• 介護施設
  • 【公開日】2024-04-04
  • 【更新日】2024-04-10

人材不足解消と質の高いサービスの提供について

人材不足解消と質の高いサービスの提供について
介護現場が抱える課題は様々です.今回は、「人手不足の解消と質の高い介護サービスを提供するには」という観点で解説します。
大工谷 新一 学科長・教授
北陸大学 医療保健学部 理学療法学科 博士(スポーツ科学)
理学療法士,日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー/教員
1991年に京都大学医療技術短期大学部理学療法学科を卒業後,一般病院と専門学校に勤務したのち,一般病院のリハビリテーション部長および病院併設健康増進施設のセンター長として従事.その後,介護事業運営会社の取締役,医療系ファンド会社の部長,公益法人の専務理事に従事したのちに,2021年から現職.
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【介護とは】

介護保険法第一条の記載から,介護とは,介護が必要となった方々の能力に合わせたサービスを提供し,自立した生活を送ることができるように援助することと言えます.要するに,介護は,ただ単にお世話や支援をすることではなく,対象者の尊厳ある自立した生活のための個別支援(自立支援)です.

自立支援には,要介護度に関わらず,心身機能,できることや普段からできていること,社会的な役割とその遂行能力,これらの維持・改善が含まれます.これは,不自由ながらもすべて自分でなんとかするということではなく,介護サービスを利用することでも要介護者の「できること」が増えます.これは日常生活の中に選択肢が生まれることを意味します.生活の中に選択肢があるということこそが個人の尊厳,高いQOL(Quality of Life)の源となります.要するに,介護においては,必要な介護を必要な量だけ適切に提供し,できることはなるべく自分でするという考えが大切です.

【介護に関する社会的課題】

何よりもまず介護人材の不足が課題となっています.人材不足は,要介護者・家族,介護職の双方の視点から重要な問題です.

要介護者・家族にとっては,人材不足による介護の質の低下が直接的な不利益となります.人材不足は,介護現場で働く際の障壁が低くなることを意味し,介護の安全と安心の低下に直結しかねません.介護職にとっては,公定価格(介護報酬)による労働環境のため「人材不足=待遇向上」という一般的な市場論理が作用しにくく,待遇改善に直結しません.これは,介護現場から人材が流出する一因にもなっています.

介護の安全,安心を向上させる,介護職の待遇や職場環境を改善するためには,介護業務の効率化や労働生産性の向上が重要となります.これには,科学技術の応用,活用が期待されます.

【介護とテクノロジー】

筆者らは科学技術を用いた運動の提案や将来の動作予測,転倒傾向の感知など,介護状態の改善や介護予防の取り組みを試みてきました.AIにより適切な個別機能訓練が提案できると,効果的で安全な機能訓練を誰でもどこでも享受できます.テクノロジーで自分自身の遠くない将来の動き方を見たり,転倒のリスクが感知できたりすれば,機能改善のモチベーションにつながるかもしれません.

また,北陸大学では,健康社会の実現に向けて様々な機器を社会に実装するべく,新たな機器や技術を実証することを目的とした活動もしています.なかでも,介護ロボットの安全性の評価と普及は,介護現場における人材不足対策や安全・安心の向上,労働環境の改善に直接的に関連するものと考えています.

【良い介護とは】

介護の効率化,生産性の向上により,介護職の身体的・精神的負荷や休暇の取りやすさなどの労働環境の改善によって,介護職の他職種への流出が減るかもしれません.また,資格を有しているがその仕事に携わっていない,いわゆる「休眠資格者」の復職へのきっかけとなるかもしれません.

さらに,介護は単なる「お世話」ではなく,様々な多職種とともに要介護者の健康(ウェルビーイング),生活機能を高め,自立を支援していく仕事であるということが広く認識されると,介護職に高い自己効力感が生まれ,今よりもさらに高い志を持った仲間が増えていくかもしれません.

良い介護サービスを選択する場合,サービス提供者が介護という労働現場をどのように考えているか,最も重要な介護資源としての介護職員の自己効力感働きがいどのように考えているかを見極めていくことも重要な要素の1つと考えています.

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