老健(介護老人保健施設)の費用の目安は?費用シミュレーションをして資金計画を立てよう

老健(介護老人保健施設)の費用の目安は?費用シミュレーションをして資金計画を立てよう

老健(介護老人保健施設)でかかる費用は大きく分けて①介護サービス費用の自己負担額②居住費③食費からなっています。相場は介護保険サービスの自己負担額や居室タイプによっても異なりますが、平均すると月額8~14万円程度です。

本記事では部屋タイプ・介護度別の費用の利用料金表、費用を抑えるコツまで徹底解説します。

 

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在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

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老健(介護老人保健施設)の費用の目安

老健とは、要介護1~5の高齢者が「病院から退院することになったが、まだ家庭に戻って自立するのは難しい」といった場合に入所して在宅復帰を目指すための公的老人ホームです。

特養(特別養護老人ホーム)と同じく公的機関が運営している介護施設であるため、民間施設が運営している介護施設よりも比較的安価に利用することができます。

老健の1カ月あたりの費用の目安は8~14万円です老健は入居金などの初期費用がかからないので、毎月の居住費、食費、介護保険サービスの自己負担額分、その他加算費用などが主な費用となります。

老健(介護老人保健施設)の月額費用の内訳

費用の仕組み

老健の毎月の費用は①介護サービスの自己負担額②居住費③食費から構成されており、それぞれの費用は施設ごとではなく本人の介護度・入居する居室・世帯所得および預貯金がいくらかによって異なります。

まず、介護サービスの自己負担額は老健に入所する本人の介護度が要介護1~5のどれにあたるか、さらに居室タイプが多床室と呼ばれる相部屋タイプの居室か個室かどうかによって異なります。また、1ユニット10人以下で生活をして決まったスタッフがケアをするユニット型居室か従来型の居室かによっても異なるのが特徴です。

次に、居住費と食費は特定入所者介護サービス費という費用の減免制度によって本人を含む世帯の年収、さらには預貯金の状況によって第1段階、第2段階、第3段階(1)、第3段階(2)、第4段階(減免無し)の5段階で費用が定められています。

段階 所得の要件 預貯金等の要件
区分 公的年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
第1段階 生活保護受給者
世帯全員が市町村民税非課税かつ老齢福祉年金を受給している 1000万円以下 2000万円以下
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
第3(1)段階 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
第3(2)段階 120万円超 500万円以下 1500万円以下
第4段階
上記以外の人

したがって、老健の費用は施設ごとに決まっているのではなく、本人の介護度や入居する居室、そして費用の大部分を占める居住費と食費は本人及び世帯の所得・預貯金によって異なるのです。

月額費用の内訳

老健の月額費用の内訳は下記の通りです。

  • 居住費
  • 食費(大体の施設が同額)
  • 日常生活費(介護度や居室タイプなどによらない)
  • 介護サービスの自己負担額
  • 介護サービス加算費用

では、これまでをふまえて介護度や、施設のタイプ別に「介護老人保健施設を利用した際に月額でどれくらいの料金がかかるのか」を計算してみました。

【介護度4、ユニット型個室、在宅強化型、負担額1割】

項目 金額
居住費 60,180円
食費 43,350円
日常生活費 10,000円
施設サービス費 30,420円
合計 143,950円

【介護度3、従来型多床室、基本型、負担額1割】

項目 金額
居住費 11,300円
食費 43,350円
日常生活費 10,000円
施設サービス費 26,400円
合計 91,500円

食費は、令和3年8月の介護報酬改定により、介護老人保健施設(老健)の食事提供に要する費用については、「基準費用額を1,380円とする」としており、大半の施設は基準費用額と同額に設定しています。

また老健では洗濯代や理美容代、電話・新聞雑誌代などが「その他の日常生活費用」として必要となります。その他費用の単位項目は施設によっても異なりますが、利用した分だけ実費を負担することとなっています。

おむつ代は料金に含まれる!

介護老人保健施設をはじめとした施設サービスでは、おむつ代はどの介護度でも同じで利用料に含まれています。そのため、おむつ代として、特別に料金が発生することはありません。

しかし、介護老人保健施設はリハビリを実施して、在宅復帰することが目的の施設です。3~6か月ごとに退所の判断がなされるため、在宅に戻った場合は必然的におむつ代が必要になるでしょう。

老健(介護老人保健施設)の費用の居室タイプ料金表

老健の費用は居室タイプおよび介護度特定入所者介護サービス費の段階によって大きく異なります。さらに、在宅復帰率やベッド回転率、重度の介護者の利用割合などが一定の基準を満たすと「在宅強化型」と指定され充実したサービス受けるため、費用が高くなります。

そこで本章では4つの居室タイプと基本型・在宅強化型のかけ合わせの料金表を紹介していきます。

居室タイプ

ユニット型個室の料金

ユニット型個室とは、9人程度のユニットを組み、中央に共同生活室を置いた完全個室型の部屋です。プライバシーを守りながらも、ユニット単位で家庭的な交流やケアが受けられる居住スタイルです。

基本型と在宅強化型の介護度別利用料金表は以下の通りです。

※第4段階(=補足給付対象外)の場合で計算

介護度 基本型 在宅強化型
要介護1 127,410円 128,760円
要介護2 128,760円 130,980円
要介護3 130,620円 132,870円
要介護4 132,210円 134,580円
要介護5 133,800円 136,230円

ユニット型個室的多床室の料金

ユニット型個室的多床室は、9人程度のユニットを組み、中央に共同生活室を置いている多床型居室となります。部屋は大部屋を簡易的な壁で仕切っているので、完全個室ではないのが特徴です。費用を抑えつつも、ユニット単位で生活支援やリハビリが受けられるため、安心感と効率的なケアを両立できます。

基本型と在宅強化型の介護度別利用料金表は以下の通りです。

※第4段階(=補足給付対象外)の場合で計算

介護度 基本型 在宅強化型
要介護1 117,270円 11,8620円
要介護2 118,620円 12,0840円
要介護3 120,480円 12,2730円
要介護4 122,070円 12,4440円
要介護5 123,660円 12,6090円

従来型個室の料金

従来型個室はユニット型の介護を取り入れておらず、壁で区切られた完全個室のタイプの部屋です。周囲に気兼ねせず静かに過ごせる個室タイプで、医療・介護ケアを受けながらも落ち着いた時間を保てます。

基本型と在宅強化型の介護度別利用料金表は以下の通りです。

※第4段階(=補足給付対象外)の場合で計算

介護度 基本型 在宅強化型
要介護1 114,810円 116,070円
要介護2 116,160円 118,230円
要介護3 118,020円 120,090円
要介護4 119,610円 121,770円
要介護5 121,140円 123,480円

従来型多床室の料金

従来型多床室は病院のようなイメージで、カーテンなどで区切られた相部屋タイプの部屋です。費用負担が最も軽く、スタッフの目が届きやすいため、比較的見守りが必要な方に適した環境です。

基本型と在宅強化型の介護度別利用料金表は以下の通りです。

※第4段階(=補足給付対象外)の場合で計算

介護度 基本型 在宅強化型
要介護1 78,300円 79,740円
要介護2 79,740円 81,960円
要介護3 81,600円 83,880円
要介護4 83,130円 85,560円
要介護5 84,750円 87,210円

※なお、上記の費用は次の出典より独自に作成したものです。出典 厚生労働省「介護報酬の算定構造
※第4段階の負担額は施設における平均費用を鑑みて国が定めた基準費用額です。具体的な費用負担は施設の基準によって異なるので注意してください。

加算型の老健とは?

介護保険サービス費用は職員の配置や体制、対応する医療サービスなどに応じて介護サービス加算をされることがあります。そのため、「加算型」の老健と呼ばれる施設は、「在宅強化型」と「基本型」の中間に位置する機能レベルの老健を指します。

老健での介護サービス加算としては、食事サービスに付随する療養食加算や、在宅復帰への支援が充実したサービスを受けることによる在宅復帰・在宅療養支援機能加算などがあげられます。

主なサービス加算は以下の表をご覧ください。

加算項目 1日あたり 30日間あたり
夜勤職員配置加算 24円 720円
短期集中リハビリテーション実施 加算 240円 7200円
認知症短期集中リハビリテーションン実施加算 240円 7200円
認知症ケア加算 76円 2280円
若年性認知症 入所者受入加算 120円 3600円
在宅復帰・在宅療養支援機能 加算 27円 810円
ターミナルケア加算 160円 4800円
療養体制維持特別加算 27円 810円
初期加算 30円 900円
入所前後訪問指導加算 450円※1回を限度
退所前訪問指導加算 460円※1回を限度
退所後訪問指導加算 460円※1回を限度
退所時指導加算 400円※1回を限度
退所時情報提供加算 500円※1回を限度
退所前連携加算 500円※1回を限度
老人訪問看護指示加算 300円※1回を限度
栄養マネジメント加算 14円 420円
経口移行加算 28円 840円
経口維持加算 (Ⅰ) 400円※ひと月につき
経口維持加算 (Ⅱ) 100円※ひと月につき
口腔衛生管理体制加算 30円※ひと月につき
口腔衛生管理加算 110円※ひと月につき
療養食加算 18円 540円
在宅復帰支援機能加算 5円 150円
認知症専門ケア加算 3円 90円
認知症行動・心理症状 緊急対応加算 200円 6000円
認知症情報提供加算 350円※ひと月につき
地域連携診療計画情報提供加算 300円※ひと月につき
サービス提供体制強化加算 18円 540円

※厚生労働省 社保審-介護給付費分科会「老健(参考資料)」より抜粋

これらのサービス加算は、利用者ごとの状態やサービス内容によって、加算の有無・種類が異なるため、利用者ごとに月額料金が変わります。老健に入所する前に「この状態だとどのような加算が想定されるか?」を確認しておくことで、月額の予算を立てやすくなったり、在宅強化型との料金比較がしやすくなったりするため、予め相談・確認をしておくと良いでしょう。

また「予算内で安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、入居相談員が施設ごとに実施するサービスや予算感、施設の設備などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。

「介護サービスと生活環境に納得できる施設を選びたい」という方も、まずは無料相談からご利用ください。

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老健(介護老人保健施設)の費用をシミュレーターで計算しよう

老健(介護老人保健施設)の費用は、①希望する居室タイプ ②入居者の介護度 ③介護保険の自己負担割合 ④負担限度額段階の4つの要素によって決まっています。

自分がいくらになるのか知りたい人は以下のシミュレーターで計算してみましょう。

介護老人保健施設(老健)の
費用シミュレーター
1ヶ月ご利用料金(30日を基準とした概算)
0
1日あたり(①+②+③)
0
①介護保険自己負担額
0
②食費
0
③居住費
0
※「食費+居住費+介護サービス費用」×30日で算出した金額となります。
※ 1単位10円として計算しています。
※ 加算項目は含まれていません。
※ 日数や端数の処理によって誤差が出ることがございます。
※ 出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」「利用者負担の軽減について

老健(介護老人保健施設)は年金だけで払える?

老健の費用目安

老健の費用は、すべての人が加入する年金制度である国民年金だけでは支払いは難しい場合がありますが、会社員や公務員が加入する厚生年金を合わせれば支払いできるケースがあります。

老健でかかる月額費用は居室や本人の負担能力によっても異なりますが、およそ6~17万円程度で収まる場合がほとんどです。

厚生年金と国民年金の両方支給されている人は月20万円程度支給されるので入居できますが、国民年金だけだと5~6万円程度なので入居が難しいことになります。

とはいえ、給付される年金は厚生年金と国民年金の違いや納めた保険料によって異なるので、まずは自分が受け取ることができる保険料から確認していきましょう。

老健(介護老人保健施設)の費用を安くするには?

老健は公的施設であるため比較的料金が安く設定されていますが、様々な加算費用があるため場合によっては特養などよりも高い金額になることがあります。

そこで老健の費用を抑える方法としては、

  • 減免制度を利用する
  • 世帯分離をする
  • 生活保護を受給する

などの方法があります。それぞれの方法について解説していきます。

減免制度を利用する

老健の費用を安くするための一つの方法として、減免制度を利用する方法があります。利用できる減免制度として、主に以下6つの制度が挙げられます。

  • 高額介護サービス費:老健を利用した際の1か月に支払った自己負担が上限を超えた場合、超過して支払った分のお金が返還される
  • 特定入所者介護サービス費:介護保険施設に入所している方で所得や資産などが一定の基準以下の方に対し、負担限度額を超える居住費と食費が支給される
  • 高額医療・高額介護合算制度:同一の医療保険の世帯内で医療保険と介護保険の両方に自己負担が発生した場合、合算後の負担額が決められた上限額を超えた場合に軽減できる
  • 介護保険負担限度額認定:主に居住費と食費において、所得に応じた減額を受けることができる
  • 医療費控除:該当する年の1月1日から12月31日までの1年間で、自分や家族が合計10万円を超える医療費を支払った場合、超過分を所得から控除できる
  • 地域支援事業:自治体ごとに用意している

各制度の詳細や減免額などについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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世帯分離する

世帯分離とは、一つの家に同居しながらも住民票を二つの世帯に分けること(親と子、夫婦間など)を言います。

例えば以下のような場合です。

同一世帯 父親(世帯主)・母親・自分・自分の配偶者・自分の子
世帯分離 ①父親(世帯主)・母親 ②自分(世帯主)・自分の配偶者・自分の子

世帯分離をすることによって、一世帯当たりの所得が減るため「高額介護サービス費」 などの減免制度の負担限度額を上げることができるので、結果的に月々の支払額を抑えることができます。

また、介護保険料も所得に応じて負担額が変動するので、世帯ごとの所得を減らすことによって介護保険料も減らすことができます。

ただし、世帯分離をしても、それぞれの世帯に高所得者がいた場合などは、国民健康保険料の支払額が高くなってしまうこともあるため、注意が必要になります。

生活保護を受給する

老健の費用を最小限まで下げたい、年金だけで老健の費用を支払えないという場合の一つの対処法としては、生活保護の受給があります。

生活保護を受給するには、世帯年収が最低生活費に満たないことが条件となっている他、様々な条件があるため、生活保護の受給をしたい場合は、市区町村の生活支援担当窓口やケアマネジャーなどに相談しながら進めることが大切です。

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老健(介護老人保健施設)の資金計画は早めに立てよう

高齢者の増加や介護サービスを利用する人が増えたことにより、老健の利用にかかる費用も増加傾向にあります。そのため、介護資金は現役世代のうちに十分に貯蓄しておくことが大切であり、早めから資金計画を立てておきましょう。

もし資金の捻出が難しい場合は、コスト負担を軽減できないか、あるいはより安く利用できる老健はないかなど、地域包括支援センターの職員に相談してみることがおすすめです。老後の生活では費用面での心配が出やすいため、資金計画は早めに立てて、無理なくコストを捻出できるようにしておきましょう。

老健(介護老人保健施設)の費用の目安はいくら?

老健の1カ月あたりの費用の目安は8~14万円です。老健は入居金などの初期費用がかからないので、毎月の居住費、食費、介護保険サービスの自己負担額分、その他加算費用などが主な費用となります。詳しくはこちらをご覧ください。

老健(介護老人保健施設)の費用が高くなる人の特徴は?

老健の費用が高くなる人として最初に挙げられる特徴は、入居者本人または世帯員が市区町村民税課税世帯であることです。また、ユニット型または在宅強化型の老健に入所している方も高くなる傾向にあります。詳しくはこちらをご覧ください。

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