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  • 【公開日】2024-04-08
  • 【更新日】2024-04-08

社会福祉って何? ~“我が事”で考えてみよう~

社会福祉って何? ~“我が事”で考えてみよう~
みなさんは、「社会福祉」という言葉を聞いて、何かイメージが浮かぶでしょうか?「社会福祉」という言葉は千差万別に捉えられ、なかなか一言で言い表すことは難しいのが本当のところだと思います。
そこでここでは、みなさんが自分なりの「社会福祉とは」というイメージを膨らますことができるように、社会福祉についてまずは“我が事”として考えてみるきっかけとなることを目標に紹介していきたいと思います。
橋本 拓 助教
日本文理大学 経営経済学部 経営経済学科(こども・福祉マネジメントコース)
社会福祉士 介護支援専門員
日本地域福祉学会 日本ケアマネジメント学会
社会福祉協議会、障がい者福祉施設、医療機関、介護保険事業所においてソーシャルワーク・ケアマネジメント業務に従事後、現職。
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「社会福祉」って何?

私が日ごろ社会福祉について伝える際に、はじめは多くの方が「社会福祉とは何か」という問いかけに対して、「考えたことがない」、「よくわからない」というようにほとんど意識したことがないようです。多くの方が「言葉が難しい」、「理解できるか不安」といった印象を持っています。

また、ある特定の対象者、例えば、高齢者や障がい者などの生活を支援すること、児童や母子等の日常生活上で何かしらの理由によって困っている人が利用する公的な制度やサービス、病院や施設、老人ホームといったイメージが多くあります。このように、ある特定の対象者を支援するというイメージが多くある一方で、国民全体の抱える問題を解決し、健康で幸せに暮らせるようにしていく取り組みのことというイメージも多いです。特定の一部の人を社会が救済していくことだと考える人が少なくないようです。

いずれにしても、そのイメージは、どこか「他人事」で漠然としたものであることがうかがえます。そして、そのようなある特定の困っている人を助けることは「大変」という印象を持っていることも多くあります。

そして、その救済するための資金は、特定の善意の人々が困っている人を助けるための寄付金募金活動でまかなわれているものと考えられていることも多いようです。しかし、実際は誰もが生まれた時(お腹の中にいる時)からこれまでのライフステージの中で様々な「社会福祉」と関わり、支えられながら生きているのが現実です。「社会福祉」とは特定の誰か、いわゆる「他人事」ではなく、「我が事」でもあるのです。

自分自身、周りの友達や家族、地域で暮らす人々など誰もが「社会福祉」を必要とする場面があり、実際に関わりながら生きているものです。たしかに、日本の社会福祉の歴史を振り返ってみると、終戦後、本格的に社会福祉を整備し充実を図り始めた当初は、社会福祉の対象は「正常な生活から脱落背離した者」とされ、具体的には病人、貧困者、非行を犯した人を公費により正常な生活に戻れるよう援助していくことでした。

当時は、社会福祉とは一部の人々のために限られたものだったと言えます。しかし、現代は社会、経済が高度に発達し、国際的に影響しあう時代になり、他国の情勢がたちまち世界に普及し、影響を及ぼします。社会の変化が激しいため、病気、失業、孤独、虐待、貧困など、生活を脅かす様々な問題が発生しています。社会福祉とは無縁と思っていた人の立場や環境はいつ逆転するかわかりません。私たちが生活していく上で自力では解決が難しい問題が生じた時に、支え合い、協力して解決にあたる社会的な制度を「社会福祉」と言います。

具体的に言いかえれば、「社会福祉」とは、より幸せな生活を目指すうえで問題となっていることを解決するための制度、施策、そのために用いられる技術のことを言い、対象は、地域社会で暮らすすべての人(私たち全員)なのです。

社会福祉法第4条には、「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない」と示されています。

要約すると、地域住民(=つまり、みなさんお一人おひとりを含むすべての人)は、地域の福祉の推進に努めてくださいね!と法律で規定されているのです。また、現在は国の方針として“我が事”“丸ごと”をキーワードに、全員参加・協力での「地域共生社会の実現」がめざされています。

このようにみていくと、私たちが「社会福祉って何?」と考えるにあたっては、まずは一人ひとりが、社会福祉を“我が事”として考えてみることがスタートとなりそうです。

「社会福祉」とは、誰もが身近に存在する“我が事”として意識し、地域で暮らす一人ひとりが広い視野に立ち、自らの考えをしっかり持ち、それを相互に尊重し多様性を認め合い地域社会へ積極的に参加する中で、「地域共生社会の実現」にも繋がっていくのではないでしょうか。

【参考文献】

  • 「地域共生社会」の実現に向けて|厚生労働省 (mhlw.go.jp) (2024年4月3日閲覧)
  • 一瀬早百合著『社会福祉とわたしたち』(2022),萌文書林
  • 公益財団法人児童育成協会 監修 松原康雄・圷洋一・金子充 編集『新基本保育シリーズ4 社会福祉 第2版』(2023),中央法規
  • 橋本拓「保育を学ぶ学生の「社会福祉」に対するイメージ変容に関する研究 ―社会福祉概論の講義受講前後の比較から―」(2024),福岡こども短期大学研究紀要第35号59-67
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