もし、あなたが余命を宣告されたら、どこで最期の時を過ごしたいですか?
病院で最期の時を迎えるのが当たり前だった時代から、人生最期の場所を選べる時代になってきた近年。
病気治療を優先せず痛みや苦痛を和らげ、自分らしい人生の最期を迎えられる「ホスピス」が注目を集めています。
この記事では、以下の内容を中心にご紹介します。
- ホスピスの基礎知識や特徴
- 老人ホームや病院との違い
- 入居方法
自分の人生の最期を自分らしく迎えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ホスピスと老人ホームの特徴
人生の最期を「自分らしく」迎えるホスピスをご存じの方もいるでしょう。
しかし、ホスピスが具体的にはどのような内容なのか、よくわからない方もいるかもしれません。
そこでまずはじめに、ホスピスについて理解を深めていきましょう。
そのために、ホスピスの基礎知識やホスピスが受けられる施設の種類について紹介します。
ホスピスの基礎知識
ホスピスとは、人生の最期を自然な形で迎えたいと考えている方に、病気治療や延命治療を行わず、穏やかに生活を送れるようにサポートする施設を指します。
もともとは、イギリスのロンドン郊外に開設された「がん末期患者のケア施設」がモデルで、苦痛を和らげる治療法の意味でした。
それから、ホスピスの考え方が日本にも広がり、終末期の苦痛を和らげる機能をもつ施設全般をホスピスと呼ぶようになりました。
ホスピスでは、完治の見込みがない方や病気などで余命が限られた方の苦痛を和らげる緩和治療をする場であり、身体面や心理面、社会的なサポートを総合して「ホスピスケア」と呼んでいます。
ホスピスが受けられる施設の種類
これまではホスピスが受けられる施設として、病院の緩和ケア病棟が代表的でした。
しかし、病院や自宅以外でも最期を過ごせる場所を希望する方が増えてきたことを背景に、ホスピスの機能をもった介護施設においても同様のケアが提供されるようになってきました。
そこで、ホスピスを受けられるそれぞれの施設の特徴について確認してみましょう。
病院の緩和ケア病棟
病院内に併設された「緩和ケア病棟」がホスピスとして位置づけられています。
病院で治療を行っていたものの、病状の悪化などで治癒が難しい方やホスピスを希望された方が緩和ケア病棟に移動します。
緩和ケア病棟に移ると、今までの治療法ではなく病気による身体的苦痛を和らげるケアを中心に患者をサポートし、ご家族に対しても必要に応じたサポートを行います。
同じ病院内での移動になるため、患者の病状や治療法などの情報共有がスムーズで、治療を支えるご家族の負担も少なくてすむ点は、メリットといえるでしょう。
ホスピスの機能をもった介護施設
介護施設でも「看取り加算」という特別加算によって特養(特別養護老人ホーム)などでホスピスケアと同様のサービスが提供されています。「特定施設入居者生活介護」の指定をされているサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)においても行われています。
ホスピスの機能としては、医師の指示のもと看護師が常駐し緩和ケアなどを行います。
介護施設以外のホスピス
また最近では、最期の場所として「在宅ホスピス(看取り)」を希望する方も増えています。
在宅ホスピスでは、病状や身体状況に応じて、医師や看護師などの医療従事者との連携を図り、残された余生を住み慣れた場所(自宅)で過ごせる安心感が得られるでしょう。
ホスピスケアが受けられる老人ホームに入居するには
ホスピスでは、治癒が望めない方や病気治療や延命治療を行わないと理解している方が入居可能です。
一般的に病院のホスピスの入居者(患者)の多くは、がん患者の方が中心で、難病指定の方も入院可能なところもあります。
一方で、ホスピスケアが受けられる老人ホームの多くは、症状を問わず空室の有無であったり症状が安定していたりする場合に入居できるケースがほとんどです。
ただし、重度の認知症の方や常時医療ケアが必要な場合には、相談が必要になるケースがあるので、注意しましょう。
また、基本的には、年齢や病気の進行具合で入居を断られるケースはなく、入居する本人が、余命が限られている状況だと理解しているのが条件とする施設が多いです。
そのため、余生の過ごし方について、ご本人やご家族の気持ちが一致しているかどうかがホスピスに入居するうえで重要といえます。
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ホスピスは老人ホームや病院と何が違うの?
ホスピスをはじめ老人ホームや病院に、なんらかの病気を患っている方が入居する点において差はないと考える方が多いでしょう。
では、ホスピスは老人ホームや病院と何が違うのでしょうか?
大きく違う点として以下の3つがあげられます。
- 病気治療や延命措置が目的ではない
- 個別ケアを重視し家族もケアに参加できる
- 多職種のスタッフの連携したサポートが受けられる
ホスピスとの違いを理解するためにも、それぞれについて詳しく確認しましょう。
病気治療や延命措置が目的ではない
1つ目は、病気治療や延命措置を目的としたケアが行われない点です。
ホスピスは、余命が限られた入居者に対して、抗がん剤の使用や手術といった医療行為は、さらなる苦痛やストレスを与えるものと考えられています。
そのため、あくまでも痛みや苦痛を和らげる治療を基本として、自然と人生の最期を迎えられるようにケアを行います。
個別ケアを重視し、家族もケアに参加できる
2つ目は、自由度の高さです。
ホスピスは、入居者が最期の時まで穏やかに過ごせるようにサポートするのが目的の施設です。そのため、集団ケアより個別ケアを重視しています。
入居者の心身の状態や生活リズムを尊重しながら、施設内でのイベントやレクリエーションに誘ってみたりするなど「楽しみ」をもって余生を過ごせます。
また、家族が宿泊しやすい環境(家族用の部屋を提供)が整い、入居者とできるだけ多くの時間を共有できるように配慮されているのも、自分らしく過ごしたいと希望する方には最適な環境といえるでしょう。
多職種のスタッフの連携したサポートが受けられる
3つ目は、多職種のスタッフがサポートする点です。
入居者の治療を行うために、医師や看護師、薬剤師のほか介護士や心理士、宗教家などの多職種のスタッフが連携しながら、入居者をサポートしてくれます。
さまざまな専門分野のスタッフによるサポートは、緊急時への対応や身体的苦痛の緩和、精神的な不安などの解消に役立ち、安心できるポイントです。
ホスピスケアがある老人ホームで提供されるサービスの特徴は?
ホスピスケアがある老人ホームで提供されるサービスには、身体面や精神面、社会的ケアがありますが、特に大切にしているケアは以下の3つです。
- 緩和ケア
- ターミナルケア
- 看取りケア
上記3つのケアについて、サービスの特徴を確認しましょう。
痛みを和らげる緩和ケア
ホスピスケアがある老人ホームでは、苦痛を最小限に抑えるために、看護師が常駐し医師の指示に従い、鎮痛剤などを使用したケアを行います。
なお、同じように苦痛を和らげる治療を行う病院の緩和ケアとは、ケアを開始するタイミングに違いがあります。
主にがん患者を対象に、病気治療とともに早期から苦痛の軽減を図る緩和ケアに対して、ホスピスは余命が限られた方が対象です。
終末期医療のターミナルケア
ターミナルケアは、終末期医療とも呼ばれ、余命が限られた方が自分らしく最期の時を迎えられるようにサポートするケアです。
「ターミナルケアも緩和ケアと同じでは?」と思われがちですが、治療も並行して行う緩和ケアとは違います。
ターミナルケアは、治療よりも最期の時を自分らしく迎えるためのケアとして、残された余生の充実を優先させるケアを指します。

死のその時まで看取りケア
看取りケアは上記2つのケアとは違い、死を目の前にした方に対して病気治療をせず、日常生活を送りながら自然に最期の時を迎えられるようにするケアです。
日常生活のケアを中心に、家族の意思を確認しながら医師の指示に従い、苦痛を和らげ安らかに最期を迎えるための支援を行います。
ホスピスケアが受けられる老人ホームで必要な費用相場
ホスピスケアが受けられる老人ホームに必要な費用は、入居する施設によって違います。
ホスピスが受けられる老人ホームに入居した場合には、以下のような費用が必要です。
- 入居費用(家賃に相当する費用含む)
- 食費や光熱費
- 個別の生活費
- 介護保険サービス費
入居費用(家賃に相当する費用含む)は、施設のタイプ(例:特養、老健、有料老人ホーム)や立地(例:都市部)、入居する部屋のタイプ(広さ)などで違いがあり、月額15〜30万円程度が一般的です。なお、個別の生活費の内訳は、日用品やオムツ代、理美容代などです。
また、介護保険サービス費については、介護保険が適用されます。利用した介護サービス費用は、介護度によって金額が異なり、支払いは収入に応じた自己負担額の1割〜3割で行います。
以上の費用に加え、入居する施設や利用状況によりホスピスケアに必要な費用に違いが生じますが、目安として5万円〜20万円程度は必要になる方が多いでしょう。
【参考:株式会社野村総合研究所「平成 26 年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業分」】
【参考:厚生労働省「サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説」】
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ホスピスケアがある老人ホームに入居を希望する方
ホスピスケアを視野に入れて老人ホームを探すには、どのように行動すればよいのか、疑問に思う方もいるでしょう。
ここでは、ホスピスケアがある老人ホームに入居を希望する場合の、基本的な流れと探し方について解説します。
効率よくホスピスケアがある老人ホームに入居したい方は、把握しておくとよいでしょう。
入居までの流れ
まずは、ホスピスケアがある老人ホーム(サ高住含む)の入居までの流れは、以下の通りです。
- 申し込み
- 面談
- 事前説明・見学
- 審査
- 入居
まず事前に重視する点(例:自然が豊か、景色がよい、家族が通いやすい、家族の宿泊環境が整っている、ホスピス経験が豊富など)の希望条件を定め、インターネットなどで検索して複数の候補施設を決めましょう。立地のロケーションはインターネットの地図検索機能(例:グーグルマップ)で調べましょう。
施設によって提供されるサービスや入居されるタイプなどに違いがあることもあります。気になる施設には、資料請求をして比較検討するのが大切です。
また、面談や見学の際に、スタッフの人員やホスピスケアについて確認しておくと、入居してからのイメージがしやすくなります。
ホスピスがある老人ホームの探し方
ホスピスについて理解したところで、入居したい老人ホームを探す方法を知っておくのも必要です。
主な探し方として、かかりつけ医やがん相談支援センター、地域包括支援センターなどがあげられます。
なお、病院から施設へ入居される場合は、病院内の医療ソーシャルワーカーや地域連携室に相談したり、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談したりすると、選択肢が広がり入居先を探しやすくなるでしょう。
ホスピスを探しているという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。
「プロに相談したい」という方は、ご気軽に無料相談を活用ください。
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人生の最期も「自分らしく」を叶えよう
誰しもに訪れる最期の時をいかに自分らしく過ごせるか、その願いを叶える場所が病院以外にもあります。
ホスピスを重視したケアは、老人ホームなどの介護施設や在宅においても可能です。
ホスピスが受けられる老人ホームでは、通常のケアに加えて、緩和ケア・ターミナルケア・看取りケアなどの専門的な治療を、多職種のスタッフが連携してサポートしてくれます。
ホスピスに入居を希望する場合には、ご家族との話し合いや、自分らしく過ごすために何を重視するか、どのようなサービスを受けたいかなどの希望を定めるのがポイントです。
限られた人生の最期の迎え方はさまざまです。「自分らしく」を叶える選択肢としてホスピスのある老人ホームを検討してはいかがでしょうか?
原則として要支援・要介護の人で末期の悪性腫瘍、そのほか、厚生労働大臣が定める特定疾病の人を条件としています。詳しくはこちらをご覧ください。
医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーに相談しましょう。身体状態や資産状況を踏まえた施設選びの具体例を情報提供してもらえます。また、がん患者や難病の方などはかかりつけ医やがん相談支援センターなどに相談するのもよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。