「40代になり、そろそろ親の介護が心配になってきた」「すでに介護が始まっているけれど、仕事や子育てとの両立で毎日が限界…」と介護について悩む方は少なくありません。
働き盛りであり、育児(ダブルケア)とも重なりやすい40代での介護は、肉体的にも精神的にも経済的にも大きな負担がかかります。
本記事では『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』のデータをもとに、40代で親の介護をしている同世代の姿を客観的にお伝えします。あわせてご自身の生活を守るための具体的な方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
40代の親の介護の実態を調査
40代の親の介護は、仕事や子育てと重なるため非常に過酷な状況に陥りやすいのが現実です。
本章では、『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』を基に、以下の6つの内容について40代が抱える介護の実態について解説します。
【40代の親の介護の実態について】
- 40代の親の介護はどんなストレスを抱えている?
- 介護をしている人はどのよう働き方をしている人が多い?
- 親の介護費用は誰が支払っている?
- 親の介護と子育ての両立で悩んでいることは?
- 親の介護に配偶者や兄弟はどれくらい協力してくれている?
- 外部の介護サービスはどの程度活用している?
調査①|40代の親の介護はどんなストレスを抱えている?
『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によると、40代の介護における最大のストレスは、「自分の仕事との両立」です。

「自分の仕事との両立」と回答している方が、回答者数151名のうち約半数にあたる74名で最も多い結果となっています。
次いで「精神的な負担」が69名、「経済的な負担」と回答している人が52名で続いています。
働き盛りの40代は職場で責任あるポジションに就くことも多いため、どうしても仕事の時間を削るのが難しいのが実情です。
そこに介護が加わることで、精神的な余裕がなくなったり、費用の持ち出しによる経済的なプレッシャーまで重くのしかかっている人が多いと考えられます。
調査②|介護をしている人はどのよう働き方をしている人が多い?
介護をしている40代の半数以上がフルタイムで働き続けており、会社の制度などを活用しながら両立をしています。

『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によると、「フルタイムで働きながら両立している」と回答した人が半数以上の57.0%を占めています。
さらに、「会社に相談して時短やテレワークを利用したり、シフトを減らしたりして両立している」という人も25.8%存在します。
つまり、全体の8割以上の人が、介護離職をせずに仕事を続けながら介護に向き合っていることがわかります。
介護が始まったからといって、すぐに仕事を辞める必要はありません。会社の制度や外部サービスをうまく活用し、自分自身のキャリアと収入を守りながら両立を目指すことが大切です。
調査③|親の介護費用は誰が支払っている?
介護費用は親の年金や貯蓄の範囲内で賄うのが原則です。

『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によれば、「親自身の年金や貯蓄の範囲内で、すべて賄えている」と回答した人が43.0%に上ります。
介護費用は、あくまでも親自身の資産内でやりくりするのが鉄則であり、子世代が自分たちの生活費や老後資金を削ってまでお金を出すことは推奨できません。
40代は子どもの教育費や住宅ローンなど、自分たち自身の生活にも大きくお金がかかる時期のため、親のためにと無理をして費用を持ち出すと、家計が破綻してしまう可能性もあるからです。
まずは親の予算を正確に把握し、その範囲内で利用できるサービスを考えたり、ケアマネジャーに相談することが大切です。
調査④|親の介護と子育ての両立で悩んでいることは?
育児と介護の「ダブルケア」では、体力の低下や睡眠不足など、肉体的な限界に直面する悩みが上位を占めています。

『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』では、40代で親の介護をしている151名のうち、子育ても行っていると回答した65名いらっしゃいました。
回答として以下の項目が他の選択肢よりも圧倒的に多い結果となっています。
- 「体力の低下・健康不安(26名|40%)」
- 「睡眠不足(24名|36.9%)」
- 「自分の時間が全くない(23名|35.3%)」
介護、子育てともにイレギュラーな対応をすることも多く、なかなか心身で健康を維持することが難しいと感じる人も多いようです。
しかし、自分自身の心身の健康が損なわれてしまっては、介護も育児も同時に立ち行かなくなってしまいます。そのため、まずは強制的にでも休む時間を確保することが大切です。
調査⑤|親の介護に配偶者や兄弟はどれくらい協力してくれている?
配偶者や兄弟の協力については家庭によってさまざまですが、兄弟姉妹に関して「話は聞くが手伝わない」層が31.1%という結果になっています。

『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によれば、配偶者に関しては「積極的に協力してくれる」と回答した人が51.0%と半数以上います。
「全く協力なし」という回答も33.8%いますが、配偶者には介護に関わらせないようにしている人も一定数いるため、必ずしも協力してくれないことに不満を抱いているわけではないでしょう。
また、兄弟姉妹に関しては「積極的に協力してくれる」と回答した人が51.0%いますが、「話は聞いてくれるが手伝いはない」と、回答した人が31.1%となっており、実働の負担が一部の人にだけ偏りやすい傾向があります。
兄弟や姉妹がいる場合、一人だけが介護を担う状況になってしまうと、大きな不満につながり、深刻な親族間のトラブルにつながるため注意が必要です。
調査⑥|外部の介護サービスはどの程度活用している?

『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によれば、、介護サービスを何らかの形で利用している人が全体の7割弱を占める一方で、「まったく利用していない」と回答した人も約3割(27.8%)いることがわかります。
介護サービスの利用実態は家庭によってさまざまですが、要介護認定を受けた場合はご自身の負担を減らすためにも積極的に利用を検討するとよいでしょう。
要介護認定を受けた人が、介護保険を活用して1ヶ月間に利用できる介護サービス費用の上限のこと。限度額は要介護度(要支援1〜2、要介護1〜5)ごとに設定されています。
万が一、介護サービスを一切使わずにご自身だけで抱え込んでしまうと、介護うつの発症や介護離職のリスクを高めてしまうため非常に危険です。
親がサービス利用を拒否する場合でも、一人で悩まずケアマネジャーに相談して少しずつプロの介入を進めてください。
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40代で親の介護が始まったら確認すべきこと
40代での介護を乗り切るための鉄則は、「自己犠牲をしないこと」です。
本章では、仕事や育児、そして自分自身の生活を壊さないために、優先的に取り組むべき5つのアクションを解説します。
【40代で親の介護が始まったら確認すべきこと】
- 仕事との両立のために公的制度や社内制度を確かめる
- 親の経済状況を正確に把握する
- 心身が限界に来ないように外部サービスの活用や施設入居を検討する
- 兄弟・親族間での情報共有と役割分担を決める
- 親の生活状況や要望を把握し、変化を見逃さない
親の介護が始まったら確認すべきこと①:仕事との両立のために公的制度や社内制度を確かめる
介護と仕事無理なく両立するために、公的制度と社内制度を確認しましょう。
介護と仕事を両立させている人の中には、フレックス制度などの社内制度を活用していたり、介護休業や短時間勤務制度の公的制度を上手に活用していたりしています。
【インタビュー情報】(クリックして開く)
・お名前:加藤さん(仮名)
・性別:女性
・年齢:47歳
・職業:会社員(正社員)
・居住地:中国地方
・状況:46歳の時に母親が骨折し、介護がスタート。初期は実家でテレワークを活用しながら対応し、翌日には福祉事務所へ駆け込んで猛スピードで公的支援を取り付けた。
加藤さん:
母が倒れた翌日には、迷わず福祉事務所へ出向きました。母の怪我の写真を直接見せて「こういう状態で困っているが、どうやって助けてもらえますか?」と相談したんです。介護には公的機関のフルサポートが受けられるセーフティネットがあると知っていたので、身体障害者用の駐車場利用や、要介護認定が見込みの段階での器具レンタルなど、猛スピードで支援を取り付けました。
仕事に関しては、初期の段階は実家でテレワークをしながら母のそばでこなすなどの工夫をしていました。
加藤さんのように、早い段階で自ら積極的に動いて公的支援を取り付け、会社の制度(テレワークなど)を活用することが大切です。
一方で、すべてを一人で抱え込もうとした結果、自身の健康を損なうケースも少なくありません。実際に、多忙な仕事と介護を両立させようと無理を重ねた結果、気付かないうちに自分が倒れてしまったという実例もあります。
自分の仕事の時間をきちんと確保しながら、無理のない範囲で介護に携わる仕組みを作りましょう。
親の介護が始まったら確認すべきこと②:親の経済状況を正確に把握する
介護計画の土台となるのは、本人の資産と年金額です。

・お名前:桐島 慎治(きりしま しんじ)
・役職:株式会社ケアリサーチ 代表取締役
・経歴・実績:社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)。デイサービス管理者や介護付有料老人ホームの施設長を歴任後、2018年に独立。現在は中立的な立場から、累計数多くの施設提案や見学同行を行い、地域住民向けセミナーの講師としても活動している。
桐島さん:施設探しや介護計画を始める際、親の資産状況の確認が非常に大切です。親の年金収入に加え、本人の介護度、医療状況を整理することで適切な施設を案内することができるからです。
貯金が少なかったり、年金の受給額が低い場合でも、生活保護や高額介護サービス費の還付など活用できる制度はあるため、経済状況の把握は非常に大切です。
なお、相談する際、金銭面では見栄を張ってしまう方も少なくありませんが、恥ずかしがらずに、現状の家計状況をきちんと相談することでより良い解決策が見えてくることを覚えておいてください。
親の介護が始まったら確認すべきこと③:心身が限界に来ないように外部サービスの活用や施設入居を検討する
「親の介護は子供がすべき」という思い込みを捨て、プロの手を積極的に借りることが共倒れを防ぐ方法です。

・お名前:菅原 一央(すがわら かずひろ)
・役職:株式会社ナースビジョン 取締役 / 一般社団法人OWL 理事
・経歴・実績:看護師。精神科や脳神経外科などの急性期病院を経て、介護老人保健施設(老健)の副師長や訪問看護ステーションの管理者を歴任。現在は介護施設紹介のほか、訪問看護ステーションの運営や現場の業務改善支援など、看護・介護環境の構築に幅広く携わっている。
菅原さん:働き盛りの世代は仕事で責任ある立場にあり、休めないのが現実です。介護に追われてイライラし、親子関係が悪化するくらいなら、必要な介護はプロに任せましょう。日常の負担を手放し、たまに会う時に笑顔で会話を楽しむといった「美味しいところだけを持っていく(良い家族関係を保つ)」使い方が正しいといえます。
心身に限界を感じる前に、デイサービスやショートステイなどの活用はもちろんのこと、場合によっては施設入居を検討することが大切です。
「夜中に何度も起こされて睡眠不足が続いている」「親に対してきつく当たってしまう」といった状況は限界を超えているサインになります。
事実として介護のすべてを一人で担うことは難しいため、罪悪感を感じることなくケアマネジャーと相談しながらでもより良い選択を考えましょう。
親の介護が始まったら確認すべきこと④:兄弟・親族間での情報共有と役割分担を決める
いざ、介護が始まると兄弟や親族間でトラブルに発展してしまうケースもあります。
たとえば「主介護者は費用や負担の面で施設入居に反対しているが、他の兄弟が施設に入居させたいと主張しているケース」などです。
時には音信不通になってしまったり、実際の介護は行わないのに口だけは出してくるといったケースもあります。
【インタビュー情報】(クリックして開く)
・形式:オンラインインタビュー
・お名前:林さん(仮名)
・性別:女性
・年齢:51歳
・職業:会社員(正社員)
・居住地:兵庫県
・状況:40代半ばで当時83〜84歳の母親の介護を開始。同居していた姉が介護うつになり、自身がメインで担うことに。
林さん:
当初は同居していた姉が無理をして頑張ってくれていたのですが、その結果、姉が「介護うつ」になってしまったんです。
その後、私がメインで担うことになりましたが、母には年金も貯金もなく、私の老後資金を切り崩しながらサポートする毎日に経済的・精神的な不安で押しつぶされそうでした。
そんな時、知識が豊富なケアマネジャーさんや施設長さんに窮状を相談したんです。その結果、生活保護を受給しながら入居できる「介護付き老人ホーム」を見つけることができました。母が入居できたことで、資金繰りの不安が解消され、姉も無事に回復に向かうことができました。
兄弟姉妹がいる場合は、一人に実働負担が偏らないよう「何ができるか」を自身の状況に照らし合わせて具体的に話し合いましょう。
「お金は出すが動けない」「動けるが金銭的余裕はない」など、お互いの置かれた状況を認め合うことが大切です。
また、介護にかかった費用はノートやアプリで帳簿をつけ、領収書を保管しておくことで、後の相続トラブルや「自分ばかり損をしている」という不満を防ぐことにもつながります。
親の介護が始まったら確認すべきこと⑤:親の生活状況や要望を把握し、変化を見逃さない
在宅介護を続けるにしても、将来的な施設入居を見据えるにしても、「日々の小さな変化」を把握することが迅速な対応につながります。

同居・別居にかかわらず、家族だからこそ気づける生活のほころびがあります。
親の状況を把握し、少しでも違和感を感じたらメモを残しておくなどすると、ケアマネジャーなどに相談する際には役立ちます。
また、こうした情報共有を行うことで、プロの方もより良い提案を行うことが可能です。
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
40代の親の介護まとめ
40代で親の介護が始まると、仕事や子育てと重なり、肉体的にも精神的にも負担がかかります。
「親の資産の範囲内で予算を立てる」「公的制度や会社の支援をフル活用する」「プロの力(施設や外部サービス)に頼る」など利用できるものは利用しながら、自身の生活と介護を両立させることが大切です。
決して「自分がやらなければ」と思い込む必要はありません。
地域包括支援センターやケアマネジャー、施設紹介エージェントなどの専門家へ積極的に相談し、ご自身の生活を最優先にした介護体制を構築していきましょう。