「介護保険料はいつから払い始めなければいけないの?」「どのくらいの金額を払わなければならないの?」など、介護保険料について疑問を感じている方は多くいらっしゃいます。
この先長い将来のために、介護保険料の仕組みを正しく理解しましょう。今回は介護保険料の支払い時期や支払い方法について詳しく解説します。
補足的に支払いが免除されるケースや滞納してしまうとどうなるのかについても併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

介護保険料の支払いはいつから?
介護保険料は「満40歳に達した時点」で、第2号被保険者として支払いが始まります。具体的なタイミングは「40歳の誕生日前日を含む月」からです。
例えば、誕生日が5月1日の方と5月2日の方とでは、支払い開始日は以下のように異なります。
40歳の誕生日 | 支払い義務が発生する月 |
---|---|
5月1日 | 40歳の誕生日前日は4月30日。誕生日前日を含む月が4月のため、支払い義務は4月から。 |
5月2日 | 40歳の誕生日前日は、5月1日。誕生日前日を含む月が5月のため、支払い義務は5月から。 |
上記からわかる通り、1日生まれの方は誕生日月の前月からの支払いとなるため注意が必要です。
会社員の場合は何月分の給料から手取りが減る?
本人が会社員の場合、具体的に手取りの金額が減るタイミングは、「40歳の誕生日前日を含む月」の翌月分の給料からです。
例えば、5月2日生まれの方は、6月分の給料から介護保険料が徴収されて手取りが減ることになります。
というのも介護保険料の支払い義務自体は「40歳の誕生日前日を含む月」から発生しますが、事業主が被保険者負担分の保険料を給料等から差し引くことができるのは、前月分の保険料に限られているのです。
したがって本人が会社員の場合、いつからの給料分から手取りが減るのかと言うと、「40歳の誕生日前日を含む月」の翌月分の給料からとなります。
会社員で誕生日が5月1日の方と5月2日の方を例に、改めておさらいしておきましょう。下記の表は具体的に何月分の給料から手取りが減るのかを示しています。
40歳の誕生日 | 支払い開始月 |
---|---|
5月1日 | 40歳の誕生日前日は4月30日。誕生日前日を含む月が4月のため、支払い義務は4月から。4月分の介護保険料は5月分の給料から徴収される。 |
5月2日 | 40歳の誕生日前日は、5月1日。誕生日前日を含む月が5月のため、支払い義務は5月から。5月分の介護保険料は6月分の給料から徴収される。 |
なお、自営業の方の場合は上記のルールは適用されません。
5月2日生まれの自営業の方は5月から介護保険料が徴収されることになるので、理解しておきましょう。
65歳以上で介護保険料が年金から天引きになるのはいつから?
65歳以上で介護保険料が年金から天引きとなるタイミングも、「65歳の誕生日前日を含む月」からとなります。
65歳の誕生日 | 支払い開始月 |
---|---|
5月1日 | 65歳の誕生日前日は4月30日。誕生日前日を含む月が4月のため、年金からの支払いとなるのは4月から。 |
5月2日 | 65歳の誕生日前日は、5月1日。誕生日前日を含む月が5月のため、年金からの支払いとなるのは5月から。 |
介護保険料は40歳を超えて定年退職をしたあとも、給料からの天引きから年金からの天引きという形で徴収されることになります。
したがって、40歳を超えたあとは生涯を通して介護保険料を支払い続けることになるため理解しておきましょう。
また年金からの自動天引きを行うには、半年から1年程度の準備期間が必要です。
そのため65歳になった当初は、市区役所・町村役場から送られてくる納付書や口座振替での介護保険料納付となります。
介護保険料の年金からの自動天引きが始まるタイミングは、65歳なった翌年の4月・6月・8月・10月(誕生月により異なる)からとなります。
介護保険料はいくら引かれる?
介護保険料は、対象者全員が一律の料金ではありません。
現役世代である40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、加入している医療保険によって介護保険料の金額が異なります。
- 会社の健康保険に加入している場合
- 自営業で国民健康保険に加入している場合
- 65歳以上で保険料が年金から天引きとなる場合
それぞれの場合について詳しく解説して行きます。
会社の健康保険に加入している場合
例えば会社の健康保険を協会けんぽが運営しており、毎月の給料が40万円の方は介護保険料の自己負担分として3,362円を引かれることになります。
下の表は月の給与に応じて、どれくらいの介護保険料がいくら引かれることになるかまとめたものです。
4月~6月における3カ月間の給与の平均額(標準報酬月額) | 介護保険料として新たに負担する金額(月額) |
---|---|
30万円 | 2,460円 |
40万円 | 3,362円 |
50万円 | 4,100円 |
60万円 | 4.838円 |
※参照:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
というのも会社の健康保険に加入している場合、「標準報酬月額」によって介護保険料が決まります。
標準報酬月額とは、保険料(健康保険や介護保険、厚生年金保険)を計算するための基準となる金額です。
原則として4月~6月の3カ月間の給与の平均額をもとに決定し、その年の9月から翌年8月まで適用されます。
この標準報酬月額に介護保険料率を掛けた金額が、介護保険料として徴収されることになるのです。
例えば、令和4年度に協会けんぽが定めた介護保険料率は1.64%です。
したがって標準報酬月額が40万円の方が40歳を迎えた場合、介護保険料の自己負担分として3,362円が増えることになるのです。
健保組合の場合は、組合ごとに設定されている介護保険料率が異なりますので、詳しくは加入している組合のサイトなどで確認をするとよいでしょう。
自営業で国民健康保険に加入している場合
40歳~64歳で自営業を営んでおり国民健康保険に加入している人は、本人の年収に応じて介護保険料の自己負担分として以下のような金額を引かれることになります。
本人の年収(経費を除いた額) | 介護保険料として新たに負担する金額(月額) |
---|---|
400万円 | 8,464円 |
500万円 | 10,447円 |
600万円 | 12,431円 |
700万円 | 14.167円 |
※参照:世田谷区「保険料の計算方法」
というのも自営業で国民健康保険に加入している場合は、前年の所得や世帯における被保険者数、資産額などの状況を加味して算出されます。
会社で健康保険に加入している方よりは保険料が高額となっているのは、自営業では会社などが介護保険料の半額を負担してくれないためです。
一般的には、以下の4項目を合算して介護保険料が決定となります。
- 所得割:前年分の世帯所得から基礎控除額33万円を控除した金額に税率を乗じたもの。
- 均等割:所得が0円でもかかる最低限の保険料負担。
- 平等割:1世帯を1つの課税対象として課税される均等割。
- 資産割:固定資産税の金額に税率を乗じたもの。
市町村によって計算方法や料率が異なるので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせるとよいでしょう。
65歳以上で保険料が年金から天引きとなる場合
厚生労働省の発表によると、2021~2023(令和3~5)年度における65歳以上の介護保険料の全国平均月額は6,014円です。
しかし市町村によって3,300円〜9,800円という数値が記録されていたりと、大きな差が存在します。
というのも65歳以上の人が支払う介護保険料は、本人の所得や世帯(毎年4月1日現在)の課税状況に応じて決まることになっており、自治体によって算出される金額が異なるためです。
高所得の人ほど保険料の金額は上がり、低所得の人ほど天引きされる金額は小さい傾向にあります。
年間の介護保険料は毎年6月に決められており、当月中に自治体から介護保険料額決定通知書が届くため、よく確認してみましょう。
※参照:第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について
介護保険料の支払い方法
40歳~64歳は介護保険料の支払い方法についても、本人が加入している医療保険によって異なります。
- 会社の健康保険に加入している場合:健康保険料と一緒に給与天引き
- 自営業で国民健康保険に加入している場合:口座振替もしくは納付書で納付
- 65歳以上の場合:年金から自動天引き
会社員の場合は保険料率を労使折半し、給与から天引きされることになります。この保険料は介護納付金として国に納付されます。
自営業者は所得等に応じて保険料がきまり、国民健康保険に上乗せして徴収されます。介護納付金の半額は公費負担です。
65歳以上の場合は、基本的に年金からの天引きとなります。
しかし例外として年間の年金受給額が18万円以下の方は、納付書や口座振替などによって支払うことになるため注意しておきましょう。
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介護保険料を払わなくていいケースはある?
介護保険は満40歳以上の国民すべてに加入義務のある保険です。
満40歳になればたとえ無職であっても、保険料の支払い義務が発生することになります。
しかし、ただし健康保険の扶養に入ってる場合や生活保護の受給者など、一部介護保険料を支払わなくていいケースがあります。
- 専業主婦などの被扶養者
- 生活保護受給者
- 市町村から減免措置を受けた人
それぞれについて詳しく解説して行きます。
専業主婦などの被扶養者
専業主婦などを含め、健康保険に加入している「40歳以上65歳未満」の被扶養者の方は介護保険料を支払う必要がありません。
「40歳以上65歳未満」の被扶養者の介護保険料は、健康保険組合内で負担することになるため支払う必要がないのです。
また病気などの都合で働けない・無職で収入がないなどの理由を問わず、親や配偶者の扶養に入っている方も介護保険料を支払う必要がありません。
しかし専業主婦などの被扶養者であったとしても、65歳以上となると介護保険料は年金からの天引きとなりますので、理解しておきましょう。

生活保護の受給者
生活保護を受給している方は、介護保険料の支払いが免除されます。
通常の場合、40歳以上65歳未満の介護保険料は医療保険料の上乗せとして納めますが、生活保護を受けた場合は医療保険自体を脱退することになります。
したがって、医療保険料を払うことがなくなるため、介護保険料を支払う義務も免除されるのです。
また、65歳以上の生活保護受給者に関しても、介護保険料は生活保護費の生活扶助費によって賄われるため自己負担はありません。
市区町村から減免措置を受けた人
所得の著しい困窮などがあり市区町村から「生活の維持が困難である」と判断された方は、介護保険料の支払いを減免できる場合があります。
具体的に減免となる要件としては、以下のようなものが挙げられます。
- 著しい収入減があった場合
- 災害で大きな被害を受けた場合
- 低所得者で生活が難しい場合
以上の何らかの事情で介護保険料を納付することが困難な場合は、早めに市区町村の窓口で相談することがおすすめです。
介護保険料の納付が困難な方は、申請に基づいて6カ月以内に限り徴収の猶予や減免が受けられる場合があるため、覚えておきましょう。

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「介護保険料はいつから?」に付随するよくある質問
介護保険料の仕組みは複雑で、おおむねは理解できても疑問や不安が残ってしまう方も多いです。
そこで本章では、「介護保険料はいつから?」に付随するよくある質問をまとめて答えていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 介護保険料はいつまで支払う?
- 失業した場合も介護保険料を払う必要がある?
- 定年で退職したら介護保険料はどうなる?
- 40歳になったけど納付の書類などが来ていない
- 介護保険料を滞納した場合はどうなる?
介護保険料はいつまで支払う?
介護保険料は生涯にわたって支払うことになります。
40歳から健康保険料の一部として納付が始まり、65歳以上になっても年金からの天引きという形で納めることが必要です。
介護保険料の支払いは国民の義務となっているため、脱退することはできません。
しかし生活保護を受けていたり、もともとの所得が少なく生計の維持が困難な場合は減免措置が取られることがあるため、自治体に確認してみましょう。

失業した場合も介護保険料を払う必要がある?
失業した場合でも、原則として介護保険料を支払う必要があります。
しかし自治体から「失業によって著しい収入減があり、生活が困難である」と判断された場合は、減免の対象となる場合があるためよく確認してみましょう。
また前述のとおり「40歳以上65歳未満」の場合は、親や配偶者の扶養に入ることも介護保険料の免除の手段の1つとして挙げられます。
失業をした方や無職の方でも原則として介護保険料は支払わなければなりませんが、困窮によりそもそも生活の維持が難しいなどの場合は救済措置がある可能性があることを理解しておきましょう。

定年で退職したら介護保険料はどうなる?
60歳で退職した場合も、おおむね支払い方法自体は変わりません。
健康保険料の一部として、加入している医療保険に支払うことになります。
しかし退職の都合上、加入する医療保険を変更しなければならないため注意しておきましょう。
60歳の退職後に加入する医療保険の選択肢としては、以下の2つがあります。
保障内容は変わらないため、単純に保険料が安い方を契約することがおすすめです。
- 現役時代の保険をそのまま引き継ぐ(任意継続被保険者となる)
- 国民健康保険に加入する
また、前述のとおり65歳以上になると支払い方法自体が変更となります。
40歳~64歳までは健康保険料の一部として介護保険料を納めますが、65歳以上になると年金から天引きされることになるので、理解しておきましょう。
40歳になったけど納付の書類などが来ていないのですが
会社の健康保険組合に加入している場合、そもそも保険料納付のお知らせなどが来ないことがあります。
企業が独自に従業員に通知しているケースを除いて、一般的に年金事務所から会社宛にも被保険者宛にも介護保険料の支払いが始まる等の通知は来ないのです。
また書類などが届かない場合でも、40歳の誕生日を迎える前月から健康保険料の一部として自動的に支払いが始まることになるため、理解しておきましょう。
介護保険料を滞納するとどうなる?
介護保険料を納期限までに支払えずに滞納してしまった場合、ペナルティとして延滞金が介護保険料に加算されます。
その金額は納期限の翌日から支払いまでにかかった日数によるとされるため、注意しましょう。
延滞金と督促量の計算は市区町村によって異なりますが、一般的には以下の割合・金額で加算されています。
ペナルティ内容 | 金額 |
---|---|
督促料(1回あたり) | 100円 |
延滞金(翌日~1ヶ月未満) | 年4.3%~14.6%増加 |
延滞金(1ヶ月以上) | 年14.6%増加が一般的 |
また介護保険料を2年以上滞納すると、介護保険で利用できるサービスの自己負担割合が引き上げられてしまいます。
延滞金を請求されるだけでなく、将来介護サービスを受ける場合の費用が高額になってしまう恐れがあるため、介護保険料は納期限内に納めましょう。
「介護保険料はいつから?」に関するまとめ
介護保険料は満40歳から支払いが始まり、そのあとは生涯にわたって支払う必要があります。
会社勤めや自営業かによっても、支払い方法や料金は異なります。
また滞納した場合、将来的に介護サービスを受けられなくなったり、財産を差し押さえられたりする可能性があるため、注意しておきましょう。
今後の安心の将来のために、介護保険料をいつから支払う必要があるのかをしっかりと把握し、納付を行うことが大切です。
介護保険料は「満40歳に達した時点」で、第2号被保険者として支払いが始まります。具体的なタイミングは「40歳の誕生日前日を含む月」からです。例えば5月2日が誕生日の方は、。誕生日前日を含む月が5月のため、支払いは5月からとなります。詳しくはこちらをご覧ください。
誕生日の前日は4月30日であるため、誕生日の前日が属する4月から介護保険料が徴収されます。詳しくはこちらをご覧ください。