近年、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)をはじめとした老人ホームでの看取りが増えています。「最期だけ病院に移るよりも、住み慣れたところで最期を迎えたい」と希望する入居者やご家族が多いためです。
とはいえ、自宅で最期を迎えるのはハードルが高いことも事実。
なぜなら、いつまで続くかわからない介護を24時間体制で続けなければならないというのはご家族の負担も大きいためです。
そのためサ高住など、比較的経済的な負担の少ない老人ホームが人気です。
今回は「サ高住で看取りはできるのか」「どのような看取りケアを行ってくれるのか」「サ高住の費用はどの程度なのか」といったサ高住の特徴を、詳しく解説していきます。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)で看取り対応の施設は38.2%
2020年度の調査によると、サ高住で看取りの対応をしたことのある施設が38.2%もありました。
入居者の平均年齢を見てみると、85歳以上の方が過半数を占めています。
また、要介護3以上の方の割合が34.2%です。
本来は介護施設が担うべき機能を、軽い介護度の方に向けた施設のはずのサ高住が受け入れることが増えてきています。高齢者数が右肩上がりで増えている今、サ高住のみならず各老人ホームにおける介護度の上昇傾向は今後も続くと予想されます。
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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)でできる看取り介護のケア
看取りとは、病状の回復が見込めずに、死が間近に迫っている方に対して、自然に亡くなる流れを見守ることです。
これまでは看取りといえば病院が一般的でした。
しかし高齢化社会の急速な進展に伴い、近年は自宅や介護施設で最期を看取るケースが徐々に増えてきています。
看取りに対する内部研修に力を入れている施設も多くあります。
もちろんサ高住でも看取り対応の施設が増加してきています。それでは看取り介護のケアとは何をするのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
身体的ケア
入居者への看取り支援として、まずは身体的なケアが挙げられます。
具体的には以下のようなケアがあります。
- バイタルチェック
- 居室内の環境整備
- 清拭
- 褥瘡の処置
- 口腔内のケア
- 排泄ケア
- 爪切り
- 体位変換
- シーツ交換
- 栄養、水分補給
- 身体的苦痛の緩和
- 定期的な居室巡回
身体の清潔を保持するのはもちろんのこと、安楽な体位を保つなどの身体的な苦痛を緩和するケアも重要な役割を果たしています。
精神的ケア
次に精神的なケアとして、以下のような行為が挙げられます。
- 安心できる声かけなどのコミュニケーション
- 手を握ったり、マッサージをしたりなどのスキンシップ
- 人権、プライバシーの尊重と配慮
- 安楽に過ごせる環境の提供(好きな音楽を流す、思い出の品を近くに配置するなど)
不安を和らげるようにスキンシップやコミュニケーションを取ってくれます。
また、快適な居室空間を作る配慮なども見受けられます。
家族へのケア
入居者だけでなく、ご家族への配慮や支援も行ってくれるのが一般的です。大切な家族がその生涯を閉じようとしている中、平静でいられる方は少ないでしょう。
不安定な精神状態でストレスを抱えているご家族への配慮は欠かせないものだからです。
- ご家族の身体面、精神面のケア
- ご家族の要望や心配事に耳を傾け、その対応と解決
- 専門機関や専門職種へ相談できる機会の提供
- 死後のサポート(グリーフケア)
上記の対応のほか、面会時間を増やしてくれる施設もあります。
看取りができるサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の条件
すべてのサ高住が看取りを行っているわけではないことに注意が必要です。
施設で看取りを行うためには、以下のことが遵守されている必要があるからです。
- 常勤看護師を配置している
- 看護職員と24時間の連絡体制を確保している
- 看取りの指針を定めている
- 入居者やご家族に指針の内容を説明し、同意を得ている
- 多職種(看護職や介護職、相談員等)で、看取り指針について適宜見直しを行っている
- 看取りに関する職員研修を行っている
- 個室や静養室が利用できる
上記に該当しない施設は看取りを行うことができません。
しかし、それほど高いハードルではないため、看取りを行うことができる施設が多いのです。
看取り介護と異なるターミナル介護とは
看取り介護とよく似たものに、ターミナル介護というものがあります。どのような違いがあるのでしょうか。
それは「医療による対応か、介護による対応か」といった違いです。看取り介護は、あくまでも「介護」であり、清拭や口腔衛生などの日常生活におけるケアが中心です。
一方、ターミナル介護は医療行為が伴うことを意味します。
看取り介護
看取り介護の主眼は、死が目前に迫った入居者に対して、肉体や精神の苦痛を緩和・軽減することです。
人間としての尊厳を残したままの生活支援を目的とします。
そのため「身体中に機器を取り付け、生命を維持していく」といった行為は行われません。あくまでも自然に死への過程を見守っていきます。
ターミナル介護
ターミナル介護は、医療チームと介護チームが連携して支援を行うことは共通していますが、看護師による医療的なケアが中心となってきます。
生命を維持するために必要な行為、たとえば点滴や経管栄養、痰の吸引や酸素吸入などが行われます。
看取り介護とターミナル介護、どちらが優れているというものではありません。あくまでも入居者本人が、またご家族がどちらを望むのかを尊重して対応してくれます。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは
サ高住とは、本来は介護度が低めの方を対象としたバリアフリー施設です。
ペットの同伴が可能だったり、外泊や外出が自由にできたりと、特養や有料老人ホームに比べても自由度の高い生活を継続することができる賃貸形式の住宅であり、安否確認と生活相談のサービスが受けられます。
「今までの生活が一変してしまうのでは」という悩みを抱えている高齢者の方も、安心して入居できる施設です。
入居一時金が必要ないところも多く、それでいて家賃も通常の価格です。
そのため、有料老人ホームなどに比べても負担が軽いため、経済的に苦しい方の入居先としても人気があります。
サービス付き高齢者向け住宅の概要
サ高住では以下のサービスが受けられます。
安否確認
定期的にスタッフが居室を巡回して安否を確認してくれる、いわゆる見守りサービスです。
時間や頻度は施設によって異なります。
夜勤スタッフがいるサ高住は夜間も安否確認がありますが、いない施設では通報システムなどで対応してくれます。
生活相談
常駐するスタッフが、生活全般に関する相談に乗ってくれます。
上記の2つのサービスがあることから「一人暮らしするのは不安になってきた」という方に人気がある施設です。
個別契約で、介護などのサービスも受けられます。
居室面積は25㎡以上であることが義務付けられています。(ただし、居間、食堂、台所、その他の共有スペースに十分な面積がある場合は18㎡以上)
また、各部屋にトイレや浴室・収納スペースがあり、バリアフリー住宅となっているため、高齢者の方も安心です。
サービス付き高齢者向け住宅の種類
サ高住には2つの種類があり「一般型」と「介護型」に分かれます。
一般型は自立している方の入居を前提としており、介護型は介護を要する方が対象です。そのため同じサ高住でも、一般型か介護型かで費用や特徴に大きな違いがあります。
それぞれどのような特徴があるのか、詳しく見てみましょう。
一般型
サ高住の多くは一般型で、介護の必要性がない方を想定した施設のため、主なサービスは先にも述べた「安否確認」と「生活相談」になります。
健康相談や困っていることなど、生活全般の悩みを打ち明けやすい環境が整っており、介護サービスの提供はありませんが、契約すれば外部サービスを利用することができます。
サ高住のなかには、介護サービスの利用を想定して介護事業所を併設しているところも多くありますので、必要な分だけ契約して利用するとよいでしょう。
もちろん外部の事業所と契約することも可能です。

介護型
介護型は、要介護度別に定額で介護サービスを提供してくれます。
夜間も介護士や看護師が常駐しているので安心ですし、リハビリを行ってくれる機能訓練指導員なども配置されているのが特徴です。
介護度の高い方や重度の認知症の方にも対応できる体制が整っている施設ですので、介護度が進んだ場合でも安心して住み続けることができますが、一般型に比べると、その数は多くありませんし、外出や外泊に制限がかけられているところもあるなど、一般型よりも自由度は低くなってしまいます。
サービス付き高齢者向け住宅の入居条件
次に、サ高住の入居条件を見てみましょう。
以下が入居対象の条件となります。
- 60歳以上の高齢者
- もしくは要介護認定を受けた60歳未満の方(特定疾病に該当する40歳以上の方は要介護認定が出ることがある)
これに加え、一般型では「自立もしくは介護度の軽い方」「認知症がない方」などがありますが、詳細な部分で施設ごとに違いがあります。
また、ほとんどのサ高住は賃貸借契約のため、連帯保証人や身元引受人が必要です。中には入居者の配偶者であれば同居できるというサ高住もあります。

サービス付き高齢者向け住宅の退去条件
以下のようなケースでは退去を言い渡されるケースがあります。
著しい身体状況の変化があり、一般型では対応できなくなった
介護や医療を想定している介護型であれば対応できることでも、一般型では対応できないケースもあります。
そのような場合には退去を言い渡される場合があります。
他の入居者、もしくはスタッフに対して迷惑行為があった
他者へ迷惑行為を働いた場合も退去を求められる場合があります。
たとえば暴力を振るってしまった、注意されてもセクハラ行為を続けた、何度も大声で怒鳴るなどの行為は対象となる可能性があります。
支払いが滞ってしまった
費用の支払いが滞ってしまった場合も退去の対象となってしまうでしょう。
入院が長引いてしまった場合
入院して、回復せず長引いてしまった場合も退去の対象となりえます。
施設によって「何か月入院していると退所」と決められていることが多いです。
以上が退去を言い渡される主なケースです。
契約を取り交わす際の重要事項説明書に、退去の要件が記載されている場合がありますので、最初に確認しておくとよいでしょう。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)にかかる費用
サ高住ではどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
入居のタイミングで支払う「初期費用」と月々支払っていく「月額利用料」が必要になりますが、その料金は一般型と介護型で大きく異なってきます。
支払い方法について、前払い方式か月払い方式かを選択できるところもあります。前払い方式は、入居する期間を想定し、その間の利用料を先に支払っておくものです。
入居後に家賃の支払いは発生しませんが、入居時にまとまった資金を用意する必要があります。月払い方式は、月額費用を毎月支払っていくもので、入居のハードルはグッと下がります。
初期費用・入居一時金
まずは初期費用・入居一時金について見ていきましょう。一般型では、賃貸契約のため入居一時金は不要です。
ただし、敷金などの初期費用として数十万円かかることがあります。多くのサ高住は、賃料の2~3か月分となっています。
中には入居時の費用が不要の施設もありますが、その場合は退去時にクリーニング代などが請求されることになります。一方、介護型では入居一時金が必要です。
費用は施設によって大きく異なり、数十万~数千万円が想定されます。いずれにしても有料老人ホームに比べると、サ高住は初期費用を低く抑えることができます。
月額費用
月額利用料金は、どれくらいかかるのでしょうか。一般型は家賃と管理費で、約5~25万円ほどとなっています。
家賃は、施設周辺のアパートやマンションの相場に準じています。そのため都市圏では賃料が高く、山間部などに行くと低めに抑えられる傾向にあります。
一方で介護型は家賃や管理費のほか、食事の提供を前提としているところも多く、食費も月額料に含まれます。相場として約15~40万円程度の費用がかかります。
月額費用については、収入等に応じて補助を受けられる自治体もあります。
補助金・家賃補助
「経済的な負担を軽くしたい」という方には、地域優良賃貸住宅があります。施設によって食事や洗濯・掃除などのサービスを提供しているところもあります。
初期費用は一切不要で、一定以下の所得の場合には最大で40%の家賃補助を受けることができます。
入居条件は「60歳以上の単身者または夫婦・親族」「施設のある都道府県に在住あるいは在勤していること」が条件となっています。
その他にも施設によって月額の世帯収入上限が定められている場合があります。家賃補助があるため人気が高く、入居については抽選となります。
制度を利用したい場合には自治体や施設に問い合わせてみましょう。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)での看取りは増えている
サ高住について詳しく見てきました。サ高住入居者は約7割の方が「人生の最期まで住み続けたい」と答えています。
事実、サ高住での看取りも増える一方です。この結果からも、それだけ過ごしやすい施設が多いということが想像されます。
特養の入居は待機期間がかなり長いこともあり、サ高住の人気は年々高まっていますので入居を検討されている方は早めに動いていくことをおすすめします。
サービス付き高齢者向け住宅とは、スタッフが常駐することで安否確認と生活相談を義務付けられた高齢者向けのバリアフリー住宅です。もともとは自立、もしくは介護度の軽い、比較的元気な高齢者が暮らす住居であり、寝たきりなどの介護度の重い方の受け入れ、ましてや看取りへの対応は想定されていない施設でした。詳しくはこちらをご覧ください。
介護保険サービスとして看取り介護を行う場合は、介護報酬の「看取り介護加算」の要件に則している必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。