「親をそろそろ老人ホームに入れたいけれど、収入が少ないからお金がかからない出来れば無料の老人ホームに入居したい」という方はいらっしゃいませんか?
低所得者が無料で入れる老人ホームはある?
厳密にいえば「無料の老人ホーム」は存在しません。しかし低所得者の方でも入れる老人ホームはあります。
ケアハウスや特別養護老人ホーム(特養)といった公的な施設であれば、比較的お金がかからず、低所得者の方でも入居を検討することができます。
また、立地や築年数といった希望条件を緩和してみることによって、低所得者の方でも自らの所得内で入れる老人ホームが見つかるかもしれません。
低所得者が入れる老人ホームの種類
この章では、比較的低所得者が入りやすい老人ホームである、ケアハウス、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)に焦点を当てて解説していきます。
低所得者が入れる老人ホーム・介護施設①:ケアハウス
ケアハウスは、家庭での生活が困難な高齢者に対し、日常生活のサポートを行うことを目的とした施設です。
ケアハウスには、自立型と介護型の2つのタイプがあります。
自立型のケアハウスは、60歳以上で自立した生活ができない方を入居対象とし、食事などの生活支援や緊急時の対応といったサービスを提供しています。
一方、介護型のケアハウスは、65歳以上で要介護1~5の認定を受けている方を入居対象とし、食事などの生活支援に加え、介護サービスを提供しています。
費用については、入居一時金が約30万円、月額費用は12~13万円ほどが全国平均となっています。
低所得者が入れる老人ホーム・介護施設②:特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、入浴・排泄・食事などの介護や療養上のケアを行うことを目的とした施設です。
入居対象は原則要介護3~5の認定を受けている高齢者の方であり、介護サービスや日常生活の支援サービスの提供をはじめ、看取りにも対応しています。
費用に関しては、入居一時金が発生しないのが特徴で、月額費用は5~15万円が相場となっています。
低所得者の方が特養に入居する場合の費用ですが、特定入所者介護サービス費という制度を利用することによって、居住費と食費を軽減することが可能です。
都合上、低所得者の方を生活保護受給者の方とすると、相部屋形式の多床室に入居する場合、食費の自己負担額は1日300円、居住費の自己負担額は0円に抑えることができ、1か月あたり9,000円にまで軽減することが可能です。
低所得者が入れる老人ホーム・介護施設③:介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、病状が安定した高齢者の方の在宅復帰を目指すことを目的とした施設です。
要介護1~5の認定を受けている方を対象に、生活援助や医療ケア、身体介護、機能訓練といったサービスを提供しています。
費用については、特養と同じく入居一時金は発生せず、月額費用は8~14万円が相場となっています。
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低所得者でも入れる老人ホームの費用
公的施設は民間の施設よりも比較的お金がかからず、低所得者でも入居しやすくなっています。実際に入居にかかる費用の目安は以下の通りです。
老人ホームの種類 | 初期費用 | 月額費用 | |
公的施設 | 特養 | 0円 | 10〜20万円 |
養護老人ホーム | 0円 | 0~14万円 | |
老健 | 0円 | 7〜21万円 | |
介護医療院 | 0円 | 8〜22万円 | |
ケアハウス | 一般:0~30万円 介護:0〜1千万円 |
一般:0~30万円 介護:0〜1千万円 |
|
民間施設 | 介護付き有料老人ホーム | 0〜数千万円 | 12〜40万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0〜数千万円 | 12〜40万円 | |
グループホーム | 0〜数千万円 | 15〜40万円 | |
シニア向け分譲マンション | 数千万~数億円 | 10〜40万円 | |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0~数百万円 | 10〜40万円 |
表を見てもらうと、公的施設の初期費用は基本0円です。月額費用は14万以下が目安と、安く抑えられています。
対して民間施設は、初期費用は0〜数千万円と幅があり、月額費用も40万という施設があるなど、一定の費用を支払う必要性があります。このように公的施設の方が全体的にリーズナブルに費用を抑え、安く利用ができます。また、公的施設の場合、生活保護の方や年金のみの収入の方も老人ホームに入所できる可能性があります。
しかしながら、上記の月額費用にプラス医療費や日用品を買うお金も発生してきます。自分や家族が出せる予算と向き合いましょう。
低所得者でも入れる老人ホームの探し方
お金のかからない老人ホームの探し方は以下の6つです。
- 公的機関が運営している老人ホーム
- 立地の悪い老人ホーム
- 築年数が古い老人ホーム
- 空室の多い老人ホーム
- 多床室(相部屋)のある老人ホーム
- 入居一時金を一括で払える老人ホーム
それぞれの方法について具体的に解説していきます。
①公的機関が運営している老人ホーム
お金がかからない老人ホームの特徴としてまず第一に挙げられるのは地方自治体や社会福祉法人、またはそれぞれの機関から認可を受けた法人が運営している老人ホームと言えるでしょう。
具体的には、要介護3以上の方を入所条件としている特別養護老人ホーム、要介護1以上でリハビリを行いながら在宅復帰を目指す介護老人保健施設、そして常時医療ケアを必要としている要介護1以上の方が入所する介護医療院があります。また、軽費老人ホーム(ケアハウス)は自立している高齢者に対して安い費用で日常生活介助、食事の提供から見守りサービスまで提供しています。
例えば、要介護3以上で食事や排せつ、入浴などの日常生活介助が必要な場合は特別養護老人ホームへの入所などが考えられるでしょう。
したがって費用が安い老人ホームを探している場合はまずお近くの地域包括支援センターに行き、空きのある公的機関について問い合わせてみましょう。
②立地の悪い老人ホーム
お金がかからない老人ホームの2つ目の特徴は、立地の悪い老人ホームです。
理由は、老人ホームも一般的な不動産賃貸住宅と同じように立地が良い老人ホームほど土地が高いので家賃も高くなる傾向にあり、逆に駅から遠かったり地方にある老人ホームは土地も安いので家賃が低い傾向にあります。
例えば、現在都市部に住んでいて地方に移住しても良いという場合は、地方でかつ駅から遠かったりターミナル駅から少し外れている駅で老人ホームを探してみて費用を安く済ませるという方法もあります。
以上より、費用の安い老人ホームを探す場合はあえて立地の悪い老人ホームを探すというのも一つの方法と言えるでしょう。
③築年数が古い老人ホーム
お金がかからない老人ホームの3つ目の特徴は築年数が古い老人ホームです。
立地と同様に築年数が古い老人ホームは一般的な不動産賃貸住宅と同じように家賃や管理費・共益費が安くなっているケースもあるので狙い目であると言えるでしょう。
ただし、築年数が古くバリアフリー化が部分的にされていない場合や、入浴施設などが古くなっている場合は入居後に後悔する可能性もあるので見学時に必ず設備の劣化状況を確認しておきましょう。
したがって、立地と同様に築年数が古い老人ホームは費用が安い老人ホームと言えるでしょう。
④空室の多い老人ホーム
お金がかからない老人ホームの4つ目の特徴は、空室の多い老人ホームです。
というのも、例え駅から近く築年数が新しくとも老人ホームの価値は経営理念と介護スタッフの質にかかわってきていると言っても過言ではありません。そこで介護スタッフの教育が行き届かなかったり集客がうまくいっていない場合は空室が多くなります。
空室が多い老人ホームの運営者からすると空室を埋めるために多少の費用を安くしている場合もあるので、空室が多い老人ホームは費用の値引きに対応してくれることもあります。
したがって、費用が安い老人ホームを探す場合はケアスル介護などの老人ホームのポータルサイトにて空室が目立っている老人ホームにあたりをつけてさがしてみましょう。
⑤多床室(相部屋)のある老人ホーム
お金がかからない老人ホームの5つ目の特徴は多床室(相部屋)のある老人ホームです。
老人ホームの家賃は公的施設であれ民間施設であれ、居室のタイプが個室か多床室かによって費用は大きく変わります。というのも、多床室の場合は一部屋を4人で使っている他、介護スタッフが効率よく生活介助が出来るので人件費も削減できる傾向にあります。
例えば、特別養護老人ホームの場合も多床室の場合の1カ月間の家賃※は2万5,650円ですが、個室の場合の家賃は3万5,130円と若干高くなっています。※負担限度額認定で軽減されない場合の費用
したがって、毎月の家賃を少なくするためにも費用の安い老人ホームを探す場合は多床室のある老人ホームを探すようにしましょう。
⑥入居一時金を一括で払える老人ホーム
お金がかからない老人ホームの6つ目の特徴は、入居一時金を一括で払える老人ホームです。
入居一時金とは、入居時に支払う家賃の前払い金で支払った入居一時金は毎月の家賃に充足(償却)されていきます。老人ホームによって、何年間で償却が完了するか(償却期間)が異なるのが特徴です。
入居一時金は家賃の前払いとして支払う費用なので、入居一時金が0円の場合は毎月の費用が逆に高くなっていることに注意しましょう。例えば、以下のグラフは入居一時金500万円、月額費用25万円の施設の支払額と入居一時金0円、月額費用35万円の施設の支払額を比較したグラフです。
グラフを見るとわかるように、最初は入居一時金を支払ったほうが総額は高くなっていますが、5年目を境にトータルのコストは毎月費用を払う方に逆転しています。したがって、入居一時金の支払額と月額費用が逆転するポイントを見極めて、それ以上入居する可能性が高い場合は入居一時金を払える施設に入居しましょう。
老人ホームの費用を払えなくなってしまった場合、どのようにするのかについても気になる方は、こちらの記事もご覧ください。

予算内に収まる老人ホームが知りたいという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護は、約5万件の施設情報を掲載しているため幅広い選択肢から検討することが可能です。
「施設選びで失敗したくない」という方は、ご気軽に活用ください。
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低所得者でも入れる老人ホームに入居する流れ
最後に、老人ホームに入る際の流れについて簡単に解説していきます。
ケアマネージャーや相談員に相談する
まずは、低所得者でも入れる施設を探すために、担当のケアマネージャーや相談員に相談しましょう。特に、入居者のことをよく知っているケアマネージャーだと、本人の条件や雰囲気に合った施設を紹介してくれる可能性が高いため、必ず一度は相談しておくとよいでしょう。
ケアマネージャーや相談員に今の収入・所得を伝えたうえで、施設に求める条件(設備やサービスなど)を話しあい、予算内で入れる施設を複数探してもらいます。
なお、条件に合った施設が見つからない場合もあるので、妥協できる条件も明確にしておけるとよいでしょう。
見学・体験入居
良い条件の施設が見つかり、資料を取り寄せたうえで良さそうであれば、実際に見学・体験入居へと進みます。
見学は必ずしも入居者でなく、子供や親族が行ってもよいでしょう。施設の雰囲気やスタッフの対応、食事などを見ておきます。
見学した結果良さそうであれば、体験入居へと進みます。実際に入居してから「やっぱりやめたい」となっては費用が無駄になってしまいますし、何より施設を探しなおす手間も面倒です。
そのため、一度雰囲気をつかんでもらうためにも体験入居をしてもらうようにしましょう。
申し込み・審査
体験入居後、本人が入居したいとなった場合は、いよいよ申し込みをして審査を受けることになります。
審査のタイミングでは、所得や保証人の有無などといった情報だけでなく、「ほかの入居者とトラブルを起こさなさそうか」といった人柄的な要素も考慮されます。
審査に通れば、いよいよ入居へと進みます。
まとめ|低所得者が入れる老人ホームを探そう
ここまで低所得者が入れる老人ホームについて解説してきましたが、いかがでしょうか。
老人ホームには公的施設と民間施設がありますが、家の近くに公的施設が無い場合や公的施設でも費用が高いと感じた場合は民間の安い施設を探すのも一つの手です。
お金がかからない老人ホームを探している場合は上述した軽減制度なども利用しながら費用を安く済ませるように工夫してみましょう。