親が要介護5と認定されると、「このまま在宅で介護を続けられるのか」と不安になる方は多いはずです。
結論からいうと、要介護5でも在宅介護は可能です。
ただし、続けられるかどうかは「介護環境」「介護者の状況」「本人の状況」の3つで決まります。
同居の主な介護者の63.1%は「ほとんど終日」介護をしている、という公的な調査結果もあります。
この記事では、要介護5の状態と在宅介護が難しいといわれる理由を整理し、3つの判断軸で「自分の場合」の答えを出せるようにしました。
在宅介護で使えるサービスや助成制度、要介護5で入れる施設の選び方もあわせて紹介します。
要介護5の在宅介護は無理?可能?
要介護5の在宅介護は、介護サービスと家族の支え手がそろえば可能です。
ただし、誰にとっても可能というわけではなく、次の3つの状況によって「続けられる家庭」と「難しい家庭」に分かれます。
- 判断軸1|介護環境:同居・近居・遠距離のどれか、兄弟など支え手がいるか、訪問サービスをどれだけ入れられるか
- 判断軸2|介護者の状況:介護する人の年齢、仕事や子育てがあるか
- 判断軸3|本人の状況:医療ケアが必要か、認知症があるか・どの程度か
要介護5の人のうち在宅や親族の家で介護を受けている人は44.1%で、全体の4割を超えています。
要介護5で在宅介護している人の割合
要介護5で在宅介護を受けている人の割合は44.1%です。
施設(介護施設・有料老人ホーム・病院)で介護を受けている人は54.9%で、在宅と施設の差は約11ポイントにとどまります。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(介護を行った場所・要介護度別)
在宅の内訳は、自分の家が29.4%、親や親族の家が14.7%です。
施設の内訳は、公的な介護施設が19.6%、民間の有料老人ホームなどが25.5%、病院が9.8%となっています。
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要介護5の在宅介護が無理か判断する軸とは
要介護5の在宅介護が無理かどうかは、「介護環境」「介護者の状況」「本人の状況」の3つの軸で判断します。
要介護度だけでは決まらず、同じ要介護5でも家庭の状況によって答えが変わります。
在宅介護を続けやすい家庭と難しい家庭の特徴は、3つの軸ごとに整理しました。
詳しくは「要介護5の在宅介護が可能・無理な人の特徴」で解説しています。
先に自分の家庭がどちらに近いかを確かめたい方は、そちらから読むと判断がつきやすくなります。
要介護5の状態とは?
要介護5は、介護保険の要介護度のなかで最も重い区分です。
寝返りや食事、排せつ、着替えなど日常生活のほぼすべてに介助が必要で、意思の疎通が難しくなっている人も多い状態です。
要介護5は、厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」で「要介護認定等基準時間」が110分以上とされています。
厚生労働省の集計では、要介護5の人の8割以上に、次のような日常生活の動作で何らかの低下が見られます。
出典:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」(要介護状態区分別の状態像・平成26年度の認定データの集計)
寝返りや座った姿勢を自分で保つことが難しく、1日の多くをベッドの上で過ごす人も少なくありません。
自分の希望や体の不調を言葉で伝えにくくなるため、家族が表情や様子から読み取る場面も増えます。
※要介護度ごとの状態像に公式の定義はなく、上の表は認定データの集計結果です。
動作の低下に合わせて、要介護5の人が毎日受ける必要があるケアは次のとおりです。
要介護5のケアは昼間に集中するわけではありません。
排せつの介助や体位の変換は夜中にも必要になるため、1日を通して誰かが介助できる体制が求められます。

要介護5の在宅介護が無理といわれる理由
要介護5の在宅介護が無理といわれる理由は、介護が1日中・夜間にも及び、介護者の心身の負担が大きくなりやすいためです。
- 必要なケアが多く、介護者が休めない:ほぼすべての動作に介助が要り、同居の主な介護者の63.1%が「ほとんど終日」介護をしている
- 続けるほどリスクが高まる:介護者の体調悪化、仕事との両立の難しさ、老老介護での共倒れが起こりうる
要介護5で必要なケアと介護者の負担とは
ケアスル 介護の独自調査では、在宅介護で大変だと思うことの1位は「精神的な負担」70.4%、2位は「身体的な負担」66.1%でした。
要介護5の在宅介護では、心と体の両方の負担がさらに重くなります。

体を使う介助が中心の在宅介護でも、精神的な負担を挙げた人は身体的な負担を挙げた人より多くなりました。
介護の大変さは、体の疲れだけでなく「休めない」「判断を背負う」といった心の負担として表れやすいといえます。
要介護5では、上位3つの負担がそれぞれ次の理由で重くなります。
出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」(要介護度別にみた同居の主な介護者の介護時間)、厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」
独自調査は要介護度を問わない在宅介護の経験者への調査で、要介護5に限った結果ではありません。
介護時間が最も長い要介護5では、表のとおり負担が重なりやすいと考えておくほうが安全です。
要介護5の在宅介護を続けるリスク
要介護5の在宅介護を無理に続けると、介護者の体調悪化・仕事との両立の難しさ・老老介護での共倒れという3つのリスクが高まります。
出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」(「要介護者等」と「同居の主な介護者」の年齢組合せ)
3つのリスクは、介護者に休む時間がないまま介護が長引くほど高まります。
ショートステイや訪問サービスで介護者が休む時間をあらかじめ確保しておくと、リスクを下げられます。
要介護5の在宅介護が可能・無理な人の特徴
要介護5の在宅介護を続けられるかどうかは、3つの判断軸のうち、いくつの条件がそろっているかでおおよそ見えてきます。
- 続けられる人:同居または近居で、介護を分担できる家族がいて、訪問サービスを十分に入れられる
- 難しい人:介護者が一人きり、高齢、仕事や子育てと重なっている、本人に医療ケアや重い認知症がある
- 簡単診断:3つの判断軸に沿って、自分の家庭がどちらに近いかを確かめられる
要介護5で在宅介護が続けられる人
要介護5で在宅介護を続けやすいのは、介護を一人で抱えず、家族とサービスで役割を分けられる家庭です。
ケアスル 介護の独自調査で在宅介護を選んだ理由を聞きました(在宅介護中の方 n=160・複数回答)。
最も多い回答は「本人が希望したから」の52.5%です。
本人の希望をかなえたい気持ちがあっても、支え手とサービスがそろわない状態で始めると、介護者に負担が集中します。
要介護5で在宅介護が難しい人
要介護5で在宅介護が難しいのは、介護を担える人が一人しかいない、または介護者自身に余裕がない家庭です。
難しい状況に当てはまる項目が多い場合でも、すぐに施設を選ぶ必要はありません。
ショートステイで介護者が休む日をつくる、訪問看護を増やすなど、サービスの組み方で続けられる期間が変わります。
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【簡単診断】あなたは要介護5の在宅介護無理?可能?
3つの判断軸に沿った質問に答えると、要介護5の在宅介護を続けられるかの目安がわかります。
要介護5の在宅介護・施設介護のメリットデメリット
要介護5の在宅介護と施設入居は、「本人の希望」と「家族の負担」のどちらを優先するかでメリットが変わります。
- 在宅介護:住み慣れた家で過ごせて費用を抑えやすい一方、家族の負担が大きい
- 施設入居:24時間の介護を任せられる一方、費用が高くなりやすく、空きを待つ場合がある
生命保険文化センターの調査では、介護費用の月額平均は在宅で5.3万円、施設で13.8万円です(要介護度を問わない全体の平均)。
在宅介護のメリット・デメリット
在宅介護の最大のメリットは、本人が住み慣れた家で家族と過ごし続けられることです。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
在宅介護の費用は、介護保険サービスの自己負担に加え、おむつ代などの日用品や住宅改修の費用もかかります。
使うサービスを増やすほど自己負担は上がるため、ケアマネジャーと月の予算を決めてからケアプランを組みましょう。
施設入居のメリット・デメリット
施設入居の最大のメリットは、24時間の介護を専門職に任せ、家族が休めるようになることです。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
施設に預けることに罪悪感を持つ家族もいます。
ただ、介護者が倒れてしまえば、本人の生活も続けられなくなります。
入居を決める前に施設を見学し、職員の対応や本人の過ごし方を実際に確かめておくと、判断に納得しやすくなります。

要介護5の在宅介護で使えるサービス
要介護5の在宅介護で使える介護保険サービスは、訪問・通所・泊まり・複合型・福祉用具と住宅改修の5種類に分けられます。
- 訪問サービス:訪問介護、訪問看護、訪問入浴など、在宅に専門職が来る
- 通所サービス:デイサービスやデイケアに日中通う
- 泊まりのサービス:ショートステイで数日〜数週間、施設に泊まる
- 通い・訪問・泊まりが1か所:小規模多機能型居宅介護など、同じ事業所で3つを組み合わせる
- 福祉用具と住宅改修:介護ベッドのレンタルや手すりの設置
要介護5の区分支給限度基準額は1か月36,217単位で、要介護度のなかで最も多くのサービスを組み合わせられます。
ただし、限度額いっぱいまで使っても、1日中必要な介護をすべてサービスでまかなえるわけではありません。
サービスを組み合わせた場合の例を、基本の単位数で試算すると次のとおりです。
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和6年4月改定)」、厚生労働省告示「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額」
この組み合わせでサービスが入るのは、週3日の日中7〜8時間と、残りの日の1時間ほどです。
夜間の排せつ介助や、サービスが入らない時間帯の見守りは家族が担うことになります。
夜間の負担を減らしたい場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護やショートステイの組み合わせを検討しましょう。
※単位数は加算を含まない基本部分で、1単位あたりの金額は地域やサービスによって異なります。
※単位数は執筆時点(2026年10月)の情報です。
訪問サービス
訪問サービスは、介護職員や看護師が在宅に来て、介助や医療ケアを行うサービスです。
要介護5では、排せつや入浴、医療ケアの負担を家族から切り離すために、訪問サービスが在宅介護の中心になります。
夜間の排せつ介助が負担になっている場合は、夜間も訪問できる「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を検討する価値があります。
ただし、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は事業所がない地域もあるため、ケアマネジャーに使えるかを確認しましょう。
通所サービス
通所サービスは、本人が日中に施設へ通い、入浴や食事、機能訓練を受けるサービスです。
本人が通っている時間は、家族が仕事や休息にあてられます。
寝たきりの状態でも、車いすやストレッチャーでの送迎に対応している事業所なら通えます。
事業所ごとに受け入れられる医療ケアが違うため、見学の際に本人の状態を伝えて確認しておきましょう。
泊まりのサービス
泊まりのサービスは、本人が施設に短期間泊まり、家族がまとまって休めるサービスです。
冠婚葬祭や出張のほか、介護者の休息のために使うこともできます。
ショートステイは地域によって予約が取りにくく、直前の申し込みでは空きがないことがあります。
介護者が休む日をあらかじめ決め、定期的に予約を入れておくと使いやすくなります。
通い・訪問・泊まりが1箇所
通い・訪問・泊まりを1か所で受けられるのが、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護です。
同じ事業所の職員が3つのサービスを担うため、本人が顔なじみの職員から介護を受けられます。
小規模多機能型居宅介護を使うと、訪問介護やデイサービスなど一部のサービスは別の事業所と併用できなくなります。
担当のケアマネジャーも事業所のケアマネジャーに変わるため、切り替える前に今のサービスと比べて検討しましょう。
福祉用具と住宅改修
福祉用具と住宅改修は、介護ベッドや手すりで、介助する家族の体への負担を減らすためのサービスです。
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム|特定福祉用具販売」、厚生労働省「介護保険における住宅改修」
特定福祉用具販売と住宅改修は、上限額のうち自己負担割合(1〜3割)を除いた分が介護保険から支給されます。
住宅改修は工事の前に市区町村への申請が必要なため、先に工事をしないよう注意しましょう。
要介護5のサービスの組み合わせ方や月額の料金は、次の記事でケアプラン例とあわせて紹介しています。

要介護5の在宅介護で使える助成制度
要介護5の在宅介護で使える助成制度は、介護費用の負担を抑える制度と、働く家族の収入を支える制度の2つに分けられます。
- 高額介護サービス費:1か月の介護サービスの自己負担が上限を超えた分が戻る
- 高額医療・高額介護合算療養費制度:医療と介護の自己負担を合わせて、年間の上限を超えた分が戻る
- 介護休業給付金:介護休業を取った家族に、休業前の賃金の67%が支給される
- 自治体独自の支援:紙おむつの支給や家族介護慰労金など、市区町村ごとに内容が異なる
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム|サービスにかかる利用料」、厚生労働省「介護休業給付について」
※高額介護サービス費の上限額は執筆時点(2026年9月)の情報です。
介護休業給付金は職場への復帰を前提とした制度のため、休業の開始時点で退職を予定している場合は対象になりません。
自治体独自の支援は申請しないと受けられないものが多いため、地域包括支援センターで使える制度をまとめて確認しておきましょう。
仕事と介護の両立で使える休業・休暇の制度は、次の記事で詳しく解説しています。

要介護5で入れる施設
要介護5で入れる主な施設は、特養・介護付き有料老人ホーム・グループホーム・介護型ケアハウスの4つです。
本人の状態や予算によって、向いている施設が変わります。
- 特養:費用を抑えたい人向け。原則要介護3以上が対象で、要介護5は入居の対象になる
- 介護付き有料老人ホーム:すぐに入居したい人、手厚い介護を受けたい人向け
- グループホーム:認知症の診断を受けている人向け
- 介護型ケアハウス:費用を抑えつつ、民間施設に近い介護を受けたい人向け
たんの吸引や経管栄養など医療ケアが多い場合は、介護医療院や、看護職員が24時間いる施設も選択肢になります。
特養
特養(特別養護老人ホーム)は、原則要介護3以上の人が入居できる公的な介護施設で、要介護5の人は入居の対象になります。
民間の施設に比べて費用を抑えやすい点が特徴です。
出典:厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」
特養は地域によって入居を待つ人が多く、すぐに入れないことがあります。
特養を第一希望にする場合も、民間の施設を並行して探しておくと、入居の時期を読みやすくなります。

介護付き
介護付き有料老人ホームは、施設の介護職員から24時間の介護を受けられる民間の施設です。
空きがあれば短い期間で入居できるため、在宅介護が限界に近い家庭の受け皿になります。
介護付き有料老人ホームでも、たんの吸引などの医療ケアに対応できる範囲は施設によって違います。
入居前に、本人に必要な医療ケアを受け入れてもらえるかを必ず確認しましょう。
本人の状態に合う施設を短期間で探したい場合は、施設探しの専門家に条件を伝えると候補を絞り込めます。
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グループホーム
グループホームは、認知症の診断を受けた人が、5〜9人の少人数で共同生活を送る施設です。
住民票のある市区町村の施設に入居するのが原則になります。
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム|認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」
グループホームは看護職員の配置が義務ではないため、医療ケアが多くなると住み続けられない場合があります。
要介護5で入居する場合は、医療機関との連携や看取りへの対応を事前に確認しておきましょう。

介護型ケアハウス
介護型ケアハウスは、介護保険の「特定施設」の指定を受け、施設の職員から介護を受けられる軽費老人ホームです。
自治体の助成があるため、民間の有料老人ホームより費用を抑えやすくなります。
介護型ケアハウスは施設数が少なく、地域によっては空きを見つけにくいことがあります。
要介護5で入れる施設の比べ方や入居前に確認したい点は、次の記事で紹介しています。

まとめ
要介護5の在宅介護は無理とは限りません。
「介護環境」「介護者の状況」「本人の状況」の3つの軸で、自分の家庭に支え手とサービスがそろうかを確かめることが判断の出発点です。
- 要介護5で在宅介護を受けている人は44.1%、施設は54.9%
- 同居の主な介護者の63.1%が「ほとんど終日」介護をしている
- 在宅を続けるなら、訪問・通所・泊まりのサービスと助成制度を組み合わせる
- 支え手が足りない場合は、特養や介護付き有料老人ホームなどへの入居を早めに検討する
在宅介護を続けるか施設に入居するか迷ったときは、一人で決めずに介護の専門家へ相談してみてください。
ケアスル 介護では、本人の状態や予算に合う施設探しを無料でサポートしています。
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