年金から介護保険料が天引きに!実際の納付額や天引きが始まるタイミングまで詳しく解説

年金から介護保険料が天引きに!実際の納付額や天引きが始まるタイミングまで詳しく解説

介護保険料は40歳~64歳は給与から天引きされますが、65歳を区切りに年金から天引きへと支払い方法が変わります。

納付方法のほか実際の納付額も変わるため、介護保険料に対して疑問を感じる方がいるかもしれません。

「介護保険料が年金から天引きされるのは、いつから?」

「年金から天引きされる介護保険料って、大体いくら?」

このような心配をされている方のために、今回は年金から介護保険料が天引きとなるタイミングや金額、介護保険料に関する質問まで詳しく解説します。

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ウーマンライフパートナー
所有資格:ファイナンシャルプランナーAFP,年金アドバイザー3級
専門分野:社会保険,税金
職業: ファイナンシャルプランナー

仕事と介護を両立しながら、親の介護を15年経験。ケアマネに相談し、介護保険制度を最大限に活用して在宅で過ごす。病気が進行して障害者になり、税制優遇制度も有効に利用。長年の介護経験から、FP勉強会でセミナー講師を務め、わかりやすいと定評がある。詳しくはこちら

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65歳になると年金から介護保険料が天引きされる

年金から介護保険料が天引きされるのは、65歳からです。

40歳から64歳までは加入している健康保険料と合わせて給与からの天引きとなっていましたが、この支払い方法が変更となります。

65歳からは健康保険料は所属する健康保険組合等へ、介護保険料はお住まいの自治体へと別々に納めることになるので理解しておきましょう。

なお年金から天引きを行うには、半年から1年程度の準備期間が必要です。

したがって65歳になってから当面の間は、役所から送られてくる納付書や口座振替での納付となります。

介護保険料の年金から天引きが始まるタイミングは、65歳なった翌年の4月・6月・8月・10月のいずれか(誕生月により異なる)からとなります。

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介護保険料として天引きされる金額は?

65歳以上の人が支払う介護保険料は、本人の所得や世帯(毎年4月1日現在)の課税状況に応じて決まることになっており、自治体によって算出される金額が異なります。

年間の介護保険料は毎年6月に決定し、当月中に自治体から介護保険料額決定通知書が届くため、確認してみましょう。

例えば世田谷区の介護保険料は次の通りです。

 

保険料段階 対象となる方 年間保険料額
第1段階

(基準額×0.3)

・生活保護または中国残留邦人等生活支援給付を受けている方

・老齢福祉年金を受けている方で本人および世帯全員が住民税非課税の方

22,248円
第2段階

(基準額×0.3)

本人および世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入額と合計所得金額(年金に係る雑所得金額を除く)の合計が80万円以下の方 22,248円
第3段階

(基準額×0.5)

本人および世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入額と合計所得金額(年金に係る雑所得金額を除く)の合計が80万円を超え120万円以下の方 37,080円
第4段階

(基準額×0.65)

本人および世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入額と合計所得金額(年金に係る雑所得金額を除く)の合計が120万円を超える方 48,204円
第5段階

(基準額×0.85)

本人が住民税非課税で、本人の年金収入額と合計所得金額(年金に係る雑所得金額を除く)の合計が80万円以下で同一世帯に住民税課税者がいる方 63,036円
第6段階

(基準額)

本人が住民税非課税で、本人の年金収入額と合計所得金額(年金に係る雑所得金額を除く)の合計が80万円を超え同一世帯に住民税課税者がいる方 74,160円
第7段階

(基準額×1.15)

本人が住民税課税で、合計所得金額が120万円未満の方 85,284円
第8段階

(基準額×1.25)

本人が住民税課税で、合計所得金額が120万円以上210万円未満の方 92,700円
第9段階

(基準額×1.4)

本人が住民税課税で、合計所得金額が210万円以上320万円未満の方 103,824円
第10段階

(基準額×1.6)

本人が住民税課税で、合計所得金額が320万円以上400万円未満の方 118,656円
第11段階

(基準額×1.7)

本人が住民税課税で、合計所得金額が400万円以上500万円未満の方 126,072円
第12段階

(基準額×1.9)

本人が住民税課税で、合計所得金額が500万円以上700万円未満の方 140,904円
第13段階

(基準額×2.3)

本人が住民税課税で、合計所得金額が700万円以上1,000万円未満の方 170,568円
第14段階

(基準額×2.7)

本人が住民税課税で、合計所得金額が1,000万円以上1,500万円未満の方 200,232円
第15段階

(基準額×3.2)

本人が住民税課税で、合計所得金額が1,500万円以上2,500万円未満の方 237,312円
第16段階

(基準額×3.7)

本人が住民税課税で、合計所得金額が2,500万円以上3,500万円未満の方 274,392円
第17段階

(基準額×4.2)

本人が住民税課税で、合計所得金額が3,500万円以上の方 311,472円

(出典:世田谷区の介護保険料額)

所得の高い人ほど段階は上がり、年間で支払う保険料の総額は高くなる仕組みになっていることが分かります。

保険料の詳細は自治体によって違うため、お住まいの地域ではどれくらいの金額がかかるかを自治体のHPなどでチェックしておきましょう。

支払い方法は所得状況によって変わる

65歳以上の介護保険料は、基本的に年金から天引きとなります。

しかし本人が1年に受給している年金額が18万円未満である場合、支払方法が変わるため注意が必要です。

年金額が18万円以上の場合の特別徴収と、年金額が18万円未満の場合の普通徴収について解説します。

特別徴収

年間で受給している金額が年間18万円以上の場合は、特別徴収という方法で支払います。

これは一般的な納付方法であり、年金から天引きされる方法をいいます。

また、年金から天引きを行うには半年から1年程度の準備期間が必要となります。

したがって65歳になってから当面の間は、役所から送られてくる納付書や口座振替での納付となるため、理解しておきましょう。

普通徴収

年間の年金受給額が18万円未満の場合は、普通徴収という方法で介護保険料を納付します。

これは納付書や口座振替などによって支払います。普通徴収の場合は自身で支払いの手続きをしなければならないため、納付忘れに注意しましょう。

また他に、年金の受給繰り下げを行った場合も普通徴収となります。

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介護保険料の天引きは免除できる?

年金から介護保険料の支払いは、原則として免除されることはありません。

というのも介護保険への加入は国民の義務であり、個人の意思によって脱退することができないからです。

しかし例外として、本人の金銭状況が著しく困窮しているなど、生計の維持が難しい場合は免除・軽減となる場合があります。

具体的には下記の通りです。

  • 著しい収入減があった場合
  • 災害で大きな被害を受けた場合
  • 低所得者で生活が難しい場合
  • 自治体独自の減免措置を活用した場合
  • 生活保護を受けている場合

上記について詳しく解説します。

著しい収入減があった場合

本人や子など世帯の生計を維持している方が失業や入院、死亡などの理由で著しく収入が減った場合介護保険料を軽減または免除することが可能です。

免除となる金額は自治体の定めた収入基準額により決められており、住民税非課税世帯になる場合は全額が免除となるケースもあるため、お住まいの市区町村のHPや窓口で確認してみましょう。

申請方法

申請は失業や入院などの収入減となる月から一定期間内に、お住まいの市区町村で行うことが必要です。

また申請の際に必要な書類は下記の通りです。

  • 介護保険料減免申請書
  • 収入申告書
  • 本人確認書類
  • 世帯全員の今後の収入が確認できる資料(年金振込通知書など)
  • 収入が著しく減少したことが確認できる資料(退職証明書、離職票など)

災害で大きな被害を受けた場合

火災や地震など災害によって、住宅・家財などに大きな被害を受けた場合、介護保険料を軽減または免除することができます。

免除となる金額

免除となる金額は災害による被害の大きさによって決まっており、下記の例があります。

被災による損害額が財産価格の3割以上5割未満 5割減額
被災による損害額が財産価格の5割以上 全額免除

ただし自治体によって免除には所得制限を設けている場合があり、前年度の世帯所得が1000万円以上ある場合は対象とならないケースがあるため、確認してみましょう。

申請方法

申請は災害の発生から一定期間内にお住まいの市区町村で行う必要があります。

また、申請の際に必要な書類は下記の通りです。

  • 介護保険料減免申請書
  • 本人確認書類
  • 被災(り災)証明書等の、損害割合が確認できるもの

低所得者で生活が難しい場合

収入が少なく、自治体から生活が困難であると認められた場合は介護保険料を軽減することが可能です。

生活困難とみなされる基準は自治体によって異なりますが、大阪市東淀川区では下記の通りです。

  • 世帯の1年間分の合計見込収入が、次の額以下であること

1人世帯:150万円 2人世帯:198万円 3人世帯:246万円

※1年間分の合計見込収入については、遺族年金・障がい年金・仕送りなどの、あらゆる収入が含まれます

  • 扶養を受けていないこと

他の世帯に属する人の所得税・住民税の扶養控除の対象になっている場合は軽減の対象となりません。

  • 活用できる資産を有しないこと

預貯金などが1人世帯で350万円(世帯員が1人増えるごとに100万円を加算)を超えている場合は軽減の対象となりません。

  • 介護保険料を滞納していないこと

また、申請の際に下記の書類が必要です。

  • 介護保険料減免申請書
  • 収入申告書
  • 世帯全員の収入がわかる書類の写し
  • 通帳の写し(銀行名・支店名・口座番号・口座名義人・最終残高がわかるページ)
  • 有価証券・投資信託(取引残高がわかる証明書・取引口座の残高の写し)
  • 医療保険証の写し

自治体独自の減免措置を活用した場合

上記で解説した3つのほか、自治体ごとに独自で介護保険料の減免措置を行っている場合があります。

親に金銭的な援助をしてコロナウイルス感染症などによる失業をした場合なども対象となるため、お住まいの市区町村で確認してみましょう。

コロナウイルス感染症による収入の減少の場合、減免の対象条件や減免額は下記の通りです。

対象条件

  • 新型コロナウイルス感染症によって生計中心者が死亡または1カ月以上の入院などの重篤な傷病を負った場合
  • 生計中心者の所得の減少額が前年の収入額の10分の3以上となる場合

減免額

  • 生計中心者の前年の所得合計が210万円以下の場合、全額免除
  • 生計中心者の前年の所得合計が210万円を超える場合、8/10を免除

申請方法

必要な書類を各自治体の介護担当窓口へ提出することが必要になります。

申請に必要となる書類は下記の通りです。

  • 介護保険料減免申請書
  • 収入等申告書
  • 事業収入等の減少の原因が分かるもの(退職証明書、解雇通知書、雇用保険受給資格者証、休業届等)
  • 事業の内容が分かるもの(登記簿謄本等)
  • 昨年の収入が分かるもの(給与明細書、確定申告書の控え、市・都民税課税証明書等)
  • 今年の4月1日から申請する月までの収入が分かるもの(給与明細書、収入と必要経費が確認できる帳簿等)

上記の書類から減免の対象であることが確定すると、申請に基づき計算された減免額が確定します。

生活保護を受けている場合

生活保護を受給している方は、介護保険料の支払いが免除されます。

介護保険料は生活保護費の生活扶助費によって賄われることになるのです。

生活保護受給者が介護を必要となった場合は、生活保護費の介護扶助費用として賄われることで、自己負担なく介護サービスを利用することができます。

また、けがや病気になった場合も生活保護費の医療扶助が支給されるため、自己負担なく医療サービスを利用することができます。

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介護保険料のほかに年金から天引きされるもの

65歳になったとき、年金から天引きされるのは介護保険料だけではありません。

具体的には下記の通りです。

  • 住民税
  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料(該当する方のみ)

覚えておきたいのは、「65歳から追加で支払うわけではない」ということです。

つまり「支払い方法が年金から天引きに変わる」ことを理解しておきましょう。

上記について詳しく解説します。

住民税

1年間の年金受給額が18万円以上の方は、年金から住民税が天引きされることになります。

住民税は本人の所得金額(年金を含むすべての収入の合計)から社会保険料・控除額を引いた金額をもとに算出されています。

国民健康保険料

1年間の年金受給額が18万円以上の方は、年金から国民健康保険料が天引きされることになります。

国民健康保険料は所得割額+均等割額+平等割額で決定されます。

後期高齢者医療保険料(該当する方のみ)

75歳以上の方は、後期高齢者医療保険料が年金から天引きされることになります。

65歳以上75歳未満でも、重度障害などが理由で後期高齢者医療保険に該当する人は、保険料が年金の天引きとなるため覚えておきましょう。

後期高齢者医療保険は75歳から加入する医療制度であり、75歳になったタイミングで国民健康保険から自動的に移行することになります。

したがって天引きとなる保険料は国民健康保険料または後期高齢者医療保険料のいずれか一方のみとなりますので、覚えておきましょう。

介護保険料の天引きについてよくある質問

介護保険料の仕組みは複雑なため、よく理解できないまま疑問や不安を感じる方がいるかもしれません。

そこで本章では、年金からの介護保険料の天引きについて質問をまとめて答えていきますので、ぜひ参考にみてください。

介護保険料は何歳まで払うの?

介護保険料は生涯にわたって払うことになります。

40歳から健康保険料と合わせて納めることになり、65歳以降でも年金からの天引きで納めることが必要です。

介護保険料の支払いは国民の義務となっているため、脱退することはできません。したがって、生涯にわたって支払うことになるのです。

しかし生活保護を受けていたり、所得が少なく生計の維持が困難な場合は減免措置が受けられることがあるため、自治体に確認してみましょう。

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65歳から天引きされる介護保険料が高いのはなぜ?

65歳以上になると、介護保険料の計算方法が変わるからです。

65歳以上(介護保険第1号被保険者)は、お住まいの市区町村で必要となる介護費用を65歳以上の人数で割り、保険料の基準額を決めます。

したがって高齢者が多く市区町村の介護費用が掛かり、所得の少ない人の多い市区町村などでは、通常の所得者に掛かる負荷が大きくなる傾向にあるため、介護保険料は高額となることがあるのです。

場合によっては64歳から2~3倍の保険料を納めなければならない人もいるため、社会問題の1つとなっています。

どうしても金額に納得がいかない場合は、お住まいの市区町村の窓口で計算方法について尋ねてみましょう。

妻(被扶養者)が65歳になったら介護保険料はどうなる?

専業主婦など扶養に入っている人も65歳になると介護保険料の支払いが必要となります。

これまでは扶養者である夫などが保険料を払っていましたが、妻が65歳以上になった場合は妻の年金から介護保険料が天引きされることになります。

また被扶養者の場合に関しても、年金の受給額によって特別徴収が普通徴収かが決まることになるため、理解しておきましょう。

65歳以降も働いている場合の介護保険料はどうなる?

65歳以上で働き続けている場合も、65歳になったタイミングで介護保険料の支払い方法が変更となります。

したがって65歳以上で働き続けている場合も、介護保険料は健康保険料と合わせて納めるのではなく、年金から天引きとなることを覚えておきましょう。

65歳になったのに健康保険から介護保険料が引かれているのはなぜ?

二重の支払いとなっている可能性があるため、加入する健康保険組合等に尋ねてみることがおすすめです。

65歳以上の方はお住まいの市区町村に個別に納めていただくことになります。

したがって、加入する健康保険組合等へのお支払いは原則不要となるのです。

ただし、健康保険組合等によって納付期間・扶養家族の介護保険料の取り扱いが異なる場合があるため、不安な場合は確認してみましょう。

年金から天引きされる介護保険料は確定申告の社会保険料として申請できる?

年金から天引きされる介護保険料は、確定申告で所得からの控除が可能です。

1月1日から12月31日までの1年間で支払った額の全額を、社会保険料控除に含めることができます。

翌年の1月下旬に、日本年金機構等から「公的年金等の源泉徴収票」が届きます。

この通知書にある年金から天引きされた金額や申請の手引きを参照のうえ、控除の手続きを進めてください。

まとめ

年金から介護保険料が天引きされるのは、65歳からです。

65歳以降では健康保険料は所属する健康保険組合等へ、介護保険料はお住まいの自治体へと別々に納めることになります。

納める金額に関しては、本人の所得や世帯(毎年4月1日現在)の課税状況に応じて決まることになっており、自治体によって算出される金額が異なります。

自治体のHPなどに所得に応じた段階と納付額がまとめられていますので、気になる方は確認してみましょう。

また年金から天引きとなるのは、介護保険料だけではありません。

住民税や国民健康保険料なども年金から天引きに支払い方法が変わります。

老後生活を安心して送るため、介護保険料について正しい知識を身に付けて、今後の計画を立てていきましょう。

年金から介護保険料が天引きされるのはいつからですか?

65歳から支払い方法が変わります。しかし年金から天引きを行うには、半年から1年程度の準備期間が必要です。したがって65歳になってから当面の間は、役所から送られてくる納付書や口座振替での納付となります。詳しくはこちらをご覧ください。

年金から介護保険料はいくら天引きされますか?

65歳以上の人が支払う介護保険料は、本人の所得や世帯(毎年4月1日現在)の課税状況に応じて決まることになっており、自治体によって算出される金額が異なります。お住まいの自治体のHPなどに所得に応じた段階と納付額がまとめられていますので確認してみましょう詳しくはこちらをご覧ください。

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