80代を過ぎると体にいろいろな不調が顕著に現れますが、その中でも特に「認知症」が現れる方が増えてきます。
物忘れが激しくなったり、今までとは人格まで変わってしまったりすることもあるので、ご家族にとっては大きな負担になるかもしれません。
本記事では、80代を過ぎてから気になる認知症の原因や対処法について解説します。現在認知症に悩んでいる、今後認知症になるのが心配という方はぜひ参考にしてください。
80代になると認知症は一気に進行してしまうの?
認知症になると生活リズムが大きく崩れてしまい、生活習慣病やそのほか疾患にかかるリスクが大幅に上がってしまいます。
また、認知症が進行すると夜間の徘徊などで安全面においても大きなリスクが出てくる可能性もあるのです。
認知症は80代を超えると一気に進行してしまうと考えられています。実際に、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%が認知症になっているというデータもあります。
高齢のご家族がいる方にとって認知症は大きな問題のため、「80代を超えると本当に一気に症状が進行してしまうのか」と疑問に思う方が多いのではないでしょうか。
じつは、80代を過ぎたからといって一気に進行するわけではなく、認知症の進行速度には個人差があり、一定の年齢を過ぎたからといってかならずしも一気に症状が進むことはありません。
後述しますが、認知症には主なもので3種類あり、それぞれ進行度がちがいます。ここからは、認知症の種類や進行する原因について解説します。
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認知症は3種類ある!種類によって80代でも進行速度はちがう
認知症と聞くと、「すぐに忘れてしまう病気」というイメージをお持ちの方が多いと思います。
ですが、じつは認知症には主な種類として3種類あり、それぞれ症状や進行速度に大きな差があります。ここでは、それぞれの認知症の特徴を解説します。
1.アルツハイマー型認知症
脳に蓄積したタンパク質が神経の働きを妨げてしまい、認知機能や記憶機能に支障を及ぼす病気です。
アルツハイマー型認知症は、3種類の中でも知名度が高く、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
アルツハイマー型認知症は、症状の進行速度があまり早くないのが特徴です。症状の進行具合は3段階あり、それぞれ見られる症状が異なります。
初期症状
最近物忘れが激しくなったり、時間を間違えてしまったりする機会が増えた方は、アルツハイマー型認知症の初期症状である可能性が高いです。
中期症状
中期症状の段階ではまだ自己を認識できますが、大切な情報を思い出せなくなったり、場所や時間の感覚がずれてしまったり、初期症状よりも進行した症状が見られます。また、易怒性が見られ周囲に対してイライラするようなケースもあります。
後期症状
後期症状になると、食事や排せつなどのサポートが必要になるほど症状が進行しています。体の動きが悪くなったり、刺激に対して反応しなくなったり、日常生活にも支障が出てしまいます。

2.脳血管性認知症
脳の血管が破れる脳出血・くも膜下出血、脳の血管が詰まる脳梗塞など、脳卒中がもたらす認知症です。ほかの認知症とはちがって、食生活や生活習慣に気を付ければ発症を防げる可能性があります。
脳血管性型認知症を発症してしまうと、歩行機能や言語機能に大きな支障が出てしまうケースもあります。重症化すると自立して歩行をするのが難しくなったり、会話がかみ合わなくなったりするのが特徴です。
脳卒中による脳細胞の壊死が原因なので、一度発症してしまった症状の改善が難しいです。脳卒中による脳細胞の壊死が原因のため、一度発症してしまうと症状の改善は難しく、進行を抑えるための治療しかできないのが特徴です。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は、だんだんと認知機能の低下が見られる認知症ですが、脳血管性認知症は、突然症状が大きく悪化したり、たったの1日で身体機能や認知機能が著しく低下してしまうリスクがあります。
3.レビー小体型認知症
大脳皮質の神経細胞内にレビー小体というタンパク質が溜まって起こる認知症です。主な症状としては、幻覚障害やパーキンソン症状などが現れ、認知機能障害・記憶障害などの症状があとから現れるケースが多いです。
令和元年に厚生労働省老健局から公表された情報によると、認知症を患っている方のうちレビー小体型認知症の方の割合は4.3%といわれています。
レビー小体型認知症の特徴としては、見えないはずのものが見える幻視や、だんだん体を動かしづらくなるパーキンソン症状が特徴です。また、睡眠中に落ち着きがなくなり大声をあげてしまうレム睡眠行動異常症や、抑うつなどの症状も見られます。
じつは、後期よりも中期の方が幻視などの認知機能障害の悪化が顕著に現れます。だんだんと進行するにつれて認知機能の低下が収まり、その代わりにパーキンソン症状が悪化していくという経過を辿るのです。
パーキンソン病や抑うつと間違えられやすいので、もしもパーキンソン症や抑うつなどの症状がすこしでも見られたら、まずは専門の医療機関を受診してください。
80代以外でも!認知症の症状を進行させる環境的要因
80代以下の方であっても、認知症の症状が一気に進行してしまう場合があります。認知症が一気に進行してしまう理由は、主に環境的要因にあります。
言い換えれば、これから解説する環境的要因を改善するだけで、認知症の症状をある程度抑えられるかもしれません。
ここからは、認知症の症状を速めてしまう環境的要因について解説します。
生活習慣が大きく乱れている
睡眠時間が短いあるいは中や逆転している、栄養バランスに気を使わないなど不規則な生活習慣を続けていると、高血圧などの生活習慣病を発症し、それが認知症の症状を進行させる原因になります。
また、血流が悪くなると脳細胞の壊死が進行してしまうため、認知症の進行を抑えたいと考えているなら、まずは生活習慣の乱れを改善する必要があるといえるでしょう。
毎日の起床や就寝の時間を一定にすれば、自律神経や交感神経が正常に機能するようになるので、認知機能の回復や向上が期待できるかもしれません。また、食事の時間を一定にしたり、味付けを薄くする、脂っこいものを控えるというのも効果的です。
生活習慣病のリスクを下げれば、それは直接的に認知症の進行を遅らせることにもつながるといえるので、ぜひ意識して取り組みましょう。
日常的にストレスがかかる環境で生活している
認知症なのに日常的なストレスが関係するの?と、疑問に思われる方が多いでしょう。
しかし、日常的なストレスは認知症の進行に大きく影響するとわかっていて、ストレスが日常的にかかる環境で生活をしている方は、認知機能や身体機能が著しく低下する傾向があります。
なぜ日常的にストレスがかかりやすい環境で生活していると認知症が進行しやすいのか、それはストレスによって脳への血流が悪くなると脳細胞の壊死が進行してしまう可能性があるからです。
認知症を発症した場合、初期症状の段階では、物忘れが激しくなったり時間や日付をよく間違えたりしてしまいます。ここで認知症かもと思われる方が多い傾向にあります。
認知症を自覚すると、だんだんとネガティブな気持ちになり気分が落ち込んでしまうので、常にストレスがかかっている状態になり、認知症の進行を速めてしまう可能性があるのです。
もしも認知症の初期症状が現れたら、家族で外出したり一緒にいる時間を増やしたりして、明るい気分になるようにサポートしましょう。
生活の中で突然大きな変化が起きた
生活の中で突然大きな変化が起きると、それが認知症の進行を速めてしまう場合があります。
例えば、長年連れ添ったパートナーを突然失ったり、仲の良い友人や親族が亡くなったりと、起きたできごとのショックが大きければ大きいほどネガティブな気持ちが強くなり、脳への血流が悪くなることで認知症の症状が急激に進む可能性があるのです。
長い人生を生きていれば、大切な人を突然失くしたり、今まで大事にしてきた物が壊れたり、大きなショック受けるできごとはいくつか起こるでしょう。
ですが、落ち込んでいるからといって過度に優しくしたり気を遣ったりすると、高齢者は周囲の人間が優しくしてくれているのに立ち直れない自分への情けなさや恥ずかしさが生まれてしまいます。
その結果としてネガティブな気持ちにつながり、余計に症状を悪化させてしまう可能性があります。
もしも高齢のご家族が突然のできごとで落ち込んでしまったら、まずはなにも言わずにそっと寄り添い、本人の気持ちが整理できるまで静かに見守りましょう。
サポート体制が万全だから自分で深く考えなくても生活できる
高齢の方に対して過度に日常生活のいろいろな作業をサポートしてしまう場合もあります。
特に今までは自分でなんでもやっていた方であっても、ちょっとしたケガや体調不良をきっかけに日常生活の大半を代行してしまう家族もいるかもしれません。
しかし、生活機能の全てを代行してしまうと考える機会が減って脳の活動量が低下するので、結果的に脳への血流が悪くなり認知症の悪化につながる可能性もあるのです。
大切なご家族なので、生活のなかのいろいろな作業をサポートして楽にしてあげたいと考える気持ちはよくわかります。ですが、そういった過度な気遣いが認知症の進行を速めてしまうのです。
家族はあえてできないところだけをサポートするという関わり方にすると脳の機能を落とさずに生活を維持していけるでしょう。
認知症が進行した方でも入居可能な老人ホーム・介護施設を知りたい方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。
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80代でも認知症の進行を遅らせられる?その方法をご紹介
80代を過ぎると、認知機能だけでなく身体機能まで著しく低下してしまいます。
身体機能が低下すると体を動かすのがつらくなって、次第に外出をしなくなってしまうので、それが認知症の進行を速めてしまいます。では、どうすれば80代の方でも認知症の進行を遅らせられるのでしょうか。
そんな疑問を解決するために、ここでは認知症の症状を遅らせる方法について解説します。

脳のトレーニングを欠かさない
認知症の進行を遅らせるのに効果的なのが、パズルやクイズによる脳のトレーニングです。脳のトレーニングを定期的に行うと、脳が思考をするという習慣がつくので、脳への血流がよくなり脳細胞の壊死を遅らせられると考えられています。
また、漢字を使ったクイズや立体的に想像力を膨らませるパズルでトレーニングを行うと、言語機能や認知機能の向上も期待できます。リハビリを行っている老人ホームなどでも、こういったトレーニングが積極的に取り入れられているところもあるのです。
家にいると1人でこういったトレーニングをする機会はないかもしれません。
老人ホームに入居するあるいはデイサービスやデイケアを活用すれば、レクリエーションやイベントなどで定期的にこれらのトレーニングを実践できます。
脳のトレーニングのために施設を利用するのもよいかもしれません。

正しい生活習慣で生活する
生活習慣が乱れると、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高くなり、それが認知症の症状を悪化させる可能性があります。睡眠サイクルや食生活など、生活習慣を規則的にすることで生活サイクルが改善され、自律神経が正常化し認知機能の向上が期待できるといえます。
認知症の症状のなかには、睡眠障害や神経障害などがあるので、いきなり生活習慣を規則的にするのは難しいかもしれません。ですが、すこしずつでもいいので生活習慣を正していけば認知症の症状を遅らせられる可能性があります。
現在では、こういった生活習慣を正すためのアプリや機器が多く開発されており、それらの機能を活用すれば簡単に生活習慣を正せるかもしれません。
適度に運動する
適度に運動をすると、身体機能や筋力が向上し、血流がよくなって認知症の進行を抑えられます。強度の高いトレーニングは体の故障などにつながるので、毎朝のラジオ体操や柔軟など、家でも簡単に行えるトレーニングがおすすめです。
トレーニングの頻度は、週2から3回以上、30分以上運動をするのが効果的です。もし可能であれば、散歩やウォーキングなど、積極的に歩いてみましょう。
週3回以上30分以上の運動を行った方は、運動をしていない方に比べて認知機能の低下が遅く、高齢者の認知症の発症を減少させられるという研究結果があります。
強度の高い運動をすればより高い効果が得られると考える方もいますが、高齢の方が突然強度の高い運動を行うと、ケガや心不全などのリスクがあるので、決して無理はしないようにしましょう。
まとめ
80代を過ぎると身体機能や認知機能が著しく低下するので、どうしても認知症が進行しやすくなってしまいます。ですが、健康習慣や運動習慣に気を付ければ、ある程度の進行は抑えられるかもしれません。
人によっては、運動が苦手、筋力が低下して動きづらい方もいらっしゃると思いますが、無理のない程度にすこしずつ実践してみましょう。
長期的に続ければ、きっとよい効果を得られるはずです。
認知症の初期段階では、同じ行動を繰り替えしたり、物忘れが激しくなったと感じる機会が多くなります。詳しくはこちらをご覧ください。
認知症になると感情の起伏が激しくなるので、以前までは起こらなかったことでも突然起こったり不安になったりすることがあります。詳しくはこちらで解説しています。