外国人介護士への感謝

外国人介護士への感謝
昨今、世界的に介護人材が不足してる中で、日本も選ばれる側になっています。そのような状況の中で日本を選び、介護士として働いてくれている外国人介護士について簡単にお話しいたします。
小平 達夫 准教授
富山短期大学 健康福祉学科
産業・組織心理学会、経営行動科学学会、日本レセプト学会、日本介護経営学会
立命館大学大学院人間科学研究科後期博士課程修了 博士(人間科学)
富山大学大学院人文科学研究科修士課程修了 修士(文学)
専門分野:産業組織心理学、人文地理学
研究分野:外国人ケア労働者の国際労働移動、外国人介護士のキャリア形成等

日本は“少子高齢化”で、世界一の高齢化率です。そして、介護業界の人材の不足感は他の業界よりも著しく、今や“不足”から”枯渇“という状況にあります。よく介護職の成り手が少ないという声を聞きますが、実は、介護職の人数は介護保険制度が始まってから増加基調にあり、2022年に初めて減少に転じました。介護職は増えているものの介護人材が不足しているという状況にあります。つまり、介護職の増加を上回るスピードで介護を必要とする方が増えているのです。

今や日本だけでは十分な介護人材を確保することは大変難しい状況にあり、国は積極的に外国人介護士の確保に力を入れています。現在、外国人介護士の来日者数が最も多いのはベトナムですが、円安で日本に行く収入的メリットがなくなってきています。さらに、介護人材不足は日本のみではなく、先進国でも同じ問題に直面しています。

ベトナムに対する介護人材のニーズは、日本のみならず、ドイツ、台湾からもあり、最近ではオーストラリアからも注目されています。つまり、日本は、“選ぶ側”ではなく、“選ばれる側”であることを理解する必要があります。

日本における外国人介護士の数において、ベトナムの次に多いのはインドネシアです。そのインドネシアにおいても日本以外の国、例えばサウジアラビアからのニーズがあります。介護人材は先進国を中心に世界で取り合いになっているという状況です。

そのような状況の中で、日本を“選んでくれた”外国人介護士に私たちは感謝の気持ちを持つことが必要です。しかしながら、私が以前に外国人介護士の方と会話の中で、悲しそうな表情をして、次のような発言がありました。「日本人のスタッフにあいさつをしますが、私にあいさつをしてくれません。私の国、私のことが嫌いですかね。」また、利用者や患者からも暴言や差別的な発言を浴びせられることもあるようです。この発言を聞いた時、私も悲しく、つらい気持ちになりました。

外国人介護士は、愛する家族と離れて、“覚悟を持って”日本に来て、文化・生活習慣・モノの考え方が異なる日本社会で頑張っています。そのような彼らに悲しくつらい思いをさせていけません。私たちは、日本人介護士同様に外国人介護士に対しても感謝の気持ちを忘れていけないと思います。

そして、受入れ先である施設、病院には、外国人介護士を受け入れるにあたり(働く職場の環境として当然ですが)、最低限、“明るく気持ちの良いあいさつ”が交わされる職場づくりが求められます。

外国人介護士と利用者さんとの微笑ましいお話を紹介したいと思います。ある外国人介護士より「利用者さんと“しりとり遊び”をしています。日本語の勉強になります。“しりとり”すると日本語の勉強になりました。あまり話さない利用者さんとは“しりとり”で話します。コミュニケーションを取ります。」という発言がありました。

日本語能力の向上により利用者さんとのコミュニケーションの手段として“しりとり遊び”を行い、そこには利用者さんとのコミュニケーションを図るための仕事への工夫が見られます。と同時に“しりとり遊び”により日本語能力を高めていました。一方、しりとり遊びは、認知症の方の認知症の進行を遅らせる認知機能維持・改善効果があることも報告されており、利用者さんにとってもプラスの効果があります。双方にとってWin=Winの関係(共存関係)ですね。

外国人介護士の皆さんは、慣れない日本で慣れない日本語で日本の利用者さん、患者さんのために一生懸命に介護をしています。私たちは、外国人介護士の方々にも感謝の気持ちを持って接することが大切です。

利用者さん患者さんのご家族の皆さまにも施設、病院で外国人介護士をお見かけになられたら、是非とも「頑張っているね。」「いつもありがとう。」「応援しているよ。と、一声かけていただきたいと思います。

 

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