老人ホームの費用が払えない場合、まずは生活相談員やケアマネジャーに相談するようにしてください。
そのうえで、公的な減免制度を利用すること、国民年金で入れる老人ホームなど費用が安い施設へ入居することの2点を検討するようにしましょう。

老人ホームの費用が払えないとどうなる?
これから介護が必要になる方であれば、「老人ホームの費用なんて到底払うことができない」「老人ホームの費用は払えないと思うけど、自分が払わないといけないの?」という悩みを持っている方も多いでしょう。
また、現在在宅で介護をされている方や既に老人ホームに入居されている方であれば、「老人ホームに入居した後、費用が払えなくなったらどうしよう」と不安に思っている方もいることでしょう。
結論、費用が払えない場合の対処法は存在します。
お金がなくても入れる老人ホームや、足りなくなった際の公的制度など、「費用が払えない」と悩んでいる方の救済措置も複数存在し、あなたのケースにおいて最適な手段を取り、安心して老人ホームに入居できるように一緒に備えていきましょう。
老人ホームの費用が払えない場合の対処法
では具体的に老人ホームの費用が払えない場合にできることは何なのでしょうか?大きく2つの観点から解説していきます。
①減免制度を活用する
老人ホームの費用が払えない場合に利用できる減免制度には、以下のようなものがあります。
- 高額介護サービス費:1カ月の利用者負担額が所得ごとの区分限度額を上回った時に、払い戻される制度
- 減免対象:介護サービス費用の自己負担額
- 高額医療・高額介護合算療養費制度:医療費と介護サービスの自己負担額の1年間の支払額が基準を超えた場合、払い戻される制度
- 減免対象:医療費と介護サービス費用の自己負担額
- 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度:市区町村税世帯非課税で特定の条件を満たした場合は、利用者負担の1/4が軽減される制度
- 減免対象:介護サービスの自己負担額、居住費および食費
- 特定入所者介護サービス費:4段階の所得段階ごとに、居住費と食費を減免することができる制度
- 減免対象:居住費・食費
- 医療費控除:所定の費用項目は確定申告を行うことで、所得税から医療費控除をとして控除を受けることできる制度
- 減免対象:介護サービスの自己負担額・居住費・食費
- 自治体独自の助成制度:特定の条件を満たした場合は、介護サービスの利用者負担が軽減される制度
- 減免対象:介護サービスの自己負担額・居住費および食費など
医療費控除以外の申請方法については、お住まいの市区町村の役所にて申し込みとなっており、医療費控除の申請方法は確定申告時の申請となります。
自分が適用できる減免制度を見極め、必要に応じて申請をしてみましょう。その際は、地域包括支援センターや福祉事務所に相談するのがおすすめです。
②費用が安い老人ホームに入居する
老人ホームの費用が払えない場合は、特別養護老人ホームなどの介護保険施設を中心に、費用の安い施設への入居を検討するとよいでしょう。
特に、特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、地方自治体や社会福祉法人からの補助金が出るため、年金額が少ない人や貯蓄が無い人でも入居しやすいことがメリットです。
住民税非課税世帯で一定の所得以下であれば、居住費や食費などを含め月額費用を5万円以下に抑えることも可能であり、必要な費用を国民年金だけで収めることもできる場合があります。
国民年金だけで入れる老人ホームや低所得者が入れる老人ホームは以下の記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。


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「老人ホームの費用が高すぎて払えない…」という事例をご紹介
あなたと同じように、老人ホームの費用が高すぎて払えないと感じている方は沢山います。実際に知恵袋ではこういった事例があります。
60代・女性(仮)
介護老人保健施設に母が入りましたが、費用が高くて(15万/月)払えません。こんなに高いのでしょうか。負担を軽くする方法や、他の施設で安くなる施設(特養など)、方法があれば教えて頂けませんか。
77歳の母は去年認知症(せん妄)を患い、自宅で介護が必要となっていましたが、数か月前に肋骨を骨折し、寝たきり状態となりました。京都の山奥の実家では80歳になる父が一人で介護をしていましたが疲れきり、ケアマネージャさんが探して頂いた介護老人保健施設(老健)に入ることになったのですが、月15万かかると言われました。ともに年金生活で、父は町の農業委員というのを担当しているようですが、収入はほとんど無く、貯金もさほどないので、すぐに使いきってしまいそうです。
(Yahoo!知恵袋から一部抜粋)
50代・女性(仮)
3ヶ月ほど前に母を介護施設(老健)に入所させました。母は寝たきりの要介護5です。母はいわゆるシングルマザーで夫も兄弟もいません、私も一人子で独身です。つまり母を看れるのは私しかいません。私一人で看ることに限界を感じ施設への入所を検討しました。(中略)
7月からは月22~25万ほど見込まれるので思い切って6月に母を施設に入所させることにしたのです。ところが入所直後に私自身が倒れてしまいました。それが原因で確定していた7月からの異動もなくなってしまい、それどころか会社も辞めることになってしまいました。現在も療養中でわずかばかりの失業保険で生活しています。(中略)
しかしついに今月に最初の請求が出ました。3ヶ月分の請求ですので約40万円の請求です。正直なところ貯金もなく失業保険の収入のみです。まとまったお金がありません。ローンなどの借金も出来ませんし、親戚もおりませんから、とても一括では払えませんから施設側に分割などでご相談しなければならないのですが、こんな前代未聞な事態ですので、どうなってしまうのかわからず相談するのが怖いです。
(Yahoo!知恵袋から一部抜粋)
老人ホームに入居中に払えなくなってしまったら?
もしも老人ホームに入居してから費用の支払いが難しくなってしまった場合、「どのように対処したらよいのか」と不安と焦りでいっぱいになってしまうことがあるかもしれません。そうなった際に取るべき行動について以下のことを覚えておきましょう。
まずやるべきことは「相談」
費用の支払いが難しくなりそうなときは、すぐに施設の相談員やケアマネージャーに相談しましょう。
状況に応じて、分割払い・一時的な猶予・施設内での支援体制調整などの対応を取ってくれる場合があります。
また、相談内容に応じて地域包括支援センターや自治体の福祉課などの福祉事務所との連携も視野に入ります。問題に気が付いたらいち早く相談することが、入居者・施設双方にとってより良い結果を招くことになるので、一人で抱え込まずにすぐにしかるべき相談相手に相談しましょう。
公的制度の利用も検討を
支払いの継続が難しいと判断された場合は、減免制度の章でも紹介した制度を活用することを検討しましょう。
また、生活保護制度(生活扶助・住宅扶助・介護扶助)も、条件を満たせば、施設利用料の一部または全額が支給される可能性があります。どうしても現状の収入だけでは毎月の支払いが難しい場合は、お住まいの自治体の生活保護担当窓口に相談の上、利用を検討しましょう。

退去が必要になるケースもあるが、いきなり追い出されることはない
施設によっては、長期にわたる滞納や支払い意志がないと判断されると、退去を求められるケースもあります。しかし、いきなり「明日から別の場所に移ってください」なんて言われることはまずなく、福祉課や相談機関との調整を経たうえで新たな施設を探す時間が設けられることが一般的です。
そのため、一度支払いが滞ってしまっても焦る必要はなく、正直にその旨を施設や相談機関に相談したうえで最適な方法がとれるように着実に進めていきましょう。
老人ホームの費用について悩んだら
「親を施設に入れたいがお金がない」「老人ホームに入居したが、費用が払えなくなりそうで困っている」という方は少なくありません。
特に、老人ホームの入居後に費用が払えない場合であっても、すぐに強制退去になるケースは少ないためご安心ください。
そして、老人ホームの費用が払えなくなりそうだと思った際には、すぐに生活相談員やケアマネジャーといった専門家に相談するとともに、減免制度の利用や費用の安い施設への入居を検討するようにしましょう。