世帯分離を検討している場合、それが後期高齢者である両親なら、扶養から外れるの?と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
両親を、自分の勤め先へ扶養者として申請している方もいらっしゃるかもしれません。その場合、世帯分離による影響は知っておきたいものです。
- 後期高齢者である両親を、世帯分離したら扶養はどうなるのか
- 扶養から外れた場合のデメリットはどんなことがあるのか
という点についてこの記事では詳しくご紹介します。後期高齢者の世帯分離を検討している方、扶養から外れるか気になる方はぜひご覧ください。

後期高齢者が世帯分離をする意味
本来、世帯分離をする理由としては、住民税の算定要件が関係している場合が多いです。世帯分離をすると、住民税非課税世帯となるので、これを目的に行われる場合が多いです。
しかし、後期高齢者が世帯分離をする場合には介護を必要としてる方が多いということもあり、その意味は介護費用の軽減となります。
親子で同居している場合、親が世帯分離をして単独世帯になると、親の収入のみで介護費用の負担額の算定が行われるので、結果として費用を抑えられます。
このように、世帯分離をする本来の意味と、介護での意味がわかれますが、後期高齢者の場合は、住民税や介護費の両方を軽減するために行われる傾向にあるのです。
しかし、世帯分離はメリットばかりではなく、デメリットも存在します。例えば、手続きが面倒だったり、健康保険組合が利用できなかったりします。
詳細については、後述しますが、世帯分離を検討する場合、しっかりとデメリットも知っておく必要があります。デメリットを知らないまま世帯を分離してしまうと、あとで「こんなはずじゃなかった。」となってしまうかもしれないからです。
”後悔先に立たず”とはいいますが、しっかりと世帯分離の意味を認識して後悔をしないよう取り組んでいただければ幸いです。
ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します
後期高齢者の親は世帯分離で扶養から外れる?
結論からいいますと、基本は扶養から外れません。しかし、条件によっては扶養から外れる可能性もあるので、そのあたりはしっかり把握しておきましょう。
後期高齢者の親が扶養から外れるかどうかは、世帯分離をしても同居しているのが大前提になります。
これにくわえて外れるかどうかの大きなポイントとしては、”世帯分離をしたのが、会社勤めの両親”か”配偶者の両親”になります。
健康保険における扶養の範囲は以下のようになります。
- 被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている方(この場合、必ずしも同居である必要なし)
- 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている方
Ⅰ.被保険者の3親等以内の親族
Ⅱ.被保険者の事実婚の配偶者の父母・子
【Ⅱ】の配偶者が無くなった後における父母・子
このように、直系尊属として実の両親を世帯分離をしたとしても、同居が絶対条件ではないため、扶養に入れます。
関連記事
親と同居していても世帯分離は可能! メリット・デメリットや申請の注意点まで詳しく解説!カテゴリ:世帯分離更新日:2023-09-21
後期高齢者の配偶者の親も世帯分離で扶養が外れる?
配偶者の親を世帯分離した場合は、扶養から外れます。理由は前述したとおりです。
配偶者の親の場合、健康保険の扶養範囲は”同一世帯”で被保険者の収入により生計を維持している人です。
配偶者の父母の場合は、同一世帯である必要があるため、世帯分離をした場合は扶養から外れます。
したがって、配偶者の両親が後期高齢者となって世帯分離を検討してる方は、健康保険組合の扶養から外れるものと認識しておきましょう。
この場合は、現在扶養として入っている健康保険組合の扶養手当やそのほかの福利に関しても確認しておきましょう。
仮に扶養から外れるとしても、世帯分離におけるメリットが大きければ、世帯分離をする方向で話を進めていた方が得策です。
後期高齢者が世帯分離をしたら扶養控除や配偶者控除はどうなるの?
70歳以上の配偶者控除や扶養控除は、控除額が大きくなり、それだけ所得税や住民税が安くなります。扶養控除に関しては、一般の控除と比較すると20万円程度も控除額に差があります。
こうした扶養控除や配偶者控除ですが、世帯分離をしても基本は控除対象となる場合がほとんどです。しかし、こちらも状況によっては控除対象外となりますので注意しましょう。
控除対象配偶者および控除対象扶養親族は、年間合計所得が48万円以下の方です。年金収入だと、年間158万円以下で、年金以外で収入がない場合控除を受けられます。
配偶者控除は事実婚を含めた婚姻が必要になり、扶養家族は6親等内の血族と、3親等内の婚姻血族が対象となります。
扶養控除の要件では、税金を納める方との関係と、生計を一つにすることが必要となります。ですが、ここで”生計を一つにする”というのは必ずしも同居しているというわけではありません。
例え別居していても、生活ができるよう仕送りなどをしたことによって、後期高齢者の両親の生活が成り立っているという場合、扶養控除の対象となります。
ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します
自分の両親の場合は、外れません。ただし、配偶者の両親の場合は外れる可能性があります。これは、扶養の範囲条件によるもので、直系の血族で世帯主の両親や兄弟などは世帯を分けたとしても、生計を一緒としている場合は不要に入ったままで大丈夫です。しかし、配偶者の両親となると原則は同居が必要になり、世帯分離によって住民票を分けられると法律的に同居しているとみなされないの扶養範囲の対象外となります。詳しくはこちらをご覧ください。
状況によりますが、基本は介護度が高い方ほど世帯分離をした方がいいでしょう。介護負担軽減制度の多くは、要介護度が高い方ほど自己負担額が減少し、利用限度額が増えます。家庭内の介護負担も軽減する目的があるならば、要介護度が高い方は世帯分離によるメリットは大きいです。詳しくはこちらをご覧ください。