「特養に入所することになりそうだけど、本人は在宅復帰をして家族と暮らすことを望んでいる」
「特養で身体状況が回復したら、在宅復帰をすることができるのかな」
特養へ入居している、または入居を検討している方々の中には、上記のようなお悩みをお抱えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では実際に特養から在宅復帰をすることは可能なのか、特養の退所後の内訳、特養のほかに在宅復帰を目指せる施設まで詳しく解説して行きます。

【この記事のまとめ】
- 本人の症状が改善すれば、特養から在宅復帰することは可能。
- 特養の主な退所先としては「死亡」がもっとも多く67.5%、医療機関が26.8%、老健が2.2%、家庭が1%となっている。
- 特養のほかに在宅復帰を支援してくれる施設としては、老健や介護付き有料老人ホームがある。
特養(特別養護老人ホーム)から在宅復帰をすることはできる!
結論から言うと、本人の症状が改善すれば特養から在宅復帰をすることは可能です。
終身利用ができる点が魅力として挙げられる特養ですが、施設で暮らしながらリハビリを受けて在宅復帰を目指す方もいらっしゃいます。
特養からの在宅復帰を検討する際は、施設のスタッフと本人の身体状況を相談したり、在宅介護ができる環境を整えられるかを考えて検討するようにしましょう。
また例外ではありますが、看取り期において本人の希望により最期の時間を住み慣れた自宅で過ごすというケースもあります。
基本的に特養からの在宅復帰には体調に改善することが必要となりますが、看取り期に関してはできる限り本人の意思を尊重できることがあると言えるでしょう。
特養(特別養護老人ホーム)から在宅復帰した人の割合は?
令和2年度に厚生労働省が発表した資料によると、特養から在宅復帰をした人は退所者全体の1%となっています。
割合としては多くはありませんが、実際に特養からの在宅復帰をしている人は存在することが分かります。
下記の表は、特養から退所した人の退所先の内訳をまとめたものです。
退所先 | 割合(%) |
---|---|
死亡 | 67.5% |
医療機関 | 26.8% |
老健(介護老人保健施設) | 2.2% |
家庭 | 1.0% |
その他の特別養護老人ホーム | 0.4% |
その他の社会福祉施設 | 0.2% |
上記以外 | 1.2% |
特養(特別養護老人ホーム)は終身で利用する人が多い
特養からの退所先でもっとも多かったのは「死亡」であり、67.5%にのぼりました。
このことからも、特養は最期まで暮らせる終の住処として利用されることが多いことが分かります。
また2番目に多い退所先としては医療機関ですが、医療機関への入院・治療を経たあとに特養に再入所する場合も多くあります。
特養(特別養護老人ホーム)から別の特養への移動も可能
そのほか上の表からも分かるように、特養から別の特養に移動することは可能で、実際に施設の移動を目的として特養を退所する方もいます。
「施設の雰囲気が合わなかった」「もっと家に近い施設に移りたかった」など理由はさまざまですが、特養間の移動はできることを理解しておきましょう。
特養(特別養護老人ホーム)のほかに在宅復帰を支援してくれる施設
在宅復帰を目指して老人ホーム・介護施設をお探し中の方のために、本章では特養のほかに在宅復帰を支援してくれる施設を紹介します。
- 老健(介護老人保健施設)
- 介護付き有料老人ホーム
老健(介護老人保健施設)
老健は、長期入院後などに在宅復帰や在宅療養支援を目指すための公的な介護保険施設です。
特養と異なり医師や看護師、理学療法士をはじめとするリハビリ専門職が常駐しているため、施設内で医療行為を受けることも可能です。
介護やリハビリを受けて在宅復帰を目指すための施設ならば、最も適した施設うちのひとつと言えるでしょう。
老健(介護老人保健施設)病院から退院後、リハビリテーションが必要と判断される方に勧められることも多いです。
また老健の入居期間は原則3か月となっているため、在宅復帰が可能と判断された際には退居することになります。
しかし身体状況的に在宅復帰が難しいと判断された場合は、3か月以降も入居し続けることができるため安心して生活することができます。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、正式名称を特定施設入居者生活介護と呼び、食事や排せつの介助のほか、掃除や洗濯などの身の回りの世話まで行ってくれる介護施設です。
介護保険法で定めた人員基準や設備基準を満たしており、24時間介護スタッフが常駐しています。
リハビリテーションに力を入れている施設も多く、専属の理学療法士や作業療法士による個別のプログラムを受けられるケースもあります。
リハビリに注力している介護付き有料老人ホームをお探しの場合は、ケアスル介護などのサイトで「リハビリが充実している施設」といった絞り込みを掛けると良いでしょう。
そのほか日中は看護師の配置や近隣の医療機関との連携が義務付けられているため、有事の際には医療ケアを受けられる体制も整っています。
特養(特別養護老人ホーム)から在宅復帰をする際の注意点
本章では特養からの在宅復帰をする場合に気を付けておきたいポイントを解説します。
- 介護の体制を整えられるか確認する
- 家族や親族とよく話し合う
介護の体制を整えられるか確認する
特養に入所していた方が在宅復帰をする場合、在宅で十分なケアの体制が作れるかの確認が重要です。
というのも特養では24時間対応での介護・医療ケアが受けられましたが、在宅介護ではその分を介護者の力もしくは在宅サービスで賄わなければなりません。
ケアマネージャーにケアプランを作成してもらうにあたって、訪問介護やデイケアはどの事業者を使うかも考えなければならないため、十分な時間が必要になります。
以上より特養からの在宅復帰を検討する場合は、本当に在宅で介護ができるか・十分なケアの体制が整えられるかをしっかりと確認することが必要です。
家族や親族とよく話し合う
特養に入所していた要介護3以上の方を、在宅で介護することは介護者に小さくない負担が掛かります。
家族の誰か1人だけが介護をしていくのはあまりに大変なため、他の家族や兄弟と協力して行うことになります。
したがって在宅復帰を望む本人の意思だけではなく、同居する家族の意思や介護と各々の生活が両立できるのかをしっかりと話し合うことが大切です。
本人の希望とはいえ、介護をする家族が体調を崩してしまったり収入を確保できなくなってしまった場合は、本人にとっても家族にとってもマイナスとなってしまいます。
遠方に住む家族も緊急時には頼らざるを得ない場合があるため、在宅復帰をする・施設に入所するなどの際には相談しておくと良いでしょう。
特養(特別養護老人ホーム)からの在宅復帰についてのまとめ
特養から在宅復帰することは可能です。
特養は終身利用ができる点が魅力として挙げられますが、施設で暮らしながらリハビリを受けて在宅復帰を目指す方もいらっしゃいます。
また特養のほかに在宅復帰を支援してくれる施設としては、老健や介護付き有料老人ホームが挙げられます。
特養からの在宅復帰は、在宅で十分なケアを整えられるかをよく確認したり、家族とよく話し合いながら慎重に検討して行きましょう。
本人の症状が改善すれば特養から在宅復帰をすることは可能です。終身利用ができる点が魅力として挙げられる特養ですが、施設で暮らしながらリハビリを受けて在宅復帰を目指す方もいらっしゃいます。詳しくはこちらをご覧ください。
厚生労働省の調査によると、特養の主な退所先としては「死亡」がもっとも多く67.5%、医療機関が26.8%、老健が2.2%、家庭が1%となっています。詳しくはこちらをご覧ください。