「特養って入居するまで期間がかかるって聞いたけど、実際どれくらいの入居待ちの人がいるのだろうか?」
国からの補助金を受けて運営している特養(特別養護老人ホーム)は、介護保険を利用すれば費用を抑えられるので入所を検討している方が多いです。
ですが、年々高齢者が増え続けている影響もあり、特養への待機者数は高止まりが続いています。そのため、申請してからどれくらいで入所できるのか心配になってしまう方も少なくありません。
本記事では、特別養護老人ホームの現在の待機者数やその背景について解説します。また、特養に早く入所するためのコツも紹介するため、特養への入所を検討している方はぜひ参考にしてください。
特養(特別養護老人ホーム)の待機者数は?
厚生労働省によると、2022年4月時点における特養(特別養護老人ホーム)の待機者数は、27.5万人いると報告しています。
前回(2019年4月)の調査では、特養の入居申し込み者は32.6万人と算出していたため、3年間で5.1万人減少しています。
なお、要介護別の待機者数を下記の表にまとめました。
要介護1・2 | 要介護3以上 | |
全体 |
2.2万人 |
25.3万人 |
うち在宅の方 |
1.1万人 |
10.6万人 |
特養の入所申込者数は大幅に減少してはいるものの、依然として待機者数は多いです。
参照:厚生労働省 [特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)]
主要都市別の待機者数
下記の表は、各自治体や厚生労働省が掲示しているデータをもとに、主要都市別の特養(特別養護老人ホーム)の待機者数を一覧にまとめたものです。
お住まいの地域の特養には、どれくらいの待機者数がいるのか参考にしてください。
主要都市名 | 入所待機者数(重複申込等を含む) |
札幌 |
3,202 |
仙台 |
3,957 |
さいたま |
1,054 |
東京都特別区部 |
68,323 |
千葉(千葉県) |
11,309 |
横浜 |
5,131 |
川崎 |
13,755 |
相模原 |
190 |
新潟(新潟県) |
10,834 |
静岡 |
2,276 |
浜松 |
5,462 |
名古屋 |
10,230 |
京都(京都府) |
9,108 |
大阪 |
3,296 |
堺 |
4,388 |
神戸(兵庫県) |
13,895 |
岡山 |
3,948 |
広島 |
7,244 |
北九州 |
2,218 |
福岡 |
4,808 |
2023年3月調査時点の数値を記載
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特養(特別養護老人ホーム)はどれくらい待機する?
特養(特別養護老人ホーム)の平均待機期間は、2~3年ほどといわれています。ただし、申請者の体調や疾患の状態によっては、申込から数カ月で入所が決まることもあります。
なぜなら、特養は申し込み順に入所が決まるわけではなく、施設側が行う入所判定会議によって優先順位が決まるからです。
この章では、特養の入所の優先順位がどのように決まるのかについて解説していきます。
特養の入所優先順位
特養(特別養護老人ホーム)の入所優先順位は、申込時に提出した入所申込書や事前面談時の内容をもとに、施設側が定めた基準に沿って「判定点数」を算出し、点数が高い人から入所が決まります。
特養の入所判定の基準は、主に3つで構成されます。
- 本人の状況
- 介護者の状況
- 生活経済の状況
上記の項目から分かるように、「要介護5だから」「認知症を患っているから」という理由のみで優先的に入所が決まるわけではありません。
介護者の就労状況(例:週20時間以上勤務している)や介護サービスの利用状況(例:通算の施設サービス利用期間)などを総合的に考慮したうえで、入所の優先順位が決まります。
自治体によっては入所判定の基準をホームページに掲載していることもあるため、入所を検討する際は一度確認してみると良いでしょう。
- 関連記事特養(特別養護老人ホーム)の入所優先順位とは?判定基準や優先順位を上げる方法も紹介!カテゴリ:特別養護老人ホーム更新日:2023-03-28
- 関連記事特養(特別養護老人ホーム)の入所判定会議とは?実例とともに優先順位を上げる方法も紹介!カテゴリ:特別養護老人ホーム更新日:2023-03-28
では、待機期間を早めることはできないのか。実は特養の入所を早くするためにはコツがあります。次章にて詳しく解説していきます。
特養(特別養護老人ホーム)に待機せずに入るには?
特養(特別養護老人ホーム)に待機せずに入所するコツとして、以下の方法が効果的です。
- 入所の緊急度を上げる
- 申込書の特記事項を記載する
- 変化があれば細かく報告する
特養は入所待機者が多い上に、施設側が定めた入所判定基準に沿って優先順位が決まります。そのため入所を早める方法はないと諦めがちですが、正攻法として待機期間を短くするコツがいくつかあります。
上記について、順に詳しく解説していきます。
入所の緊急度を上げる
特養(特別養護老人ホーム)への入所の緊急性を上げることにより、判定点数が上がります。
特養の入所優先順位は、本人の状況だけでなく、介護者の状況も考慮されます。入所希望者の要介護度や自立度を意図的に変更することはできませんが、例えば共働きにすることによって緊急度を上げることは可能です。
専業主婦(主夫)がいる家庭と共働きの家庭とでは、日中介護ができる専業主婦(主夫)がいる家庭の方が、入所の優先順位が低くなります。
ここで言う共働きとは、必ずしも正社員である必要はありません。判定基準においては雇用形態にかかわらず「週20時間以上就業している」ことを基準に定めているケースが多いです。専業主婦(主夫)がいる家庭であれば、一度共働きを検討するのも良いでしょう。
申込書の特記事項を記載する
特養(特別養護老人ホーム)へ申し込む際に、書類の特記事項欄を埋めることで緊急性をアピールできます。
前述のとおり、特養への入所優先順位は施設側で行う入所判定会議で決まります。その際の判定点数は、事前の面談内容や入居希望者が提出した「入所申込書」をもとに判断されます。
そのため、特記事項欄には「特養の職員に伝えたい入所の緊急度」や「在宅介護を続けていくのが厳しい点」など、詳細を具体的に記載しましょう。すでに介護施設に入所している方ならば、なぜ現在の介護施設に入所することが厳しいのかという理由を明確にすることが大切です。
もし特記事項欄に収まらない場合は、別紙に記載するのも良いでしょう。ただし自治体によっては別紙を禁止しているケースもあるため、事前に役所や施設に確認しましょう。
変化があれば細かく報告する
特養(特別養護老人ホーム)へ申し込み後も、要介護度や経済状況に変化があれば、細かく報告しましょう。
特養へ申し込んだ後は、あとは施設から連絡が来るまで待とうと考える方が多いです。待機期間中に要介護度に変化があったり、認知症が進行したりなどの変化があれば、逐一報告しましょう。
待機期間中に施設側から「現状はいかがでしょうか」といった連絡はなく、入所の順番が近づき次第連絡を入れるのが一般的です。施設によっては、要介護度や家庭環境の変化があった際には必ず連絡してくださいと注意書きをしているところもあります。
特養に早く入所するためにも、こまめな連絡は大切です。入居予定者の身体状況や家庭環境に変化があった際には、必ず報告しましょう。
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特養(特別養護老人ホーム)の待機者数が多くなる5つの理由
特養(特別養護老人ホーム)の待機者数が多い理由として、主に5つの要因が挙げられます。
- 入居費用が安い
- 終身で利用ができる
- 24時間体制で介護スタッフが常駐している
- 地域密着型の施設もある
- 国から補助金が出てる
ここまで特養の待機者数や判定基準などを解説してきましたが、そもそもなぜ特別養護老人ホームはこんなにも人気があるのでしょうか。
この章では、特別養護老人ホームの待機者数が多くなる5つの理由について、順に詳しく解説していきます。
入居費用が安い
特養(特別養護老人ホーム)の特徴として、入居に関する自己負担額が低いことが挙げられます。
特養は国の福祉事業として補助金が出ているため、入居者は少ない費用で入居することが可能です。初期費用として支払うことが多い入居一時金もなく、月額費用は自己負担額は所得に応じて変化するため、生活保護を受けているなどの収入が低い方でも入所することができます。
民間企業が運営している介護施設と比べて費用が非常に安くなるというメリットから、有料老人ホームから特養へ移行したいと考えている方も多いです。そのため、特養の待機期間中は有料老人ホームに入居するケースも少なくありません。
終身で利用ができる
特養(特別養護老人ホーム)の多くが看取り対応をしていくれるため、終身にわたって利用できることも魅力の一つです。
看取りとは、無理な延命治療を行わずに、入居者が自然に亡くなるまで食事や入浴などの介護を通じて見守ることとされています。特養は終身にわたって利用できることから「終の棲家」と呼ばれることもあります。
つまり、終の棲家として利用するので入所期間は必然的に長くなるといえます。一人ひとりの入所期間が長い分、待機期間が長くなってしまいます。
24時間体制で介護スタッフが常駐している
特養(特別養護老人ホーム)では介護スタッフが24時間体制で常駐しています。
厚生労働省が設定している特養の人員基準として、入居者と介護職員の割合が「3:1」になるように義務付けています。日中の生活支援はもちろん、夜間に介助が必要になった時にもスタッフが駆けつけてくれます。
要介護度が高くても安心して入所することができるという点から、特養へ申し込む方が多くなります。
地域密着型の施設もある
小規模事業所が運営する地域密着型の特養(特別養護老人ホーム)では、住み慣れた地域で家族と結びつきながら生活をすることができます。
地域密着型の特養は定員が29人以下に限定されています。少数人であるため家庭的で明るい雰囲気の中、自立した生活を送れるようサポートしてもらえます。
従来の施設ような大人数での生活が苦手な方以外でも入居できる施設が増えてきていることも、入居待機者数の増加の要因です。
国から補助金が出てる
特養(特別養護老人ホーム)の運営元は社会福祉法人が多く、福祉事業として国からの補助金が出ています。そのため、入居者は費用を抑えられるのみならず、施設にとっても安定した運営を行うことができます。
民間企業が運営する有料老人ホームなどと比べて突然閉鎖するリスクも少なく、長期にわたって安心して施設に預けられるという理由で特養を選ぶ方も多いです。
特養(特別養護老人ホーム)の待機期間をどう乗り切る?
特養(特別養護老人ホーム)の待機期間を乗り切る方法として、下記の3つが挙げられます。
- ショートステイを活用する
- 在宅介護サービスを使う
- 一時的に介護施設に入所する
特養に入所するまで2~3年も入所を待たねばならないならば、一体どうやって介護期間を乗り切らな開ければならないのだろうとお悩みの方も多いでしょう。
この章では、特養の待機期間を乗り切る方法について、詳しく解説していきます。なおここで紹介する方法は、特養の入所優先順位を上げることにもつながるため、是非参考にしてください。
ショートステイを活用する
ショートステイ(短期入所生活介護)を利用することにより、在宅介護の負担を大幅に減らすことができます。
ショートステイは最短1日から最長で30日間利用することができます。1日自宅に帰れば、その翌日から30日間利用することも可能です。
また、特養(特別養護老人ホーム)の中には長期入所の他にショートステイやデイサービスを実施している施設もあります。可能ならば入所を希望している特養の介護サービスを積極的に利用しましょう。
特養が提供している介護サービスを利用することにより、施設職員に顔を覚えてもらうというメリットがあります。入所者を受け入れる側にとっても、全く知らない方よりは、ある程度事情を知っている人の方が受け入れやすいといえます。
特養のスタッフに名前を覚えてもらうという点でも、積極的にショートステイを活用しましょう。
在宅介護サービスを使う
自宅で使える介護サービスを活用することで、日中の介護の負担を減らすことができます。訪問介護やデイケアなど、宿泊以外のサービスを積極的に活用しましょう。
自治体によっては「過去3か月以内の介護サービスの利用状況」を入所判定基準に加えているところもあります。介護サービスの利用頻度が高いため、施設に入所する必要性が高いと判断されます。
可能ならば、特養(特別養護老人ホーム)が提供しているデイサービスなどを利用することで、顔を覚えてもらいつつ、利用頻度を上げることにつながります。
介護の負担を減らすためにも、一度ケアマネジャーに相談してみましょう。
一時的に介護施設に入所する
待機期間中に日中の介護がどうしてもできない場合は、一時的に他の介護施設に入所することも考えられます。
特養(特別養護老人ホーム)に入所できるかは、実際のところ待機者数からは判断ができません。入所一時金のない有料老人ホームなどに入所して、待機間の生活の場として検討する価値はあります。
また、自治体によっては「介護施設の通算入居年数」を入所判定基準にしているところもあります。施設に長く入居している人ほど、介護の必要性が上がるケースがあります。
ただし、老人ホームを退去する際に金銭トラブルが発生するケースは多いです。入所を決める前に、契約内容に不都合なことがないかよく確認しましょう。
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特養(特別養護老人ホーム)の待機者数は今後減っていく可能性が高い
厚生労働省のデータを見ると、今後特養(特別養護老人ホーム)の待機者数は減少していく可能性が高いです。
特養は、2014年の段階で約50万人もの待機者数を抱えており、待機者数が減らない状態が続いていたため大きな社会問題となりました。その後、2015年に「在宅での生活が困難な中重度の高齢者を支える施設としての機能に重点化すべきである」という理念のもと制度改正が行われました。
この制度改正を機に、それまでは制限の緩かった特養が、原則として要介護3以上の生活が困難な中重度の高齢者が入所対象であると正式に決定しました。それによって、問題となっていた待機者数は年々減少し、2019年には29.2万人、2022年では27.5万まで減少しました。
なお、年々待機者数が減少している理由について、厚生労働省は過疎地域を中心に高齢者人口そのものが減少していることや、特養以外の介護施設が増えてきていることがあげられるとしています。
とはいえ、依然として特養は人気が高く、入居申し込み者数も高止まりしている状態です。待機者数のさらなる減少にはもう少し時間がかかりそうです。
参照:NHK [“特養待機者”減少も約27万5000人希望 厚労省]
特養(特別養護老人ホーム)で快適な老後の生活を!
この記事では、特養(特別養護老人ホーム)の現在の待機者数やその背景について解説してきました。
特養の待機者数は年々減少傾向にあるものの、依然として申込者は高止まりしているのが現状です。ただ、今後他の介護施設が充実していくと、相対的に特養への入所希望者が減少することも考えられます。
特養に申し込む際には、ぜひこの記事で紹介したような早く入所するコツを活用して、快適な老後生活を送りましょう。
厚生労働省によると、2022年4月時点のおける特養(特別養護老人ホーム)の待機者数は、27.5万人と報告しています。詳しくはこちらをご覧ください。
特養(特別養護老人ホーム)の平均待機期間は、2~3年ほどといわれています。ただし、申請者の体調や疾患の状態によっては、申込から数カ月で入所が決まることもあります。詳しくはこちらをご覧ください。