• くらし
  • 【公開日】2024-04-11
  • 【更新日】2024-04-11

シニア期に力を発揮するために必要なものは?

シニア期に力を発揮するために必要なものは?

少子高齢化が進む中で、シニアの雇用を取り巻く状況は大きく変わった。2021年4月から施行されている改正高年齢者雇用安定法は、企業に対し、65歳までの雇用機会確保に加え、70歳までの就業機会確保に努めるよう求めている。

既に、60歳以降も働くことが当たり前となっており、総務省の労働力調査(2023年)によると、また、60代前半層の4人に3人60代後半層の2人に1人が働いている。

このような中、シニア世代を対象としたキャリアデザイン研修の内容も変化してきた。かつては、セカンドキャリアをより良く過ごせるようにすることなどが主な目的で、生きがいやマネープランなどといった内容のものが多かった。しかし、最近は、定年後もモチベーションを持って働いてもらうことが主な目的となってきており、定年を意識することにより、これまでの働き方を振り返り、今後の働き方について考える、といった内容が多くなっている。

浅野 浩美 教授
事業創造大学院大学 事業創造研究科
博士(システムズ・マネジメント)/社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント/1級キャリアコンサルティング技能士 など
日本キャリアデザイン学会専務理事/人材育成学会常任理事/国際戦略経営研究学会理事/日本労務学会、経営行動科学学会/日本キャリア教育学会/日本キャリア・カウンセリング学会/日本ベンチャー学会/経営情報学会
厚生労働省で、人材育成、人材ビジネス、キャリア教育、就職支援、女性活躍支援等の政策の企画立案に従事したほか、労働局長として働き方改革を推進。高齢者雇用推進のための人事制度見直しマニュアルを執筆。
著書に、『キャリアコンサルタント・人事パーソンのための キャリアコンサルティング 組織で働く人のキャリア形成を支援する』労務行政, 2022年.
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効果のあるキャリアデザイン研修とは?

2018年と少し前だが、シニア世代を対象としたキャリアデザイン研修が、どのくらいモチベーションを高めるかについて調査を行ったことがある。その結果、モチベーションを高めるのに最も効果があったのは「研修後、上司とどのくらい話をしたか」であった。これが圧倒的に効いていた。

次に効果があったのは「研修を受ける前からキャリアについて考えていたか」であり、その次が「いい仕事をしている60歳以上の社員がいるか」であった。どんな内容の研修が効果的か、把握するために調査したのだが、上司の力は思った以上に大きかった。

キャリアデザイン研修は、自分自身のための研修であることもあり、受けた社員の満足度は高い。しかし、その時は満足してやる気になっても、職場に戻るとこれまでと同じ毎日で、定年後はそれまでと立場が変わり、期待もされなくなる、というのが見えていては、せっかくのやる気もなくなってしまう。

定年を迎えたからといって、急に能力が落ちたりすることがないことは、誰もが知っている。また、年齢にかかわらず、仕事をするからには、何か意味のある仕事、やりがいのある仕事をしたいものだ。

シニア期もモチベーションを持って働いてもらうためにはどうすればよいのか

高年齢者雇用安定法によって、より長く働くことのできる環境は整いつつある。しかし、制度面を改善するだけでは十分ではない。シニアには、既にできることがたくさんあるが、シニアにも学ぶ機会やチャレンジングな経験をする機会を与え、より長く活躍してもらうことに成功している企業もある。

さらに、シニアが実際に活躍している様子を、将来のシニアである若手・中堅に見せることも必要である。わが国では、年齢や勤続年数にともなって処遇が上がり、さらに、それによって生じる処遇と生産性のギャップを解消するために、役職定年や定年など年齢で一律に扱う、といった人事制度が一般的だ。しかし、ここまで長く働くようになると、そのやり方ではシニアの力を活用しにくいところがある。より力を発揮できる選択肢も加えたうえで、シニアに対し、どうしたいかたずねることが必要になってきている。

シニアの側もこれに応える必要があるだろう。日本人は、周りを気にするし、年相応を気にするところがあるが、年齢を言い訳にせず、自分は本当のところどんなふうに働きたいのか、改めて考え、周りの人に伝えることが必要である。

おわりに

最後に、シニア期に働くうえで、親の介護は重要なポイントである。親の介護についての相談窓口を設けたことによって、シニア世代が安心して働けるようになった、という話も聞いている。上司の力や伝えあうしくみに加えて、介護に関する情報にうまくアクセスし、それを活かすことが必要であることは言うまでもないだろう。

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