「サービス付き高齢者向け住宅の利用権方式とか、賃貸借方式ってなに?」
サービス付き高齢者向け住宅について調べていくなかで、利用権方式を耳にした方は多いでしょう。利用権方式とは、老人ホームにおける契約形態の一つです。ただし、多くのサービス付き高齢者向け住宅は利用権方式ではありません。
それでは、サービス付き高齢者向け住宅の契約形態は一体何でしょうか?そこで本記事では、サービス付き高齢者向け住宅の契約形態やそのほかの契約形態について解説します。契約方式によって、初期費用や権利が大きく異なります。
契約するために必要な知識になるため、ぜひ参考にしてください。
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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は利用権方式ではない
多くのサービス付き高齢者向け住宅の契約形態は、利用権方式ではありません。
利用権方式は、主に有料老人ホームで採用されている契約方式です。サービス付き高齢者向け住宅は、主に賃貸借方式で契約します。
令和元年度において、入居一時金なしの全額月額支払いの施設は約8割にのぼります。サービス付き高齢者向け住宅は、全額月額支払いの施設がほとんどです。それぞれの契約方式について詳しく見ていきましょう。
建物賃貸借方式で契約する
サービス付き高齢者向け住宅の主な契約形態は、建物賃貸借方式です。
建物賃貸借方式は借地借家法に基づき整えられた契約の権利で、一般的な賃貸住宅とほぼ同様の契約になります。毎月の賃料を支払えば、その部屋を借りる権利が与えられます。
建物賃貸借方式は、費用において居住部分とサービスが別々になっている点が特徴です。そのため毎月支払う費用のほかに、必要に応じて介護サービス利用料が別途発生します。また支払いだけでなく、居住部分以外のサービスは契約も別途必要です。
利用権方式の仕組み
利用権方式は、有料老人ホームの多くで採用されています。
料金は居住部分・介護サービス・生活支援が一体化しており、入居一時金を支払うと権利が付与されます。入居一時金とは、入居利用期間を想定して一括で支払う方法です。また契約すると、亡くなるまでの利用権を得られる点が特徴です。
利用権方式による支払いは、入居一時金を償却しながら一部を月払いする仕組みになっています。入居一時金を償却しきらなかった場合は、退去後に返金されます。
権利は子どもに受け継がれない
利用権方式の場合、本人が亡くなったあとの権利は、子どもに受け継がれません。亡くなるまでの利用権のため、本人が亡くなった時点で権利がなくなります。
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利用権方式以外の契約形態の種類
老人ホームの契約形態は、利用権方式以外にも種類があります。
- 建物賃貸借方式
- 終身建物賃貸借方式
- 所有権分譲方式
契約形態を知ると、支払い方法や権利の面で、この契約方式がよいと選択できるようになる可能性があります。それぞれの契約方法を知り、老人ホーム選びにおける一つの検討材料にしてください。
建物賃貸借方式
建物賃貸借方式とは、前述したとおり、サービス付き高齢者向け住宅が採用している契約形態です。概要は下記のとおりです。
- 居住部分のみの契約で、サービス料金は別途必要
- 介護サービスや生活支援を受ける場合は別途契約
- 契約者が亡くなっても継続して住み続けられる(借家権が相続される)
建物賃貸借方式は居住部分とサービスの料金が別々になっており、賃料とは別にサービス料を請求されます。
そのため介護サービスが必要な場合は、基本的に外部サービスを利用することが前提です。ただし実際は8割以上のサービス付き高齢者向け住宅において、なにかしらの介護サービス事業所が併設されています。
なお、入居するサービス付き高齢者向け住宅に介護サービスが併設されており、そのサービスを利用した場合でも居住部分とは別に請求されます。
また建物賃貸借方式では、入居利用期間を想定して一括で支払う「入居一時金(前払い)」の必要がなく、入居にかかる費用は敷金や礼金だけです。
利用権方式と建物賃貸借方式との違い
利用権方式と建物賃貸借方式の違いは、権利の期間と支払い方です。
利用権方式は、亡くなるまで介護施設で利用できる権利を得られます。そして、本人が亡くなったときに権利が無くなります。
料金は居室部分と介護サービスの料金がパックになっており、入居一時金(前払い)と呼ばれる初期費用を支払わなければなりません。
一方、建物賃貸借方式は本人が亡くなっても権利が失われません。建物賃貸借方式は借地借家法に基づき、本人が亡くなった場合でも、居住地区の権利は同居する配偶者や親族などに相続できます。料金は居住部分とサービスが別々になっており、高額な入居一時金はかからず、月額支払いです。
終身建物賃貸借方式
終身建物賃貸借方式とは、都道府県知事から認可を受けた施設のみが利用できる契約形態です。概要は下記のとおりです。
- 終身契約になる
- 相続権はない
- 本人が亡くなった場合、配偶者が1ヵ月以内に申し出れば継続居住できる
終身建物賃貸借方式はその名のとおり、本人が亡くなるまで居住の権利があります。高齢者の居住地を安定的に確保するために定められた法律に基づき、終身建物賃貸借方式が定められました。生涯、同じ住居に住み続けられる点がメリットです。
所有権分譲方式
所有権分譲方式とは、資産として運用できる物件として契約されます。概要は下記のとおりです。
- 資産になる
- 相続できる
- 賃貸物件にできる
- 売却できる
所有権分譲方式は、主にシニア向け分譲マンションの契約形態として採用されています。
一般的な分譲マンションと同じく、購入すれば資産になります。そのため相続・賃貸・売却が可能です。所有権分譲方式は、家族に資産として残せる点がメリットです。
所有権分譲方式の場合は、一般的なマンションと同じく、初期費用として購入費用が必要になります。
その後は、管理費・共益費・サービス利用料を毎月支払っていく仕組みです。シニア向け分譲マンションの場合は、サービスとして来客対応・見守りサービス・タクシーの手配などがあります。
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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の支払い方は2種類
サービス付き高齢者向け住宅には、2種類の支払い方法があります。
- 利用権方式…入居一時金タイプ
- 建物賃貸借方式…月額タイプ
入居一時金とは、毎月かかる費用の一部を前払いするものです。月額タイプは、賃料・共益費・サービス料をすべて月払いにします。どちらのほうが自分に適した支払い方法なのか見極めましょう。
なお前述したとおり、サービス付き高齢者向け住宅では一般的に建物賃貸借方式が採用されており、月額支払いです。入居一時金が必要になる利用権方式との違いを費用から見ていきましょう。
入居一時金タイプの費用
入居一時金が必要になる利用権方式の費用は、下記のとおりです。
費用 | 相場 |
入居一時金 | 約数十万〜数千万 |
月額費用(家賃・管理費・サービス利用料など) | 約6万~40万程度 |
利用権方式は、家賃や管理費の一部を前払い分、残りを月払い分として支払って行く仕組みです。
入居一時金は、入居時に将来の家賃や管理費などを前払いするため、毎月の支払いは月額タイプと比べて安価に設定されています。そのため長期利用の場合は、入居一時金を支払ったほうが最終的にコストを抑えられる可能性があります。
月額費用は約6万〜40万円と幅のある表記ですが、これは令和3年8月末時点における登録情報のデータをもとに、最低額から最高額までを書いているからです。
サービス付き高齢者向け住宅全体(利用権方式・建物賃貸借方式含む)における全国の平均月額費用は、108,000円です。
前払金の保全措置がある
入居一時金には、前払金の保全措置があります。前払金の保全措置とは、有料老人ホームの経営状況が悪化したり、倒産したりした場合でも入居一時金が返金されることです。
これにより、未償却の前払い金が最大500万円まで保全され、入居者に返還されます。
保全措置は法律で定められており、入居一時金を設定している老人ホームにおいて、原則保全措置を設けるとしています。
ただし、2018年以降に定められた法律のため、経過期間中でまだ保全措置を設けていない施設もあります。
保全措置があるかどうかを確認するためには「重要事項説明書」を見てください。前払金の保全先について記載があれば、保全措置が設けられています。
月額タイプの費用
月額支払いに必要な費用は、下記のとおりです。
- 月額費用(家賃・管理費・サービス利用料など)…約6万~40万程度
繰り返しになりますが、令和元年度において、入居一時金なしの全額月額支払いの施設は約8割にのぼります。サービス付き高齢者向け住宅は、全額月額支払いの施設がほとんどです。
ただし全額月額支払いの場合は、長期間の入居が想定されると入居一時金が必要になる場合よりも割高になる傾向にあります。初期費用の支払いが厳しい場合や入居期間が短い場合は、月額タイプだとメリットがあるでしょう。
【サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)】入居一時金タイプのメリット・デメリット
サービス付き高齢者向け住宅における入居一時金タイプのメリット・デメリットは、下記のとおりです。
- メリット:返還金制度がある
- デメリット:初期費用がかかる
入居一時金タイプには返還金制度があるため、利用していないのに支払うといった状況にはなりません。
入居一時金は利用期間を想定して、家賃を前払いします。そのため、場合によっては退去後に入居一時金が余るケースもあるでしょう。残金がある場合には返金されるため、その点は心配ありません。
ただし、その分初期費用がかかります。入居一時金のボリュームゾーンは数十万ですが、なかには数百万、数千万円にのぼる施設もあります。長期利用のため最終的なコストを抑えられる入居一時金タイプにしたいと思っても、初期費用が用意できなければ契約できません。
【サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)】月額タイプにおけるメリット・デメリット
サービス付き高齢者向け住宅における月額タイプのメリット・デメリットは、下記のとおりです。
- メリット:利用料金が下がると得
- デメリット:いる年数が長いほど割高、料金が上がる可能性がある
約8割にのぼるサービス付き高齢者向け住宅が採用している月額タイプ(建物賃貸借方式)は、利用料が下がると得をします。
入居一時金タイプは、利用料金が下がっても反映されません。ただし、反対に利用料金が上がると負担が増えるため、表裏一体です。
デメリットは、入居期間が長いほど割高になる可能性がある点です。入居一時金タイプは、前払いする代わりに、月額費用が少し下げて設定されている傾向にあります。
月額タイプは入居期間が長いからといって割引されるわけでもないため、入居期間が長くなると予想される場合は注意が必要です。
利用権方式の老人ホーム
利用権方式の老人ホームには、下記の種類があります。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
利用権方式は、主に有料老人ホームで採用されている契約方式です。そのため有料老人ホームは、サービス付き高齢者向け住宅よりも初期費用がかかります。ただし、一部のサービス付き高齢者向け住宅では、入居一時金が必要です。
入居一時金を支払うことで、亡くなるまで利用する権利を与えられます。同じ場所に安定して住み続けられるわけなので、入居一時金は安心材料にもなるでしょう。
建物賃貸借方式の老人ホーム
建物賃貸借方式の老人ホームには、下記の種類があります。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅においては、約8割にのぼる施設で建物賃貸借方式が採用されています。そのためほとんどの施設が月額支払いです。
ただし、有料老人ホームのなかでも住宅型と健康型は、建物賃貸借方式が採用されているケースもあります。
初期費用がネックになる場合は、利用権方式ではなく建物賃貸借方式の老人ホームを選ぶとよいでしょう。
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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は建物賃貸借方式でサービス料は別途支払う
本記事では、サービス付き高齢者向け住宅の契約形態や各契約の仕組みについて解説しました。
サービス付き高齢者向け住宅の約8割は、建物賃貸借方式を採用しており、月額支払いになります。残りは利用権方式になるため、入居一時金が必要です。
利用権方式は、主に有料老人ホームで採用されています。有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、異なる老人ホームです。
サービス付き高齢者向け住宅のほとんどが初期費用をかけずに入居できるため、民間が運営する老人ホームのなかでも、費用面の入居のハードルは低いでしょう。
また利用権方式や建物賃貸借方式以外にも、さまざまな契約方式があります。支払いや居住場所の権利なども考えると、より良い老人ホーム選びができるでしょう。
約8割にのぼるサービス付き高齢者向け住宅が、建物賃貸借方式です。利用権方式を採用している施設は、ほんの一部です。詳しくはこちらをご覧ください。
介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホームがあります。詳しくはこちらをご覧ください。