ナーシングホームとは?実際にかかる費用目安から老人ホームとの違いまでを解説

ナーシングホームとは?実際にかかる費用目安から老人ホームとの違いまでを解説

ナーシングホームとは、医療や介護が必要な高齢者が専門スタッフのケアを受けながら生活できる入居型施設です。

介護士や看護師が24時間駐在しているため、介護が必要な方とそのご家族も安心して生活できます。日常的な介護や医療行為が必要でナーシングホームを検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

株式会社スターコンサルティンググループ 代表取締役
専門分野:介護事業経営

株式会社JTBで企業、自治体の海外視察を担当後、大手コンサルティング会社の株式会社船井総合研究所に入社。介護保険施行当初、自ら介護事業に特化したグループを立ち上げ、マネージャーとして勤務。その後、介護サービスに特化したコンサルティング会社「株式会社スターコンサルティンググループ」を立ち上げ、専門家集団として活動している。サポート領域としては、介護施設の開設から集客(稼働率アップ)、採用、教育研修システム・評価制度の導入、DX化などを幅広く支援。「日本一」と呼ばれる事例を、数々生み出してきた。コンサルティング実績500法人以上、講演実績700回以上。また「ガイアの夜明け(テレビ東京)」など、テレビ、新聞、雑誌の取材も多い。詳しくはこちら

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ナーシングホームとは?

ナーシングホームは、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に訪問看護・訪問介護事業所を併設し、24時間体制で医療ケアを提供する施設を指します。

「ナーシングホーム」という名称は欧米発祥のため、日本国内では法律で定められた定義はありませんが、医療依存度が高い方を受け入れるための「医療特化型施設」として、近年急速に増加しています。

ナーシングホームってどのくらい知られている?【ケアスル 介護 独自調査レポート 2026】

ナーシングホームの認知度に関するアンケート調査結果のグラフ

【ケアスル 介護 独自調査レポート 2026】によると回答者995名のうち、「全く知らない」が805名(80.9%)と圧倒的多数を占めており、まだ十分に知られているとはいえません。さらに、「名前だけ聞いたことがある」と回答した方も104名(10.5%)にとどまり、内容まで理解している人はほとんどいないと言っても過言ではありません。

しかし今後は、医療ケアと介護が一体となったナーシングホームという形態は注目されつつあり、認知度が上昇していくことが予想されます。高齢者施設の選択肢が多様化する時代においてナーシングホームを知っておくと、将来の施設選びで役立つでしょう。

専門家が解説!実は「元気な方」は入りにくい?

老人ホーム紹介のプロである桐島慎司さん(株式会社ケアリサーチ)に、ナーシングホームの現状について伺いました。

Q. ナーシングホームとは何ですか??

霧島さん

実は『ナーシングホーム』という法的な施設区分はありません。現場では、医療特化型の『住宅型有料老人ホーム』や、看護師配置を手厚くした『サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)』を総称して呼ぶことが多いです。

Q. ナーシングホームは一般的な老人ホームと何が違いますか?

霧島さん

24時間看護師が常駐している施設という認識で間違いありませんが、最近の傾向として、要介護3~5の方や、末期がん・難病指定の方などを優先して受け入れる施設が増えています

そのため、自立している方や特定の疾患がない方は、逆にナーシングホームには入居しづらい(断られるケースがある)という傾向があります。

このように、ナーシングホームは「医療ケアや重度介護が必要な方のための住まい」としての役割を担っています。

ここでは、ナーシングホームが普及し始めた背景や、利用者が多い医療行為について説明します。

ナーシングホームが普及し始めた背景

ナーシングホームが普及した背景には、高齢化の進行と、家族だけでは介護を担いきれなくなった社会構造の変化があります。日本国内における後期高齢者の爆発的な増加は、2060年まで減少に転じることはなく、2025年時点で2,180万人に到達すると考えられています。これにより医療サービスの需要も高まることは明らかです。

一方、政府は医療費削減を目的に2025年時点の病床数を現在よりも16万〜20万床減らす目標を示しました。これにより、症状が軽く集中治療が必要ではない患者は、自宅や介護施設への転居を余儀なくされています。

しかし、受け皿となる老人ホームの現状は介護業界における人材不足が深刻で、働く介護スタッフ・看護師がいないため、

  • 入居を受け入れることができない
  • 入居を受け入れても質の高いサービスや高度な医療行為に対応できない

といった施設が増えていることが現状です。

さらに、病院で亡くなる方は全体の約8割を超え、「最期まで自分らしく暮らしたい」という需要も高まり、看取り問題が重要視されています。そこで需要が高まっているのが介護と医療の一体型施設であるナーシングホームです。

医療依存度の高い高齢者の増加や、病院からの退院を迫られるケースが増えつつある現代社会において、自宅や病院で孤独を感じることなく適切な医療ケアを受けながら最期を過ごすことができるナーシングホームは、今後さらに需要が高まると考えらえています。

(参考:厚生労働省「我が国の医療の現状」)

「実際に施設を見てみないと生活のイメージができない…」という方は、ケアスル 介護で相談してみることがおすすめです。ケアスル 介護では施設の紹介だけでなく、見学や体験入居の申し込みや日程調整の代行も実施しています。

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ナーシングホームで利用者が多い医療行為

ナーシングホームで受け入れ可能な医療行為は以下の通りです。

医療行為・ケア 概要
胃ろう・腸ろう・鼻腔経管 経管栄養(管を通して栄養投与)への対応
たん吸引・気管切開管理 気道確保・痰の吸引などの呼吸ケア
中心静脈栄養(IVH) 点滴などによる栄養・薬剤の投与管理
褥瘡(床ずれ)処置 褥瘡の手当てや予防
インスリン投与・血糖管理 糖尿病患者へのケア
人工呼吸器(在宅用)管理 在宅用人工呼吸器の管理

ナーシングホームでは看護師・介護士が常駐しているため、毎日の健康管理や、医師の指示に基づく医療行為・医療ケアを行う体制が整っています。

なお、受け入れ可能な医療行為は施設ごとに異なるため、詳細情報については各施設に問い合わせが必要です。

ナーシングホームの費用目安

ナーシングホームの利用にかかる費用の目安は以下の通りです。

費用項目 目安
初期費用 入居一時金・敷金 0〜数千万円
月額費用 居住費 4~12万円
管理費 3~9万円
食費 4~6万円
光熱費 1万円
介護サービス費用
(自己負担額)
2.2~15.3万円
医療費 実費
その他費用 1〜5万円

なお、利用する施設の医療体制の充実度や立地によって費用は異なるため、上記はあくまで目安の金額です。

また、【ケアスル 介護 独自調査レポート 2026】によると、ナーシングホームと全体の施設の月額費用差は以下の結果となりました。

ナーシングホームと介護施設全体の月額費用相場を比較した統計グラフ

本図から、24時間看護体制の有無が月額費用に明確な差を生んでいることが読み取れます。介護付き有料老人ホームでは「24看護あり」が37.0万円、全体平均は28.1万円で、約8.9万円の差があります。住宅型有料老人ホームにおいても、約4.2万円の差が見られました。

一方、サービス付き高齢者向け住宅では、20.8万円と19.1万円で、差は約1.7万円に留まっています。

上記の数値から、医療・看護体制が手厚い施設ほど費用負担が高くなる傾向にあることがわかります。

ナーシングホームの費用相場や、費用を抑える方法について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

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ナーシングホームの費用相場は?費用項目や費用を抑える方法について解説!
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ナーシングホームのサービス内容

ナーシングホームで受けることができるサービス内容および概要は、大きく次の3つに分けられます。

  • 医療ケア
  • 介護サービス
  • 日常生活のサポート

各サービスにおける主な内容と概要は以下の通りです。

ナーシングホームにおける医療・介護・生活支援の連携体制を示した図解

それぞれの内容を把握し、ナーシングホームについて理解を深めましょう。

医療ケア

ナーシングホームでは、日常生活を維持するために必要な医療ケアを中心に提供されています。主な医療ケアは以下の通りです。

  • 点滴
  • 喀痰吸引
  • 在宅酸素
  • 尿バルーン
  • 鼻腔経管栄養
  • 注射や薬の処方
  • 胃ろうや腸ろう
  • ストーマ(人工肛門)
  • 看取りやターミナルケア
  • 褥瘡(じょくそう)ケア

喀痰吸引や点滴などを始め、胃ろうや腸ろう、鼻腔経管栄養といった栄養補給のサポートといった医療ケアを行います。また、褥瘡のケアによって床ずれを防ぐといった日常的なケアや、入所者の最期を看取ったり、穏やかに最期の瞬間を迎えるためのターミナルケアも行います。

ナーシングホームでは、あくまでも日常生活を送るために必要な医療ケアがメインです。

介護サービス

ナーシングホームでは、日常生活動作の介助に加え、心身機能の維持・向上や交流機会が提供されます。主な介護サービスは以下の通りです。

  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 機能訓練
  • 排せつ介助
  • レクリエーション

食事・入浴・排せつをはじめとした、日常生活を送るうえで必要な生活動作全般の介助やサポートが受けられるだけではなく、施設によってはレクリエーションや機能訓練(リハビリ)などのケアを行います。

生活動作の介助だけではなく、レクリエーションやリハビリなどによる身体機能の向上や精神面の充実が期待できることから、高齢者が心身ともに健康に過ごすためのケアが充実しているといえます。

また、レクリエーションはスタッフが実施するだけではなく、地域のボランティアの人が参加し異世代で交流するケースも多いのが特徴です。コミュニケーションが生まれやすいケア体制を取っているため、孤独感の解消も期待できます。

日常生活のサポート

ナーシングホームでは、生活負担の軽減と、夜間を含む安心・安全な生活環境を支援しています。主なサポート内容は以下の通りです。

  • 生活相談
  • 緊急時対応
  • 掃除や洗濯などの支援

ナーシングホームでは、要介護度の進行によって自立して行うことが困難になる掃除や洗濯といった生活支援のサービスを、ケアプランに基づく訪問介護サービスによって受けられるため、身体的負担の軽減につながります。。

緊急時対応も行っており、職員が少ない夜間帯などの事故も適切に対処できるため、入所者の方やご家族の方も安心です。

ナーシングホームの入居条件

ナーシングホームの入居条件は施設により大きく異なりますが、住宅型有料老人ホームとして運営されていることが多いことから、主に以下の条件が挙げられます。

項目 内容・詳細
年齢・対象 原則60歳以上
(施設によっては60歳未満で障害のある方も可)
要介護度 要支援1〜2
または
要介護1〜5 の認定者
人的条件 身元保証人が必要
支払い能力の審査
  • 貯蓄額の確認
  • 保証会社の利用
  • 収入証明書の提出 など
主な費用構成
  • 入居一時金(不要な施設もあり)
  • 月額費用(介護度や施設により異なる)
退去のリスク 費用の滞納(目安として3カ月以上)で、退去勧告の可能性あり

なお、一部のナーシングホームでは60歳以下の障害を持った方の入居が可能です。60歳未満の場合は、要支援2以上で日常的な介護が必要であることなどの一定条件を求められることがあります。

また、ナーシングホームでは身元保証人や支払い能力の調査に際し、入居前に施設側から書類の提出を求められるケースもあります。調査内容は施設により異なりますが、一定の収入があることを証明する書類の提出が必要です。

年収いくら以上という明確な条件はありませんが、各施設で条件は決まっているため、入居後の費用を支払う能力があるかどうかが審査のポイントです。支払い能力の確認は主に以下の方法で行います。

  1. 収入証明書の提出
  2. 貯蓄額の確認
  3. 保証会社の利用

また、ナーシングホームで支払いを求められる費用は主に以下の2つです。

  • 入居時に支払いをする「入居一時金」
  • 月々支払いをする「月額費用」

ただし、看取りを重視している施設などは入居一時金を必要としない施設もあります。

注意すべきは、費用の滞納があると退去させられる可能性がある点です。施設ごとに違いはあるものの、おおむね3カ月以上滞納すると退去勧告される可能性が高いので注意しましょう。

月額費用は要介護度により定額となっていますが、その他の料金は施設ごとに異なります。サービス内容と合わせ、金額に関しても希望に沿っているかどうかを確かめましょう。

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ナーシングホームとその他の老人ホームの違い

ナーシングホームとその他施設との違いは以下の通りです。

施設 特徴 対象者 月額費用の目安 サービス内容
ナーシングホーム 医療と介護を一体的に提供 要介護度が高い方
医療的ケアが日常的に必要な方
15〜30万円前後 24時間看護
看取り、ターミナルケア
喀痰吸引、経管栄養、点滴等
など
自立~軽度向けの老人ホーム 生活支援・介護が中心で、医療対応は限定的 比較的状態が安定している高齢者
自立~要介護
10〜35万円前後 身体介護
生活支援
レクリエーション
※医療は外部連携が中心
グループホーム 認知症ケアに特化 認知症の診断がある方
要支援2〜要介護5
12〜20万円前後 認知症ケア
共同生活支援
食事、入浴、排泄介助
ホスピス 終末期医療・緩和ケアに特化 がん末期など
余命が限られている方
15〜30万円前後 精神的ケア
看取り支援
痛みの緩和ケア
介護医療院 長期療養と生活支援を両立 長期医療が必要な要介護高齢者 10〜20万円前後 医療管理
身体介護
リハビリ
生活支援

ナーシングホームとその他の老人ホームの大きな違いは、医療ケアの充実度です。ナーシングホームでは看護師が24時間常駐し、点滴や喀痰吸引などの医療的ケアを日常的に受けられます。

一方、老人ホームは、主に日常生活における食事や入浴などの介護サービスが中心で、医療的なケアが必要な場合は外部の医療機関と連携するケースが一般的です。

そのため、持病が重い方や医療的管理が必要な方はナーシングホーム、比較的健康状態が安定している方は老人ホームが適しているといえます。

また、グループホームは、認知症の診断を受けた方を対象とした小規模な共同生活施設です。少人数のユニット制により、家庭に近い雰囲気の中で認知症に特化したケアを実践します。

ホスピスは、がんの終末期などにある方々に、延命治療ではなく痛みや苦痛の緩和を最優先とした緩和ケアと看取りを提供する施設です。

介護医療院は、長期にわたる療養を必要とする高齢者のための公的医療・介護施設で、医学的管理と日常生活の支援を同時に提供できる点が強みです。

ナーシングホームの選び方

ナーシングホームを選ぶ際は以下の項目をチェックしてください。

  • 医療・介護体制
  • 施設の見学
  • 施設内の清掃状況

確認事項を事前に理解しておき、希望通りのナーシングホームを選んで入居者本人やご家族にとって安心の生活をスタートさせましょう。

医療・介護体制を確認する

ナーシングホーム選びのポイント:医療・介護体制の充実度を確認するイメージナーシングホーム選びで最も重要なのは、入居者の医療依存度や要介護度に対して、施設の体制が適切かどうかを見極めることです。

看護師が24時間常駐しているか、喀痰吸引や経管栄養、点滴管理など必要な医療的ケアに対応できるかは必ず確認すべきポイントです。

また、嘱託医や医療機関との連携体制、夜間や緊急時の対応方法も確認しましょう。施設ごとに対応可能な医療行為には差があるため、「何ができるか」「何ができないか」を具体的に確認することが大切です。

必ず見学し生活環境と職員の対応を確認する

ナーシングホーム選びのポイント:必ず見学を行い、生活環境や職員の対応を確認するイメージナーシングホームは資料やWeb情報だけで判断せず、必ず現地見学を行うことが重要です。見学では、入居者がどのような雰囲気で生活しているか、職員が丁寧に声かけや対応をしているかを直接確認できます。

また、医療・介護サービスの説明が具体的で分かりやすいかどうかも信頼性を判断する材料です。可能であれば、入居後の一日の流れや緊急時の対応について質問し、説明内容に一貫性があるかを確認すると安心です。

施設内の清掃状況や清潔感をチェックする

ナーシングホーム選びのポイント:施設内の清掃状況や衛生管理をチェックするイメージ施設内の清掃状況や清潔感は、日々のケアの質を反映する重要なポイントです。共用スペースや居室、トイレ、浴室などが清潔に保たれているか、臭いや汚れがないかを見学時に確認しましょう。

特にナーシングホームでは医療的ケアを受ける入居者が多いため、感染症対策や衛生管理が徹底されていることが不可欠です。清掃が行き届いている施設は、職員の意識が高く、安心して生活できる環境である可能性が高いと判断できます。

ナーシングホームについてのまとめ

ナーシングホームは、看護師が24時間常駐し、医療依存度の高い高齢者に対応できる施設です。喀痰吸引、経管栄養、点滴管理、看取りケアなど、充実した医療体制が特徴で、慢性疾患や終末期ケアが必要な方にも適しています。

施設を選ぶ際は、看護・医療体制が入居者の状態に合っているか、夜間や緊急時の対応体制、費用の内訳などを事前に確認しておくとよいでしょう。また必ず現地見学を行い、入居者の生活環境、職員の対応、施設内の清潔感を直接確認することが大切です。医療ケアの内容と人員体制、清掃状況などは、日々のケアの質を反映する重要なポイントになるためです。

入居が初めての場合は確認事項も多いため、ナーシングホーム選びに戸惑う方も多いでしょう。施設選びや費用に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひケアスル 介護へご相談ください。

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