人間は誰しもプライドを持っており、他人から軽くあしらわれるとムッとするものです。通常は理性が働きグッと自分を抑えますが、認知症の方は気持ちのコントロールがうまくできません。ちょっとでも気に入らないことがあると、不機嫌になって人の話を聞かなくなるケースも多いようです。そのような態度を見ると、「この人はプライドが高い」と思ってしまいます。
しかし、認知症の方がすべてプライドが高い訳ではありません。そのため、介護にあたっている方の中には、その違いに悩んでいる方も多いはずです。そこでこの記事では、認知症でプライドが高い人の特徴や接し方、声かけの仕方についてお伝えします。認知症の方と上手に付き合って、お互いストレスのない介護を目指しましょう。
認知症を発症するとプライドが高くなる理由
認知症になるとプライドの高くなる方が多くなります。その理由として最も分かりやすいのが、感情のコントロールができなくなるためです。認知症を発症すると、抑制力をつかさどる前頭葉の萎縮が起こるといわれています。そのため、ちょっとしたことがきっかけで感情を爆発させてしまうのです。
そのような状態を見ると、周囲にいる人はプライドが高くて関わりづらいと感じてしまうのかもしれません。認知症の方を介護している場合は仕方のないことだと割り切るしかなく、お互いにストレスを溜めないよう接し方や声かけを工夫するのが最善の策といえるでしょう。
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認知症でプライドの高い方の特徴を解説
認知症になってからプライドが高くなる方の多くは、ベースになるものを持っています。では、どんなタイプの方がプライドが高くなってしまうのか気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、見栄っ張りタイプ・過去に成功体験があるタイプ・完璧主義タイプの3タイプに分けてその特徴について詳しく紹介します。それぞれのタイプに対する対処法もお伝えしますので、参考にしてください。
見栄っ張りタイプ
認知症になると上手に食事が食べられなくなったり、トイレの失敗をしてしまったりすることが多くなります。見栄っ張りの方にとって自分が失敗ばかりする状態は我慢できなくなります。そこで、失敗を認められないケースも少なくありません。
失敗したことを認めず、身近の人のせいにして怒り出します。また、お金を取られたと言い張るのも見栄っ張りの特徴です。もともと無いのにあると思い込み、見当たらないと他人が取ったと怒り出します。
誰も取っていないし、元からここにはなかったと言うとプライドを傷つけられてしまうので、介護している人が折れてあげるのが得策です。
過去の成功体験が忘れられないタイプ
バリバリと仕事をこなし、ある程度の地位まで上り詰めた成功体験のある方は、認知症になっても過去の栄光をはっきりと覚えているケースがあります。子育てや家事を頑張ってきた方も同じです。とにかく若い頃に何かに打ち込んだ経験があり、結果を出してきた方はなかなかプライドを捨てられません。
つい、周囲にいる人に対して高圧的な態度になってしまうのも、こういった成功体験からくるのかもしれません。自分の思い通りの世話をしてもらえなかったり、段取りが悪かったりすると、ついイライラしてしまう傾向にあります。また、介護の仕方に文句を言いがちで、世話をする人にとってはプライドが高く厄介な人に写ってしまうことでしょう。
完璧主義タイプ
勉強・仕事・家事など、どんな分野でもそつなく完璧にこなしてきた方は、プライドが高い傾向にあります。そんな方が認知症になり、身の回りのことすらできなくなると、できていた自分とのギャップに愕然とするでしょう。さらに、それを周囲の人に指摘されるのは我慢できないことなのかもしれません。
物忘れが激しくなっても、そのことを認めず他人のせいにするのも完璧主義な方に多いようです。忘れないようにするためにはどうすればいいかアドバイスをしても聞き入れず、自分の能力を過信してしまいます。このタイプの方は、認知症であることも認められないため、介護施設への入所もなかなかできないため、てこずる家族も多いでしょう。
プライドが高い認知症患者の心理を理解しよう
人間は誰しもプライドを持っている生き物で、プライドを傷つけられて平気でいられる人は多くはいないでしょう。
認知症の方は感情のコントロールができなくなっているため、よりストレートに怒りを表面に出してしまいます。また、認知症になったことで余計にプライドの高さが際立ち、昔は言わなかったようなことも言ってしまうのです。介護をしている方にとっては、そんなプライドの高い認知症の方の世話をするのは、イライラさせられるし、腹も立ちます。
このように認知症になっていない方は認知症の方の気持ちがなかなか理解できないものです。お互いにストレスのない介護をするためにも、健康でいる方が認知症の方に寄り添い、気持ちを理解するよう努力をしてみることが大切かもしれません。
症状別の声かけの仕方や接し方
認知症の方にとっても、介護する方にとってもお互いにストレスをなくすためには、認知症の方の症状にあった声かけや接し方を理解しておくといいでしょう。決して責めたり、怒ったりしないことで、プライドの高い認知症の方の態度も和らぐかもしれません。ここでは、記憶障害・被害妄想・徘徊など認知症の症状別に効果的な声かけの仕方や接し方について紹介します。よく理解して、明日からすぐに実行してみてください。
記憶障害がある方
食事をしたことを忘れてしまったり言ったことを覚えていなかったりと、つい今しがたおきたことを忘れてしまうという、いわゆる短期記憶が欠落している状態を記憶障害といいます。
食事の支度をして、介助をしながら食べさせて、やっと後片付けが済んだと思っているのに、食事はどうしたのかと言われると、ついイライラしてしまいがちです。今食べたばかりでも食事を要求されたら「何を食べますか?」「今作っていますよ」などと言ってあげてください。
そうすると自分の要求が通ったと思い、気持ちも落ち着きます。忙しいと、つい文句を言ってしまいがちですが、それは逆効果です。どちらにとってもいいことではありませんので、注意してください。
見当識障害がある方
見当識障害とは今日が何月何日なのか、今はどこにいるのかなどがわからなくなる状態をいいます。このような症状は、実は健康な方にも見られ、熟睡をして目覚めた時などに今が朝なのか、夜なのかわからないといった経験を持つ方も多いはずです。認知症の方の場合、特に認知状態が悪い時にこのような状態に陥り、混乱や不安を招きます。
会話をしていて日付や季節がわかっていないと気づいたら、責めたり、強く指摘するのはかえって混乱を招きかねません。そんな時はいち早く見当識障害であることを汲み取り、優しく「暖かくなってきましたね」などと話しかけ、一緒にカレンダーを確認してみるといいでしょう。
被害妄想がある方
認知症の方によくみられる被害妄想として、誰かに自分のものを盗られたと思い込む『もの盗られ妄想』があります。自分の周囲の人に対して、お金や大切なものを盗ったと疑念を持ち、思い出すたびに責めてきたり、ひどい時は暴力を振るってきたりするケースも少なくありません。介護する側にとってはとても悲しくなりますが、言い返すと逆効果になりますので、注意してください。
本人が納得するまで話を聞いてあげて、一緒に探すような姿勢を見せてあげましょう。同じようなことがあっても根気よく同調するような態度を繰り返していれば、自然と被害妄想が軽減してくる可能性もゼロではありません。時間をかけて、じっくりと向き合ってあげてください。
幻覚・幻聴がある方
実際にはないものが見えたり、聞こえたりしていると感じる知覚的な異常を幻覚・幻聴といいます。周囲から見れば、滑稽にも思える言動ですが、本人は至って真剣なだけに、理解してもらえないと大きな不安感に襲われてしまいます。確かに、自宅内や施設の居室内などに見知らぬ人が見えている状態は、誰にとっても恐ろしいはずです。それが誰にも理解されないとなると、その不安の大きさは計りかねるでしょう。
そんなときは、「誰か人を呼びましょう」「私が追い払ってきます」などと言って安心してもらえるようにしてください。実際には何もしなくても理解してもらえた安心感があり、騒がなくなるものです。
徘徊する方
徘徊は、介護をする方にとって最も手間のかかる症状ではないでしょうか。見当識障害や被害妄想などは室内だけで解決ができますが、徘徊は他人に迷惑をかけてしまう可能性が大きいです。
外に出てしまったことで転倒したり、最悪な場合交通事故に遭ってしまったりする心配があります。このように足元がおぼつかない認知症の方にとって、外の道を歩くのは非常に危険です。徘徊する方のほとんどは「自宅に帰りたい」という気持ちが強く、例え自宅にいたとしても外に出てしまいます。
何度注意しても外出してしまうため、無理に引き留めず、見守ってみてはいかがでしょうか。可能な限り一緒に出歩き、目的地を探してあげるような気配りを示せば満足して、気持ちも落ち着くはずです。
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プライドが高い認知症患向けの専門ケア
プライドが高い認知症の方は、被害妄想や徘徊などさまざまな症状にプラスされて、気難しいと言った点が目立ちます。軽い気持ちで注意をしても、それがきっかけで激怒したり、暴力を振るってきたりと介護する家族にとってはお手上げ状態になりかねません。そんなプライドの高さが障害となり、介護が困難になる方は専門のケアを試してみてはいかがでしょうか。ここでは、そんなプライドの高い人にぴったりな専門ケアについて紹介します。
優しく触れるケアのタクティールケア
タクティールケアとは、スウェーデンで生まれた優しく触れることで相手を癒すタッチケアです。特別な道具を必要とせず、ただ手足や背中に触れながら話しかけるだけですので、今すぐにでもできる専門ケアといえるでしょう。人は優しく触れられると幸せホルモンであるオキシトシンが分泌されるといわれています。
介護者によるタッチケアでオキシトシンの分泌を促し、優しい気持ちを取り戻せるようにしてあげると、攻撃的な態度も和らぎ、きっと笑顔を見せてくれるようになるでしょう。何をしてもダメだった方もタクティールケアを試してみませんか?
動物に癒されるアニマルセラピー
アニマルセラピーとは、動物との触れ合いによって癒しを得るものです。気持ちが穏やかになったり、ストレスが軽減されるといった効果も見られるため、最近では犬を飼っている施設も増えてきました。介護をする側としては、犬を見て可愛いと思い、撫でてみたいといった気持ちを引き出し、優しさを取り戻してもらいたい狙いがあります。
また、アニマルセラピーには意欲を増す効果も期待されています。犬と一緒にいることで笑顔が増えたり、身体を動かす時間が増えたりといったケースも少なくありません。さらには、犬を通して介護者との会話が増え、コミュニケーションが円滑になるといった効果も期待できるでしょう。
相談できる窓口を知ろう
介護の悩みを1人で抱え込んだままにしておくと、ストレスはますます大きくなります。しかし、誰かに相談しようと思っても、自分の家族が認知症であると打ち明けるのは勇気がいるものです。そのような時に利用したいのが、介護に詳しい公共の窓口です。例えば地域の民生委員や市町村の福祉課・介護課などであれば、認知症に対する正しい知識や情報を持っているはずです。そのような窓口で相談することで、今抱えている悩みも解決するかもしれません。
介護保険サービスで介護の負担を軽減
要介護認定を受けている方であれば、介護保険サービスが利用できます。さまざまなサービスがありますので、介護課やケアマネジャーに相談してみましょう。年齢や所得に応じて1〜3割の自己負担はありますが、上手に利用すれば、介護の負担はかなり軽減されるはずです。介護保険の利用は上限が決められていますので、ケアマネジャーに要望を伝えて、ケアプランを作成してもらい、最適なサービスを受けましょう。サービスを受けることで生活にメリハリができ、プライドの高さも緩和されるかもしれません。
介護保険外サービスでさらに充実のサポート
介護保険外サービスとは、介護保険を使用せずに利用できるサービスです。介護保険では受けられないサービスを介護保険外サービスでカバーします。実は介護保険外サービスの利用者はほとんどは介護する側の方です。サービスを利用すれば、その分の時間も介護に充てられるため、気持ちにも余裕が生まれるはずです。例えば通院にかかる移動時間・待ち時間・診察・会計などの時間も介護保険外サービスで生活支援を受けていれば、ゆとりを持って付き添えるのではないでしょうか。
プライド高い認知症の特徴を知ってストレスのない介護を目指しましょう
プライドが高い認知症の方は、なんでも自分でできた過去を忘れられないでいます。気難しい面があり、介護しにくいと感じるかもしれませんが、理由を知れば納得できるかもしれません。また、それぞれの特徴を知って、適切な対応や声かけをすれば、もっとスムーズに介護ができるはずです。介護に行き詰まったときは、相談窓口や介護保険サービスなどを利用し、ストレスのない介護を目指してください。
参考文献:認知症|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
タクティールケアとアニマルセラピーがあります。優しく話しかけながら、背中や手足に触れてあげると気持ちが癒されるといったケアで、特に必要な道具もありません。専門的と言っても誰もが実行できるものです。詳しくはこちらをご覧ください。
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