「要介護4の親を自宅で介護するのは無理なのではないか」と、介護が始まる前から不安を感じている方は少なくありません。
要介護4は、介護なしには日常生活を営むことが困難な状態です。
厚生労働省の調査では、要介護4の方と同居する主な介護者の41.2%が「ほとんど終日」介護しています。
要介護4の自宅介護が無理かどうかは、要介護度だけでなく、介護環境・介護者の状況・本人の状態によって変わります。
本記事では、要介護4の自宅介護を続けられる人と難しい人の特徴、負担を減らすサービスと助成制度、入れる施設を解説します。
要介護4は自宅介護無理?可能?
要介護4でも、介護サービスを組み合わせれば自宅介護は可能です。
ただし、続けられるかどうかは「介護する側の体制」と「介護される本人の状態」の2つの判断軸で決まります。
判断軸ごとの具体的な特徴は、「要介護4の自宅介護が可能・無理な人の特徴」で紹介します。
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要介護4で自宅介護している人の割合
要介護4の家族を介護した人のうち、自宅で介護した人は41.3%です。
残りの58.7%は、施設やサービス付き高齢者向け住宅などで介護を受けています。

「施設・サ高住など」の内訳は、特養・老健などの公的施設が30.8%、有料老人ホームやサ高住などが23.1%、病院が4.8%です。
「自宅」は、本人の家と、子どもなど親族の家を合わせた割合です。
自宅介護が無理かを判断する軸とは
要介護4の自宅介護が無理かどうかは、「介護する側の体制」と「本人の状態」の2軸で判断します。
判断軸1で介護を分担できる人数が多く、判断軸2で医療的ケアや夜間対応が少ないほど、自宅介護を続けやすくなります。
要介護4の方と同居する主な介護者の41.2%が「ほとんど終日」介護している点も、体制を考える前提として押さえておきましょう。

要介護4の状態とは?
要介護4は、1日の大半をベッドの上で過ごし、起き上がり・移動・排せつ・入浴・着替えに介助が必要な状態です。
介護の手間を表す「要介護認定等基準時間」は、1日あたり90分以上110分未満です。

在宅の要介護4の人のうち、ベッドの上で過ごす時間が長い人は合わせて63.7%です。
ひとりで外出できるほど自立している人は3.9%にとどまります。
日常生活の動作ごとに見ると、要介護4の人は以下のような状態になっています。
出典:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」(要介護4で8割以上の人に低下が見られる項目)をもとにケアスル 介護が作成
起き上がりから移乗まで介助が要るため、トイレ・食事・入浴のたびに「起こす・座らせる・移す」介助が1日に何度も発生します。
認知症がある場合は、体の介助に加えて見守りや声かけも必要です。
要介護4の認定基準や要介護3・5との違いは、以下の記事で詳しく解説しています。

要介護4の自宅介護が無理といわれる理由
要介護4の自宅介護が無理といわれる最大の要因は、必要なケアの多さと介護者の心身の負担の大きさです。
要介護4の方と同居する主な介護者のうち、悩みやストレスを抱えている人は約7割にのぼります。
要介護4で必要なケアと介護者の負担とは
要介護4では生活の大半で介助が必要になり、同居する主な介護者の41.2%が「ほとんど終日」介護しています。
出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
要介護4の介護では、おむつ交換やトイレ介助、ベッドから車いすへの移乗、入浴介助、食事介助などが毎日続きます。
夜間の排せつ介助や体位変換が必要になると、介護者はまとまった睡眠をとりにくくなります。

ケアスル 介護の独自調査(在宅介護中の方 n=160)では、在宅介護で大変なことの1位は「精神的な負担」で61.9%でした。
2位の「身体的な負担」も60.6%、3位の「経済的な負担」も38.1%あります。
要介護4の自宅介護で、3つの負担が大きくなる理由は以下のとおりです。
出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」、生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
要介護4の自宅介護を続けるリスク
要介護4の自宅介護を無理に続けると、介護者の心身の不調・介護離職・共倒れ・虐待につながるおそれがあります。
介護者が体調を崩すと、本人の介護を続けられなくなります。

要介護4の自宅介護が可能・無理な人の特徴
要介護4の自宅介護が可能な人と無理な人は、介護する側の体制と本人の状態によって分かれます。
- 自宅介護が続けられる人:介護を分担できる家族がいて、介護サービスを十分に使える
- 自宅介護が難しい人:介護者がひとりで、医療的ケアや夜間の対応が多い
- 簡単診断:8つの質問に答えると、自分の状況で自宅介護を続けやすいかを確認できる
要介護4で自宅介護が続けられる人
要介護4で自宅介護が続けられるのは、介護を分担できる家族がいて、介護サービスを十分に使える人です。
・同居または近居で、きょうだいや配偶者など介護を分担できる家族がいる
・介護者が健康で、仕事の調整や介護休業を使える
・デイサービスやショートステイ、訪問介護を定期的に使える
・本人に医療的ケアがない、または訪問看護で対応できる
・本人が自宅での生活を強く希望している
介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できます。
介護休業の期間は、介護サービスの手配や家族の役割分担を決める準備期間として使えます。
要介護4で自宅介護が難しい人
要介護4で自宅介護が難しいのは、介護者がひとりで、医療的ケアや夜間の対応が多い人です。
・介護者がひとりで、交代してくれる家族がいない
・介護者自身が高齢、または持病がある(老老介護)
・フルタイムの仕事や子育てと両立しなければならない
・たんの吸引や胃ろうなど、日常的な医療的ケアが必要
・認知症による夜間の徘徊や不穏があり、夜も目が離せない
介護者の約7割が悩みやストレスを抱えるなか、ひとりで終日の介護を担うと心身の限界を迎えやすくなります。
当てはまる項目が多い場合は、施設入居も含めて早めに検討しましょう。
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要介護4の自宅介護・施設介護のメリット・デメリット
要介護4の自宅介護は住み慣れた家で暮らせる一方、家族の負担が大きくなります。
施設入居は24時間の介護を任せられる一方、費用がかかる点がデメリットです。
ケアスル 介護の独自調査(在宅介護中の方 n=160)では、今後の施設入居を「いずれ入るだろう」と答えた方が38.1%でした。
自宅介護のメリット・デメリット
自宅介護の最大のメリットは本人が住み慣れた家で暮らし続けられることで、デメリットは家族の負担の大きさです。
ケアスル 介護の独自調査(在宅介護中の方 n=160)では、在宅介護を選んだ理由は「本人が希望したから」が52.5%でした。
「家族が希望したから」も30.0%あります。
本人と家族の希望を両立できるかどうかが、自宅介護を選ぶポイントになります。
施設入居のメリット・デメリット
施設入居の最大のメリットは24時間の介護を専門職に任せられることで、デメリットは費用と住環境の変化です。
厚生労働省の介護保険事業状況報告によると、施設サービス受給者のうち要介護4の方は36.7%で、要介護度別で最も多くなっています。
要介護4の自宅介護で使える介護サービス
要介護4の自宅介護では、以下の介護保険サービスを組み合わせて負担を減らせます。
- 訪問サービス(訪問介護・訪問看護・訪問入浴など)
- 通所サービス(デイサービス・デイケア)
- 泊まりのサービス(ショートステイ)
- 通い・訪問・泊まりが1か所(小規模多機能型居宅介護など)
- 福祉用具と住宅改修
要介護4の支給限度額の範囲で組み合わせると、平日の日中はおおむねサービスでカバーできます。
一方、夜間と早朝の介助は家族が担うことになります。
この例で家族が介助を担うのは、主に夜間・早朝と、デイサービスのない日の日中です。
1割負担なら、自己負担は月2万6,000円程度です(加算や地域差を除いた試算)。
訪問サービス
訪問サービスは、ヘルパーや看護師が自宅に来て介護や看護を行うサービスです。
訪問介護では、ホームヘルパーがおむつ交換や入浴、食事の介助などを行います。
訪問看護では、看護師が健康状態の確認や床ずれの処置、医療的ケアに対応します。
1回の訪問は長くても1時間程度のため、ヘルパーが帰った後の介助や夜間の対応は家族が担います。
訪問入浴では、浴槽を持ち込んで寝たまま入浴できるため、自宅の浴室で抱えて入れる負担がなくなります。
24時間の対応が必要な場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を使えます。
要介護4の自己負担(1割)は、訪問看護ありで月23,358円、訪問看護なしで月20,417円です。

通所サービス
通所サービスは、日中に施設へ通い、入浴や食事、機能訓練を受けるサービスです。
デイサービスでは、送迎つきで日帰りの入浴・食事・レクリエーションを受けられます。
デイケアでは、医師の指示のもとで理学療法士などによるリハビリを行います。
7〜8時間のサービスに送迎の時間が加わるため、日中の大半は本人が家を離れます。
その間の食事や排せつの介助は職員が行い、入浴の介助をする事業所もあります。
ケアスル 介護の独自調査(在宅介護中の方 n=160)では「自由な時間が取れない」と答えた方が21.9%でした。
本人が通所している時間は、介護者が休んだり仕事をしたりする時間に充てられます。
泊まりのサービス
泊まりのサービス(ショートステイ)は、数日から1週間ほど施設に泊まって介護を受けるサービスです。
介護者の休息や冠婚葬祭、出張などで家を空けるときに使えます。
特養などに併設された短期入所生活介護と、老健などで医療的なケアを受けられる短期入所療養介護があります。
泊まっている間は、夜間のおむつ交換や体位変換も施設の職員が行うため、介護者はまとまって眠れます。
人気の施設は予約が埋まりやすいため、早めにケアマネジャーに相談しましょう。

通い・訪問・泊まりが1か所
小規模多機能型居宅介護は、「通い」を中心に「泊まり」と「訪問」を同じ事業所で組み合わせられるサービスです。
なじみのスタッフが対応するため、環境の変化が苦手な認知症の方にも向いています。
月額の定額制で、要介護4の自己負担(1割)は月24,677円です。
通い・泊まり・訪問の回数が増えても介護サービス費は定額のため、介護の量が多い要介護4の方に向いています。
食費・宿泊費・おむつ代などは別にかかります。
医療的ケアが必要な方は、訪問看護も組み合わせた看護小規模多機能型居宅介護を使えます。
看護小規模多機能型居宅介護の要介護4の自己負担(1割)は、月27,766円です。
福祉用具と住宅改修
要介護4では、車いすや介護用ベッドなど福祉用具貸与の13品目すべてが原則として介護保険の対象です。
床ずれ防止用具や体位変換器、移動用リフト、自動排泄処理装置もレンタルできます。
介護用ベッドや移動用リフトを使うと、移乗の負担が軽くなります。
介護用ベッドで起き上がりを、車いすで移動を支えると、介護者が体を抱える回数を減らせます。
手すりの取り付けや段差の解消などの住宅改修は、1人につき生涯20万円まで介護保険から支給されます。
自己負担1割なら、保険給付の上限は18万円です(出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修に関する資料」)。
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要介護4の自宅介護で使える助成制度
要介護4の自宅介護で使える助成制度は、以下の4つです。
- 高額介護サービス費(自己負担の上限を超えた分が戻る)
- 介護休業・介護休暇(仕事を休んで介護に対応できる)
- 家族介護慰労金(自治体によって実施)
- 介護用品の支給(自治体によって実施)
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」「地域支援事業実施要綱」、育児・介護休業法
家族介護慰労金と介護用品の支給は、市区町村が地域の実情に応じて行う事業です。
実施の有無や金額は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。


要介護4で入れる施設
要介護4で入れる主な施設は、以下の5つです。
- 特養(特別養護老人ホーム)
- 介護付き有料老人ホーム
- グループホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- ケアハウス
施設ごとに入居条件や費用、医療的ケアへの対応が異なります。
本人の状態と家族の予算に合わせて、2〜3種類を比べてから選びましょう。
特養
特養(特別養護老人ホーム)は、原則として要介護3以上の方が入居できる公的な介護施設です。
平成27年4月から、特養への新規入所は原則として要介護3以上に限定されています。
要介護4の方は入居条件を満たしており、民間施設より費用を抑えやすい施設です。
出典:厚生労働省「社会保障審議会 介護給付費分科会 資料」
地域によっては入居待ちが発生するため、複数の施設に申し込む家族もいます。
申し込みから入居までの期間は施設ごとに異なります。

介護付き
介護付き有料老人ホームは、施設の介護職員から24時間の介護を受けられる民間の施設です。
介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームで、要介護の方が入居できます。
介護費用は要介護度に応じた定額で、介護の量が増えても介護費用が大きく変わらない点が特徴です。
特養より費用は高くなりますが、入居待ちが少なく、早めに入居しやすい施設です。

グループホーム
グループホームは、認知症の診断を受けた方が少人数で共同生活を送る施設です。
認知症対応型共同生活介護として、要支援2以上で認知症のある方が入居できます。
施設がある市区町村の介護保険の被保険者であることも条件です。
医療的ケアへの対応は施設ごとに異なり、要介護4で身体介護が多い場合は受け入れを確認する必要があります。

住宅型
住宅型有料老人ホームは、生活支援を受けながら、外部の介護サービスを契約して使う民間の施設です。
訪問介護やデイサービスは、自宅と同じように個別に契約して使います。
介護サービスの費用は区分支給限度基準額(要介護4は月30,938単位)の範囲で、使った分だけかかります。
介護の量が多いと、限度額を超えた分が全額自己負担になる場合があります。
要介護4の方は、介護付き有料老人ホームと費用を比べて選びましょう。

ケアハウス
ケアハウスは、60歳以上で、家族の援助を受けることが難しい方が入居できる軽費老人ホームです。
軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準では、入所の対象を60歳以上と定めています。
特定施設入居者生活介護の指定を受けた「介護型」のケアハウスなら、要介護4でも施設の介護を受けられます。
生活支援が中心の「一般型」では、要介護度が上がると退去を求められる場合があります。
入居前に介護型かどうかを確認しましょう。
まとめ|要介護4の自宅介護は無理かを早めに判断しよう
要介護4でも、介護サービスを組み合わせれば自宅介護は可能です。
ただし、介護する側の体制と本人の状態によっては、自宅介護を続けるのが難しい場合もあります。
・介護する側の体制(家族の人数・仕事・健康)と本人の状態(医療的ケア・認知症・夜間対応)で判断する
・要介護4の区分支給限度基準額は月30,938単位で、訪問・通所・泊まりのサービスを組み合わせられる
・高額介護サービス費や介護休業などの制度で、費用と時間の負担を減らせる
・自宅介護が難しい場合は、特養・介護付き有料老人ホームなど要介護4で入れる施設を比べる
自宅介護を続けるか施設に入居するかで迷ったら、ひとりで決めずに専門家へ相談しましょう。
ケアスル 介護では、入居相談員が本人の状態や予算に合った施設探しをサポートします。
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