生活保護を受けていても老人ホームに入居することは出来ます。
特別養護老人ホーム(特養)やケアハウスなどの公的施設、生活保護の受け入れをしている民間の老人ホームは、生活保護を受けている方が入居出来る代表的な老人ホームです。
【ケアスル 介護 独自調査レポート 2025】によると、生活保護の方が最も入りやすい民間の老人ホームの種類は住宅型有料老人ホームであり、生活保護の受け入れ実績がある施設も他の種類に比べても多くあります。
生活保護の方が老人ホームに入居する際にかかる費用は実質0円になることが多く、それは元々の施設にかかる費用が生活保護の扶助内で収まっていたり、施設側が生活保護受給者の状況に合わせて調整を効かせたりすることで実現します。
【プロが解説】生活保護を受けていても入れる老人ホームはある?
生活保護を受けていても入れる老人ホームはあります。
特別養護老人ホーム(特養)やケアハウスなどの公的施設、生活保護の方の受け入れをしている民間の老人ホームは、生活保護を受けている方でも入居することができます。
民間の老人ホームの中では住宅型有料老人ホームの生活保護受け入れ施設数が多く、その理由として住宅型有料老人ホームの価格帯が他の施設種別に比べて安めに設定されていることが考えられます。
生活保護を受けていても入れる老人ホームについて、ケアスル 介護で4200件以上の相談実績を持つ相談員に解説してもらいました。

Q. 生活保護でも入れる老人ホームの種類はなんですか?

前北
大きく分けると、次の2つが入居対象になります。
-
特別養護老人ホーム(特養)、ケアハウスなどの公的施設
-
民間の老人ホーム(主に「住宅型有料老人ホーム」)
特養やケアハウスはもともと収入が低い方向けの減免制度が利用できるため、比較的入居しやすい施設になります。
また、民間でも生活保護の受け入れを行っている施設はありますが、その多くが住宅型有料老人ホームです。介護付き有料老人ホームは人員基準などが厳しく、生活保護費の範囲では運営が難しいため、受け入れが少ないのが実情です。
【ケアスル 介護 独自調査レポート 2025】によると、「介護付き」「住宅型」「サ高住」の3つの施設種別での生活保護の受け入れ状況は、住宅型の「受け入れ可」が30.86%と最も高く、介護付きの「受け入れ不可」が88.52%と最も高いということが分かっています。


Q. 生活保護でも入れる老人ホームの特徴はなんですか?

前北
特徴としては、次の2点が中心です。
- 住宅型有料老人ホームが多く、介護付きは少ない
- 相場より価格が安い施設が多い
◆特徴1:住宅型有料老人ホームが多く、介護付きは少ない
住宅型有料老人ホームは運営コストの調整がしやすいため、生活保護の扶助内でも受け入れやすいという特徴があります。
介護付き有料老人ホームは制度上の人員配置が重く、生活保護費の範囲では運営が難しいため、受け入れが少ない傾向があります。
◆特徴2:相場より価格が安い施設が多い
立地・建物の築年数・サービス内容の調整などにより、費用を抑えた料金設定の施設が多い傾向があります。
生活保護の扶助内で収まるよう料金を抑えているケースも一般的です。

Q. 生活保護でも入れる老人ホームの費用はどのくらいですか?

前北
生活保護の方は老人ホームでの自己負担が実質0円になることが多いです。
◆介護サービス費・医療費
介護扶助・医療扶助で全額カバーされ、自己負担は0円です。
◆家賃・食費・生活費
生活保護の扶助内で収まるよう施設が調整してくれるケースがほとんどです。
生活保護は、「家族の援助が難しい」という条件が前提の制度であり、扶助額を超える費用設定になると
-
家族の援助が必要
-
結果として生活保護資格の条件を満たさなくなる
といった問題が生じます。
そのため、施設側も扶助の範囲で生活できる料金設定を提示することが一般的です。
◆自費が発生する可能性がある項目
完全に0円ではない場合もあり、次のような雑費が自費になることがあります。
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理美容代
-
おむつ代(自治体により扱いが異なる)
-
日用品費
-
レクリエーション費 など
ただし、これらは月数百円〜数千円に収まることが多く、全体としては実質0円に近い負担額となります。

Q. 生活保護でも入れる老人ホームの探し方を教えてください。

前北
生活保護の方が老人ホームを探す際は、「ポータルサイトの活用」と「ケアマネジャー等の専門職への相談」の2つが最も重要です。
◆方法1:老人ホーム検索ポータルサイトを利用する
ポータルサイトの相談窓口では、
-
生活保護の受け入れ可否の確認
-
扶助内で収まる料金設定の施設の紹介
- 見学や体験入居の調整
-
手続きの流れの説明
などを代行してくれるため、効率的に候補を絞り込むことができます。
しかし、生活保護の受け入れ可の老人ホームは全体を見ても少ないため、必然的に選択肢は狭まります。安心できる老人ホームを見つけるためには、なるべく広範囲のエリアで探したり、築年数が古い老人ホームを許容したりと、費用以外の条件を緩和することが重要です。
◆方法2:ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
ケアマネ等の専門職は、地域で生活保護を受け入れている施設の状況を最も把握している立場です。
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過去の受け入れ実績
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本人の介護度に適した施設の選定
-
行政手続きの案内
など、実情に即したアドバイスを受けられます。
◆最終的には福祉課の承認が必要
生活保護で老人ホームに入居する場合、福祉課による費用確認と承認が必要なため、候補が固まった段階で相談しておくことが大切です。
ピッタリの施設を提案します
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Q. 生活保護を受け入れている老人ホームを選ぶ際の注意点はなんですか?

前北
生活保護で入居を考える場合、特に次の2点に注意が必要です。
◆注意点1:生活保護の方を受け入れる人数や部屋を限定している場合がある
多くの施設では、収益バランスの関係から「生活保護枠」を設定していることがあります。
-
日当たりが悪い部屋
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建物の中で設備面のクオリティが下がる部屋
などが生活保護枠として運用されているケースもあります。
◆注意点2:要介護1以上でないと入居が難しい
生活保護の受け入れは、収益面の理由から要介護1以上が事実上の条件になりやすい傾向があります。
-
要支援では受け入れがほぼ不可
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一般(自費)利用者より入居優先度が高くなることはない
-
満床時は順番が回ってきにくい
といった点も理解しておく必要があります。
【口コミ/体験談】生活保護を受けながら老人ホームに入居する方の本音とは?
生活保護を受けながら老人ホームに入居する方には、「料金的には満足」「生活保護を受け入れてくれる老人ホームには感謝」「追加料金がかかるのが心配」「将来生活保護に切り替わる予定だから探すのが大変」など、様々な悩みや思いを持つ方がいます。
生活保護でも安心して入居出来る老人ホームを見つけるには、自治体の福祉課やケアマネージャーなどの身近な相談相手に早めに相談し、老人ホーム探しのポータルサイトなどを活用して効率的に選択肢を絞っていくことが重要です。
【ケアスル 介護 独自調査レポート 2025】によると、ケアスル 介護にご相談頂いた方の中で、生活保護を「受給している」「受給を申請中」「受給を申請予定」と答えた方は全体の約6.8%であり、およそ15人に1人は生活保護を受給中/受給予定だということが分かりました。

生活保護を受けている・受ける予定の方が、実際に老人ホーム探しをしていた際の口コミをご紹介します。ぜひ参考にして下さい。
住宅型有料老人ホーム そらの苑に入居検討・女性
全ての介護ケアが入り、料金的には満足です。生活保護の枠で探しており、範囲内で賄えそうです。
ソレイユ暖暖に入居・女性
入居費用が無料なのは魅力的でした。
月額利用料が、トータル15万円程で年金支給内ではまかなえません。
しかし、上田市内で唯一の生活保護対応をしてくださる施設とあり、入居申込をする決め手となりました。
花物語みやまえ西に入居・女性
貯金が少しだった為、将来生活保護に切り替わる予定で、対応可能の施設を探すのに悩んだ。
シンシアホーム広畑を見学・男性
生活保護世帯なのですが、施設に支払ったら、経済的に(サービスを使うようになると)追加料金が発生したときに追加料金が発生するので、苦しい状態になるなぁ~と感じました。皆さんどうされてるんでしょうか?私の考えが甘かったのかな?
今回見学でき、お話も1回でしたが、いいお勉強になりました、有難うございました。
グループホーム FMC大利ホームに入居・女性)
生活保護を受ける前提なら許容範囲内だと思います。介護サービス料金は生活保護を受ける事が出来れば関係ないとの事。
高齢者ホームシニア松原の家に入居・女性
生活保護を受給しながらの入居ですが料金設定もわかりやすいです。
料金の範囲内で対応してもらってるのでありがたいです。
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【介護度別】生活保護でも入れる老人ホームの基本知識

レベル1:自立~要支援(1~2)の方におすすめの老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- ケアハウス
日常生活の多くは自立しており、訪問介護やデイサービスなどの外部サービスで対応可能なため、これらの施設が適しています。費用を比較的抑えることができ、生活保護との親和性も高い老人ホームの種類です。
しかし、自立~要支援で生活保護を受けている方はどの施設であっても入居できないケースが多いです。本当に施設への入居が必要かどうかをよく検討し、他の選択肢も考えておきましょう。
レベル2:軽~中程度の介護が必要な方(要介護1~2)におすすめの老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- (認知症があれば)グループホーム
- (条件によっては)介護付き有料老人ホーム
これらの老人ホームは、介護の必要性が高まっても比較的柔軟に対応できる老人ホームです。住宅型有料老人ホームは受け入れ実績がある施設も多いため、生活保護の方であっても検討がしやすい種類になります。
レベル3:中程度~やや重めの介護が必要な方(要介護2~3)におすすめの老人ホーム
- (認知症があれば)グループホーム
- 介護付き有料老人ホーム
- 介護老人保健施設(老健)
- 民間住宅型ホーム
これらの老人ホームは生活保護の方が検討できる種類の老人ホームですが、探す際には「生活保護の受け入れ可否」を慎重に確認する必要があります。介護サービスの内容や医療対応が可能かどうかの確認も非常に重要です。
レベル4:常時介護が必要な方(要介護3~5)におすすめの老人ホーム
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護医療院や介護老人保健施設(老健)などの介護医療に対応する施設
- 介護付き有料老人ホーム
公的施設である特別養護老人ホーム(特養)が第一候補です。また条件次第では介護医療院や介護老人保健施設(老健)などの介護医療に対応する施設も検討可能です。ただし、生活保護の受け入れ可否や空き状況によっては制限があるため注意が必要です。
まとめ|生活保護を受け入れている老人ホームを安心して探そう
生活保護を受けながらの老人ホーム探しは、「本当に入れる施設はあるのだろうか」「費用は大丈夫だろうか」と不安が多いものです。
しかし実際には、生活保護でも安心して入居できる選択肢は確実に存在します。
早めに専門職へ相談し、複数の選択肢を比較しながら進めることで、その方にとって最適な住まいがきっと見つかります。