「親の介護費用、誰が出すべき?」
「長男が全部負担するのが当たり前だと言われた」
「遠くに住む兄弟がお金を出してくれない」
介護が始まると、避けて通れないのが「お金」の問題です。
これまで仲の良かった兄弟姉妹でも、費用の負担を巡って関係が悪化し、絶縁状態になってしまうケースは珍しくありません。
本記事では、家族間でのお金トラブルを避けるための「費用負担の原則」と、不公平感をなくすための「役割分担のルール」について解説します。
施設探しを始める前に、まずは家族でお金のことをクリアにしておきましょう。
介護費用は誰が出す?家族間で揉める「あるある」事例
「介護は家族の助け合い」と言いますが、実際には認識のズレからトラブルに発展することが多々あります。まずは、よくあるトラブルの火種を知っておきましょう。
「長男だから」は通じない?兄弟トラブルの実態
一昔前は「家督を継ぐ長男が親の面倒を見る」という家制度の考え方が一般的でした。しかし、現在の法律(民法)では、親の扶養義務は「すべての子ども(兄弟姉妹)」に平等にあると定められています。
「長男だから」「実家を継ぐから」という理由だけで、一人が全ての費用や労力を負担する法的な義務はありません。
しかし、親戚や親自身が古い価値観を持っている場合、「長男(またはその嫁)がやって当たり前」という圧力をかけられ、孤立してしまうケースが後を絶ちません。
介護をしない兄弟の「言い分」と不公平感
主介護者(メインで介護をする人)からすると、手伝わない兄弟に対して不満が溜まりがちです。一方で、手伝わない側にも言い分があります。
- 「遠方に住んでいるから物理的に無理」
- 「自分の家の住宅ローンや教育費で手一杯」
- 「親の年金で足りているはずだ(実情を知らない)」
特に「お金」に関しては、「実家に住んでいるお前が払うべきだ」「親の貯金があるだろう」といった憶測で話が進み、話し合いが平行線になることがよくあります。
私は遠方に住んでいて、実家の近くにいる姉が動いてくれたんですけど、姉も仕事がありますし、本当に急いで探さなければならない状況だったんです。(中略)
母は最後まで「父を自宅に戻したい」と言っていました。でも、父はもうまともに歩けません。(中略)高齢の母が一人で支える「老老介護」になるのは目に見えていました。母の気持ちは痛いほど分かりましたが、「絶対に無理だから」と母を説得するしかありませんでした。(取材日:2025/12/03)
揉めないための「費用負担」と「役割分担」のルール
では、具体的にどのように負担を決めればよいのでしょうか。トラブルを避けるための「3つの原則」を紹介します。
基本は「親の年金・貯蓄」で賄う
大前提として、「親の介護費用は、親自身の資産(年金+貯蓄)で賄う」のが基本です。
まずは親の年金額と預貯金を確認し、その範囲内で入れる施設やサービスを探します。
「子どもが出すのが親孝行」と無理をする必要はありません。子どもには子どもの生活があり、共倒れになってしまっては元も子もないからです。
足りない分はどうする?「お金」と「労力」のバランス
親の資産だけで足りない場合や、在宅介護でマンパワーが必要な場合は、兄弟間で分担をします。この時、全員が同じように負担するのではなく、「できること」でバランスを取るのが鉄則です。
「介護はプロの仕事」と同様に、家族が行う介護も「労働」です。
汗をかいて動いている兄弟の金銭負担を減らし、動けない兄弟が資金を出す。この「労力と金銭の交換」を明確にすることで、不公平感を減らすことができます。
負担を「見える化」して交渉する
「お金を出して」と口で言うだけでは、「使い込んでいるのではないか」と疑われることもあります。
施設の見積もりや、オムツ代などの実費、そして親の通帳の残高をすべて開示して「見える化」しましょう。
「毎月これだけ赤字が出るから、兄弟で〇万円ずつ出し合おう」と数字で示すことで、感情論ではない建設的な話し合いが可能になります。
施設探し前に絶対やるべき「親の資産把握」ステップ
費用シミュレーションをするためには、そもそも「いくらあるのか」を知らなければ始まりません。親が元気なうちに、あるいは介護が始まったらすぐに、以下の情報を整理しましょう。
預貯金、不動産、保険の確認方法
▼確認リスト
- 預貯金: 通帳の保管場所、銀行印、定期預金の有無
- 年金: 年金定期便や振込通知書で「手取り額」を確認
- 不動産: 持ち家の権利書、固定資産税の納税通知書
- 保険: 生命保険や民間介護保険の証券(入院給付金が出る場合も)
- 負債: ローンや借入金の有無
聞きにくい場合は、「振り込め詐欺が流行っているから心配」「お父さんが倒れた時に、お母さんが困らないように整理しておこう」と切り出すのがスムーズです。
お金がない場合の対処法(減免制度・安い施設)
親の資産を確認した結果、「施設に入るお金がない」と判明しても諦める必要はありません。
- 費用の安い施設を探す:
特別養護老人ホーム(特養)やケアハウスなどの公的施設は、民間施設より安価です。 - 負担軽減制度を使う:
「特定入所者介護サービス費」や「高額介護サービス費」など、所得の低い方向けの減免制度があります。 - 資産の活用:
持ち家がある場合、それを担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」や、賃貸に出して収益を得る方法もあります。
入居までに決めること!「やらなきゃいけないことリスト」
最後に、施設入居に向けて家族で合意しておくべきタスクをまとめました。
- キーパーソンの決定: 施設や病院からの連絡窓口になる人を1人決める。
- 費用の分担割合の決定: 不足分が出た場合、誰がいくら出すか書面に残す。
- 実家の管理・処分: 空き家になる場合、誰が管理するか、売却するかを話し合う。
- 連帯保証人の確保: 施設の契約には保証人が必要です。兄弟でなるか、保証会社を使うか検討する。
お金の問題は先送りにすればするほど、解決が難しくなります。
「親のため」を思うなら、兄弟で腹を割って話し合い、現実的な資金計画を立てることが最初の一歩です。
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