病気にや治療に伴う苦痛の緩和を目的としてケアとして、「ホスピス(ホスピスケア)」や「緩和ケア」というものが存在します。
しかし双方とも似たような目的のケアであるため、「違いがよく分からない…」とお悩みの方も多くいらっしゃいます。
そこで今回は「ホスピス(ホスピスケア)」と「緩和ケア」の違いに焦点を当てて、目的や対象者、ケアの詳細、それぞれに適した人まで詳しく解説して行きます。

- ホスピス(ホスピスケア)と緩和ケアの違いは、主に対象者とケアを受けるタイミングにある。
- ホスピス(ホスピスケア)は、がんやエイズによって余命が残りわずかで治癒の見込みがない人が受けるケアであることに対して、緩和ケアはがんなどの進行具合に関わらず治療による苦痛を和らげた人が受けられる。
- ホスピス(ホスピスケア)・緩和ケアとターミナルケアの違いは、ターミナルケアはがんやエイズなどの病気の種類に関わらず看取り期が近づいた全ての方が受けることが可能という点。
ホスピスと緩和ケアの違い
ホスピス(ホスピスケア)と緩和ケアの大きな違いは、対象者とケアを受けるタイミングの違いにあります。
ホスピスの対象者は「がんやエイズなどの病気により余命宣告をされた方」である一方、緩和ケアの場合は「早期のがん患者の方など」も対象者とされています。
したがって、「ホスピスは余命がわずかな方を対象にしていることに対して、緩和ケアは病気の進行具合に関わらず苦痛の緩和を希望する方に提供される」ということが違いと言えるでしょう。
また、ホスピスは多くの場合で余命宣告を受けたタイミングから希望者に行われることに対して、緩和ケアはがんと診断されてから1ヶ月など比較的早期の段階でも希望すれば受けることが可能です。
以上のように、ホスピスと緩和ケアには主に対象者・タイミングという点で違いがあるため、理解しておきましょう。
ホスピス | 緩和ケア | |
---|---|---|
対象者 | がんやエイズなどで余命宣告されており、治癒が望めない方 | がんなどによる苦痛を和らげたいと希望する方 |
ケアのタイミング | 余命宣告されたタイミング | 早期(診断直後から行われる) |
ホスピスとは?
ホスピス(ホスピスケア)とは、「最期の生活を心安らかに過ごしたい」と考える方へ提供される、病気やその治療に伴う苦痛の緩和、穏やかな最期を迎えるためのケアのことです。
あくまで最期を迎えるためケアなので、病気の治療は行わず、苦痛を和らげるためのケアが中心になります。したがってリハビリのような運動はありません。
比較的病気によって亡くなるまでの期間が短く、終末期患者全般が対象となり、身体的・精神的といった多面的な方向から安らかな日々をサポートします。
また「ホスピス」とは上記ような終末期の苦痛を緩和するケアのことを指すほかに、終末期の苦痛を緩和するためのケアを行う施設のことを指すことも多いです。
具体的には終末期の苦痛を緩和するケアの提供機能をもつ病院や法人ホーム・介護施設などが「ホスピス」に該当します。
名称が紛らわしいため、一般的には終期末の苦痛を和らげるケアのことを「ホスピスケア」、ホスピスケアを提供する機能を持つ施設全般を「ホスピス」と呼ぶことが多くなっています。
緩和ケアとは?
緩和ケアとは早期がんなどの患者を対象に、痛みやその他の苦痛な症状を和らげるケアのことを指します。
終期末のみで行われるものではなく、困った時や不安や辛さを持った時に相談したりサポートを受けることができます。
緩和ケアはホスピスケアとは異なり、がんなどの治療と並行して行われるケアであることを理解しておきましょう。
また緩和ケア・ホスピスケアに共通しますが、患者の家族が受けられることも特徴として挙げられます。
治療に関する困りごとや不安などの相談に応じることにより、患者・家族双方の苦痛を和らげられることは支えのひとつになり得るでしょう。
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ホスピス・緩和ケアとターミナルケアの違い
ホスピス・緩和ケアと同じく違いが分かり辛いケアとして、「ターミナルケア」が存在します。
ホスピス・緩和ケアと「ターミナルケア」の違いとしては、ホスピス・緩和ケアは基本的にがん患者を対象としていることに対し、「ターミナルケア」は、がん以外の病気の患者も対象としている点です。
したがってケアを受ける対象者の病気に違いがあることを理解しておきましょう。
そのほか病気による心身の苦痛を和らげるという点では緩和ケア・ホスピスケア・ターミナルケアはほとんど同じと言えます。
ホスピスと緩和ケアに適した人
ここまではホスピス(ホスピスケア)と緩和ケアに関する違いについて解説してきました。
本章ではホスピスと緩和ケアを受けることに適した人はどんな人なのかを解説します
ホスピスに適した人
ホスピス(ホスピスケア)を受けるのに適した人は、がんやエイズなどで余命宣告されており、治癒が望めない方です。
前述の通りホスピスケアはあくまで安らかな最期を迎えるために、これまでしていた治療をやめることになり、痛みなどに対してはおおむね鎮痛剤のみで対応することになります。
それによってこれまで治療で伴っていた苦痛を最小現抑えることができ、残りの余命を本人の思うままに過ごすことができるのが大きなメリットです。
ホスピスケアを行う施設では、面会の制限が無かったり居室に泊まることができたりと、家族と一緒に過ごす時間も多く取ることができます。
「最期は自分の好きなように過ごしたい」「苦痛から解放されて家族と心行くまま最後の時間を楽しみたい」といった方がホスピスケアを受けることに後悔しない人と言えるでしょう。
緩和ケアに適した人
緩和ケアを受けるのに適した人は、がんなどの状態に関わらず治療に伴う苦痛を和らげたい方です。
どうしても病気やその治療には痛みなどの苦痛を伴いますが、それらの苦痛から日々の生活に余裕が持てず、気が立ってしまったり、疲弊したりと、辛いと感じることも少なくありません。
それらの負担を緩和することは今後の治療に対して前向きになれるほか、本人や家族にとって心身の両面から良い支えになり得ます。
「がんと宣告されてから日々の治療が辛い」「この先本当に治るのか不安になってきた」と初期の段階でも、不安や辛さを感じる方は緩和ケアを受けることに迷う余地はないでしょう。
ホスピスと緩和ケアの違いに関するまとめ
ホスピスと緩和ケアの主な違いは、ケアを受ける対象者とタイミングの違いです。
ホスピスはがんやエイズによって余命が残りわずかで治癒の見込みがない方が受けるケアなのに対して、緩和ケアはがんなどの進行具合に関わらず治療による苦痛を和らげたい方が希望すれば受けることができます。
またホスピスケアは治癒の見込みが無いと判断されたタイミングから受けることができますが、緩和ケアはがんと宣告された初期の段階から受けることができます。
そのほか苦痛を和らげ穏やかな最期を迎えるためのケアとしてターミナルケアが存在しますが、ターミナルケアはがんやエイズなどの病気の種類に関わらず看取り期が近づいた全ての方が受けることが可能です。
最期まで「その人らしい人生」を過ごしてもらうために、いつかは選択肢となり得るかもしれないホスピス(ホスピスケア)と緩和ケアの違いを正しく理解して、後悔のない選択をしていただけると幸いです。
ホスピス(ホスピスケア)と緩和ケアの大きな違いは、対象者とケアを受けるタイミングにあります。ホスピスは余命がわずかな方を対象にしていることに対して、緩和ケアは病気の進行具合に関わらず苦痛の緩和を希望する方に提供される点が違いと言えるでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
ホスピス・緩和ケアは基本的にがんやエイズの患者を対象としていることに対し、「ターミナルケア」は、がん以外の病気の患者も対象としている点が違いとして挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。