「長男が親の老後の面倒を見るものだ」「跡取りで財産を継ぐ代わりに長男夫婦が親の介護をするのは当然」
親に介護が必要になってから、身内からこのように言われた経験はありませんか。
「親の介護は長男の役目」という世間の思い込みに困惑している方もいると思います。
この記事では、長男として生まれただけで親の介護を担う必要はないことや、親の介護で兄弟姉妹間でもめないための方法を解説します。これを読んで、長男であるあなた1人だけでなく、家族みんなで親のシニアライフを応援できる体制を整えましょう。

長男だけが親の介護を担うことではない
結論から言うと、長男だけが親の介護をしなければならないわけではありません。介護など親の面倒をみる義務は、長男に限らず子ども全員にあると法律で決められています。これを扶養義務といいます。
そのため長男だけに義務があるわけではなく、長男を含めた兄弟姉妹全員にその義務が課せられているのです。また長男が親と同居していたとしても関係はなく、法律的には親の介護をする義務は子ども全員に平等にあります。
長男だから親の面倒を見るのは当然だと、兄弟姉妹から当たり前のように介護を押し付けられてきたあなた。あなた1人で親の介護をやる必要はありません。1人で悩まずみんなで介護を担っていけばよいのです。
長男だけではなく子ども全員に親の面倒を見る義務はあります。
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長男だけではなく子ども全員に親の介護義務がある
前述した通り、親の介護の義務は長男だけではなく子ども全員に課せられています。しかしその介護の義務とは、一体どのようなものなのでしょうか。
後々大きなトラブルにならないためにも、詳細について知っておく必要があります。子どもとしてどのような義務を果たさないとならないのか、詳しく解説していきます。
親の介護に関する子どもの義務とは
親の面倒を見る義務とは、生活を助けるといった意味をもっています。そのため、トイレの世話・入浴や食事の手伝いといった身体的な介護を子どもがしなければならないわけではありません。
その義務は大きく分けて以下の2つです。
- 金銭面の援助を行う
- 身のまわりの面倒をみる
金銭面の援助とは、生活費はもちろん介護や医療に必要な費用を支援する義務です。身のまわりの面倒とは、例えば以下のような援助をさします。
- 訪問介護やデイサービス・介護施設などの介護保険サービスの手配
- ごはんの支度や通院のための送迎
- 役所関係の手続き代行
これらのように間接的な支援であっても、法律上は介護の義務を果たしているといえるのです。
親の介護は子どもの義務でも強制力はない
親の介護が、子どもの義務なのは確かです。しかし子どもには子どもの生活があり、経済的に余裕がないにもかかわらずお金の援助をする必要はありません。経済的に余裕がある場合にのみ、その義務が発生するといえます。
この余裕があるかどうかは、家庭裁判所がその家庭の収入等を基準として判断します。その基準は、生活保護を受給する必要があるかどうかを判断する生活扶助基準額です。多くの場合、この基準を世帯収入が超えると余裕があると判断されます。
自分達の生活を脅かしてまで親の介護をすると、共倒れになってしまう場合も少なくありません。そうならないためにも、無理な援助はせず違う方法を考え、自分達の生活を守りましょう。
強制力はなくても放っておくと罪に問われる
親の介護をするのは、強制ではありません。しかし放っておけば、以下のようなケースを招く可能性があります。
- 面倒をみる義務があるのに、放置して対象者を死亡させた
- 面倒をみる義務があるのに、放置して対象者に傷害を負わせた
高齢になって認知症になったり寝たきりになったりした親を放置しておくと、何が起こるか分かりません。親に何かあるだけではなく、周囲に迷惑をかけるなどして子どもが責任を問われる場合も考えられます。
長男に限らず、子ども全員で親を見守る体制を考え整える必要があり、自分達での対応が困難な場合は、介護サービスを利用するなどの対応を取るとよいでしょう。
長男に押し付けて兄弟姉妹が親の介護に協力しない理由
親の介護は長男だけではなく、子ども全員に与えられた義務です。しかし兄弟姉妹が親の介護を長男に丸投げして何も協力しない場合もあり、協力しないのに口を出してくる厄介なケースもみられます。
長男でなくても、近くに住んでいるなどの理由で1人の子どもが介護を担い、他の兄弟姉妹は一切協力しないという話も聞きます。
1人だけに押し付けて、何もしないのはなぜなのか理由をご紹介します。
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長男の役割だと思っている
一昔前は長男が跡取りとして親と一緒に住み、家を継ぐのが当たり前の時代でした。いわゆる家制度の考え方です。とっくの昔に廃止された制度ですが、その名残がある場合も多く、家を継ぐ長男が親の介護も担うべきといった考えも根強く残っています。
特に親自身や親世代の親戚がそう思い込んでいることが多く、兄弟姉妹たちも自分たちに介護の役割が来ないように、それに同調しているケースがあります。
長男はもちろん長男の妻もその介護をやって当たり前と、長男の兄弟姉妹から思われる場合もしばしばあり、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。むしろ自分の兄弟姉妹には直接言えないため、長男の嫁に押し付けてくる場合もあります。
ちなみに法律上、介護の義務は子どもにはあってもその配偶者にはありません。法的な扶養義務の内容をきちんと知っておき、いざという時にはそのように主張しましょう。
介護をする自信がない、できないと決めつけている
高齢になれば、多かれ少なかれ誰でも弱っていきます。足腰が弱り思うように動けなかったり、上手に排泄ができずに漏らしてしまったり、認知症が進行すると自分が子どもだと分からなかったり、暴言を吐かれたりします。
親のそのような姿を見るのは辛く、ほかの兄弟姉妹に任せて見て見ぬふりをしている場合もあるでしょう。
また、自分の家族のことで精一杯で親の介護まで気が回らないと、最初から介護はできないと決めつけているケースも見受けられます。
物理的に介護をするのが難しい
遠方に住んでいる・仕事で忙しい・自分も体調が悪い・ほかの身内の世話があるなどの理由で、物理的に介護が難しい場合もあります。そのため近くに住んでいる方・身動きがとりやすい方が主介護者になりやすいのが現状です。
確かにこの方が介護自体は円滑に行えますが、兄弟姉妹間で不公平だと不満が出てくる場合も考えられます。介護と一言で言ってもその内容は多岐に渡ります。それらを1人に背負わせるのは大変なうえ、兄弟姉妹間で親の介護の比重が偏れば、後々トラブルに発展し兼ねません。
親も自分の介護で、子ども達が争う姿を見たいとは思っていないはずです。物理的に世話をするのが難しい方にもできる親への支援はたくさんあるので、できるものからやっていきましょう。
親との関係性が悪い
兄弟間でも親との関係性はいろいろあり、親と疎遠関係、絶縁関係にある兄弟姉妹は、親の介護はやりたがらないでしょう。とはいえ、どんな関係性であっても法的には扶養義務が子どもに課されます。
その場合は、その兄弟姉妹と自分の関係はどうなっているか、コミュニケーションは取れるのかということが重要です。
親の介護は兄弟姉妹が助け合うことがとても大切です。疎遠な兄弟姉妹がいるなら、親の介護に直面する前にコミュニケーションを取り、関係性を修復しておきましょう。
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みんなで役割分担をして親が安心した老後を送れるようにしよう
長男が親の介護をやってきて当然と言われてきた方も多いでしょう。しかし長男に生まれただけで、それを一手に引き受けなければならないわけではありません。長男だけではなく、子ども達全員に親の介護の義務があります。
兄弟姉妹の中で、長男だからという理由で親の介護を押し付けられている方がいれば、これを機に話し合いの場を設けましょう。介護者も被介護者も、納得のいく介護である必要があります。また親の介護について兄弟姉妹間で早いうちから準備をしておけば、いざ介護が必要になったときにスムーズに動けます。
自分達を育ててくれた大切な親が安心して介護生活を送るために、兄弟姉妹で力を併せて介護を担えば親も喜んでくれるでしょう。ぜひ参考にしてください。