などの趣味に関するテーマがよいです。女性の場合は料理・昔流行したファッションなどがよいでしょう。なお、回想法は楽しく話すのが大切であるため、戦争・政治・思想に関連するテーマは避けましょう。

実践例

具体的な実践例をご紹介します。

個人回想法で写真を使用する場合

対象者が家族と映っている写真や風景が映っている写真をもとに、対象者が話し始めた内容を傾聴し、聞き手が写真について質問して回想を促します。時には対象者が事実と異なる内容を話す場合もありますが、否定はせずに傾聴しましょう。

グループ回想法で玩具を使用する場合

参加者の年代に馴染みのある玩具を用意し、手に取ってもらいます。玩具の名前・遊び方・まつわる思い出などを聞き手が質問しつつ、回想を促します。

参加者は複数人いるため、間違った使い方をした参加者がいた場合、非難につながらないように話題を切り替えるなどといった、その場に応じた配慮が必要です。

 

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実施にあたっての注意点

回想法を実施するにあたって4つの注意点があります。

  • 高齢者に対する決めつけをしない
  • 話すことを無理強い・訂正しない
  • あいまいな質問をしない
  • 守秘義務を守る

以上の注意点を詳しく解説していきます。

高齢者に対する決めつけをしない

聞き手側が思い込みや偏見を持っていないか見つめ直す必要があります。テーマ選びや対象者が話している内容に対して質問をする際に、安易な思い込みで発信をしてしまうと聞き手への不信感につながります。回想法を効果的に行うためには多様性に配慮し、個人それぞれの歴史や個性に寄り添いましょう。

話すことを無理強い・訂正しない

話すのが好きな方もいますが、あまり好きではない方もいます。回想法は楽しく気軽に話すのが目的であるため、対象者があまり話したがらないときや内容によって口数が減ったときは意思を尊重しましょう。

また、認知症の方が話す内容を否定したり訂正したりしてはいけません。話す内容がその都度変わる場合もありますが、回想法は思い出を正しく話す目的ではなく安心感を抱いて会話を楽しんだり自尊心を高めたりする目的で行なわれます。対象者の尊厳を守れるように意識しましょう。

あいまいな質問をしない

あいまいな質問をしてしまうと対象に内容が伝わりづらく、話題が膨らみません。複数人で行う場合はすべての参加者に伝わるように、具体的な質問をしましょう。

例えば「子の頃の思い出話を聞かせてください」といった質問だと、選択肢が多く何を話せばよいかわかりづらいですが、「子どもの頃に好きだったスポーツは何ですか?」であれば話しやすいでしょう。

守秘義務を守る

普段の会話では触れないような、ネガティブな内容にも触れる場合があります。そのため、回想法を実施した場で知り得た情報を口外してはいけません。特にグループ回想法の場合は、周囲へ漏れ伝わらないように細心の注意が必要です。

回想法を学べる資格・研修は?

回想法を効果的に行なうには、正しい知識が必要です。回想法について詳しく学べる資格や研修はいくつかあります。

心療回想士

心療回想士は愚痴は認知症の原因のひとつと考え、楽しいおしゃべりを実践するためのルールが学べます。心療回想療法は、食事や排泄など日常生活を送る中で基本的な行動を忘れないようにするのが目的です。

あらかじめ決められている内容を聞き手である心療回想士がインタビューし、対象者が答える形式で心の交流を深めます。心療回想士は通信講座で学ぶことが可能です。まずは、心療回想士5級の取得を目指しましょう。4級以上へは、学会本部もしくは支部が主催するセミナーや研究会への参加によるスーパーバイズタイムの累積が必要になります。

認知症ライフパートナー

認知症ライフパートナーは、認知症の方に対しそれぞれの生き方や価値観を尊重しながら、日常生活をサポートする方です。

認知症に関する知識やコミュニケーションの取り方、適切なサポート方法を身に付けられます。認知症ライフパートナーの3級・2級は誰でも受験が可能ですが、1級は2級合格者のみが受験できます。

パーミングセラピスト

パーミングとは回想療法の1つで、会話機能がやや低下してしまった方の手のひらを使ったコミュニケーション技術です。手浴マッサージに見えますが、手と手のぬくもりを感じながら時間をかけて会話をする点に違いがあります。

パーミングセラピストの資格を取得するには、通信講座にてDVDの視聴やレポートの提出が必要です。

認知症に効果的なリハビリ

手軽に行える認知症に効果的なリハビリは主に6つあります。

  • 作業療法
  • 音楽療法
  • 園芸療法
  • ストレッチ
  • コグニサイズ
  • リアリティ・オリエンテーション

1つずつ、順番に説明していきます。

作業療法

調理や趣味など日常生活で行う動作を通し手先を動かすリハビリで、認知機能や心身機能の維持・回復を期待できます。今までの生活で習慣的に行ってきた馴染みのある行為であるため、ストレスもなく継続できます。

例えば、料理を日頃から行っていた方であれば、調理器具を使用すると作業の思い出や喜びを感じながらリハビリができるでしょう。回想法のような効果はもちろん、作ったものなどの成果も目に見えてわかりやすいため、達成感の獲得や自己肯定感の向上も期待できます。

音楽療法

音楽を通して行なうリハビリであり、受動的音楽療法と能動的音楽療法の2種類があります。受動的音楽療法は音楽を聴く方法で、発語がしづらい・身体が動かしづらいなど心身の障害がある方の認知症症状の改善が期待できるものです。

能動的音楽療法は歌を歌ったり楽器を演奏したりすることで脳が刺激され、認知症の症状の改善が期待できます。

音楽療法において昔聴いていた曲を聴いたり歌ったりする行為は回想法にもつながり、ストレスもかからず複数人で楽しめるでしょう。

園芸療法

植物の世話など園芸作業を通して行うリハビリです。園芸作業では立つ・座る・草花に水をやる・土をいじるなどの動作が必要であり、運動機能の維持・向上が期待できます。さらには花が咲いた・野菜が収穫できたなどの達成感も感じられ、精神面においてもよい効果を期待できます。

ストレッチ

認知症の方は意欲・関心の低下により、活動量が少なくなる傾向にあります。これにより、昼夜逆転が起こりやすく、夜間せん妄・徘徊につながる恐れがあります。

予防のためには、日中にストレッチやラジオ体操で身体を動かすのがよいです。体力を維持・向上させ不規則な生活を防ぐ効果が期待できます。ストレッチにはさまざまな種類があるため、身体の痛みがある部分を考慮して本人に適したストレッチを選択しましょう。

コグニサイズ

認知(Cognition)と運動(Exercise)を組み合わせた造語で、運動と同時に計算などを行うトレーニングです。運動の種類によって、コグニステップ・コグニダンス・コグニウォーキングなどがあります。

筋力の強化や身体機能の維持、脳の動きを活性化させる効果を期待できます。

リアリティ・オリエンテーション

「今が何月何日かわからない」「ここがどこなのかわからない」といった認知症の中核症状である、見当識障害に効果的とされるトレーニングです。

「クラスルームリアリティ・オリエンテーション」と「24時間リアリティ・オリエンテーション」の2種類があります。

クラスルームリアリティ・オリエンテーションはスタッフの進行のもと、少人数で名前・日時・場所などを確認します。24時間リアリティ・オリエンテーションは、日にち・時間・季節などの現在の状況を日常生活の会話に取り入れる方法です。

見当識障害による不安を軽減させ、混乱や不安を和らげる効果が期待できるでしょう。

そのほか認知症リハビリについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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回想法は安心を取り戻す心理療法

回想法は、それぞれの個性に合わせた方法で実践できます。自分の思い出を人に聞いてもらうと孤独感や喪失感を和らげられて精神が安定し、認知症に対しても効果が期待できるでしょう。

ただ、複数人で行う際には、無理強いをしない・守秘義務を守るなど注意点を押さえた実践が大切です。認知症に効果的なリハビリも併せて行い、予防・改善に役立てましょう。

回想法に関するよくある質問

Q.回想法とは何ですか?

A.回想法とは認知症に効果的な心理療法です。自分の過去や思い出を人に話すと、認知機能や精神が安定する効果が期待できます。

Q.回想法はどのようなテーマで行うとよいですか?

A.グループ回想法の場合は共感しやすい共通性の話題・個人回想法の場合はじっくり深く掘り下げられる話題が適しています。

そのほか認知症についてやに脳の活性化につながる脳トレについてについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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