「介護医療院でもリハビリがあると聞いたけど、どんなことをするの?」「どんなスタッフがいるの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
介護医療院に入所しても、今まで通りに生活できるのか不安になるかもしれません。
しかし介護医療院は、専従スタッフが目的に応じたリハビリを行ってくれるため安心です。
この記事では、介護医療院でのリハビリはできるのかやリハビリ専従スタッフの役割などについて解説していきます。
最後まで読んでもらえれば、介護医療院に入所したあとのイメージが沸きやすいため、安心して入所ができるでしょう。
介護医療院でもリハビリを受けることはできる?
介護医療院でもリハビリを受けることはできます。
介護医療院は長期的に介護を必要とする要介護者が入居する利用者に対して、介護と医療を提供する施設です。人生の最終段階である看取りや、入所している場合に体調が悪化してしまった方に寄り添った施設のため、リハビリとは縁遠いと思われがちですが、実は違います。
一般的なイメージのリハビリは新たにできる動作を増やしていくイメージがあるかと思いますが、介護医療院のリハビリは「今できる動作を継続して行うこと」が目的です。
介護医療院に入所している方は疾患を持っている場合が多く、進行していけばベッドから起き上がるのも困難になる方も少なくありません。そのまま寝たきりの生活になってしまうと、自分でできることがなくなり、生きる気力を失ってしまう可能性もあります。
生きる力を持ち続けてもらうためにも、リハビリを通して今できることを継続していきましょう。
例えば、排泄の際にトイレまで歩いて行ける方であれば、ベッドから下りてトイレまでを継続して歩けるようにリハビリを行います。ほかにも、自分で服の着脱を行ったり、食事の際にお箸を使って自分で食べたり、生活の中でできる動作をリハビリを通して継続していきます。
また外出が好きな方であれば、買い物やお花見、コンサートなど、利用者の希望や興味のあることを介護医療院での生活の中で実現できるようにするのもリハビリスタッフの役割です。
利用者の好きなことややってみたいことを聞き取り、目標達成するためにはどんなリハビリを行うのかを考えながら取り組んでいくのが、介護医療院に求められるリハビリといえるでしょう。
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介護医療院のリハビリ専従スタッフの役割
介護医療院のリハビリ専従スタッフには、以下の3つの専門家がいます。
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
リハビリスタッフと一括りにいっても、専門としている分野が大きく異なります。
どのセラピストがどのようなリハビリを行うのかが理解できていない方は、今からそれぞれの役割について詳しく解説していくので、参考にしてください。
役割が明確になれば、介護医療院に入所した際のリハビリについての相談もしやすくなるはずです。
理学療法士の役割
理学療法士の役割は、寝返りや立つ、座る、歩くといった日常生活の動作ができるように運動やマッサージなどのリハビリを行うことです。
動作の専門家と言われている理学療法士は、利用者の体の痛みや体の動かせる範囲などを調べるために検査を行い評価します。評価結果に基づき、利用者に必要なリハビリを計画し、実行していきます。
介護医療院でのリハビリは機能回復ではなく維持を目的としているため、今できることを継続して行える訓練がほとんどです。
現在立ったり座ったりの動作ができるのであれば、それらの動作で使う筋肉が衰えないようにリハビリを行います。
立つ、座るだけの動作の場合、下半身を鍛えるだけで維持できると思うかもしれません。しかし一部分だけを鍛えても、身体全体のバランスが悪くなるため機能維持が難しくなるでしょう。
立つ、座るだけの動作でも全身の筋力アップを目指し、トレーニングの繰り返しにより機能維持が実現します。
このように利用者の運動能力を評価して、日常生活に欠かせない動作を継続させるためのトレーニングを計画し、実行、そして再評価を繰り返すことが理学療法士の役割です。
作業療法士の役割
作業療法士の役割とは、日常生活の作業を通したリハビリを行うことです。
食事や着替え、家事など生活するうえで大切な動きを継続して行えるようにサポートします。
食事や排泄、入浴、洗顔などの日常生活動作(ADL)と、電車に乗る、買い物をする、移動するなどの応用的な動作(IADL)がどれだけできるかを評価し、利用者の生活に合わせた機能訓練を計画していくのがおもな仕事です。
計画した訓練メニューを実践し、再評価を繰り返しながら、利用者が1番必要としているリハビリを導き出します。
食事や着替え、排泄など、どの動作にも指先を使うため、指先を使ったトレーニングは大切です。
器具や機械を使わずに、折り紙や塗り絵などを利用した訓練なので、いつどこにいてもリハビリができるでしょう。家庭でもできるトレーニングが多いため、じっと座ってテレビを見るだけでなく、折り紙を折りながらテレビを見れば、指先のトレーニングに繋がります。
また作業療法士はセラピストで唯一、精神疾患のある方へのリハビリが可能です。精神疾患がある方への相談は、作業療法士にしましょう。
言語聴覚士の役割
介護医療院に所属する言語聴覚士の役割は、脳疾患や心臓疾患などが原因で失語症や認知症になり、言語障害になった利用者に対してリハビリを行うことです。
言語障害だけでなく、食事の際に飲み込みが困難な方のために、嚥下機能を向上させるトレーニングも行います。嚥下機能が低下すると、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまう方も少なくありません。安全に食事を楽しんでもらうためにも、言語聴覚士のリハビリは重要です。
言語障害や嚥下機能の低下は、年齢とともに後天的に出てきた症状です。今までできていたことが、年々できなくなるのを受け入れられず、症状を隠そうとしてしまう方も多くいます。
言葉がうまく話せず、相手に伝わらないときに、苛立ちをぶつける方もいるでしょう。
リハビリを拒否したり、すぐに効果が得られないと諦めてしまったりして、塞ぎ込んでしまう利用者もいます。無理に距離を詰めようとせず、一緒にレクリエーションを楽しんだり、繰り返し向き合って話したりして、信頼関係を築いていくのも言語聴覚士の役割といえるでしょう。
介護医療院でできるリハビリの内容
介護医療院でできるリハビリは、具体的にどのような内容でしょうか。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士それぞれのリハビリ内容を解説します。
事前に取り組んでほしいリハビリがあればメモにとっておき、入所前の面談で伝えておくと要望に沿ったリハビリを行ってくれます。
まずは、どのセラピストがどんなリハビリを行うのか理解するところから始めてください。
リハビリ内容が理解できれば、より具体的な訓練をイメージできるようになるため、入所後の過ごし方のイメージが沸きやすくなるでしょう。
それぞれのセラピストの役割を解説しているので、参考にしてください。
理学療法士のリハビリ内容
理学療法士のリハビリ内容は、歩行訓練や筋力トレーニングはもちろんですが、関節の可動域を広げる訓練も行っています。
ケガや病気で体を動かす機会が減ると関節が固くなり、体を動かしづらくなる「拘縮(こうしゅく)」になってしまう可能性が高いです。拘縮になってしまうと、体を動かした際に痛みが出るため、余計に動かなくなる方も少なくありません。
普段から関節を動かすトレーニングをしておけば、拘縮を予防できます。
日常的に関節を動かしていれば可動域も広がるため、歩いたり座ったりの動作もスムーズに行えるようになるでしょう。
マシンを使ったトレーニングでも可動域を広げられるため、一人ひとりの利用者に合わせた負荷を設定しながら運動ができます。足や腕、全身を使ったトレーニングになるため、体全体をまんべんなく鍛えられるでしょう。
また、歩行訓練も理学療法士のリハビリの1つです。歩行訓練は、ただ単に歩くだけでなく、座った状態から立ったり、立った状態から座ったりなどの動作の訓練をします。
日常生活の動作を行うためには、さまざまな筋肉を鍛えることが大切です。
作業療法士のリハビリ内容
作業療法士のリハビリは、介護医療院での生活環境に合わせたトレーニングを行います。
洗濯物を干したり、掃除をしたり、調理をしたりとそれぞれの希望に合わせたトレーニングメニューを作成し、実践していく流れです。
例えばお箸を使った食事を維持したい場合は、お箸を利用して、大きいものや小さいもの、丸や三角などのさまざまな形状のものを挟んで運ぶ訓練をします。
摘んだり動かしたりする動きは、指先のトレーニングになるため、お箸を使う以外にも役立ちます。ほかにも、新聞紙や紙を破ったり、丸めたりするのも指先を使ったトレーニングの1つです。
包丁やハサミなどの調理器具を使って料理がしたい方の場合、まずはどこまでの作業なら安全に取り組めるのかを評価します。調理をする際には、握力が必要です。握力を鍛えるトレーニングを行いながら、安全に楽しく調理ができるように計画し、実施するのも作業療法士が行います。
つまり、マシンを使って体を動かすのではなく、身の回りにあるものを代用して、身近な目標を見つけてトレーニングを行うのが作業療法士のリハビリです。
言語聴覚士のリハビリ内容
言語聴覚士のリハビリ内容は、利用者と向かい合って発音や発声トレーニングを行って言語訓練することです。
事故や病気でろれつが回りにくくなった方や言葉が話せない方、脳の損傷によって記憶力が低下する方などに対して、絵カードを見て記憶する練習や、何かを書くことや計算するといったリハビリが行われます。
これらは、注意力や記憶力の改善を狙ったリハビリです。
利用者の中には思うように意思が伝わらず、感情を塞ぎ込んでいる方もいます。言語聴覚士は利用者に寄り添い、時間をかけてコミュニケーションを計るのも仕事の1つです。
言語障害がない方でも、加齢により食事や飲み物が飲み込みづらくなってきた方は、言語聴覚士による嚥下訓練を行いましょう。
嚥下訓練では首や唇、舌などの飲み込む際に使う筋肉を動かす体操を行い、実際の食事の様子を確認し、嚥下能力を評価します。
嚥下機能が低下している方は食べ物や飲み物が気管に入り、誤嚥性肺炎を起こしかねません。最悪の場合は命に関わるため、言語聴覚士は慎重に訓練を行っています。
介護医療院のリハビリの頻度・間隔
介護医療院のリハビリの頻度や間隔には、決まりがありません。施設や利用者によってリハビリの回数は変動します。
どの程度リハビリを行っているか気になる方は、入居予定の介護医療院に聞いてください。リハビリ回数は要望によって、増減が可能です。週にどのくらいリハビリを行って欲しいのかを事前に伝えておきましょう。
ただしセラピストの人数や本人のやる気によっては、希望通りにリハビリができない可能性もあります。
リハビリの頻度には決まりがありませんが、「短期集中リハビリテーション実施加算」といって、入居後3ヶ月間はリハビリを集中して行う制度があります。
リハビリの頻度は、それぞれのセラピストとの個別リハビリが1回20分以上で、1週間におおむね3回以上と定められています。
短期間に集中してリハビリを行う理由は、介護保険サービスと関係しており「短期集中リハビリテーション加算」が認められているからです。
長期的な入院や寝たきりの状態が続いた場合、運動機能が低下している可能性があります。短期間で集中的にリハビリを行いながら、機能低下を防止し、入居前までと変わらない日常生活を送れるように各セラピストがアプローチを行います。
「短期集中期間が過ぎるとリハビリがなくなるのでは」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。リハビリの頻度は減る可能性がありますが継続的に行われるため、運動機能や嚥下能力などの機能低下を防げるでしょう。
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介護医療院でのリハビリは利用者の目的に応じたアプローチをしてくれる
介護医療院でのリハビリは、各セラピストが利用者の目的に応じたアプローチを行っています。
セラピスト | 役割 |
---|---|
理学療法士 | 座る、立つなどの日常生活の動作ができるようなリハビリ |
作業療法士 | 食事や着替えなどの日常生活の作業を通したリハビリ |
言語聴覚士 | 失語症認知症などによって言語障害になった利用者に対してリハビリ |
介護医療院で生活するうえで、今できる動作を維持できるようにリハビリを行います。
何ができるのかやどの機能を鍛えるべきかを評価しながら、リハビリ内容を計画しているため、利用者本人や家族の要望にも答えてくれるでしょう。
入所前にどんなリハビリ内容があるのか、今後も継続して行って欲しいことがあれば、遠慮なく伝えてください。
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