今回、介護施設のマッチングプラットフォーム「ケアスル 介護」において、介護施設の入居経験がある方、もしくはその関係者250名を対象に、介護施設に入居した時点における、本人の身体や認知症の状態についてアンケート調査を行いました。
これから施設を探す方は、ぜひ参考にしてみてください。
アンケート結果概要
調査の結果、介護施設に入居する時点に抱えていた症状として「アルツハイマー型認知症」が約26%で最も多く、他の認知症の症状を足すと、介護施設に入居した時点で約3人に1人が認知症を患っていたことが分かりました。
「認知症高齢者の日常生活自立度」をもとに入居時の認知症の程度を伺うと、「認知症はなかった」の約30%が最も多く、「ランク1:少し物忘れがある程度で自立していた」の約20%を足すと、老人ホームに入居した半数の方は自立や認知症の症状が軽度であったことが判明しました。
「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」をもとに入居時の寝たきり度を伺うと、「自立(ランクJ)」と回答した方が約38%で最も多く、寝たきり度が上がるほど割合は減少していく傾向にあります。
アンケート結果詳細
続いて、各アンケートの内容とその結果をそれぞれ紹介します。
Q1. 入居した際に抱えていた病気や症状、介護状況を教えてください
事前調査で「「介護施設に入っている」または「入っていた(退去済)」被介護者か、「被介護者を介護施設に入れる予定」と回答された方に対して、老人ホームに入居した際に抱えていた病気などについて伺いました。
なお、この設問における回答内容は、ケアスル介護を利用して施設を探す際の条件として選択できる「看護・医療体制」をもとに作成しています。
回答内容 | 回答人数(複数回答可) |
アルツハイマー型認知症 |
65(26.0%) |
特になし |
59(23.6%) |
糖尿病 |
24(9.6%) |
骨折・骨粗しょう症 |
24(9.6%) |
脳梗塞・脳卒中・脳出血・くも膜下出血 |
20(8.0%) |
レビー小体型認知症 |
18(7.2%) |
パーキンソン病 |
17(6.8%) |
胃ろう |
15(6.0%) |
がん・末期癌 |
14(5.6%) |
心臓病・心筋梗塞・狭心症 |
14(5.6%) |
リウマチ・関節症 |
10(4.0%) |
流動食・嚥下食 |
10(4.0%) |
たん吸引 |
10(4.0%) |
うつ・鬱病 |
9(3.6%) |
誤嚥性肺炎 |
8(3.2%) |
人工透析 |
7(2.8%) |
脳血管性認知症 |
7(2.8%) |
介護食 |
7(2.8%) |
喘息・気管支炎 |
6(2.4%) |
褥瘡・床ずれ |
6(2.4%) |
前頭側頭型認知症(ピック病) |
5(2.0%) |
統合失調症 |
5(2.0%) |
カテーテル・尿バルーン |
3(1.2%) |
ストーマ・人工肛門 |
3(1.2%) |
筋萎縮性側索硬化症(ALS) |
2(0.8%) |
肝炎 |
2(0.8%) |
生活不活発病(廃用症候群) |
2(0.8%) |
人工呼吸器 |
2(0.8%) |
ペースメーカー |
2(0.8%) |
鼻腔・経管栄養 |
1(0.4%) |
気管切開 |
1(0.4%) |
結核 |
0(0%) |
梅毒(ばいどく) |
0(0%) |
MRSA(ブドウ球菌感染症) |
0(0%) |
HIV |
0(0%) |
疥癬(かいせん) |
0(0%) |
中心静脈栄養(IVH・TPN・PPN) |
0(0%) |
在宅酸素療法 |
0(0%) |
その他 |
9(3.6%) |
調査の結果、介護施設に入居する時点に抱えていた症状として最も多かったのは、「アルツハイマー型認知症」の26.0%でした。なお、「レビー小体型認知症」といった他の認知症を加えると、介護施設に入居した約3人に1人が認知症の診断を受けていたことが分かりました。
割合として次に多かったのは「特になし」の23.6%であり、老人ホームに入居した約4人1人が体調に問題がなかったと判断できます。
なお、アンケートの回答数が0の「結核」や「MRSA(ブドウ球菌感染症)」といった感染症に罹患している方は、他の入居者や施設職員への感染リスクを伴うため、一般的には入居できないとされています。
ただし、入居する本人に症状が見られなかったり、感染症対策を徹底しており、集団感染に発展するリスクが低い場合には受け入れているケースもあります。
それ以外にも、「人工呼吸器」や「人工透析」といった医療行為は、介護スタッフが行うことはできず、原則医師や看護師の配置が必要となります。
これらのように、常に医療ケアを必要とする病気や診断を受けている方が介護施設に入居する際には、看護スタッフの配置数や近隣医療機関との連携体制、受け入れ実績を確認しておくことが大切です。

なお、「その他」と回答された方には、以下のような症状が挙げられました。
腎梗塞
食道裂孔ヘルニア
老年性精神病
施設検討が徒労にならないためにも、気になる施設がある場合には早い段階で問い合わせをし、実際に受入れ可能かどうかを確認することをおすすめします。
Q2. 認知症を抱えていた場合、どの程度の認知症を抱えていましたか?
次に、厚生労働省が提示している「認知症高齢者の日常生活自立度」をもとに、介護施設に入居した時点における認知症の状態を伺いました。
回答内容 | 回答人数 |
ランク1:少し物忘れがある程度で自立していた |
50(20.0%) |
ランク2:買い物や事務ができない・たびたび道に迷う |
55(22.0%) |
ランク3:着替え、食事、排便・排尿等ができない |
31(12.4%) |
ランク4:意思疎通が困難で常に介護が必要 |
20(8.0%) |
ランクM:せん妄、妄想、興奮などの症状があった |
19(7.6%) |
認知症はなかった |
75(30.0%) |
割合として最も多かったのは、「認知症はなかった」の30.0%であり、「ランク1:少し物忘れがある程度で自立していた」の20.0%を足すと、老人ホームに入居した半数は自立や認知症の症状が軽度であったことが見て取れます。
認知症はある程度自分で生活できる軽度の方から、日常生活に支障をきたすほど意思疎通が困難な重度の方まで幅広いです。そのため、施設側が「認知症の方を受け入れています」といっても、ランク4やランクMの方まで受け入れているかは判断が付きません。
施設見学の際には、実際にどの程度の認知症の方が入居しているか、または受け入れた実績があるか確認しておくと安心です。

Q3. 介護施設へ入居した際の入居者の介護度合いを教えてください
最後に、厚生労働省が提示している「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」をもとに、介護施設に入居した時点における介護度合いについて伺いました。
回答内容 | 回答人数 |
自立(ランクJ) |
94(37.6%) |
準寝たきり(ランクA):おおむね自立だが、介助なしでは外出しない |
73(29.2%) |
寝たきり(ランクB):屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ |
44(17.6%) |
寝たきり(ランクC):日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する |
39(15.6%) |
アンケートの結果、「自立(ランクJ)」と回答した方が37.6%で最も多く、ランクが上がるほど割合は減少していく傾向にあることが分かります。
介護保険上、「寝たきり」とは1日中ベッドで過ごしている状態を指し、認知症などの状態によって左右されますが、「寝たきり=要介護5」とされるのが一般的です。
要介護5(寝たきり)でも入居できる施設としては、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどが当てはまります。

なお、ケアスル介護には専任のケアアドバイザーが常駐しているので、介護施設の費用や入居も踏まえた相談をしたい場合はぜひ一度相談してみてください。
- 施設に入ろうか悩んでいる
- お金がどのくらいかかるのか知りたい
くらいの疑問でも構いませんので、ケアアドバイザーに相談してみると解決に向けた一歩を進めるかもしれません。
調査概要
調査目的
介護施設入居時の病気や認知症に関するインタビュー
調査手法
調査実施機関:インターネットリサーチ
調査期間:2023年6月30日
調査対象:250人(アンケート回答者は、「介護施設に入っている」または「入っていた(退去済)」被介護者か、「被介護者を介護施設に入れる予定」の方)
調査内容
下記の3つの質問を実施しました。
- Q1. 入居した際に抱えていた病気や症状、介護状況を教えてください(複数回答可)
- Q2. 認知症を抱えていた場合、どの程度の認知症を抱えていましたか?
- Q3. 介護施設へ入居した際の入居者の介護度合いを教えてください
調査テーマについて
ケアスル介護では、介護に関するアンケートテーマを随時募集しています。介護に関する事柄で、
- ちょっと気になるけれど周りに聞きづらい介護のこと
- 介護のノウハウや知識など、みんながどのようにしているのか知りたいこと
があればぜひケアスル介護へお問い合わせください。