「親が要介護5の認定を受けているけれども、訪問介護をどれくらい利用することができるのだろうか」
親や祖父母が重介護度、特に要介護5の認定を受けており、在宅介護をされている方もいると思われます。すると、訪問介護をどれくらい利用するものなのか気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、要介護5における訪問介護の利用回数や利用上限について詳しく解説していきます。

要介護5における訪問介護の利用回数は、1か月あたり平均49.8回である。
訪問介護(生活援助中心型サービス)の利用上限は1か月につき31回まである(身体介護中心は含まない)。
訪問介護の回数は、要介護5における区分支給限度基準額 36,217点の範囲内でケアプランを作成したうえで決定する。
要介護5の訪問介護の平均利用回数は49.8回/月
厚生労働省によると、要介護5における訪問介護の利用回数は、1か月あたり平均49.8回と報告しています。
要介護5は要介護度の中でも最も重度であり、日常生活の全般に介助が必要な状況です。排せつはおむつを利用する、本人の口から食事を摂ることが困難であるなど、ご家族の介護だけでは限界を迎えてしまう恐れがあります。
実際、要介護状態区分別の訪問介護内容類型別の利用割合は、要介護5では「身体介護」が90.8%となっています。要介護状態区分が高くなるにつれて「身体介護」の利用割合が多くなり、「生活援助」の利用割合は少なくなる傾向にあります。
なお、訪問介護の利用回数は、利用者の身体状態や家族の状況に応じたケアプランに沿って決定します。そのため、平均回数よりも多く訪問介護を利用することも可能です。
要介護5における区分支給限度基準額は36,217点であるため、1か月の間に約362,170円分(1点の単位を10円と計算)の介護サービスを利用することができます。
- 参照:厚生労働省「訪問介護・訪問入浴介護」
- 参照:厚生労働省「令和3年度 介護給付等実態統計の概要」
- 参照:厚生労働省「サービスにかかる利用料」
要介護5の訪問介護の利用上限は月間31回まで
「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」によると、要介護5における訪問介護(生活援助中心型サービス)の利用回数は1か月につき31回までと定めています。
ただし、これは生活援助中心型サービスの上限であり、身体介護のみ、身体介護に引き続き生活援助が中心となる訪問介護の場合は回数に含まれません。
訪問介護のような生活援助中心型サービスは、どれくらいサービスを提供すべきか不明確であることもあり、適切な回数を超えて訪問介護を利用している可能性があります。利用者が適切な回数でサービスを受けるためにも、外部のリハビリ専門職などと地域ケア会議でケアプランを検討することにより、最適なサービスを提供するよう促しています。
なお、要介護5の場合は1か月につき31回までと定めてはいるものの、基準回数以上の訪問介護が必要な理由に妥当性があれば、上限を超えて訪問介護を受けることは可能です。
回数を制限するためではなく、より良いサービスを提供する方法を検証することを目的としています。
参照:厚生労働省「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」
厚生労働省が定める基準回数を上回る場合
厚生労働省が定める1か月当たりの訪問介護の基準(31回)を上回る場合、自治体にケアプランと居宅サービス計画書の写しを提出することが義務付けられています。
自治体への提出期限は、上記の訪問介護の基準を上回るケアプランを作成又は変更した月の翌月末までと決めています。
提出書類や申請方法については、各自治体のホームページに掲載されています。訪問介護の利用回数が上限を越すようであれば、お住まいの自治体に確認しましょう。
なお、早朝や深夜の時間帯に訪問介護を行うと、別途割増料金が加算されます。
また、重度の肢体不自由者又は重度の知的障害を抱えている者など、障害者支援区分4以上である場合には、「重度訪問介護」が該当します。
提供されるサービス内容に大きな違いはありませんが、ヘルパーの人数は常勤換算で2.5人、重度訪問介護の研修を修了した者がサービスを提供します。重度訪問介護加算として手厚いケアを受けられるため、障害者手帳の交付を受けている場合には、一度確認しましょう。
参照:厚生労働省「重度訪問介護」
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要介護5の訪問介護の利用回数まとめ
本記事では、要介護5における訪問介護の利用回数ならびに利用上限について解説していきました。
訪問介護は身体介護中心と生活援助中心のサービスに分かれ、生活援助中心の訪問介護は厚生労働大臣の定めにより月に31回までと定められています。身体介護に関しては定めはないものの、区分支給限度基準額である36,217点の範囲内でケアプランを作成する必要があります。
また、要介護5の方を介護していくうえで、訪問介護以外にも在宅介護を支援する介護サービスはいくつかあります。介護の負担を軽減するためにも、介護サービスは積極的に活用しましょう。