介護付き有料老人ホームは補助金が出ない?入所後に利用できる制度を紹介

介護付き有料老人ホームは補助金が出ない?入所後に利用できる制度を紹介

「介護付き有料老人ホームは高い」と聞き、金銭面に関する不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

介護付き有料老人ホームは民間運営のため国からの支援制度がなく、家賃や管理費用などの月額料金がほかの施設と比べると高くなる場合があります。

一方で入所後に自己の負担額が軽減できる2つの制度がありますが、あまり知られていません

この記事では、介護付き有料老人ホーム入所後に給付される社会保険制度や費用の安い施設を探すポイントを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

當舎社会保険労務士行政書士法務事務所 所長
監修當舎 緑
所有資格:社会保険労務士,行政書士
専門分野:社会保険
職業: ファイナンシャルプランナー,行政書士

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介護付き有料老人ホーム入所後でも利用できる補助金制度

介護付き有料老人ホームは民間企業が運営している施設のため、公的施設と比較すると費用が高額である場合が多いです。

しかし、国や自治体におけるさまざまな制度を利用すれば自己負担額を減らせる場合があります。

厳密に言えば補助金がもらえるわけでではなく、社会保障制度による払い戻しや負担額の軽減ですが、金銭的に大きな助けとなり得るでしょう。

介護付き有料老人ホーム入所後に給付される制度には、主に以下の3種類があります。

  • 高額介護合算療養費制度
  • 高額介護サービス費制度
  • 自治体独自の軽減策

ここからは、それぞれの制度内容について詳しく説明していくため、利用できる制度はあるのか、ご家族にあてはめながらご覧ください。

1.高額医療・介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、1年間で支払った医療保険と介護保険の自己負担合計が、一定の金額を超えた場合に差額が払い戻される制度です。

この制度は「高額医療・高額介護合算療養費制度」とも呼ばれます。

高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険両方のサービスを利用しうえで、自己負担額が生じた場合に使用できます。

高額医療・高額介護合算療養費の自己負担限度額は、以下の通りです。

75歳以上 70~74歳
介護保険+後期高齢者医療 介護保険+被用者保険または国民健康保険
年収約1160万円 212万円
年収約770~役1160万円 141万円
年収約370~約770万円 67万円
~年収約370万円 56万円
市町村民税世帯非課税等 31万円
市町村民税世帯非課税活年金収入80万円以下等 本人のみ 19万円
介護利用者が複数 31万円

(出所:厚生労働省「介護保険の解説|サービスにかかる利用料」

2.高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、1カ月間で使用した介護サービス自己負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く)の合計が、所得に応じて区分された一定の上限額を超えた場合に差額が介護保険から支給される制度です。

高額介護サービス費の上限額は所得によって所得によって、以下の6段階に区分されています。

区分 1カ月の負担上限額
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 140,100円(世帯)
課税所得380万円(年収770万円)~

課税所得690万円(年収約1,160万円)未満

93,000円(世帯)
市町村民税課税~

課税所得380万円(年収770万円)未満

44,400円(世帯)
世帯の全員が市町村民税世帯非課税(下記の段階に該当しない方) 24,600円(世帯)
世帯の全員が市町村民税世帯非課税

前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等

24,600円(世帯)

15,000円(個人)

生活保護を取得している方等 15,000円(世帯)

(出所︰厚生労働省「令和3年8月利用分から 高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」

高額介護サービス費は、同一世帯に要介護度認定を受けた家族がいる場合に、費用を合算できるのが特徴です。

したがって、介護サービス費が個人で上限を超えていなくても、同一世帯内で介護サービスを利用した方全員の負担の合計が上限を超えれば、申請が可能になります。

3.自治体独自の補助金もある

自治体独自で行っている補助金制度があります。

例えば東京都江戸川区の場合には、区内の特別養護老人ホーム入居待ちで、一時的に介護付有料老人ホームを利用して待機する方に対して、補助金が出る制度を設けています。

補助金は、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の居住費の差額(月額上限7万円)で、期間は入居した月を含めた36カ月(3年間)です。

対象者は、以下の3つの条件をすべて満たした方です。

  • 江戸川区内の特別養護老人ホームへ入居の申し込みをしてから、待機期間が6カ月以上になった方
  • 江戸川区の介護保険被保険者
  • 要介護3以上の方

お住いの自治体に独自の居住費補助制度がないか、確認してみるとよいでしょう。

費用の安い老人ホームへの入所を検討しているという方はケアスル介護で探すのがおすすめです。

全国で約5万件以上の施設情報を掲載しているので、初期費用0円から月額費用10万円以下の施設まで幅広い選択肢から選ぶことが出来ます。予算内の施設を探しがしたいという方はぜひ利用してみてください。

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介護付き有料老人ホームに入居中にも利用できる支援制度の申請手順

ここからは、以下3種類の支援制度の申請手順について説明していきます。

  • 高額介護合算療養費制度
  • 高額介護サービス費
  • 自治体独自の補助制度

ただし、申請方法や窓口は自治体によって異なる場合があるため、詳しくはお住いの自治体に確認してください。

1.高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用する場合には、医療保険の自己負担額と介護保険の利用者負担額の合計額が自己負担額を超えているかどうかを事前に確認しておきましょう。

対象となる場合には、介護保険者である自治体に申請します。74歳以下で健康保険組合等の被用者保険の方は加入している医療保険者に申請します。

申請が受理されると、自治体から介護保険の「自己負担額証明書」が郵送で届くため、送られてきた介護自己負担額証明書を医療保険者へ提出しましょう。

しばらくすると、医療保険者から高額介護合算療養費が振り込まれます。申請方法の詳細は、加入している医療保険者によって異なるため、不明な点は問い合わせてください。自治体によっては、支給対象となる可能性の高い世帯については、「申請勧奨のお知らせ」などのお知らせが届く場合もあります。

高額介護合算療養費制度の申請期限は、基準日(注1)の翌日から2年間です。基準日は、毎年7月31日です。期限を過ぎると申請ができなくなるため注意しましょう。

注1:計算期間(8月~翌年7月)の途中で資格を喪失された方の基準日は、資格を喪失された日の前日もしくは死亡の場合、亡くなられた日となります。

2.高額介護サービス費

高額介護サービス費は、介護サービスを利用した際の自己負担額が上限を上回った場合に、各自治体から申請書が郵送されてきます

申請書が届いたら、以下を持参して各自治体の窓口で申請を行いましょう。

  • 高額介護サービス費支給申請書
  • 介護保険被保険者証
  • マイナンバー
  • シャチハタではない印鑑(申請者以外の口座に振り込む場合。不要の場合も)
  • 本人名義の振込先が確認できるもの

高額介護サービス費支給申請書に必要事項を記載したうえで、郵送による申請も可能です。申請書が通ると「支給決定通知書」が届くため、振り込み日の詳細はそちらで確認してください。

また、高額介護サービス費は、一度申請すれば2回目以降は自動で口座に振り込みが行われるため、その都度申請する必要はありません。高額介護サービス費制度の申請期限は、サービスを利用した翌日から2年以内です。

3.自治体独自の支援制度

自治体独自の支援制度に関しては、各自治体へ問い合わせてください。

ホームページに記載されている場合もあるため、一度確認してみるとよいでしょう。

江戸川区の「介護付有料老人ホーム居住費補助」を申請する場合は、以下の書類を持参して自治体の窓口で申請します。

  • 補助受給資格認定申請書
  • 介護保険被保険者証の写し
  • 委任状(本人以外の場合)
  • 認定申請者提出者が本人以外の場合、住所、氏名が確認できるもの

生活保護受給者や、特別養護老人ホームからの受け入れを断った方など、対象とならない方もいますので、詳細については江戸川区役所の窓口で確認できるため、入居する介護付有料老人ホーム決定後に問い合わせてみるとよいでしょう。

費用の安い介護付き有料老人ホームを探すポイント

介護付き有料老人ホームは、民間企業が運営している施設のため、特別養護老人ホームなどの公的施設と比較すると、費用が高めです。

費用の安い介護付き有料老人ホームを探す際には、以下の3点をポイントにするとよいでしょう。

  • 立地を考慮する
  • 多床居室を選ぶ
  • 築年数の経過した施設を選ぶ

ここからは、それぞれについて詳しく説明していきます。

介護付き有料老人ホームを選ぶ際の参考にしてください。

立地を考慮する

基本的に、立地と費用は比例するのを覚えておきましょう

費用の安い介護付き有料老人ホームに入居希望の場合には、都心よりも郊外や地方の施設を探すとよいです。ただし、家族が都心に住んでいるのであれば、郊外や地方の施設に入居してしまうと頻繁に会えません。

また、荷物の差し入れなどがある場合には、家族の交通費がかかります。家族はどの程度の頻度で面会をするのか、入居費よりも交通費が高くならないかなどを検討しておきましょう。

ほかにも、駅から離れているなどが理由でアクセスがしにくい施設は、アクセスしやすい施設よりも費用が安い傾向にあります。

多床居室を選ぶ

居室のタイプによっても費用は異なります。費用を抑えたいのであれば、個室よりも4~6人の多床居室を選ぶとよいでしょう。

多床居室となるとプライバシーが気になる方もいると思いますが、カーテンによる仕切りはあるため、基本的には他の入居者の様子はわかりにくいでしょう。

他の入居者とコミュニケーションが取りやすいといったメリットもあります。また、要介護度の重い方であれば、他者の目が届きやすい多床居室は、個室よりも安心した生活が送れるでしょう。

築年数の経過した施設を選ぶ

介護付き有料老人ホームの費用は、マンションやアパートを借りる際に、新築は高く、築年数が経過していると安いのと同様です。

新築の施設よりも、築年数が経過している施設を選ぶと費用が抑えられます。

ただし築年数が経過している施設は、新築の施設と比較してバリアフリー設備が整っていなかったり、劣化が進んでいる可能性があるため注意しましょう。バリアフリー設備や建物の劣化が気になる場合には、修繕工事が済んでいる施設を選ぶ方法もあります。

介護付き有料老人ホーム以外に比較的安い施設一覧

ここからは、介護付き有料老人ホーム以外で、比較的費用が安い以下の3つの施設の特徴や費用を紹介していきます。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

施設によって入居条件や費用はさまざまです。

支援制度を利用しても介護付き有料老人ホームへの入居が厳しい場合には、上記の施設から自身にあった場所をえらぶとよいでしょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、通称「特養」とも呼ばれる施設で、常時要介護である高齢者に対して、介護を提供する施設です。

要介護3以上の方が対象で、24時間介護が必要な方や認知症の方の対応も可能です。

看取りケアも行っています。費用の相場は、月額10~15万円ほどと安価です。

入居者の負担は、入居一時金が一切かからないため、月額利用料のみしかありません。特別養護老人ホームは、安価で入所できることから 非常に人気のある施設です。

そのため、人気のある施設では待機期間が2~3年にもなる場合があります。特別養護老人ホームを希望している方は、早めに申し込みをしましょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、通称「老健」とも呼ばれる施設で、在宅復帰を目的としたリハビリがメインの施設です。

平均滞在期間は3~6カ月と短いですが、1年以上入居となる例外もあります。費用の相場は個室か多床居室かによって、7~22万円と幅があります。入居一時金はかかりません。

介護老人保健施設は要介護1以上の方が対象の施設で、手厚い医療的ケアを受けられる点が特徴です。施設によっては認知症専門棟もあるため、認知症の方の専門的ケアが受けられます。

介護医療院

介護医療院は、要介護度認定を受けた方の長期間の療養と、生活の支援を目的とした施設です。

介護医療院はこれまで「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3施設だった介護保険施設に、平成30年(2018年)4月から新設された施設で介護療養型医療施設よりも生活の場としての役割が大きくなっています。

要介護1以上の方が対象の施設で、認知症対応や看取りケアも可能です。経鼻経管栄養やカテーテル管理、痰吸引などの医療処置にも対応できます。

費用の相場は10~20万円程度となり、入居一時金はかかりません。

介護付き有料老人ホーム入所後は支援制度を活用しよう

介護付き有料老人ホームは、民間企業が運営している施設のため、公的施設と比較すると費用が高額になります。

介護付き有料老人ホームに入所した方のなかには、毎月の利用料に不安を感じる方もいるでしょう。

しかし、公的保険制度を利用すれば、自己負担額を軽減できるます。介護サービスを受ける際にかかる費用に対する支援制度はいくつかありますが、制度自体を知らない方が多いのが現状です。

制度に関する知識の有無で、今後の生活に対する不安がなくなります。この機会に、ぜひ介護付き有料老人ホームに入所した方でも申請できる支援制度について知っておきましょう。

介護付き有料老人ホームはなぜ高いのでしょうか?

民間企業が運営している施設のため国からの補助金がなく、その分費用が高価になります。詳しくはこちらをご覧ください。

入所後に費用が軽減される制度はありますか?

主なものには、高額医療・高額介護合算療養費制度、高額介護サービス費制度の2種類があります。ほかにも、各自治体による支援制度がある場合があるため問い合わせてみるとよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。

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