• 介護保険
  • 【公開日】2023-02-17
  • 【更新日】2023-12-20

地域包括支援センターと認知症の関係とは?支援方法や役割などを解説

地域包括支援センターと認知症の関係とは?支援方法や役割などを解説

認知症の悩みを抱えた高齢者が近くにいる方に知って欲しい場所、それが「地域包括支援センター」です。

認知症ケアは、ご家族の介護負担が大きく、介護をしていく中で体調を崩してしまう方が多いと問題視されています。

そこで、重要になるのが地域で支える認知症ケアです。

認知症の方やご家族が悩んだ時の救世主として地域包括支援センターを活用するには、どうしたらよいのでしょうか?

この記事では、地域包括支援センターと認知症の関係を解説し、支援方法や役割について紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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地域包括支援センターに認知症を相談するための豆知識

認知症を抱える家族の強い味方となる、地域包括支援センター

地域包括支援センターは、認知症高齢者を地域で支えるための方法や情報を共有してくれるため、早めに活用し連携を始めれば、ご本人や家族の介護負担の軽減ができるようになります。

認知症かも?」と思ったら、まず地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

まずはじめに、地域包括支援センターがどういった場所なのか理解しておくと、認知症ケアに役立つので紹介します。

高齢者を地域で支える地域包括ケアシステムについて

地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの取り組みの一部です。

日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しており、団塊の世代が75歳以上になる2025年(令和7年)以降は、国民の医療や介護の需要がさらに増加すると見込まれています。

そこで重要になるのが、地域包括ケアシステムです

地域包括ケアシステムとは、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、要介護状態になった場合でも住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで送れるように支える仕組みです。

専門知識をもつスタッフにより「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」サービスが切れ目なく一体的に提供される体制の構築、実現を図っています。

【厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」】

もし、ご家族が認知症と診断された場合、老人ホームを探す際にはケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では認知症対応型の施設を含め全国5万を超える施設から、入居相談員がご本人にぴったりの施設をご紹介しています。

「本人のために安心して老人ホームを選んであげたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。

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地域包括支援センターはどんなところ?

地域包括支援センターとは、高齢者が住み慣れた地域で最後まで生活を送れるようにサポートするために、市町村などの各自治体が設置している拠点です。

高齢者の健康面や生活全般に関する相談のすべてを受け持つ総合相談窓口で、包括的・継続的ケアマネジメントを実践する地域の中核機関です。

なお、介護保険法で以下のように定義されています。

地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域の住民を包括的に支援することを目的とする施設。

【引用:介護保険法「介護保険法 第115条の45第1項(地域支援事業)」】

地域包括支援センターを利用するのに条件はある?

認知症高齢者を支えてくれる地域包括支援センターは、残念ながらどなたでも利用できるわけではありません。

地域包括支援センターは、65歳以上の高齢者とその高齢者を支える方が利用可能です。

もちろん、相談は無料で、認知症以外の悩みを抱えた方や地域住民に対する悩みなどに幅広く対応しています。

また、相談する方の介護認定の有無は問われないため、気軽に相談ができます。

地域包括支援センターはここにある!

ご自身の住まいにある、地域包括支援センターの場所をご存じでしょうか?

地域包括支援センターは、市町村の人口規模、業務量、運営財源や専門職の人材確保、地域における保険福祉圏域の整合性を配慮し、効果的かつ効率的な業務が行えるように市町村の判断で設置条件が異なります。

また、地域包括支援センターは、各市町村が設置主体となる直営型と自治体からの委託を受けた社会福祉法人や医療法人、民間企業が運営する委託型があります。

なお、令和4年4月末時点では5404カ所(ブランチ・サブセンターを含めると7409カ所)で、設置場所割合は、市町村直営型が20%、委託型が80%と委託型がほとんどです。

地域包括支援センターが認知症を支援するための仕事4つとは?

地域住民を包括的に支援するため、地域包括支援センターによっては、市町村からの委託を受けて「在宅医療・介護関連」を担っていたり、認知症地域支援推進員や生活支援コーディネーターが配置されていたりするなど、仕事内容は多岐にわたります。

ここでは、地域包括支援センターが行っている基本的な仕事内容でもある「総合相談支援業務」「権利擁護業務」「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」「介護予防ケアマネジメント業務」の4つの仕事について紹介します。

高齢者の悩みを解決する

一つ目の仕事は、総合相談支援業務です。

高齢者が抱える生活上の悩みや不安などの困りごとに対して、総合的に相談ができます。地域内にある行政機関や医療機関、保健所などの社会資源を活用し、制度の枠を超えて高齢者に適切なサービスを提案・紹介してくれます。

また、相談内容によっては専門のスタッフが必要なサービスを提案・紹介してくれるため、初めて介護が必要になった際には、地域包括支援センターに足を運んでみると解決の糸口が見つかるでしょう。

虐待や詐欺などから高齢者を守る

二つ目の仕事は、権利擁護業務です。

言葉の通り、高齢者の方の権利を守り、虐待の早期発見や防止に努めたり、高齢者に対する詐欺や悪徳商法などの消費者被害にも対応したりします。

また、虐待防止に関しては、虐待を受けているご本人や家族以外に、虐待に気付いた近隣住民からの情報提供も受け付けています。

なお、認知症を患い介護サービスの申請や契約などの手続きや、金銭管理などが難しくなってしまった場合には、成年後見人制度の手続き支援も可能です。

高齢者の財産を不当な契約などから守ったり、法律上の手続きなどがわからなかったりした場合には、地域包括支援センターからの助言を聞くのもよいでしょう。

課題解決や調整をする

三つ目の仕事は、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務です。

高齢者が住みやすい地域にするために、地域全体の医療、保健、介護の専門家が連携をとりながら、高齢者の問題解決や調整を行います。

具体的には、徘徊や迷惑行為などの認知症高齢者が抱える問題を、地域にいる医療関係の専門家などを交えた地域ケア会議を開催し、解決策を検討します。

また、介護認定を受けた方を支援するケアマネジャーのサポートも業務の一つです。

ケアマネジャーへの個別相談や支援困難事例などへの指導やアドバイスを、地域包括支援センターに在籍する経験豊富なスタッフが業務をサポートします。

要支援1、2の方向けのケアプランを作成する

四つ目の仕事は、介護予防ケアマネジメント業務です。

介護認定において要支援の認定結果を受けた方向けに、「介護予防ケアプラン」を作成します。また、非該当の判定が出た方も参加できる介護予防教室などの開催も行っています。

なお、介護予防教室では「栄養改善」「口腔機能向上」「運動機能の向上」「認知機能低下予防」「閉じこもり予防」「うつ予防」など、要介護認定を必要とする状態になるのを防ぐための活動を行います。

地域包括支援センターに寄せられる認知症の相談事例

不安や疑問を総合的に解決してくれると聞いても、家庭内の悩みを相談するには勇気が必要でしょう。

そこで、悩める高齢者を救うスポットの地域包括支援センターには、どんな内容の相談が寄せられているのか一例を紹介します。

  • 両親が認知症かもしれない
  • 認知症でも入れる施設はどこにある?
  • 道に迷うようになった
  • 老人介護が辛くて大変
  • 隣の家から頻繁に怒鳴り声が聞こえる
  • 知らない所から荷物が届いた

上記のように、認知症の症状による相談や介護における不安や苦労など、ご本人やご家族、近隣住民などの情報が寄せられています。

高齢者の方の中には、「まだ一人で大丈夫」「子どもに迷惑をかけたくない」など頼るのを拒否したり困っていても相談しなかったりする場合も…。

そのため、少しでも気になる点や不安に感じた場合には、地域包括支援センターに相談してください

地域包括支援センターで認知症をサポートしてくれるスタッフは?

地域包括支援センターでは、保健師・看護師」「社会福祉士」「主任ケアマネジャー」の3職種の専門家がそれぞれの専門性を活かし、地域住民に寄り添いながら業務を分担し問題解決に努めています。

では、3職種の専門家は、どんな専門家でどのように業務を分担しているのか、下記で詳しく紹介しましょう。

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)

包括的・継続的マネジメントを主に担当してくれるスタッフです。地域で働いているケアマネジャーに対して、指導や教育、アドバイスなどを行います。

主任ケアマネジャーの主な業務は、以下のような内容です。

  • ケアマネジャーの支援・相談
  • 介護サービス全般の相談
  • 困難事例の把握や指導
  • 虐待や家族関係の対応
  • サービス事業者との連携
  • 関連業者のサービスの質の向上

主任ケアマネジャーは、介護サービスに関連する業者に対して連携を図るプロです。地域の介護問題や課題解決をはじめ、介護環境の発展に取り組みます。

保健師や看護師

介護予防マネジメント業務を主に担当してくれるスタッフです。介護予防給付の管理や介護予防事業のプランを作成します。なお、看護師には准看護師は含まれません。

保健師や看護師の主な業務は、以下のような内容です。

  • 健康、医療面の支援
  • 介護予防への取り組み
  • 地域支援事業
  • 虐待問題への対応

保健師や看護師は、保健所や病院などと連携を図り「健康づくり教室」「口腔ケア教室」「認知症予防教室」などを開催し、介護予防マネジメントを行います。

なお、地域住民に健康診断の受診を呼びかけ疾患予防の意識づけをするのも大切な業務です。

社会福祉士

権利擁護や総合相談の業務を主に担当してくれるスタッフです。高齢者の不安解消のために本人やご家族からの相談に耳を傾けてくれます。

社会福祉士の主な業務は、以下のような内容です。

  • 消費者被害への対応
  • 虐待や家族関係の対応
  • 困難事例の把握や指導
  • 介護や生活支援
  • 安否確認
  • 成年後見制度の手続き

社会福祉士は、公的な制度だけでなく、地域内に属する団体やサービスを活用し高齢者を支援します。

【参考:厚生労働省「地域包括支援センターの設置運営について 」】

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地域包括支援センターを活用して認知症を支援する方法

では実際に、地域包括支援センターを利用しようと思った際には、どのような流れで相談に行けばよいのか不安に思われる方もいるでしょう。

地域包括支援センターを利用する際には、以下の流れで利用するとよりスムーズに相談ができるようになりますので、確認してみましょう。

窓口もしくは事前予約

地域包括支援センターは、窓口にそのまま相談するのも可能ですが、事前に電話で予約を取るとスムーズに対応してくれるでしょう。

地域により担当区域も分かれているため、お近くの地域包括支援センターの窓口に事前に電話をかけておくと、受付が相談内容を事前に聞き取り、必要な支援方法を検討し紹介をしてくれますよ。

面談や自宅訪問

支援方法を紹介するにあたり、ご本人の状態や生活環境などの確認が必要です。地域包括支援センターに在籍する3職種の専門家である「保健師・看護師」「社会福祉士」「主任ケアマネジャー」が、自宅に訪問し面談を行います

面談では、以下のような内容の聞き取りや説明が行われます。

  • 介護認定の申請方法や介護保険サービスの内容や紹介
  • 介護予防への取り組みや日常生活支援総合事業の利用方法
  • 居宅介護支援事業への紹介

もし、事前に介護保険で利用したいサービスがある方には、担当するケアマネジャーが同席する場合がありますので、より具体的に支援方法がイメージしやすくなるでしょう。

解決策の提案

自宅面談を終えると、地域包括支援センターでは次のサービスや対応を行います。

  • 介護保険申請手続きの代行やサービスの調整
  • 介護予防への取り組みや日常生活支援総合事業の利用
  • 居宅介護支援事業への紹介
  • 必要に応じた専門スタッフの紹介

まず、どの程度の支援が必要になるのか確認が必要になるため、介護保険の申請を行い介護認定の調査を受けます。

介護認定の結果を確認したのち、居宅介護支援事業所の紹介および担当するケアマネジャーの紹介が行われ、利用できるサービスや支援方法の確認などご本人の状態に応じたサービスの調整が可能です。

なお、認知症の方で金銭管理や手続きに不安がある場合には、成年後見制度や認知症相談窓口の紹介も行ってくれます。

【参考「(事例2)地域包括支援センターBさんの初期対応 」】

地域包括支援センターと共に認知症を支えるための10カ条

認知症の方と初めて向き合うとき、不安や疑問などの戸惑いが生じるものです。

実は、ご本人も同じように不安を抱え戸惑いを感じています。

認知症と直面した際には、どのような心構えが必要になるのか、認知症の家族を抱える「家族の会」が結成20周年を記念して出版した本「新ぼけの人の生活と対応」の内容から見ていきましょう。

見逃すな「あれ、何かおかしい?」は、大事なサイン

認知症の始まりは、ちょっとした物忘れであることが多いもの。単なる老化現象とまぎらわしく、周囲の人にはわかりにくいものです。あれっ、もしかして?と気づくことができるのは、身近な家族だからこそです。

早めに受診を。治る認知症もある。

認知症が疑われたら、まず専門医に受診すること。認知症に似た病気や、早く治療すれば治る認知症もあるのです。

また、適切な治療や介護を受けるには、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などをきちんと診断してもらうのは不可欠です。

知は力。認知症の正しい知識を身につけよう。

アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症では、症状の出方や進行、対応が違います。

特徴をよく知って、快適に生活できるよう、そのあとの家族の生活や介護計画づくりに役立てましょう。

介護保険など、サービスを積極的に利用しよう。

介護保険など、サービスを利用するのは当然のこと。家族だけで認知症の人を介護することはできません。

サービスは「家族の息抜き」だけでなく、ご本人がプロの介護を受けられる大事な機会です。

サービスの質を見分ける目を持とう。

介護保険サービスは、利用者や家族が選択できるのが利点。質の高いサービスを選択する目が必要です。

また、トラブルがあったときは、泣き寝入りせず、冷静に訴える姿勢を持ちましょう。

経験者は知恵の宝庫。いつでも気軽に相談を。

介護経験者が培ってきた知識や経験は、社会資源の一つ。

一人で抱え込まずに経験者に相談し、共感し合い、情報を交換することが、大きなささえとなります。

「家族の会」の電話相談(フリーダイヤル)はこちら

今できることを知り、それを大切に。

知的機能が低下し、進行していくのが多くの認知症です。しかし、すべてが失われたわけではありません。

失われた能力の回復を求めるより、残された能力を大切にしましょう。

恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう

認知症の人の実態をオープンにすれば、どこかで理解者、協力者が手をあげてくれるはず。

公的な相談機関や私的なつながり、地域社会、インターネットなどのさまざまな情報を上手に使い、介護家族の思いを訴えていきましょう。

自分も大切に、介護以外の時間を持とう。

介護者にも自分の生活や生きがいがあるはず。

「介護で自分の人生を犠牲にされた」と思わないように自分自身の時間を大切にしてください。介護者の気持ちの安定は、認知症の人にも伝わるのです。

往年のその人らしい日々を。

認知症になっても、その人の人生が否定されるわけではありません。

やがて来る人生の幕引きも考えながら、その人らしい生活を続けられるよう、家族で話し合いましょう。

【引用:公益社団法人 認知症の人と家族の会「「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条」

認知症の症状によっては、自宅での介護が難しい場合も考えられ、施設の検討が必要になるケースもあるでしょう。

そんな時におすすめなのが、ケアスル介護です。

ケアスル介護は、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらえて、見学予約から日程調整まで無料で代行が可能です。

施設を視野に入れた介護をご検討の際には、相談してはいかがでしょうか?

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地域包括支援センターと連携して認知症の方を支えよう

地域包括支援センターは、悩める高齢者を救ってくれる場所です。

認知症を抱える方には専門的なサービスを包括的に受けられるといったメリットがあり、とても頼りになる場所だといえるでしょう。

認知症の方やご家族が、住み慣れた地域で生活を送るために地域包括支援センターを活用し、地域で支え合う環境に頼ってみてはいかがでしょうか?

地域包括支援センターには、認知症がどのくらいまで進んだら相談すべきですか?

認知症かもしれないといった様子や程度にかかわらず、相談してみるとよいでしょう。介護保険制度やサービスを先に知っておくと症状が進んだ時に上手く活用できます。仮に要支援や要介護認定にならなくても相談すると福祉との繋がりが出来ますし、介護予防・認知症予防の教室などへの参加に繋がり予防にも役立ちます。詳しくはこちらをご覧ください。

認知症の初動について教えてください。家族に、認知症と思われる症状が見られるようになりました。独居しており、今まで何もサービスを利用していません。初動として、まず何をすればよいのでしょうか?

まずは、保険証や診察券、お薬手帳の確認を行い、かかりつけ医を確認するとよいでしょう。確認後、地域包括支援センターに相談しに行きましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

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