認知症には誰もがなりたくないと思うでしょう。しかし、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。どうしたら認知症を予防できるのでしょうか。
この記事では認知症予防に効果的なトレーニングについて、脳トレと運動の2方面から紹介します。
国立長寿医療研究センターが推奨している「コグニサイズ」についても解説しています。今からはじめられるトレーニングばかりなので、ぜひ参考にして認知症予防に役立ててください。
認知症予防トレーニングとは
高齢になると、病気や怪我のリスク上昇とともに認知症のリスクも高くなります。認知症を予防するには早めの対策が必要です。
認知症はトレーニングによってある程度予防できると発表されています。※効果のあるトレーニングとしては、脳を直接活性化させる脳トレや、運動トレーニングが挙げられます。
また、認知症は、心筋梗塞や、怪我などで入院が長引くことによって行動が制限されると発症のリスクがあがることはご存知でしょうか。
認知症予防には、脳を活性化させるトレーニングだけではなく、病気や怪我の予防にも勤める必要があるのです。
※WHOガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』によると、「身体活動は、認知機能正常の成人に対して認知機能低下のリスクを低減するために推奨される。」に対して「強く推奨」としており、一定の効果があることが認められています。
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週3回・30分以上の運動が効果的な認知症予防トレーニング
認知症の予防には週3日、1日30分以上の運動が効果的であると言われています。運動をすると血流が良くなります。脳に酸素がいきわたりやすくなるので、脳梗塞や脳出血のリスクを軽減させる効果が得られるのです。
また、運動で脳容量の増加やシナプスの向上が見込まれるだけでなく、睡眠の質の向上やうつ病の改善など間接的に認知症の予防につながるとされています。
認知症の予防のための運動には大きくわけて以下の2つがあります。
- 有酸素運動:散歩・ヨガ
- 無酸素運動:階段の昇降・スクワット
どちらも認知症予防に効果があるので、ここからはそれぞれの効果と、実際にどのような運動があるかを解説します。
気軽に始めよう有酸素運動
認知症対策には有酸素運動が有効です。有酸素運動は酸素と体内の脂肪と糖でエネルギーをつくり出して筋肉を動かす運動です。
酸素を取り込むので、血液の循環が良くなり呼吸器の機能が向上する効果もあります。脂肪と糖を消費するので、生活習慣病など病気のリスクを軽減させる効能も。血流が良くなるので脳が活性化されるほか、筋肉を動かすと前頭葉が活性化する効果があると発表されています。ここからは今から始められる有酸素運動を紹介します。
散歩
散歩は今すぐにでも始められ、継続しやすい運動です。歩くだけでももちろんよいのですが、ウォーキングとして、腕を振って姿勢正しく歩くとより認知症予防の効果が得られます。
散歩は習慣にしやすく、近隣の方とコミュニケーションを取りやすいので、日々の運動に取り入れている方も多くいます。認知症の周辺症状の一つである抑うつの予防にもなるので、日々の運動として積極的に取り入れましょう。
散歩に行く時間がない方や外に出るのが億劫な方は、まずは買い物のスーパーまで歩いたり、駅まで歩いたりしてみましょう。
ヨガ
ヨガは若い方のエクササイズといったイメージがありますが、その起源は古く、4500年前まで遡ります。酸素をたっぷり取り入れて筋肉を使うポーズは筋肉をほぐし、筋肉を増強させます。
呼吸を整えるので、交感神経と副交感神経が整えられ、リラックス効果も得られます。認知症にはうつ病も大きく関わっているので、精神面からも認知症予防につながります。
ヨガ教室はもちろん、自治体でも高齢者のためのヨガ教室を開催している場所もあります。また、動画サイトなどでもヨガができるので、気軽に取り入れられる運動です。
すぐに始めよう無酸素運動
無酸素運動と聞くと、ハードなトレーニングをイメージされる方も多いのではないでしょうか。実際には酸素をエネルギー源にせずに、糖のみをエネルギーに変えて行う運動を指します。
無酸素運動の効果は筋肉の維持や向上により、認知症の間接的な原因となる転倒などの予防です。また、体力の維持や向上で病気を予防する効果も見込まれます。
ここでは、すぐに始められて負荷の少ない階段の昇降やスクワットなどについて解説します。
ただし、認知症発症を予防しようとする方はご高齢の場合も多く、膝をはじめとした関節に負担がかかっている方も多くいらっしゃいます。無理のない範囲で行う事を心がけてください。
階段の昇降
階段の昇降運動は、介護施設などでも取り入れられているトレーニングです。階段をゆっくり上り下りするのは有酸素運動と実は大差ありません。
無酸素運動として階段の昇降を取り入れるのであれば、足をしっかりあげて早めに昇降しましょう。ふとももとふくらはぎの筋肉に負荷がかかるので足の筋肉の維持や向上につながります。
自宅に階段がなく、出かける先にも階段がない場合は踏み台で代用してもよいでしょう。早い昇降とゆっくりの昇降で有酸素運動と無酸素運動のどちらの運動効果も得られます。
スクワット
スクワットは特別な機械など使わずにすぐに始められる運動の一つで、その場で始められます。
足腰に不安のある方は手すりなどを持って行ってもよいでしょう。スクワットは足腰の筋肉の維持向上につながります。足腰を鍛えると転倒のリスクや寝たきりのリスクを軽減できます。
スクワットが辛い場合は、つま先立ちを繰り返す運動でも十分なトレーニングになります。
認知症予防トレーニングのコグニサイズとは?
コグニサイズは、国立長寿医療研究センターが発表している認知症予防に効果的なトレーニングです。
Cognition(認知)とExercise(運動)を組み合わせた造語で、脳トレと身体トレーニングをまとめてできます。具体的には以下の3つです。
- ゴクニステップ
- ゴクニウォーク
- ゴクニラダー
コグニサイズで認知症の発症率が下がったデータもあります。コグニサイズは頭を使う状態が重要なトレーニングなので、うまく出来る必要はありません。むしろ、簡単に感じたら難しい課題へと変更していくとよいでしょう。
①コグニステップ
コグニステップはリズムに合わせてステップを踏む運動です。スタンダードなトレーニングは、ステップに合わせて数字を刻み、3の倍数で拍手をします。
足と手が違う動きをするので、脳を活性化させると同時に有酸素運動と同じトレーニング効果が得られます。
足のステップもバリエーションが豊富で、応用が利かせやすいので自分のレベルに合わせたトレーニングができます。1人でもできるので、寝る前や朝起きた時などの習慣にしてもよいでしょう。
②コグニウォーク
コグニウォークは、通常のウォーキングに脳トレを組み合わせたトレーニングです。ウォーキングをしながら計算やしりとりなどの脳トレをして脳を活性化させます。
ウォーキングは画像のように、上半身を上げて腹筋を締めて行います。有酸素運動の効果をよりあげ、酸素を脳に取り込めるので脳トレの効果をあげられるのです。
ひとりで計算しながらのウォーキングももちろんよいですが、友人や家族と行うとより効果的です。楽しみながらできるので、抑うつの予防にもなります。
③コグニラダー
ラダーとは、マス目のあるはしごのような紐です。ビニールテープなどでも代用できるので、自宅でも簡単に取り入れられます。
基本の動きは2マスを8歩で進むのがワンセットです。「2歩目と4歩目を外にステップ」などルールを決めて進めていきます。
なれて来たら逆に進む、足の動作に手の動作を加えるなど難易度をあげていくとよいでしょう。
ゲーム感覚でできるので、グループで行うと盛り上がります。また、立って行うのが辛い時は座りながらもできます。体調や自分の状態に合わせて取り入れるのが大切です。
認知症予防トレーニングである脳トレ
骨折した際には足のリハビリが必要なように、脳の衰えには脳への直接のトレーニングが必要です。
脳トレは、対人コミュニケーションや計算などの知的活動が日常でできます。買い物をする際に計算をしたり、料理の行程をイメージしながら買い物をしたりするなど日常生活の中で取り入れられます。
数ある脳トレの中から特に効果的なものを3つ紹介します。
- ボードゲーム
- パズル
- クイズ
すぐに始められるものもあるので、早速取り入れてみてはいかがでしょうか。
ボードゲーム
ボードゲームは将棋や囲碁、麻雀やチェスなど盤上でできるゲームを指します。将棋や囲碁などは趣味でされている方も多いのではないでしょうか。ボードゲームは相手の先の行動を読むゲームなので、プレイ中に前頭葉が活性化する効果があります。
囲碁によってアルツハイマー型認知症の症状の改善が見られたとの報告もあるほど、認知症予防はもちろん、認知症の改善にまで効果的なトレーニングです。
オンラインゲームでも効果は得られるので、PCをお持ちの方はぜひ始めてみてはいかがでしょうか。
パズル
ピースをつなぎ合わせるジグソーパズルはもちろん、立体的な形を作る立体パズルトレーニングに効果的です。数字を合わせるナンプレ(ナンバープレイス)や、言葉を合わせるクロスワードパズルなども脳の活性化に効果があります。
ひとりで始められて、新聞などに問題がついている場合もあるので、気軽に始められる脳トレです。
コンビニや書店では雑誌も販売されており、懸賞つきのものもあるので楽しく続けられるのではないでしょうか。また「完成する」ので、達成感を得られます。自信の向上につながり、うつの予防にも役立ちます。
クイズ
ひとりでも、人数が集まってもできるトレーニングです。クイズの本を買って解くのもよいですし、家族や友人でクイズを出し合うのも楽しいですよ。
なぞなぞ程度の問題でも、脳が記憶と記憶を結びつけようと活性化するので認知症予防に効果的です。
医療施設では「都道府県ゲーム」といった連想ゲームなどにも利用されています。連想ゲームは簡単かつ脳を活性化させる効果があります。人数が集まるとより盛り上がり、コミュニケーションも取れるので会話での認知症予防に効果的です。
自治体開催の認知症予防教室とは
認知症予防教室は介護予防教室として、自治体などが市民センターなどで開催している教室です。地域在住の65歳以上であれば、介護認定を受けていなくても利用できます。
内容としては、解説した運動や脳トレができる教室です。サークル活動などしている自治体もあります。
一緒にトレーニングをする友人を作る場でもあり、引きこもりによる認知症のリスクを軽減させる効果が期待できます。
トレーニング効果を高める生活習慣でできる認知症予防
認知症のトレーニングについて解説しましたが、睡眠の不足や、食事が不十分では十分なトレーニング効果を得られません。トレーニングの効果をより高めるといわれている生活習慣での認知症予防方法は以下の2つです。
- アミロイドβを軽減する食事
- 脳を休ませる睡眠
それぞれについて解説します。
アミロイドβを軽減する食事
糖をエネルギーに変える運動において、糖質の摂取は大事です。また、筋肉の疲労を回復するたんぱく質も必要です。バランスの取れた食事が運動トレーニングや脳トレの効果を最大限に発揮させられるとされています。
また、食事の中には「アミロイドβ」の排出を抑える働きのあるものもあります。アミロイドβとは、認知症の原因ともいわれるたんぱく質の一種で、これが蓄積するとアルツハイマー性認知症の原因になるとも言われているのです。
アミロイドβを抑える食事としては、青魚や野菜、くだものがあげられます。
脳を休ませる睡眠
運動のあとは体を休ませるのが大事なように、脳をトレーニングしたあとは脳を休ませるのも大事です。浅い眠りや、睡眠時間の短さは折角の脳トレを台なしにします。
良質な睡眠には「適度な運動」「寝る前にテレビなどを消す」「アルコールをできるだけとらない」があげられます。
適度な昼寝も良質な睡眠には効果的ですが、あまり昼寝をし過ぎると夜寝られなくなるので注意が必要です。
認知症予防トレーニングを始めて、楽しい老後に備えよう
認知症予防トレーニングは日常生活で意識して取り入れられるものばかりです。ウォーキングや計算などはすぐに始められます。早期発見・早期予防が大事な認知症は、意外とすぐに予防を始められるのです。
認知症に対して不安に感じた方はぜひトレーニングを始めてみてはいかがでしょうか。また、認知症状に懸念がある方は一度病院で検査を受けてみるのもよいでしょう。