入居一時金の必要性は?仕組みと無理のない介護施設選びを解説

入居一時金の必要性は?仕組みと無理のない介護施設選びを解説

介護施設を選ぶ際に 、入居一時金の工面が心配な方は多いのではないでしょうか。ここでは、入居一時金の特徴や仕組み、支払い方式、返還の有無などを解説しています。費用の負担を抑えて施設を選びたい方に役立つ情報をご紹介します。

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ウーマンライフパートナー
所有資格:ファイナンシャルプランナーAFP,年金アドバイザー3級
専門分野:社会保険,税金
職業: ファイナンシャルプランナー

仕事と介護を両立しながら、親の介護を15年経験。ケアマネに相談し、介護保険制度を最大限に活用して在宅で過ごす。病気が進行して障害者になり、税制優遇制度も有効に利用。長年の介護経験から、FP勉強会でセミナー講師を務め、わかりやすいと定評がある。詳しくはこちら

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入居一時金とは

入居一時金とは、有料老人ホーム等に入居する際に必要なお金で、前払い家賃にあたります。施設により金額に違いがあります。

介護施設に入居するためにどのくらいの費用が必要なのか、気になる方は多いのではないでしょうか。まずは、入居一時金についてご紹介します。

介護施設に支払う入居一時金を把握すれば、どの施設へ入所するべきか絞りやすくなるでしょう。本記事を参考にして介護施設の入所を検討してください。

すべての介護施設に支払わなくてよい

入居一時金は、すべての介護施設で必要となる費用ではありません。簡単にご紹介すると、介護施設には公的な施設と民間が運営する施設とがあり、入居一時金が必要なのは民間施設の一部です。

介護施設の入居費用に不安がある方は、入居一時金の準備に困っているかもしれません。そのような場合は、入居一時金が不要な施設から選べます。

ただ、どうしても費用が足りないものの入居一時金が必要な介護施設へ入所したい方もいるかもしれません。そのような場合は、一部前払い方式を利用するとよいでしょう。

一部前払い方式を利用すれば、入居一時金を入居時に支払えなくても一部の料金を支払えば入居することが可能です。ただ、介護施設によって入居一時金の支払方法は異なっているため、詳しくは入居を検討している施設へお問い合わせするとよいでしょう(本記事での支払いパターンについて後述していきます)。

費用の差が大きい

入居一時金のある施設を見ると、費用に幅があることがわかります。実際、入居一時金の費用は、それぞれの施設による差が大きいのが現状です。

介護施設の初期費用には、入居一時金や前払金、敷金などが含まれる場合もありますが、入居一時金が数百万円~数千万円単位の施設もあります。一方で、初期費用が不要な施設もあります。

入所を検討している介護施設の特徴を把握し、入居一時金を支払っても入所するべきなのか慎重に検討してください。入居一時金の支払いが必要な施設は不要な施設と比べて、手厚いサービスや独自のオプション利用など、快適な環境を設備しているケースが多く、より快適に過ごせる可能性があります。

支払いの有無を選べる施設もある

入居一時金のある施設の中には、入居時に多額の費用を用意しなくても利用できるよう、支払い方法が選べるところもあります

基本的に入居一時金は、最初に多額の費用を支払っておくことで、月々の支払い額を抑えるために設けられています。つまり、入居期間を想定して月々の家賃を前払いする方法です。

一方、入居一時金の支払いが不要な方法を選ぶと、入居一時金を支払うよりは月々の費用が多くなる仕組みです。

また老人ホームなどの介護施設をお探しの場合は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では入居金の支払い有無をはじめ、全国で5万を超える施設からご本人様・ご家族様にぴったりの住まいをご紹介しています。

「幅広い選択肢から納得のいく施設を探したい」という方は、まずは無料相談をご利用ください。

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入居一時金が必要な場合の3つの支払いパターン

入居一時金が必要な施設の支払い方法について、もう少し詳しく見ていきましょう。この仕組みがわかると、有料老人ホームなど民間施設への入居を検討するときに便利です。

全額前払い

全額前払い方式は、入居時に入居一時金をすべて支払う方法をいいます。入居一時金は入居後の家賃にあたるため、毎月支払う利用料が大幅に減ります。

ただ、中には「いつまで入居するか分からないのに入居後は家賃を支払わなくていいの?」と思われる方もいるでしょう。入居一時金は、想定居住期間をもとに設定されていますが、もし想定居住期間より長く入居したとしても、追加で家賃を支払う必要はありません。

つまり、長く住むほどお得になります。一方、早期に退去した場合、前払いの一部が返還されないことがあり、結果的に割高になるので注意しましょう。

一部前払い

入居一時金の一部を前払いで支払い、その残りは毎月の支払いで補っていくことをいいます。全額前払いに比べると、入居時の多額の支払いは抑えられますが、入居後に一定額の家賃支払いが必要です。ただし、入居一時金をまったく支払わずに入居される方よりも、家賃は安く済みます。

つまり、一部前払い方式で支払えば、入居一時金の総額に相当する多額の費用が不足していても入居できるでしょう。それに加えて、家賃を抑えられるので、少しでも経済的に余裕があれば、一部前払い式で支払う方法を検討してもよいでしょう。

月払い

入居一時金を支払わず、本来の家賃を毎月支払っていく方法です。メリットは入居時に多額の費用を支払わなくてよいことですが、月々の支払い額は大きくなります。

また、全額前払いで入居一時金を支払うと、想定居住期間を超えた入居期間は家賃の支払いをせずに済みますが、月払いの場合は家賃の支払いが必要です。長期的な入居を検討している方にとっては、最終的に支払う総額が多くなる可能性があります。

「仕組みが難しくて実際に必要な料金が分からない…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、入居相談員が実際にかかる料金や施設ごとのサービス内容のご紹介を含め、安心の入居をサポートしています。

「分からないことを相談して安心して施設を選びたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。

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入居一時金の一部が返還されるケース

多額の入居一時金を支払っても、もし何らかの事情ですぐに退去せざるを得なくなった場合、費用はどうなるのか心配するかもしれません。

結論から言うと、早期に退去した場合は入居一時金の一部が返還される場合もあります。特に、多額の入居一時金が必要な施設では、入居期間にもよりますが返還される可能性が高いです。

償却期間とは

入居一時金は、想定居住期間をもとに家賃として支払う費用を前もって納めるものです。したがって、入居後は前もって支払った一時金から家賃が償却されていくことになります

この期間を償却期間といい、入居一時金を支払うメリットは償却期間を過ぎると、そのあとの家賃は不要になります。一方で、想定居住期間よりも早いタイミングで退去した場合、家賃相当額以外がすべて戻ってくるとは限りません。

初期償却といって、最初に予備費として差し引かれる費用がある場合、基本的に返還されません。初期償却の割合は施設によって異なりますが、15%~30%で設定されることもあります。

初期償却の割合が大きいほど、入居一時金の返還額は少なくなります。この点に関しては、後々のトラブルに発展するケースもあり、自治体によってはその扱いが明確に定められているところもあります。

施設によっては初期償却がない場合もあります。「返還された金額が少なすぎる」「初期償却で30%もかかるとは聞いていない!」といったトラブルにならないよう、入居一時金の支払いに関しては、パンフレットや契約書を確認したり、事前見学時に担当者に確認するとよいでしょう。

返還金がもらえる仕組み

もし、ほかの施設へ転居や長期的な入院、死亡などで想定居住期間よりも早く退去した場合に、返還金はどのようにして計算されるかも確認しておきましょう。

まず初期償却がある場合、初期償却分の費用は返還される場合と、返還されない場合があります。

初期償却が返還されない場合は、残りの費用から滞在期間中の家賃相当額を差し引き、残りの額が戻ってきます。つまり、居住期間が長いほど返還金は少なくなる仕組みです。

例えば、入居一時金を800万円入れたとして、「初期償却率が20%、償却期間が3年(36カ月)」契約での入居から1年(12カ月)が経過していたとすれば、下記の通り返還金を算出できます。

800万円(入居一時金)× 80%(初期償却率を除いた分)=640万円

640万円 ÷ 36カ月 × (36カ月-12カ月)= 426万円

上記の通り返還金をあらかじめ計算しておくと安心です。

老人ホームでもクーリングオフはできる

実は、入居一時金が必要な施設の支払いに対しても、クーリングオフが対象になります。クーリングオフとは、契約内容が不本意だった場合に消費者を保護する目的で設けられている制度です。

多くは、購入した品物の返品・返金して欲しいときに活用される制度ですが、老人ホームの入居においても対象となっています。

また、有料老人ホームのクーリングオフが認められている期間は「90日」です。入居後、契約解除を求めてクーリングオフをした場合、既に支払った入居一時金など全額が返還されます。

ただし、入居して過ごした日数分の利用料や家賃、施設の原状回復にかかる費用などは差し引かれるため、支払った一時金が全額戻ってくるわけではありません。

入居一時金は保全措置により万が一の事態でも保証安心

入居した本人が退去する状態にならなくても、施設の経営状態が悪化したり、倒産したりした場合、退去せざるを得なくなる可能性もあります

この場合、支払った入居一時金の未償却分については、原則保全措置によって返還されるので安心です。保全措置は、入居一時金を設けているすべての有料老人ホームに講じるものとして制度化されています。重要事項説明書に記載されているため、必ず確認しましょう。

ただし、保全措置で返還保証されるのは「入居一時金の未償却分500万円まで」となっています。保全先は銀行や信託会社、保険会社などです。

入居一時金の有無で施設の良し悪しが変わるわけではない

介護施設を選ぶ際、そこで暮らすご本人にとっての居心地のよさや快適さが重要なポイントです。もしかすると、入居一時金のある施設の方が、ない施設よりも住みやすいのでは?と思う方もいるでしょう。

しかし、結論から言うと、入居一時金の有無だけで施設の良し悪しは判断できません。費用だけで判断せずに、さまざまな視点から検討することが大事です。

心地よさを感じるポイントは人それぞれ

入居一時金の高い施設ほど、豪華で充実した設備や特別なサービスが提供されている場合も多いことは事実です。しかし、すべての要介護者に施設の環境が合っているとは限りません。

居心地のよさを感じるポイントは人それぞれです。ワンランク上のホテルのようなサービス・住まい環境を快適と感じる方もいれば、アットホームな雰囲気を求める方もいます。

これらは環境設備だけでなく、スタッフの対応やケアの質についても同様です。施設によって介護の方針は異なるため、どんな関わりやケアを求めるかによって入居者にとっての良し悪しは変わってくるでしょう。もちろん、入居一時金の有無にかかわらず、よいケアを提供しようと日々努力しているスタッフはたくさんいます。

事前の見学だけでは判断できない部分もあるかもしれませんが、居心地のよさや快適さ、本人のニーズに合っているかなどについては、入居一時金などの費用だけを見て決めるより、実際に足を運んで検討するとよいでしょう。

「実際に施設を見てみないと生活のイメージができない…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では施設の紹介だけでなく、見学や体験入居の申し込みや日程調整の代行も実施しています。

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予算は将来も考えて決める

高額な入居一時金を無理して工面したり、月額費用の高い施設を無理に選んだりしてしまうと、これから続く長い老後生活に支障が出る可能性もあります。長期的な視点で、余裕をもちながら無理なく生活が送れる施設選びが大事です。

介護施設の中には、入居一時金のない施設もあります。有料老人ホームだけに選択肢を絞らずに、目的に合った場所を検討していきましょう。

入居一時金の有無と介護施設の費用の内訳

介護施設の費用の内訳は、調べてみないとわからない部分も多いです。入居一時金など費用は、ご家族をその施設へ入居させられるかを大きく左右します。

もし、入居を検討している介護施設の入居一時金が高過ぎる場合、入居に関して再度検討する必要があるかもしれません。ここからは、介護施設における入居一時金の有無と入居費用の内訳をご紹介します。

本記事を参考にしたうえで、入居する介護施設を検討してみましょう。

介護保険施設

要介護認定を受けた方が入居できる公的な施設を「介護保険施設」といいます。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホームなど)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院

これらの施設は、入居一時金が不要です。それぞれ施設の特徴が異なり、状態に応じて選べます。介護保険の財源で運営している部分が大きいため、多くの方が利用しやすい料金設定になっています。

利用料の大部分は、「食費」「居住費」「介護保険一部負担金」で構成されています。食費と居住費に関しては、世帯の収入や貯蓄額により、負担が軽減される制度を活用することも可能です。

有料老人ホーム

入居一時金のかかる施設として代表的な有料老人ホームの例を見てみましょう。

有料老人ホームの中にも、入居金が不要な施設はあります。一方、高額な費用を必要とするところもあります。入居一時金がある施設の場合、入居後に支払う月額費用の家賃を支払う必要はないため、長期的な住まいとして利用したい方には便利です。

月額費用の主な内容は、「管理料」「食費」「水道光熱費」「おむつ代」などで、入居一時金が不要な場合は「家賃」も支払います。これに加えて、介護サービスを使う場合は別途、サービス利用にともなう費用を支払う必要があるほか、施設で訪問診療をうけた場合は医療費などもかかります。

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入居一時金だけで判断せず心地よいと思える施設を

本記事では、介護施設における入居一時金についてご紹介しました。入居一時金は一部の民間施設で必要となる費用で、その費用は入居後の家賃として償却されていきます。施設によりその額はさまざまで、入居一時金が不要な施設も多数あります。

介護施設の居心地のよさは、入居一時金を含めた費用や外観・内装だけではわかりません。介護の方針や実際の入居者の生活の風景、スタッフの雰囲気なども見ながら、経済的に無理のない範囲で検討しましょう。

多くの施設に出向きその違いを確認したり、体験入居をしたりするほか、すべてを自分たちで解決しようとせず、相談窓口や担当ケアマネジャーからのアドバイスも参考に検討すると安心です。

入居一時金に関するよくある質問

Q.なぜ入居一時金の額は施設によって大きく違うのですか?

A.施設の立地やアクセスの利便性、部屋の面積、設備、サービスの内容、人員配置など、さまざまな条件によって入居一時金の額は変わってきます。

築年数や設備が似ていても、都市部の駅近くの施設と郊外のアクセスに不便な施設とでは、駅近くの施設の方が入居一時金は高い傾向にあります。

Q.みんなどのようにして入居一時金を工面しているの?

A.入居一時金の工面は、貯蓄から捻出したり、所有している不動産を整理したりと人それぞれです。生命保険の解約返戻金の活用や、家族の支援を受けて工面するなど、さまざまな方法があります。

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