サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)への入居を考えたとき、多くの方が最初に気になるのが費用です。
「年金だけで払い続けられるのだろうか」という不安は、決して珍しいものではありません。
厚生労働省の統計によると、厚生年金(国民年金分を含む)の平均受給額は月15万289円です。国民年金のみの場合は、月5万9310円にとどまります(令和6年度)。
一方でサ高住の月額費用は、地域や施設によって幅があります。年金額だけでは不足するケースも少なくありません。
この記事では、サ高住の費用相場と年金受給額を確認したうえで、年金でまかなえるかのシミュレーション、年金だけで足りないときに使える制度などについて解説します。
サ高住の費用は年金だけでは足りない!
結論として、サ高住の費用を年金だけでまかなえるケースは限られます。
厚生年金(国民年金分を含む)の平均受給額は月15万289円ですが、サ高住の月額費用は10万円台後半から始まることが多く、家賃以外の費用が上乗せされるためです。
国民年金のみの場合は月5万9310円のため、差はさらに大きくなります。
ただし、この差は平均値の比較です。
実際に足りるかどうかは、選ぶ施設や個人の年金額によって変わります。
次の章で、費用相場と年金受給額をより具体的に見ていきます。
※年金受給額は厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」による。数値は執筆時点(2026年8月)の情報です。
サ高住の費用と年金受給額
サ高住の費用が年金だけで足りるかを判断するには、まず年金受給額とサ高住の費用相場、それぞれの目安を知る必要があります。
年金の種類によって受給額は大きく異なり、サ高住の費用も施設・地域によって差があります。
年金受給額はどのくらい?
年金の種類によって、受給額には大きな差があります。
厚生年金(国民年金分を含む)の平均受給額は月15万289円です。
一方、自営業などで国民年金のみの場合は、平均月5万9310円にとどまります(令和6年度)。
出典:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」。※本情報は執筆時点(2026年8月)のものです。
この平均額はあくまで目安です。
自分自身や家族が実際にいくら受給できるのかを確認しておくことが、費用計画の第一歩になります。
年金受給額の確認方法
・毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認する
・日本年金機構の「ねんきんネット」で確認する
・年金事務所や年金相談センターの窓口で相談する
特にねんきんネットは、パソコンやスマートフォンからいつでも確認できるため手軽に自分の受給額を把握できる方法です。
サ高住の費用はどのくらい?
サ高住の費用は、初期費用と月額費用の2つで構成されます。
月額費用は10万円台後半からが目安になりますが、地域や施設によって幅があります。
初期費用・月額費用の詳しい内訳や地域別の相場は、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)にかかる費用はいくら?で詳しく解説しています。
なぜサ高住は、より手厚い施設と比べて費用を抑えられるのでしょうか。
その背景には、サ高住という施設の考え方が関係しています。

この「自立支援」の考え方があるからこそ、サ高住は職員が生活全般を代行する施設と比べて、費用を抑えやすい仕組みになっています。
一方で、日常生活のどこまでを自分で担えるかは、費用に直結する重要なポイントです。
【シミュレーション】サ高住の費用を年金でまかなえるかチェック
ここまでで、サ高住の費用相場と年金受給額の目安がわかりました。
次に重要なのは、自分自身や家族の年金額でどれくらい足りるのか、あるいは浮くのかを具体的に試算することです。
一般論としての平均額ではなく、自分の場合として把握することで、必要な準備が見えてきます。
以下のシミュレーターに、想定する年金額や希望条件を入力すると、サ高住費用の目安と年金額との差を確認できます。
サ高住のタイプ・年金の受給額・要介護度を選ぶだけで、あなたの場合に月々いくら足りない(または浮く)のかを試算します。
- 本シミュレーションは公表統計・記事内相場に基づく概算です。実際の費用は施設・地域・契約内容により異なります。
- 医療費や急な出費など、ここに含まれていない支出が別途発生する場合があります。
シミュレーションを行う際は、今の要介護度だけでなく、将来重くなった場合の費用まで想定しておくことが大切です。
入居後に要介護度が上がると、外部の介護サービスを利用する機会が増え、月々の費用が上がる可能性があります。

このように、要介護度の重度化によって住み替えが必要になるケースもあります。
シミュレーションは、現在の費用だけでなく、将来の変化まで考えたうえで活用することをおすすめします。
サ高住の費用を年金でまかなうときに検討したい制度
年金だけではサ高住の費用が足りない場合でも、活用できる制度がいくつかあります。
自治体の助成制度、高額介護サービス費、生活保護の3つが代表的な選択肢です。
自治体の助成制度を利用する
自治体によっては、サ高住などの高齢者向け住宅に対して独自の家賃助成制度を設けているケースがあります。
これは国の制度ではなく、都道府県や区市町村が独自に実施している仕組みです。
たとえば東京都では、対象となるサ高住等の入居者に対し、区市町村を通じて家賃の一部を補助する仕組みがあります。
補助額や対象条件は地域によって差があり、家賃助成そのものを実施していない自治体もあります。
入居を検討している地域の制度を、早い段階で確認しておくことが大切です。
例:東京都福祉局「サービス付き高齢者向け住宅」。※本情報は執筆時点(2026年8月)のものです。
高額介護サービス費を使う
介護保険サービスの1か月あたりの自己負担額が一定の上限(負担限度額)を超えた場合、超えた分が「高額介護サービス費」として後から支給されます。
負担限度額は、本人および同一世帯の所得状況によって異なり、毎年8月1日を基準日として見直されます。
この制度は、介護保険サービスの利用者負担(1〜3割)が対象です。
サ高住の家賃や食費、日常生活費などは対象外のため、費用のすべてが軽減されるわけではありません。
また、この制度には注意点もあります。
出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」。※本情報は執筆時点(2026年8月)のものです。
生活保護を申請する
年金額が少なく、預貯金もほとんどない場合には、生活保護の申請が現実的な選択肢になります。
生活保護を受給すると、毎月の生活費に加えて、医療費や介護保険の自己負担分が原則無料になります。
サ高住を紹介する現場では、年金額が少なく預貯金も少ない相談者について、生活保護を受給しながら入居するケースが実務上よく見られます。
また、最近では生活保護の支給額基準に合わせた料金プランを用意する施設も増えており、生活保護でも入居できるサ高住は実質的に一定数存在します。
根拠法:生活保護法。※本情報は執筆時点(2026年8月)のものです。
費用の安いサ高住の探し方
年金だけでは足りない場合、制度の活用と並行して、費用を抑えられるサ高住を探すことも現実的な対策になります。
ただし、安さだけを基準に選ぶと、見守り体制など別の面で不安が残ることもあります。

安いサ高住を探すときは、この見守り体制の違いを理解したうえで、次のような方法を組み合わせることをおすすめします。
1つ目は、複数の施設を実際に見学して比較することです。
安い施設には、建物の古さや駅からの距離など、何らかの理由があります。
複数を比較しながら、削っても問題ない条件を見つけることが、費用を抑えるコツになります。
2つ目は、施設紹介業者に相談することです。
個人で直接施設と料金交渉するのは難しくても、紹介業者を通すことで、月額利用料の調整に応じてもらえるケースもあります。
3つ目は、信頼できる相談窓口を見つけることです。
本人や家族の状況を丁寧に聞いたうえで、予算に合った組み合わせを提案してくれる窓口を選ぶことが、費用と納得感の両方につながります。
まとめ
サ高住の費用は、年金だけでは足りないケースが多いのが実情です。
厚生年金の平均受給額は月15万289円、国民年金のみでは月5万9310円ですが、サ高住の月額費用は10万円台後半からが目安になります。
まずは自分自身の年金受給額を確認し、シミュレーターで自分の場合の費用を試算してみてください。
足りない場合は、自治体の助成制度・高額介護サービス費・生活保護といった制度の活用や、費用を抑えたサ高住探しを検討しましょう。
・自分(または家族)の年金受給額を確認する
・シミュレーターで自分の場合の費用を試算する
・足りない場合は自治体の助成制度・高額介護サービス費・生活保護を確認する
・将来の要介護度の変化まで想定しておく
・判断に迷うときはケアマネジャーや施設紹介の窓口に相談する
一人で判断が難しいときは、ケアマネジャーや施設紹介の窓口に相談することも選択肢の一つです。