親が認知症になったり、大きな怪我をしてしまったりしたことをきっかけに、親を介護施設に入れることを検討し始めるケースは多くあります。
しかし、「親を施設に入れざるを得ない状況であることはわかっているが、本当に施設に入れていいんだろうか」と葛藤の思いを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、このような葛藤を経験している人は他にもいるのか、そうした人はどのように葛藤に向き合っているのかについてまとめました。さらに、葛藤に向き合うにあたって活用できるサービスについてもまとめました。
親を施設に入れる時の葛藤を解消したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

親を施設に入れることは悪いことではない
これから親を介護施設に入れることを検討するにあたって、「自分の選択は間違っているのではないか」と自分を責めてしまうこともあるでしょう。
その際、前提として、親を施設に入れることは決して悪いことではないということをきちんと認識することが大切です。
社会保障制度の存在
2000年に創設された介護保険制度は、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的としています。
介護保険制度内では自宅で利用できるサービス(訪問介護など)や日帰りで施設等を利用するサービス(デイサービスなど)を含め、様々なサービスを利用することができます。
もちろん親が介護施設に入居するような施設サービスも介護保険制度に含まれるため、親を介護施設に入れることは決して悪いことではなく、罪悪感なども感じる必要はないのです。
介護離職のリスク
総務省が実施した平成29年就業構造基本調査の報告によると、介護をしている人は約628万人で、そのうち約346万人が働きながら介護をしている人でした。
しかし、そのうち9万9千人もの人が過去1年間に「介護・看護のため」に前職を離職していたのです。
これらの方々は心身への負担を軽減するために介護離職という選択を取ったわけですが、介護離職をしたとしても負担が減るとは限りません。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が実施した「平成24年度厚生労働省委託調査」では精神的・肉体的に負担が増えたと回答した人が約6割、経済的に負担が増えたと回答した人が約7割を占めているのです。
そのため、介護離職をしたとしても、負担が増えて介護疲れや介護うつになってしまうリスクもあります。
自分のためにも、建設的に親を介護施設に入れることを検討し、意思決定することは大切なことなのです。
この記事を読んで、自らが限界を迎える前に介護施設を検討したいと思った方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
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親を施設に入れる時に葛藤した人の事例
「国の制度として認められているし、自分の負担を軽減するためにも、親を施設に入れることは悪いことではない」
そうわかっていても、様々な不安感や罪悪感を抱えながら、なかなか親を介護施設に入れるという決断ができないという方がいるのも事実です。
なかなか理屈だけで片づけることが困難な問題に1人路頭に迷い、一体どうしたらよいのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、そのような状況に置かれているのはあなただけではないので、ご安心ください。
今回は、実際に親を施設に入れる時に葛藤した人の事例を3つご紹介します。
1. 親が可哀想という気持ちや自分に対する罪悪感から生じる葛藤
(質問者の)母親も自分の限界が近い事をわかっていて(母親の)父親に施設に入ってほしいと話し、最初は嫌がっていた父親も納得して入所が決まりました。文字にすると簡単に感じますが、この間、家族みんな苦しみ泣きながら何度も何度も考えました。母親は施設に入れることの罪悪感で毎日泣いていますし父親もいざ入るとなったら寂しいと泣いています。(Yahoo!知恵袋より一部引用)
親の状態や介護者自身の負担などを考慮したうえで、悩みに悩んだ結果、親を介護施設に入れるという決断をしようとしたのにも関わらず、無理やり親を介護施設に入れることに対して不憫に感じたり、これまで自分が担ってきた介護から逃げることになるのではないかという罪悪感から葛藤が生じるケースです。
こちらの事例では、親は施設入居を承諾していますが、中には親が施設入居を強く反対するケースも多く、親を説得する必要性も加わると、こうした葛藤はさらに大きなものとなってしまうのです。
2. 母の介護をすることによって母を嫌いになってしまうという感情から生まれる葛藤
うちのお婆ちゃんは、90を越えたらボケちゃって、介護してた母はメンタル強い方なんだけど、憔悴して鬱になりかけたのよね。ケースバイケースだけど、介護の大変さを目の当たりにしたよ。大切な親の筈なんだけど、嫌いになりそうで葛藤もしたみたい。今は介護施設に入れたから良かったんだけど。(Twitterより引用)
自分が積極的に介護に携わってきたものの、親の老いや感情変化を受け止めきれず、このまま親と密接に関わり続けていても母のことを嫌いになってしまいそうだという感情から葛藤が生じるケースです。
自分を育ててくれた実親であり、大好きな母だからこそ、自分が責任を持って母の面倒を見たいと思っている一方で、自分ができる介護の限界を感じると、親を介護施設に入れるという選択肢を検討することになりますが、こうした場合にも葛藤を経験する人もいるのです。
3. 介護施設に対するマイナスイメージから生まれる葛藤
親を施設に入れなくてはいけないという葛藤と罪悪感。でも、それは高齢者施設にマイナスなイメージがあるからなんだよね。なんとかしなきゃ。(Twitterより引用)
これまでは自分や親に対する感情によって生まれる葛藤の事例について紹介しましたが、今回は介護施設に対するマイナスなイメージから葛藤が生じるケースです。
親を介護施設に入れることを考え始めているが、まだそれほど情報を集められていない方の中には、食事が美味しくない、友達ができず環境に馴染むことが難しい、施設職員から攻撃的な扱いを受けるなど、漠然とネガティブなイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。
そうしたイメージを持っていると、介護施設に親を預けることに不安を感じたり、在宅介護の方が安心安全であると考えたりしてしまい、在宅介護にすべきか介護施設に入れるべきかという葛藤を経験する人もいるのです。
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親を施設に入れる葛藤に対する向き合い方
これまでは実際の事例を紹介し、親を介護施設に入れる時にはどのような葛藤があるのかについてご紹介しました。
では、葛藤を経験している人はどのようにして葛藤に向き合っているのでしょうか。
今回は、紹介した事例から示唆される、葛藤に向き合う際のポイントを3つ紹介します。
1. 親を施設に入れるという選択は、自分のためでもあり、親のためでもあると考える
まずは親を介護施設に入れるのは「自分のためでもあり、親のためでもある」ということを認識しましょう。
自分1人で介護を担おうとすると、精神的・肉体的・経済的に大きなストレスを抱えることになります。
一時的に親の状態を改善することは可能かもしれませんが、それは長くは続かず、結果的に自分が追いつめられてしまうような状況にも繋がりかねません。
また、介護は専門的な知識が必要であり、プロの介護を受けることによって、親が長期的に自分らしく生きることに繋がるかもしれません。
「自分が我慢すれば問題ない」と考えるのではなく、自分と親のために建設的に介護施設への入居を検討することは大切なことなのです。
2. 親のために、自分ができること・できないことを整理する
次に、自己本位で親の施設入居を決めてしまわないよう、親ときちんと対話しましょう。
親が何を求めているのかを明確にしたうえで、自分は親のために何ができて、何ができないのかを整理することが大切です。
また、この過程を怠らずに行うことによって得られた情報は、実際に介護施設を選ぶ際の条件となるため、非常に重要なポイントになります。
3. 丁寧に施設を選び、調整する
ずっと一緒に過ごしてきたからこそわかる、親の本音や愚痴が存在します。
親の希望、自分のできること・できないことなどと併せて介護施設を選ぶ際の条件を設定し、入居先候補を検討したり、入居先候補の職員と調整することが大切です。
実際に施設見学に行ったりすることで、疑問点や不安点が残っていない状態で入居先施設を選ぶことができれば、葛藤も晴れ、納得感を持って親を介護施設に入れることができるでしょう。
親を施設に入れる葛藤に向き合うために活用できる相談窓口
葛藤に向き合う際のポイントを把握しても、実際に行動を移すとなると難しいことも多く存在します。
今回は、あなたが葛藤に向き合う過程をお手伝いできるサービスを5つご紹介します。
1. 各市区町村役所の相談機関
各市区町村役所には介護が必要な方とご家族に向けた相談機関があり、介護保険の手続きや各種サービスが受けられます。
具体的な相談機関として以下のような窓口が存在します。
- 市区町村の福祉課
- 居宅支援事業所
- 社会福祉協議会
- 地域包括支援センター
お住まいの自治体によって設置されている窓口が異なるので、まずは市区町村役所内にある福祉課へ問い合わせるとスムーズでしょう。
2. お住まいの地区の民生委員
民生委員とは厚生労働大臣の委託を受けて地域住民の「見守り」「相談」「支援」を行い、地域福祉の増進をはかる人です。身分は地方公務員ですが報酬はなく、ボランティアとして活動しています。
民生委員は支援の必要な方一人ひとりに向き合い、さらに地域をよく理解しているため、離れて暮らす親の見守りを民生委員にお願いする方も多いといいます。
地域の高齢者に対する民生委員の主な仕事は以下の通りです。
- 高齢世帯に対する訪問相談
- 高齢者ご本人の実態調査
- 市町村・福祉機関とご本人との橋渡し
3. 周囲の介護経験者や家族
多くの方が親の介護についていちばんに相談する相手は「家族」です。たとえ近くに住んでいなくても、兄弟にはまず親の現在の状況を知ってもらい、協力をお願いしましょう。離れているからこそできるアドバイスもあると考えられるからです。
もし身近に介護経験者がいればぜひ相談に乗ってもらいましょう。ほかの方の経験談を聞けばがんばる道筋も見えてくるかもしれません。
また同級生など同じ年代の友達に相談するのも有効的です。みな高齢の親を持っているから似た境遇の方も少なからずいるはずです。お互いによい話し相手になるでしょう。
4. 家族介護者向けの交流会
家族を介護する方や介護サービスを受けている方たちが交流・情報共有する場として「家族会」や「介護者交流会」が各地で開催されています。交流会は自治体主催が多く、申し込みは市区町村役所、または各会場ごとで受け付けています。
ほかにも病院や福祉法人が催す交流会もあるので探してみるとよいでしょう。中には介護に関するレクチャーと一緒に開催する会もあるため、家族に効果的な情報を取り込めます。
最近ではインターネットでも交流会を検索でき、さらにオンライン交流会も開催されるようになりました。在宅介護などで外出が難しい場合には、ZoomやWebサロンなどの交流会に参加するのもよいでしょう。
5. インターネットサービス
介護者の悩みに対して無料で相談に乗ったり、介護施設の選択肢を無料で紹介してもらえるようなインターネットサービスも存在します。
また、この記事を読んでぜひインターネットサービスを活用してみたいと思った方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
ケアスル介護では、ご相談者様の悩みに真摯に向き合うとともに、入居相談員がその場で条件に合った施設をご紹介します。
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まとめ
本記事では、親を施設に入れる時にはどのような葛藤があるのか、また、そのような葛藤に対してどのように向き合えばよいのかについて解説していきました。
親を介護施設に入れるという選択は決して悪いものではありませんが、そうはいっても、中々決断することが難しいというのも事実です。
自分のため、親のために施設入居を検討するというマインドを持ち、建設的に情報を集めたり、適切な相談者に相談することを行っていきましょう。
親を施設に入れる際には、①親が可哀想という気持ちや自分に対する罪悪感から生じる葛藤、②母の介護をすることによって母を嫌いになってしまうという感情から生まれる葛藤、③介護施設に対するマイナスイメージから生まれる葛藤などが存在します。詳しくはこちらをご覧ください。
親を施設に入れる時の葛藤に向き合うにあたっては、①親を施設に入れるという選択は、自分のためでもあり、親のためでもあると考える、②親のために、自分ができること・できないことを整理する、③丁寧に施設を選び、調整するという3つポイントを意識することが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。