特養(特別養護老人ホーム)で対応可能な医療行為とは?探し方も解説

特養(特別養護老人ホーム)で対応可能な医療行為とは?探し方も解説

「胃ろうがあるけれど特別養護老人ホームに入れるか不安」「持病があってインスリン注射が必要だけど施設に入れるのだろうか?」など、医療行為が必要な方にとって施設の受け入れ態勢に不安を感じている方も多いでしょう。

医療行為は、医師や看護師など有資格者しかできないものもあります。特別養護老人ホームには医師や看護師が配置されており、医療行為の必要な方が施設入居を希望するときに候補に挙がりやすいものです。この記事では、特別養護老人ホームで対応できる医療行為の範囲を紹介します。

本人が必要とする医療行為を確実に行ってくれる施設の探し方も紹介するので、医療ケアが必要な方に合う施設をなかなか見つけられず困っている方は参考にしてください。

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株式会社スターコンサルティンググループ 代表取締役
専門分野:介護事業経営

株式会社JTBで企業、自治体の海外視察を担当後、大手コンサルティング会社の株式会社船井総合研究所に入社。介護保険施行当初、自ら介護事業に特化したグループを立ち上げ、マネージャーとして勤務。その後、介護サービスに特化したコンサルティング会社「株式会社スターコンサルティンググループ」を立ち上げ、専門家集団として活動している。サポート領域としては、介護施設の開設から集客(稼働率アップ)、採用、教育研修システム・評価制度の導入、DX化などを幅広く支援。「日本一」と呼ばれる事例を、数々生み出してきた。コンサルティング実績500法人以上、講演実績700回以上。また「ガイアの夜明け(テレビ東京)」など、テレビ、新聞、雑誌の取材も多い。詳しくはこちら

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特養(特別養護老人ホーム)には看護師が配置されている

特別養護老人ホームとは、日常生活において介護サポートを必要とする高齢者のための施設です。入居の条件は原則として要介護3~5の高齢者のみで、要介護者の中でもサポートがなければ生活するのが難しい方が利用しています。

特別養護老人ホームは医師や看護師の配置が義務付けられており、、医療行為が必要な高齢者は一番に入居を検討するケースが多いでしょう。ただし、特別養護老人ホームには医師は、回診することが役割であり、常駐が義務付けられていません。そのため、施設によっては非常時に必要な医療処置が受けられない可能性があります。人員体制も施設によって異なっていて、受けられる医療行為の種類にも違いがあるようです。

また、人気の高い施設であるため受け入れの仕方も介護度が重い方などといった優先度の高い方からとなっています。現在の待機者は29.2万人を超えているといった調査結果もあり、入居希望を申請してもなかなか入れないのが現状です。

しかし介護度が重くなればなるほど自宅での介護は困難になるため、早めに行動を起こすのが大切となります。愛する家族や皆さんの幸せな日常を守るためにも、介護が必要になった早期の段階で施設を運営する地方自治体や社会福祉法人に相談しましょう。

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特養(特別養護老人ホーム)で対応できる医療行為とは?

特別養護老人ホームは地方自治体や社会福祉法人が運営する施設で、医師や看護師の配置が定められています。そのため入居すればある程度の医療行為を受けられますが、だからといってすべての医療ケアを受けられるわけではありません。施設内で使用できる医療器材には限りがあるうえ、人員配置も施設によって異なるので医療行為によっては対応していないものもあります。

そのため、特別養護老人ホームへの入居を検討する際には、必要不可欠な医療行為は実施しているのかどうか事前に確認するのがとても大切です。

特別養護老人ホームで受けられるケースが多い医療行為は、以下の通りです。

  • 褥瘡(じょくそう)の処置
  • 痰の吸引
  • 人工呼吸器管理
  • 胃ろう
  • インシュリン注射
  • 軟膏塗布 など

上記以外にも対応している処置があるケースも多いようなので、上記以外の医療ケアが必要な方は気になる施設へ直接問い合わせてみるとよいでしょう。

特養(特別養護老人ホーム)で対応できる医療行為を職種別に解説

特別養護老人ホームには医師免許を有する医師、看護師、研修を受けた介護福祉士が在籍しています。老人ホームであるにも関わらず複数の医療職が在籍しているのは、職種によって担当できる業務の範囲が定められているからです。

ここでは、特別養護老人ホームに在籍する職種ごとに対応できる医療行為について説明します。

医師

医師が行ってくれることは、以下の通りです。

  • 診察
  • 点滴
  • 注射
  • 処方
  • 応急処置
  • 心肺蘇生
  • 人工透析 など

医師が行ってくれるのは、診察や点滴、注射などがメインです。薬が必要な場合には処方、予防接種の注射や体調不良時に点滴も行ってくれます。また、施設にもよりますが、人工透析に対応しているところもあるようです。

看護師

看護師が対応できる主な医療行為は、以下の通りです。

喀痰吸引 定期的に専用の吸引機を使用して痰を吸引する
中心静脈栄養 消化器官の衰えが著しく経口からの栄養摂取が難しい方に対し、点滴を施行して栄養を補う
経管栄養(胃ろうなど) 飲み込む力が弱くなった方に対し、胃や腸に設置したカテーテルに栄養剤を注入する
インスリン注射 糖尿病患者に対し、血糖値を下げるためにインスリン注射をする
人工呼吸器の管理 心肺機能などに持病がある方に使用するHMV(在宅人工呼吸器)を管理する
褥瘡(じょくそう)処置 定期的に体勢を変えたり創部に薬を塗布したりして褥瘡の改善を図る
ストーマ装具の貼り替え 人口肛門・人口膀胱(ストーマ)に使用する器具の貼り替えを行う

看護師は、医師の指示に基づいて上記のような医療処置を行ってくれます。

法律に定められた研修を受けた介護福祉士

続いて、研修を受けた介護福祉士が対応できる医療行為をみていきましょう。

  • 喀痰吸引
  • 経管栄養

社会福祉士法及び介護福祉士法施行規則第4条が定める「喀痰吸引等研修」を修了し、「認定特定行為業務従事者」として認定を受けている場合に限り、本来は医療行為である「喀痰吸引」と「経管栄養」に対応できます。

喀痰吸引等研修とは「痰の吸引」と「経管栄養」ができる介護職員を養成するための研修で50時間の講義を受講し、基本研修・実地演習を終えることで医師の指示や看護師との連携のもと「喀痰吸引」と「経管栄養」を実施できるようになります。

介護福祉士しか在籍していない施設であっても、認定特定行為業務従事者の認定を受けているスタッフがいるのなら痰の吸引や経管栄養も対応可能なので、入居を迷う施設があれば問い合わせてみるとよいでしょう。

介護福祉士

続いて、通常の介護福祉士が対応できる医療行為は以下の通りです。

  • 体温測定
  • 脈拍測定
  • 血圧測定
  • 酸素飽和度測定
  • 褥瘡の観察
  • ひげそり・爪切り
  • 与薬
  • 外用薬の塗布
  • 点眼薬の点眼
  • 貼付薬の貼付

研修を受けていない介護福祉士は、基本的に医師や看護師の指示のもと薬の服用のサポートや血圧や脈拍の測定と記録を行うのが主な医療行為となっています。

医療行為ができる特養(特別養護老人ホーム)の探し方

特別養護老人ホームの入居条件は原則として要介護3~5の高齢者なので、自力での生活が難しいうえに専門的な医療行為を受ける必要があります。とはいえ、なにも知識がない状態で施設を探すのはとても大変でしょう。

人それぞれ必要な医療行為は違いますし、持病の度合いによっては入居を拒否されてしまう可能性もあります。ここでは、本人に合った特別養護老人ホームの上手な探し方を紹介します。

医療行為の内容・必要な時間帯を詳しく確認

高齢者の中には、飲み込む力が衰えた影響で痰や唾液が喉に絡んで窒息を起こす方も多く見受けられます。そのため定期的な吸引が必要になりますが、必要な時に十分に対応してもらえるか事前に詳しく確認するとよいです。

痰の吸引だけでなく、インスリン注射や経管栄養など医師や医師から指示を受けた看護師しか対応できない医療行為もあります。そのため、本人にとって必要な医療行為を行ってくれる施設かどうかを事前によく確認するのが大切です。

医療行為に対応しているほかの介護施設も検討する

特別養護老人ホームは、待機者が多く見受けられる施設です。本人に必要な医療行為を行ってくれる施設であったとしても、何年も待たないと入れない可能性があります。そのため、入居できるまでに本人はもちろん家族にとっても大きな負担がかかってしまうでしょう。

しかし、医療行為に対応している介護施設は特別養護老人ホームだけではありません。対応できる医療行為の範囲は施設によって異なりますが、特別養護老人ホームにこだわらずにほかの施設も検討してください。

特別養護老人ホーム以外の施設を探すのであれば、ケアマネジャーや病院のケースワーカーなどに相談するか、施設に直接問い合わせるとよいでしょう。厚労省が提供している「介護サービス情報公開検索システム」もとても便利です。気になる施設へ直接問い合わせてみるとともに、介護サービス情報公開検索システムも活用してみましょう。

医療機関との連携や送迎ができる介護施設を検討する

医療法人が運営している特別養護老人ホームは、対応できる医療行為の範囲が広いケースが多く見受けられます。また、特別養護老人ホームでなくても医療機関と連携している施設では適宜往診をしてもらえるなどの手厚い医療ケアを用意している施設もあります。

医療機関と連携しているので医師や看護師といったスタッフや医療機器は整っていますし、なにより緊急時にも迅速に対応してもらえるので安心して利用可能です。

特養(特別養護老人ホーム)以外に医療行為が充実している介護施設とは?

充実した医療行為を受けられるのは特別養護老人ホームだけだと思っている方が多いでしょう。しかし実は、特別養護老人ホーム以外にも医療行為が充実している介護施設はいくつかあります。

ここでは、特別養護老人ホーム以外で手厚い医療行為を受けられる施設の種類と特徴を紹介します。

介護療養型医療施設|病院または診療所に分類される施設

介護療養型医療施設は、急性疾患が原因で寝たきりになった回復期にある方を受け入れる施設です。一般的な介護施設との大きな違いは、「心身ともに回復するのを前提とした医療行為を目的とした施設」といった点です。

一般的な介護施設は終身制ですが、介護療養型医療施設はある程度回復した段階で退所を求められるケースもあります。入居を希望したとしても、回復の見込みがない高齢者の方は入居を拒否される可能性が高いのでご注意ください。入所対象者は、医学的管理が必要な要介護1以上かつ65歳以上の方で「感染症などといった治療が必要な疾患がない高齢者」に限られます。

介護療養型医療施設では医師による診療、医師や看護職員による医療的ケア、看護師・機能訓練指導員によるリハビリテーション、介護職員による介護などが提供されています。

痰の吸引・胃ろう・経鼻栄養・酸素吸入といった医学的管理下でのケアは充実している一方で、掃除や洗濯、買い物やレクリエーションといった生活援助系サービスはあまり提供されていません。そのため、そういったサポートが必要な場合は事前に施設へ相談してみるとよいでしょう。

介護医療院|看取りやターミナルケアも可能な施設

介護医療院は要介護認定を受けている「要介護1~5」までの方が利用できる施設で、長期療養のための医療と日常生活上の介護を一体化して提供しています。64歳以下で特定疾病を抱えている方の場合も、要介護認定で要介護1~5に認定されれば施設を利用できます。

介護医療院では喀痰(かくたん)吸引、経管栄養(胃ろう・経鼻経管栄養・腸ろう)点滴、在宅酸素、褥瘡のケア、注射などの薬の処方、看取りやターミナルケアができるので、特養よりも手厚い医療的ケアを受けられるのが特徴です。

施設によっては医師が24時間常駐している施設もあるので、より医療機関に近い環境が整備されています。また、理学療法士や作業療法士といったリハビリ職員も配置されているので、医療行為を受けながら専門的なリハビリを受けられます。

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本人に合った医療行為を受けられる特別養護老人ホームを探そう

大切な家族を医療行為が充実した介護施設に入居させたいと思うのは当然ですが、施設が提供している医療行為や設備によっては受け入れを拒否されてしまうことも多々あります。

現実問題として、入居を希望しても数年など長期間待たされることは珍しくありません。しかし要介護度の高い高齢者を、家族で在宅にて介護を続けていくのもかなりの負担になってしまう可能性が高いでしょう。無理な介護で共倒れにならないためにも、諦めずに希望する医療行為を受けられる施設を根気よく探してください。

特別養護老人ホームでは必要な医療ケアを受けられますか?

施設の設備によって対応できるものとできないものがあるので、不明な点があれば施設に直接お問い合わせください。詳しくはこちらをご覧ください。

特別養護老人ホームの入居費用は高いですか?

特別養護老人ホームは介護保険を適用できるので、ほかの施設に比べて自己負担額を抑えられます。詳しくはこちらをご覧ください。

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