「特養に入所すると福祉用具のレンタルができないって聞いたけれども、本当だろうか?」
特養(特別養護老人ホーム)は要介護3以上の方を受け入れている公的な介護保険施設であり、在宅での生活が難しくなった要介護の高齢者を受け入れている施設です。
民営の有料老人ホームと比べて費用負担が低いことから人気の高い特養ですが、「特養に入所すると福祉用具がレンタルできない」という話を耳にした方も多いのではないでしょうか。
本記事では、特養(特別養護老人ホーム)に入所後に福祉用具をレンタルできるのかについて、詳しく解説していきます。

この記事のまとめ
- 特養(特別養護老人ホーム)に入所すると、介護保険を利用した福祉用具貸与を利用することはできない。
- 入所後に福祉用具貸与が利用できない理由として、施設サービスと居宅(在宅)サービスを併用できないことが挙げられる。
- 特養で福祉用具を利用する方法として、貸出・自費レンタル・自費購入に3つの方法が挙げられる。
特養(特別養護老人ホーム)では福祉器具のレンタルができる?
結論から言うと、特養(特別養護老人ホーム)に入所すると、介護保険を利用した福祉用具貸与を利用することはできません。
ただし、施設側で福祉用具を貸し出しているケースや、自費でレンタル・購入することにより、入所後も福祉用具を利用することができます。
本章では、特養で福祉用具がレンタルできない理由について詳しく解説していきます。
特養(特別養護老人ホーム)で福祉用具がレンタルできない理由
特養(特別養護老人ホーム)で介護保険を利用した福祉用具貸与が利用できない理由として、施設サービスと居宅(在宅)サービスを併用できないことが挙げられます。
厚生労働省によると、福祉用具貸与を利用できる対象者を下記のように定めています。
福祉用具貸与を利用できるのは、居宅(ここでいう「居宅」には、自宅のほか軽費老人ホームや有料老人ホームなどの居室も含みます)で生活を送る、「要介護」と認定された人です。
参照:厚生労働省「介護保険の解説 -福祉用具貸与 –」
福祉用具の貸与は、居宅(在宅)の要介護者が日常生活上の便宜を図るために利用できるものです。つまり、在宅介護の負担軽減や日常生活の自立を助けることを目的としています。
特養に入所すると施設サービスを利用することになり、厚生労働省の定める「居宅で生活を送る」者に該当しなくなります。施設サービスを利用すると、居宅介護支援事業所のサービスも利用できないため、福祉用具の貸与もできなくなります。
つまり、特養のみならず、施設サービスに該当する施設では、介護保険を利用した福祉用具の貸与を利用することができません。
以上が、特養で福祉用具のレンタルができない理由です。
福祉用具の貸出を行っている施設もある
では、特養(特別養護老人ホーム)に入所すると車いすなどの福祉用具を利用できないのでしょうか?
結論を言うと、入所後も福祉用具を利用することはもちろんできます。
そもそも、入所後に必要になる福祉用具については、原則施設が用意すべきであり、利用者の負担で準備するものではありません。
介護保険給付対象サービスとして、介護施設サービス費を定額で支払っている中に、福祉用具の貸与も料金に含まれています。そのため、車いすなどの福祉用具は施設側で準備したり、貸出を行っていることが多いです。
ただし、貸出数に限りがあるため、他の入所者に貸し出している際は利用できない可能性があります。
施設にとっても入所者全員分の福祉用具を用意するのは困難であり、福祉用具を必要としている入所者に負担してもらうケースも少なくありません。これも特養で福祉用具をレンタルできない理由の一つです。
福祉用具の貸出等の対応は施設ごとに異なります。特養への入所を検討されている方は、一度施設の方針を聞いておきましょう。
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特養(特別養護老人ホーム)で福祉用具を利用する方法
特養(特別養護老人ホーム)で福祉用具を利用する方法として、貸出以外に2つの方法が挙げられます。
- 自費レンタル
- 自費購入
前述の通り、施設側で福祉用具の貸出を行っているのであるならば、自費でレンタルなどをする必要はありません。
しかし、日常的に使うから共用のものは利用したくない、これまで使っていた器具の方が使い勝手が良いなどの理由から、福祉用具を自前で用意したいと考えている方も少なくありません。
本章では、特養に入所後も福祉用具を利用する方法について、詳しく解説していきます。
福祉用具の自費レンタル
これまで介護保険により1~3割程度で利用していた福祉用具を、全額自費で支払うことでレンタルを続けられます。
具体例を挙げると、下記の金額でレンタルすることができます。
福祉用具 | 自費レンタル(レンタル料金/月) | 利用者負担(1割)/月 |
歩行器(車輪) | 3,000~5,000円 | 300~500円 |
歩行補助杖 | 1,000~1,500円 | 100~150円 |
車いす(標準タイプ) | 3,000~5,000円 | 300~500円 |
車いす(多機能タイプ) | 5,000~8,000円 | 500~800円 |
自動排泄処理装置 | 8,000~10,000円 | 800~1,000円 |
レンタルの場合、身体状況に合わせて臨機応変に福祉用具を変更できるというメリットがあります。定期的なアフターフォローやメンテナンスも業者に行ってもらえるため、入所後に心身状態に変化があった時は、調節や選びなおしも可能です。
なお、入浴や排泄に関わるものは再利用することができないため、基本的に購入品のみとなっています(自動排泄処置装置を除く)。
福祉用具の自費購入
福祉用具をレンタルする以外の方法として、自費で購入するという手段もあります。
購入することで自分自身の所有物となるため、多少の汚れや破損を気にすることなく利用し続けることが可能です。汚れなどを気にしないようであるならば、中古品を購入することで費用を抑えられます。
また、障害者手帳の交付を受けている高齢者であり、身体障害者更生相談所等の判定により必要と判断された場合には、車いすや歩行器などを補装具として原則1割負担で購入することも可能です。
ただし、標準的な既製品で対応できる場合は介護保険の対象となり、特養(特別養護老人ホーム)に入所後は全額自費となるため注意が必要です。
障害者手帳の交付を受けている方は、一度お住まいの市区町村の身体障害者福祉担当課に相談してみましょう。
参照:厚生労働省「介護保険と福祉用具」

福祉用具を利用するならレンタルと購入どっちがお得?
特養(特別養護老人ホーム)に入所後の利用する福祉用具を購入するかレンタルするかで悩んだら、想定している入所期間で考えてみると良いでしょう。
車いすを例に計算すると、自費で標準タイプの車いすを購入した場合、1台当たり100,000〜150,000円程度です。
前出の表をもとに計算すると、標準タイプの車いすを1年間レンタルすると36,000~60,000円です。つまり約3年以上利用するのであれば、レンタルするよりも購入した方が安く済む計算になります。
長期入所を前提とするならば購入の方がお得ですが、短期入所であればレンタルの方が費用を抑えられる可能性があります。
レンタルか購入かで迷った際には、上記で述べたメリットや入所期間を踏まえたうえで検討しましょう。
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特養(特別養護老人ホーム)で福祉用具を利用する際は計画的に
本記事では、特養(特別養護老人ホーム)における福祉用具のレンタルに関して解説してきました。
特養に入所すると、介護保険を利用した福祉用具貸与を利用することができなくなるため、施設の貸出、または福祉用具の自費レンタル・自費購入から選択することになります。
レンタルか購入かで迷った際には、想定している入所期間で考えましょう。長期入所を前提とするならば購入、短期入所であればレンタルの方が費用を抑えられる可能性があります。
いずれにおいても、費用負担が大きいことは否めないため、福祉用具を利用する際には慎重に検討しましょう。
特養は厚生労働省が定める施設サービスに該当するため、居宅(在宅)サービスである福祉用具貸与の併用はできません。詳しくはこちらをご覧ください。
施設の貸出、または自費レンタル・自費購入によって福祉用具を利用することが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。