老人ホームを選ぶうえで重要になる見学や体験入居ですが、実際に入居する前にどれくらい行くのか、何をチェックするべきなのか、気になる方も多いのではないでしょうか?
介護施設のマッチングプラットフォーム、「ケアスル 介護」において、介護施設の入居経験がある方、もしくはその関係者300人を対象に、介護施設の見学・体験入居に関するアンケートを取りました。
実際に介護施設に入居した方より、見学時にはここを見るべきだったというチェックポイントも紹介するため、これから施設を探す方は、ぜひ参考にしてみてください。
アンケート結果概要
調査の結果、老人ホームに入居を決めるまでに施設見学や体験入居を「1ヵ所」と回答した方が約21%で最も多いことが分かりました。
実際の見学や体験入居時には、「スタッフの対応・スタッフの質」を確認するという方が約61%という結果となった
なお、実際に入居してから「居住スペースが意外と狭かった」「食事が口に合わなかった」といった後悔をされているコメントが見受けられました。
アンケート結果詳細
続いて、各アンケートの内容とその結果をそれぞれ紹介します。
Q1. 介護施設に入居する前の施設見学・体験入居は何施設行きましたか?
事前調査で「介護施設に入っている」または「入っていた(退去済)」被介護者か、「被介護者を介護施設に入れる予定」と回答された方に対して、介護施設の見学や体験入居を何施設行ったのかを質問してみました。
回答内容 | 回答人数 |
0(見学・体験入居をせずに入居を決めた) |
61(20.3%) |
1 |
64(21.3%) |
2 |
60(20.0%) |
3 |
42(14.0%) |
4 |
17(5.7%) |
5 |
23(7.7%) |
6 |
12(4.0%) |
7 |
5(1.7%) |
8 |
5(1.7%) |
9 |
1(0.3%) |
10以上 |
9(3.0%) |
その他 |
1(0.3%) |
アンケートの結果によると、実際に老人ホームへの入居を決める前に見学や体験入居を行った施設数は「1ヵ所」が21.3%で最も多いという結果となった。
次に多いのが、「0ヵ所(見学・体験入居をせずに入居を決めた)」(20.3%)、「2ヵ所」(20.0%)と並んでおり、半数以上の方が0~2ヵ所といった少ない施設数で入居先を決めてしまうことが見受けられました。
施設見学や体験入居では、パンフレットや口コミだけでは判断できない施設の雰囲気や、スタッフの対応などを確認することができます。施設見学をしっかりと行わなかったことにより、実際に入居した後に「こんなはずではなかった」と後悔されるケースも少なくありません。
安心して暮らすことができる施設を選ぶためにも、まずは見学や体験入居を行うことをおすすめします。
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Q2. 見学時・体験入居にチェックしたことを教えてください
続いて、見学や体験入居の時にチェックしていたことについて質問しました。
回答内容 | 回答人数(複数回答可) |
スタッフの対応・スタッフの質 | 182(60.7%) |
居住スペースの過ごしやすさ | 179(59.7%) |
医療・看護サポート体制のチェック | 142(47.3%) |
介護体制のチェック | 112(37.3%) |
食事 | 100(33.3%) |
浴室・入浴設備のチェック | 97(32.3%) |
面会体制 | 96(32.0%) |
共有スペースの使いやすさ | 95(31.7%) |
提携医療機関のチェック | 82(27.3%) |
他入居者の雰囲気 | 80(26.7%) |
施設長の対応 | 67(22.3%) |
リハビリ体制のチェック | 67(22.3%) |
レクリエーションの雰囲気 | 52(17.3%) |
契約周り | 45(15.0%) |
その他 | 10(3.3%) |
見学・体験入居していない | 36(12.0%) |
見学や体験入居時にチェックすることとして、「スタッフの対応・スタッフの質」を挙げる方が60.7%で最も多いという結果となりました。
実際に入居する本人にとって、毎日顔を合わせるスタッフの対応は非常に重要です。また、本人に必要となる医療ケアが受けられるかなどを判断軸に施設を検討する方も多いです。
順に多いのが「居住スペースの過ごしやすさ」(59.7%)、「医療・看護サポート体制のチェック」(47.3%)と並んでいます。
毎日寝泊まりする居室は、老人ホームでの生活に大きく影響を与えます。特に、多床室(相部屋)の場合、他の入居者との距離感などを確認される方も見受けられました。
なお、「その他」と回答した方には、下記のようなものが挙げられました。
自宅から施設までの距離・移動時間
交通の利便性
施設の清潔さ。掃除が行き届いており、悪臭などがないこと。
なお、各項目における具体的なポイントについては、Q3にてまとめております。
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Q3. これから介護施設の見学をする方に向けて、必ずチェックしておくべきポイントを教えてください。
最後に、これから介護施設を検討する方に向けて、チェックしておくべきポイントについて、詳細をお伺いしました。
居住スペースについて
入居したら以外と狭かったもう少し部屋なども確認しとけば良かった。
良好な睡眠が不可欠なので、寝室環境を確認した方が良い。
トイレ、洗面所の使い易さや部屋の間取り。
個室になった場合どこまでが付属品であるか確認したい。
居住スペースは、入居する本人が毎日寝泊まりするところであるため、生活の質に大きく影響を与えます。
施設によっては居室内に家具が備え付けられていることもあります。施設職員に許可を取った上で居室を写真などに収めておくと、他の老人ホームとの比較がしやすくなるでしょう。
スタッフの対応・質について
スタッフさんの言葉遣いや、他者に対する態度の確認。
スタッフの数か入居者に対して十分か。スタッフの接し方が乱暴な感じではないかを見ておいた方が良い。横柄な態度であれば要注意。
直接関係なさそうな事務室なども整理されている所は介護においてもきちんとした体制が取れている。電話対応などもきちんと受け答えしてくれることも大事。こちらも疑問に思ったら、些細な事でもすぐに伝えるようにしておくとスタッフとのコミュニケーションがしやすくなり、今後もやりやすくなる。
介護スタッフや職員は、入居する本人にとっては毎日顔を合わせることになります。親しみを感じるか、丁寧な対応をしてくれるかどうか、入居者に対して人数は十分に揃っているかどうか見ておきましょう。
また、体験入居者は入居の検討度が高いと想定されるため、普段よりも丁寧に対応しているケースが多いです。そのため、体験入居だけで施設を検討せず、口コミや評判なども確認しておくことをおすすめします。
医療・介護体制について
医療従事者の配置されているか?
急遽、病院受診の際、家族が行かないと連れて行ってもらえないことがあったので、確認が必要。
介護と共に体調が急変した際の医療体制への引継ぎなどが、重要だと思いました。
介護スタッフの対応や質に付随して、施設内の医療体制に関するコメントも多くありました。看護スタッフが常駐しているか、近隣の医療機関などを把握しておきましょう。
特に、体調が急変したときの医療機関の付き添いについて困ってしまった方が多いです。緊急時に施設職員がどこまで対応してもらうことができるか、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

共用スペースについて
実際に生活動線を歩いてみて、器具類を手に取ってみて、健常者でもどこかにひかかったりすることなく作業ができることを確認する。
入浴設備が施設によって違ったので、できるだけ新しく、寝たたままでも入浴できる設備があると助かる。
共有部分や、お風呂、洗濯室などがきれいに清掃されているか、臭いはどうかを確認できると良いと思う。
バリアフリーが全施設に行き届いているか確認しておくのが良いと思います。
共用スペースは食堂やリビング、トイレやレクリエーションスペースなどが該当します。清掃が行き届いているか、バリアフリー設計がなされているかを確認しましょう。
中でも、入浴設備やトイレに関するコメントが多く見受けられました。身体状況が悪化したとしても、安心して入浴や排せつができる設備が整っているか見せてもらうと良いでしょう。
食事について
食事の内容が少し寂しかったのでしっかり3食チェックした方が良いかと思います。
毎日の食事は大切なのて自分の口に合うかどうか確かめておいた方がいい。
入居したら食事が合わず見学時に父に食べさせてあげれば良かった。
共用スペースに付随して、食事に関してコメントを寄せる方も多くありました。食事はただ栄養を摂取するのみならず、日々の生活に楽しみを得られるという点で非常に重要です。
老人ホームの食事については、施設見学前にあらかじめ施設に伝えておくことで試食することも可能です。どのような味付けなのか、栄養バランスが整っているか、ご自身の舌で確認してみましょう。

入居者の雰囲気について
集合してご飯を食べている所を見て、雰囲気を見ておいた方がよい。
普段、どのように入所者が過ごしているのか、可能な限り実際の様子を見せてもらうこと。
入居者が個室に閉じこもりっきりになっていないか。
入居者が楽しそうに過ごしているか、入居者同士で談笑しているかなどを見ておきましょう。特に、できるだけ入居者が集まる時間帯(食事やレクリエーションなど)に見学することを勧める方も見受けられました。
実際に施設選びに失敗したケースとして、入居したら自分よりも介護度が高い人ばかりで、居心地が悪かったというものがあります。そのため、施設の設備や立地のみで判断せず、他の入居者の様子を見ておくことが大切です。
費用・契約について
介護される本人の年金や介護支援金を入れても支払いの問題、経済的問題は最重要!
概算費用だけでなく、最大いくらかかるか契約書を検討する。
実際にかかる費用。介護度が高くなれば金額も高くなるので、費用は余裕をもって考えた方がいい。
毎年入居代等が値上がりになるのか聞いていた方が良いなあと思いました。
老人ホームの費用に関しては、施設のパンフレットや重要事項説明書に記載されています。しかし、実際に入居すると、介護サービスや居住費といった契約書に記載している概算費用以外にも、消耗品や交際費といった日常生活費が実費で必要となります。
月々の支払いに無理のない範囲で施設を探すためにも、契約書や入居後に必要になる費用項目などは、あらかじめ確認しておきましょう。

その他・見学の必要性について
徹底的に評判を調べておいた方が良いと思う。
実際に入居していた方の家族に話を聞いてみるのも良い。
待機人数が多いところは居心地が良いからなかなか退所者が出ない状態なので、待っても待機人数が多い施設に入れたほうが良いと思います。
ケアマネージャーやそのお仲間の評判を集めていただいて、いくつかの施設に話しを聞きに行き、見学出来る範囲を見せていただいたと言う感じです。
施設によって全く雰囲気が違うので、大変だとは思いますが必ず見学した方がいいと思います。
アンケートの結果では、入居前の施設見学や体験入居は「1ヵ所」が最も多かったものの、施設見学の必要性に関してコメントを残して頂いた方も多く見受けられました。
こちらにも提示してあるように、実際に複数の施設を見学しつつ、ケアマネジャーや入居者の家族、ネットの口コミなど複合的に判断することが大切です。

なお、ケアスル介護には専任のケアアドバイザーが常駐しているので、介護施設の費用や入居も踏まえた相談をしたい場合はぜひ一度相談してみてください。
- 施設に入ろうか悩んでいる
- お金がどのくらいかかるのか知りたい
くらいの疑問でも構いませんので、ケアアドバイザーに相談してみると解決に向けた一歩を進めるかもしれません。
調査概要
調査目的
介護施設の見学・体験入居に関するアンケート
調査手法
調査実施機関:インターネットリサーチ
調査期間:2023年6月30日~7月1日
調査対象:300人(「介護施設に入っている」または「入っていた(退去済)」被介護者か、「被介護者を介護施設に入れる予定」の方をアンケート対象としています)
調査内容
下記の3つの質問を実施しました。
- Q1. 介護施設に入居する前の施設見学・体験入居は何施設行きましたか?
- Q2. 【複数選択】見学時・体験入居にチェックしたことを教えてください
- Q3. これから介護施設の見学をする方に向けて、必ずチェックしておくべきポイントを教えてください
(例).〇〇〇〇〇〇なので、△△△を見ておいた方が良い
(例).入居したら〇〇〇〇〇だった。見学の段階で△△△△△△をチェックしておくべきだった
調査テーマについて
ケアスル介護では、介護に関するアンケートテーマを随時募集しています。介護に関する事柄で、
- ちょっと気になるけれど周りに聞きづらい介護のこと
- 介護のノウハウや知識など、みんながどのようにしているのか知りたいこと
があればぜひケアスル介護へお問い合わせください。