特養は、自治体の計画に基づいて社会福祉法人や自治体によって運営される公的な性格の介護施設であり、サービスが手厚い、また利用にかかる費用が比較的安いという特徴を持ちます。
そんな特養は、原則要介護3以上の方を対象としており、比較的症状の重い方に向けた介護施設ですが、特養で生活していたら身体状況・介護状況が回復して要介護2まで下がったという話も少なくありません。
一般的には喜ばしいことですが、特養は原則として要介護3以上の方が入所可能な施設となっているため、「退所しなければいけないの?」「退所になったらどうしよう」という疑問や不安を持つ方もいるでしょう。
本記事では、特養入所後に要介護2になったら退所になるのか、退所にならないケース、また退所を避ける方法などについて紹介します。
参考になれば幸いです。

特養入所後に要介護2になったら退所になる可能性がある
特養入所後に要介護2になった場合には、退所になる可能性があります。
というのも、特養の入所条件が、原則として要介護3以上の高齢者と定められているためです。
この入所条件は、すでに特養に入所済みの方にも適用されるため、入所後に要介護度が下がり要介護2になった場合にも、入所条件を満たしていないと判断され、退所となる可能性があります。
とは言え、入所後に要介護2になった場合は退所にしなければならないという決まりはなく、施設によっては退所を求めない特養もあるため、要介護2になったからといって必ずしも退所になるとは言い切れません。
まずは、施設に確認してみることをおすすめします。
要介護2になっても退所にならないケース
要介護2になったら必ずしも退所となるわけではなく、施設側の対応やご本人の介護状況・身体状況によっては、退所とならないケースも存在します。
退所にならないケースについては、以下の通りです。
- 施設に空きがある
- 要介護1~2の方の特例入所の要件を満たしている
それでは、1つずつ見ていきましょう。
施設に空きがある
入所先の特養に空きがある場合は、要介護2になっても退所にならない可能性が高いです。
人口が多い地域に位置する特養では、常に入所待機期間が発生していることが多いですが、地域によっては入所希望者があまり多くなく、施設に空きがあるという特養もあるでしょう。
施設に空きがあると、その特養は最大限利益を出せていない状況にあるということになります。
介護施設は、社会福祉という面を持っているものの、完全なる慈善事業ではないため、特養側も利益を出すことを考えなければいけません。
そのため、施設に空きがある場合は無理に追い出すようなことはしない可能性が高いです。
要介護1~2の特例入所の要件を満たしている
ご本人が要介護1~2の特例入所の要件を満たしている場合は、退所にならない可能性があります。
特養は原則要介護3以上の方しか入所すること後できないとされていますが、要介護1~2の方であっても厚生労働省の定める要件に該当する場合は、入所が認められるケースがあります。
要件については、以下の通りです。
- 認知症であり、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ在宅生活が困難であること
- 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ在宅生活が困難であること
- 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態であること
- 入所希望者が単身世帯である、同居家族が高齢または病弱である等により、家族からの支援が期待できない、かつ地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態であること
出典:厚生労働省「特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について」
簡潔に言うと、要介護1~2であっても、在宅での生活が困難と認められる場合は、特例として特養に入所できる可能性があるということになります。
この要件と同様に、要介護2になっても認知症や障害、家族状況を考慮し、在宅での生活が困難であると認められた場合には、退所とならない可能性があります。
特養を退所となった際の転居先の施設を探したいという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。
「プロに相談したい」という方は、ご気軽に無料相談を活用ください。
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
特養入所後に要介護2になった際の退所にならないための方法
特養入所後に要介護2になった場合には退所となる可能性もありますが、退所にならないための方法が存在します。
退所にならないための方法については、以下の通りです。
- 要介護認定の結果に不服申し立てを行う
- 区分変更申請を行う
それでは、1つずつ見ていきましょう。
要介護認定の結果に不服申し立てを行う
要介護2になってしまった場合には、不服申し立てを行い、要介護認定の結果の取り消しを要求するのも1つの手です。
要介護認定の結果に不満がある場合には、自治体の附属機関として設置され、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成される介護保険審査会という機関に対して、不服申し立てをすることが可能です。
要介護認定の結果に不当な点がないかを審査したうえで、申し立てが妥当なものだと判断された場合は、要介護認定の結果を取り消し、改めて審査をやり直すことになります。
この再審査で要介護3の認定を受けることができれば、原則要介護3以上という特養の入所条件を満たしているため、特養を退所する必要はなくなります。
ただ、認定結果の取り消しの審査に加え、もう一度要介護認定の審査を行うため、時間がかかることを覚悟する必要があります。
区分変更申請を行う
認定結果に納得がいかない場合には、区分変更申請を行うのも1つの手となります。
区分変更申請は、本来は要介護認定後にご本人の状態が変わった場合に再調査を行ってもらうための手続きですが、認定結果に不満がある際にも利用されることがあります。
要介護2の認定を受けてしまっても、区分変更申請を行い要介護度が要介護3へ変更されれば、退所する必要はなくなります。
要介護2になってしまった際の対応の1つとして区分変更申請を検討する際は、まずは入所する特養のケアマネジャーに相談してみるといいでしょう。
特養退所後の転居先となる施設
前章では、要介護2になった場合に退所を避けることができる方法について紹介しましたが、どうしても退所を避けられないケースもあります。
ですが、事情があって在宅介護は難しいため、施設に入所したいという方もいらっしゃるでしょう。
そのようなケースでは、以下のような施設への転居をおすすめします。
- ケアハウス(介護型)
- 有料老人ホーム
それでは、1つずつ見ていきましょう。
ケアハウス(介護型)
特養を退所となった際の転居先の施設として、「介護型」のケアハウスをおすすめします。(「一般型」は自立か軽度の要介護者向け)
ケアハウスは、要介護1以上の高齢者の方を対象としており、介護や生活支援・食事の提供等のサービスを受けることができる施設となっています。
そのうちの「介護型」と呼ばれる施設であれば、特養同様に、看取りケアに対応しているケアハウスもあるため、終の棲家として入所することも可能です。
費用についてですが、特養と比べると少し高額になるものの、7~20万円の月額費用で利用できるため、他の介護施設と比べると安い費用で入所することができます。また、所得によって費用、料金の減額措置もあります。
ですが、ケアハウスの入所には、一時金が必要になることが多いため、注意が必要です。
サービス面については大きな違いはないため、入所を検討する際は、費用面について把握しておくといいでしょう。
有料老人ホーム
特養を退所となった場合には、有料老人ホームへ入所するというのも1つの手です。
有料老人ホームとは、医療法人や社会福祉法人が運営することもありますが、主に営利を目的とした株式会社が運営する介護施設になります。
有料老人ホームには、「介護付き」や「住宅型」といった種類があるため、以下でそれぞれについて紹介します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、有料老人ホームの1つであり、費用内で定額で24時間365日の介護サービスを受けることができる民間の介護施設になります。
補助金を受けて建設される特養と比べると、費用が高くなる傾向にありますが、特養と同様に24時間体制の介護サービスの提供を行っているという強みもあります。
また、看護師が夜間も常駐していたり、医療機関が運営する介護付き有料老人ホームでは、看取りケアにも対応していることが多く、終の棲家として入所することも可能です。
特養と比べると費用負担が大きいというデメリットはありますが、一方で介護サービスが充実しているという強みはあるため、入所を検討してみてもいいのではないでしょうか。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームとは、有料老人ホームの1つであり、家事代行などの生活支援サービスや食事の提供、レクリエーションなどのサービスを受けることができる民間の介護施設です。
介護付き有料老人ホームとは違って、施設自体には介護士などの配置ルールがありません。ですが、介護が受けられないというわけではなく、外部のサービス事業者や施設に併設されているサービス事業者と契約することで、介護サービスを利用することが可能となっています。
住宅型では自立度の高い方向けから、「ホスピス」「ナーシングホーム」などと呼ばれる、重度の方や医療的ケアが必要な方、ガン末期などの方向けの施設まで、幅広くあります。特養退所後の選択肢としては、良いかもしれません。
また、介護サービスについては月額制ではなく、利用した分に応じた金額を支払うという形式になるため、介護サービスの利用が少ない人は、サービス費が安く済むというメリットがあります。
介護サービスの利用頻度が高くないという方は、住宅型有料老人ホームへの入所を検討してみるといいかもしれません。
特養を退所となった際の転居先の施設を探したいという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。
「プロに相談したい」という方は、ご気軽に無料相談を活用ください。
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
まとめ
特養入所後に、要介護度が下がり要介護2になった場合には、退所になってしまう可能性があります。
ですが、退所にしなければならないという決まりがあるわけではないので、施設によって対応が異なります。
特養入所後に要介護2になってしまった際には、要介護3以上の認定結果になるよう、不服申し立てや区分変更申請を行うのも1つの手です。
手を尽くしても特養の退所が避けられない場合には、別の施設への転居を検討してみてもいいかもしれません。
特養入所後に要介護2になった場合には、退所になる可能性があります。というのも、特養の入所条件が、原則として要介護3以上の高齢者と定められているためです。詳しくは、こちらをご覧ください。
特養入所後に要介護2になった場合でも退所にならないケースとしては、「施設に空きがある」「要介護1~2の方の特例入所の要件を満たしている」ケースなどが挙げられます。詳しくは、こちらをご覧ください。