• 在宅介護
  • 【公開日】2022-12-07
  • 【更新日】2022-12-07

通所介護事業所の人員基準とは?人員基準を満たせない場合の対策も紹介

通所介護事業所の人員基準とは?人員基準を満たせない場合の対策も紹介

「デイサービスの人員基準ってどうなっているの?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。

ここでは、通所介護授業所(デイサービス)の人員基準や、人員基準を満たせない場合の問題点と対策などについて、詳しくご紹介していきます。

この記事を最後まで読み終えてもらえれば、通所介護事業所の人員基準が分かり、希望に合う施設探しに役立ちます。

通所介護事業所の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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通所介護事業所の基本的な人員基準

通所介護事業所は、在宅で生活する方を対象に、食事や入浴、排泄の介助や機能訓練を行う通所の介護施設です。

厚生労働省では、通所介護事業所の基本的な人員基準を定めています。

そこで、通所介護事業所の基本的な人員基準について、詳しくご紹介していきます。

①管理者:常勤1名

管理者は、管理業務を主に担当する職種です。

勤務体制 専従・常勤で1名
担当業務
  • スタッフのシフト管理
  • 利用者の稼働率管理
  • サービス担当者会議の実施
資格の有無 特になし

専従が基本ですが、同一敷地内のほかの事業所の職種(常勤の生活相談員や介護職員)と兼務できます。

2生活相談員:事業所ごとに1名

生活相談員の役割は、介護を必要とする利用者やご家族が抱える不安や悩みの解消です。

勤務体制
  • 事業所ごとに1名
  • 非常勤でも可
担当業務
  • 利用者やご家族からの相談に乗り専門的な助言や指導を行う
  • 地域やケアマネジャーを通じて、医療機関との連携も担当
資格の有無
  • 社会福祉士や社会福祉主事、精神保健福祉士
  • 自治体によっては、ほかの資格要件が必要とされる場合がある

生活相談員もしくは介護職員のうち1名以上は常勤と定められています。介護職員との兼務が可能なので、常勤の介護職員が生活相談員を兼務している事業所も多いです。

③看護職員:利用定数10名以上の場合1名

看護職員は、医療的な知識やスキルを活かして、幅広い業務を担当します。

勤務体制
  • 定員10名以上の事業所では、専従の1名以上の看護師が必要
  • 定員10名以下の場合、看護師の代わりに介護士を配置
担当業務
  • 利用者の服薬・健康管理
  • 事業所によっては、入浴介助も行う
  • 機能訓練指導員として、リハビリテーションを担当する場合もある
資格の有無
  • 正看護師
  • 准看護師

定員10名以上でも、必ずしも看護師が専従しているとは限りません。

同一事業所内の看護師を出向させる場合、営業時間中に看護師不在の時間帯があってもよいとされているためです。

また、常勤の看護師が常駐しているデイでは、痰の吸引や経管栄養、インスリン注射といった医療ケアに対応できます。利用者の急変や体調不良が起きても、迅速に対応可能なのも安心ポイントです。

通所介護事業所選びでは、看護師の仕事内容や、常駐している時間帯を確認しておきましょう。

④介護職員:利用定数15名以上の場合1名以上

介護職員は、利用者の身の回りのサポートを行います。

勤務体制
  • 利用者数が15名の場合、1名以上
  • 利用者数が16名以上の場合、利用者数から15を引いた人数を5で割り、さらに1を足した人数
担当業務
  • 食事や排泄、入浴の介助、レクリエーション、機能訓練の補助
  • 送迎業務を担当する事業所もある
資格の有無 無資格者でもよい

介護職員は、管理者や生活相談員と兼務可能です。

基本的に資格は必要ありません。ただし、国家資格の介護福祉士なら、研修を受ければ経管栄養や痰の吸引も行えます。

より専門性の高い介護を受けたい方は、介護福祉士の介護職員がいる事業所なら安心です。

⑤機能訓練指導員:1名以上

機能訓練指導員は、利用者が在宅での生活を続けられるように、生活機能の訓練を行います。

勤務体制 1名以上
担当業務 リハビリテーションにより、身体機能や認知機能の維持・向上
資格の有無 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のうちいずれか

看護師が機能訓練を担当している事業所は多いです。できるだけ長く在宅での生活を続けられるように、洗濯物干しや掃除といった家事動作がメインの機能訓練を行う事業所もあります。

また、身体機能の維持・向上を目指したい方は、理学療法士や作業療法士がいる事業所を選びましょう。利用者の状態に合わせて、専門的なリハビリテーションを受けられます。

人員基準だけでなく、どのような機能訓練が行われているか、事前の把握が大切です。

またもし老人ホーム・介護施設をお探しの場合は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では全国約5万もの施設から、入居相談員がご本人様のニーズに合った施設をご紹介しています。

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通所介護事業所の種類ごとの人員基準

通所介護事業所は主に5つの種類に区別され、人員基準がそれぞれ異なります。

そこで、通所介護事業所の種類ごとに人員基準や特徴をご紹介していきます。

利用を検討したい通所介護事業所が見つかっている方は、ぜひチェックしてみましょう。

①通常のデイサービス

定員が19名以上で、食事や入浴、排泄の介助や、機能訓練を行います。利用者が25名以上の場合、大規模デイサービスともよばれます。

配置基準は以下の通りです。

管理者 常勤・専従で1名以上
生活相談員 事業所ごとに1名
看護職員 専従1名
介護職員
  • 利用者が15名まで:1名以上
  • 16名以上:計算式によって算出
機能訓練指導員 事業所ごとに指定の資格者を1名

介護職員・生活相談員のうち、いずれかが常勤の必要があります。常勤の介護職員が生活相談員を兼務している事業所が多いです。

また、専従の看護師が必要ですが、同一事業所内の看護師の出向が認められています。入浴介助の時間帯のみ看護師が常駐している事業所も少なくありません。

健康管理や医療ケアを希望する方は、看護師が常駐している事業所を選びましょう。

②地域密着型デイサービス

定員が18名以下で、小規模デイサービスとも呼ばれます。

事業所の所在地と同じ市区町村に、利用者の住民票が必要です。利用者が住み慣れた地域で、生活を続けられるようにサポートします。

管理者 常勤・専従で1名以上
生活相談員 事業所ごとに1名
看護職員もしくは介護職員 1名以上
機能訓練指導員 事業所ごとに指定の資格者を1名

看護師または介護職員のうち、いずれか1名以上いれば問題ありません。そのため、機能訓練指導員として看護師を配置している事業所は多いです。

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③認知症対応型デイサービス

定数は12名以下で、全員認知症の方が対象です。住み慣れた地域で生活を続けられるように、地域密着型のサービスを提供しています。

認知症の方は、新しい環境や不慣れな人間関係に対して、強い不安やストレスを感じます。そのため、少人数制で地域密着型サービスを受けるメリットは大きいでしょう。

主に3種類に区別され、それぞれ人員基準が異なります。

  • 単独型:単独で運営
  • 併設型:医療機関や老人ホームなどに併設
  • 管理者:常勤1名
  • 生活相談員:1名
  • 機能訓練指導員:1名
  • 介護職員・看護職員:利用者12名ごとに1名以上
  • 共用型:グループホームなどの食堂や居間を借りて運営し、定員は3名以下
  • グループホームなどの施設入居者とデイサービスの利用者の人数によって異なる

食事以外に、認知症の症状緩和や、進行予防に特化したリハビリ、レクリエーションを受けられます。

認知症の知識や対応スキルが備わっているスタッフによって、手厚いサポートを受けられるのが魅力です。

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④療養型デイサービス

定数が9名以下で、難病、認知症、脳血管疾患、重度要介護者、がん末期といった患者が対象です。

在宅療養中の利用者が、自宅で自立した日常生活を送れるように、訪問看護師や訪問診療の医師と連携しながら、通所をサポートします。

医療ケアを必要とする方が利用するため、ほかの通所介護事業所と人員基準が異なります。

管理者
  • 1名
  • 看護師でなければならない
看護職員
  • 利用者数1.5名に対し1名配置
  • うち1名は常勤・専従

看護師がほぼマンツーマンで対応し、手厚いサービスが受けられます。医療面でのケアやサポートが必要な方でも安心です。

⑤リハビリ特化型デイサービス

数時間から半日程度の短時間の利用で、リハビリに集中します。食事や入浴サービスは提供していません。

専用の特殊なリハビリマシーンを使用して、身体機能の維持・向上を目指します。定員に応じて、人員基準が異なるため、把握しておきましょう。

定員が10名を超える場合
  • 管理者:常勤1名
  • 生活相談員:1名
  • 看護職員:1名以上
  • 介護職員:1名以上
  • 機能訓練指導員:1名
定員が10名以下の場合
  • 管理者:常勤1名
  • 生活相談員:1名
  • 看護職員もしくは介護職員:1名以上
  • 機能訓練指導員:1名

中には、機能訓練指導員を理学療法士のみに限定するなど、独自の要件を設けている事業所もあります。

また、提供しているサービス内容は、事業所ごとに異なります。通所を検討する場合、人員基準だけでなく、サービス内容も確認しておきましょう。

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2015年の改変で緩和された人員基準

厚生労働省は、3年ごとに介護報酬を改正しています。

特に2015年度度の改正では、通所介護施設の人員基準が一部緩和され、運営・利用しやすい体制となりました。

そこで、改変内容を項目ごとに詳しくご紹介していくので、確認していきましょう。

①看護職員の人員基準

制度の改正により、看護師の人員基準が緩和されました。

  • 改正前:専従の看護師を1名配置
  • 改正後:同一事業所内の診療所や訪問看護ステーションから、看護師が出向していれば、常駐していなくてもよい

そのため、看護業務を行う時間帯のみ看護師がおり、そのほかの時間帯は電話での指示出しや確認を行う事業所もあります。

看護師が常駐していない通所介護事業所を選ぶ場合、看護師が滞在している時間帯や対応する業務を把握しておくと安心です。

②常勤時間数は30時間

制度の改正によって、一定条件を満たす常勤スタッフは勤務時間の短縮が認められました。

  • 改正前:常勤のスタッフは週32時間の勤務
  • 改正後:育児や介護により、短時間労働が認められている場合、30時間の勤務時間でよい

条件を満たした事業所には助成金が入り、運営側に大きなメリットがもたらされています。

③生活相談員の業務内容

制度の改正によって生活相談員の業務内容が幅広くなり、利用者やご家族に、より質の高い介護の提供が可能となりました。

  • 改正前:生活相談員の業務は事業所内での相談業務のみ
  • 改正後:事業所外での勤務も勤務時間数に含まれる

サービス担当者会議への出席、利用者宅への訪問も生活相談員の業務内容として認められるようになりました。

人員基準を満たせない場合の問題点と対策

通所介護事業所は6年以内に1度、運営指導が行われます。

人員基準の違反が発覚すると、指導や監査が入り、以下の処分を受ける場合があります。

  • 事業所の指定取り消し
  • 減算
  • 新規利用者の受付停止
  • サービス停止(期限付き)

ただし、看護師の人員基準を満たせない場合、医療機関や訪問看護ステーション、診療所といつでも連携を取れるようにしておけば、基準を満たせます。

通所希望先で人員基準を満たしていない場合、適切な対策を講じているかの確認が大切です。

人員配置以外の基準

通所介護事業所では、運営に必要なさまざまな基準が設けられています。そこで、人員配置以外の基準について、詳しく解説していきます。

納得のいく通所介護事業所を選びたい方は、しっかり把握しておきましょう。

①設備基準:開設・運営に必要な最低限の設備が整っているか

開設・運営には、必要最低限の設備が求められます。具体的な内容は以下の通りです。

機能訓練室・食堂
  • 食堂と機能訓練室の合計面積が、利用者1名当たり3平方メートル以上
  • 通路などの共有スペースは面積に含めない
事務室
  • 広さの規定はない
  • 専用区画があればパーテーションでの仕切りも可能
  • 機密情報の漏洩を防ぐために個人情報が管理できる書庫が必要
相談室
  • 広さの規定はない
  • パーテーションの仕切りも使用可能
静養室
  • 体調不良時などに休憩できるように専用のベッドを配置した部屋を準備する
  • カーテンなどを使用し、利用者のプライバシーに配慮する
トイレ
  • 車椅子でも使用できるように改修
浴室
  • 入浴サービスを行う場合、浴室を設置
送迎車
  • 必要に応じて車椅子ごと乗せられる福祉車両を準備する
備品
  • 機能訓練に使用する物品
  • 緊急時の呼び出しボタン
  • 消火設備

設備が整っていれば、利用者は安全かつスムーズに通所ができます。設備に不備はないか、施設見学時にしっかり確認しておくと安心です。

また、自治体ごとに定められている細かい要件もあります。設備基準を満たしているか知りたい方は、行政や関係部局に確認しましょう。

②運営基準:事業者が留意するべき要件を満たしているか

通所介護事業所を適正に運営するため、運営基準が設けられています。

具体的な内容は以下の通りです。

通所介護計画書の作成 ケアプランをもとに、利用者の目標、家族の希望するプログラムや支援内容などを記載
スタッフの勤務表 スタッフの勤務表を作成し、出勤者を明らかにする
定員内のサービス提供 定員を超えるサービス提供を行なわない
作成した文書の交付(説明)
  • 利用申込者に対して、運営規程、職員の勤務体制、苦情処理体制、事故発生時や緊急時の対応などについて文書を交付 (説明) する
  • 本人またはご家族に同意を得て、書面にサイン後、サービスを開始する
料金の定め おむつの費用、食事・おやつ代、利用時間の超過費用など、介護保険サービス外の料金を定めている

運営基準を満たしていない通所介護事業所は、運営基準違反となり、処分を受ける場合があります。また、都道府県ごとに定められている要件もあるので、注意が必要です。

通所希望先の運営基準が心配な方は、施設見学時や説明時に、事業者側に確認しましょう。

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人員配置基準を満たしている通所介護事業所を利用しよう

通所介護事業所は、定員や種類に応じて人員基準が異なります。

人員基準を満たしていない場合、実地指導や監査の対象となり、処分を受ける可能性があります。

通所希望先の人員基準をしっかり把握し、納得したうえで通所介護事業所を選びましょう。

また、希望するケアやサポートに特化した資格者が配置されている通所介護事業所なら、安心して利用できます。

今回ご紹介した内容を踏まえて、納得のいく通所介護事業所探しにお役立てください。

通所介護の人員基準に関するよくある質問

Q.食事や入浴の介助が受けられるリハビリ特化型デイサービスはないのですか?

A.手厚いリハビリ以外に、食事や入浴の介助の介助が受けられるのは、デイケアです。リハビリ特化型デイサービスとは異なり、1日過ごせます。

Q.人員基準を満たしていても、無資格の介護職員が働いているデイサービスに家族を預けるのは不安です。

A.2021年4月の介護報酬改定にて「認知症介護基礎研修」の受講が義務化され、無資格の介護職員は受講対象です。2024年3月31日までは努力義務ですが、2024年4月からは完全義務化されます。

介護の資格を取得していなくても、介護に関する基本の知識や技術・考え方を学んだ介護職員が対応するので、安心してください。

そのほか通所介護について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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