国民年金で入れる老人ホームはあります。特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、自立型ケアハウスなどの、国や自治体が運営している公的施設が代表的です。
【ケアスル 介護 独自調査レポート 2025】によると、国民年金の平均受給額である約5万8,000円のみで入居出来る民間の施設は約1.4%しかありません。そのため、ほとんどの場合貯蓄や生活保護などの補助制度を利用することによって費用を賄う必要があります。
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【ケアスル 介護 独自調査レポート 2025】によると、国民年金(平均受給額5万8000円)のみで入れる民間施設は全体の約1.4%しか存在せず、ほとんどの場合貯蓄や公的な助成制度を利用することによって賄う必要があることが分かりました。

また民間施設の中で住宅型有料老人ホームは費用が安い傾向があります。同調査によると生保受給者・受給予定者および月額予算が15万円以下の人が入居した老人ホームの種類のうち、住宅型有料老人ホームは約半分を占めていることが分かっています。民間施設を検討しなければならないという状況になってしまった際にはぜひ参考にしてみてください。

国民年金で入れる老人ホームの種類は?
国民年金で入れる代表的な老人ホームには、公的施設である特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、自立型ケアハウスの4種類があります。
特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上の在宅での生活が困難な高齢者に対して日常生活全般のサービスを提供する老人ホームです。介護老人保健施設(老健)は病状が安定した高齢者の方の在宅復帰を目指すことを目的とした施設です。介護医療院は、急性期(病気になり始めた時期)の治療を終えたものの寝たきりなどで在宅介護が難しい要介護者向けの老人ホームです。ケアハウスは自立型と介護型の2つのタイプがあり、日常生活のサポートを行うことを目的とした施設です。
国民年金で入れる老人ホーム①:特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)は、原則要介護3以上の認定を受けている方を対象に、介護サービスや生活支援サービスを提供する施設です。
特別養護老人ホーム(特養)は、入居一時金がかからず、月額費用は5~15万円が相場となっている比較的費用の安い施設です。特別養護老人ホーム(特養)には、ユニット型と多床室型がありますが、ユニット型は多床室型よりも費用が高い傾向にあるため、国民年金で特別養護老人ホーム(特養)に入るには、まず多床室型への入居を優先的に検討することがポイントです。
また、公的な施設であるため所得によって段階的に費用が定められていますが、主に第1段階~第2段階の方でないと国民年金だけで費用を賄うのは難しいということに注意が必要です。
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国民年金で入れる老人ホーム②:介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)には、要介護1以上の認定を受けている方の在宅復帰を目指すことを目的とし、生活援助や医療ケアなどのサービスを提供している施設です。

介護老人保健施設(老健)は、入居一時金が発生せず、月額費用は8~14万円が相場となっています。
介護老人保健施設(老健)も公的な施設であるため、特別養護老人ホーム(特養)と同じく、国民年金だけで入居するには、多床室型への入居を検討すること、所得による段階が第1段階~第2段階に該当することが条件になると言えるでしょう。
国民年金で入れる老人ホーム③:介護医療院

介護医療院は、要介護1以上の認定を受けている方に対して、医療ケアやリハビリなど長期療養のためのサービスを提供する施設です。
また、介護医療院も入居一時金はかからず、月額費用は9~17万円となっています。
同じく、ユニット型ではなく多床室タイプに入る方が費用を抑えることができますが、介護医療院の場合は、第1段階の人以外はほとんど厳しいと言えるため、先の2施設よりも費用の条件がやや厳しいと考えておきましょう。
国民年金で入れる老人ホーム④:自立型ケアハウス

ケアハウスとは、家庭環境や経済状況などが原因で自立して生活することが難しい高齢者を対象にした介護施設です。
ケアハウスには自立型と介護型の2つのタイプがあり、介護サービスの提供がないケアハウスが自立型、介護サービスの提供があるケアハウスが介護型です。このうち自立型の方が費用を抑えることができます。
自立型のケアハウスは入居一時金が0~30万円、月額費用が7~13万円が相場となっており、上記3施設とは異なり入居一時金がかかる場合があることに注意です。
また介護が必要になった際には自立型のケアハウスには入居できなくなる場合があるため、体の状況と相談しながら検討することが必要です。
国民年金で入れる老人ホームが無い時の対処法
国民年金で入れる老人ホームが無かった場合は、以下の対策を検討しましょう。
- 生活保護を受給する
- 生活福祉資金(長期生活支援資金)で融資してもらう
- 所有している資産の活用
- 親族からの資金援助に頼る
- 在宅介護を続ける
1.生活保護を受給する
国民年金で入れる老人ホームが無い場合は生活保護の受給を検討しましょう。
【ケアスル 介護 独自調査レポート 2025】によると、ケアスル 介護への相談者のうち約6.8%(15人に1人)の人は生活保護を受給中または受給予定であり、助成制度を利用することで入居の選択肢を広げています。

生活保護を受給すると、扶助額を超えた場合を除いて、老人ホームに支払う家賃や食費、介護サービス費用の自己負担額、介護保険料の自己負担額は0円です。老人ホームによっては、生活保護受給者向けのプランを用意しているところもあるため、民間施設でもほぼ0円で入れるケースもあります。
【ケアスル 介護 独自調査レポート 2025】によると、代表的な民間施設である「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」において、最も生活保護の受け入れ可能な施設が多い種別は「住宅型有料老人ホーム」であることが分かっています。逆に、「介護付き有料老人ホーム」はスタッフの人件費や運営コスト、審査基準の高さなどの理由から、受け入れ不可の施設が多いと考えられます。

2.生活福祉資金(長期生活支援資金)で融資してもらう
生活福祉資金(長期生活支援資金)とは、低所得の高齢者世帯のうち一定の居住資産を有し、将来にわたってその住居に住み続けることを希望している場合に、当該不動産を担保として生活資金の貸し付けを受けることができる制度です。
(参考:厚生労働省「生活福祉資金(長期生活支援資金)の概要について」)
貸付対象としては、
- 借入申込者が単独で所有(同居の配偶者との共有を含む。)する不動産に居住していること。
- 不動産に賃借権、抵当権等が設定されていないこと。
- 配偶者又は親以外の同居人がいないこと。
- 世帯の構成員が原則として65歳以上であること。
- 借入世帯が市町村民税の非課税世帯程度の世帯であること。
などがあります。
費用の軽減制度や費用の安い老人ホームが見つからない場合は、融資してもらうことによって老人ホームへの入居を検討するのも一つの選択肢です。
3.所有している資産の活用
国民年金で入れる老人ホームが無い場合は、現在所有している土地や建物などの不動産を売却などで現金化する方法があります。
具体的にはリバースモーゲージやマイホーム借り上げ制度があります。
リバースモーゲージとは、所有している自宅を担保にして金融機関から融資を受けることができるサービスです。住宅を担保にしているので、本人が死亡した後に自宅を売却することによって融資を返済する仕組みとなっています。今は自宅を手放したくないという方に向いている現金化の方法です。
マイホーム借り上げ制度とは、一般社団法人移住・住み替え支援機構(JTI)が運営している制度で50歳以上シニア世代が自宅を貸し出すシステムです。通常の賃貸とは違ってJTIが借り上げて一般の人に転貸するという仕組みになっているので、終身に渡って貸し出すことができます。
共に、不動産を活用して資金を現金化する方法ですが他にも売却などの様々な方法が考えられるので費用が足りない場合は保有資産を活用することによって費用を賄いましょう。
4.親族からの資金援助に頼る

国民年金で入れる老人ホームが無い場合は親族からの資金援助が可能かどうか確認しましょう。
やはり費用が無いかつ在宅介護が難しいというケースは、親族に資金援助を頼んで費用を工面するしかありません。たとえば、子どもがいる場合は主に介護をしている人以外の子どもが費用を多めに援助するなどしてバランスを保つのが一般的です。
したがって、国民年金の収入だけで入所できる老人ホームが無い場合は、親族からの資金援助をお願いしてみましょう。
5.在宅介護を続ける

国民年金で入れる老人ホームが無い場合は、在宅介護を続ける方法を考えましょう。
在宅介護をしている人の中には「在宅介護ができないから施設に入れようと思っているのに」と考える方も少なくないと思いますが、要介護度が上がっていくたびに運動機能が低下していくので寝たきりの状態などになります。
したがって、身体的負担が原因で介護ができないと考えている場合は寝たきりになって介護が楽になったという場合も少なくありません。例えば認知症で徘徊が多い場合も同様に、身体機能の衰えで徘徊はなくなっていくのです。
したがって、収入が国民年金だけで入れる老人ホームが無い場合は在宅介護を続けられるかどうかをケアマネージャーに相談するなどしっかり検討したうえで方針を決めましょう。
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国民年金で入れる老人ホームの探し方
特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、介護医療院、ケアハウスなどの公的施設に入居したい場合は、以下の流れで市区町村の自治体の担当窓口や地域包括支援センターなどに相談をしましょう。
- 市区町村の担当窓口や地域包括支援センターに相談する
- 介護度などの入居条件を確認する
- 条件に合う施設を探す
- 自治体窓口で申込み・空室状況を確認する
- 入居待ちの間は低価格帯の民間施設も並行して検討する
公的施設は価格の安さから人気が高いため入居待ちが長期化しやすい傾向にあります。まずは早い段階から状況にあった公的施設を検討し、空室がないもしくは条件が合わない場合は民間施設の検討に切り替えて施設探しを進めると良いでしょう。
国民年金で入れる老人ホームのまとめ
やはり国民年金で入れる老人ホームでは、市区町村民税非課税世帯である必要があるなど、かなりの制約があることが分かったと思います。しかし、特別養護老人ホームなどの公的施設には絶対に入所できないというわけではありません。
また、介護保険料の減免制度や「高額介護サービス費」などの減免制度についても紹介してきました。
それでも難しいという場合は、親族の資金援助を頼ったり、在宅介護を続けるなど様々な選択肢を考えながら介護と向き合っていきましょう。
国民年金で入れる老人ホームは存在します。2023年度の国民年金の受給額は57,718円となっていますが、それを下回る金額で生活資金をやり繰りできる施設があります。(出典:令和5年度 年金受給者実態統計(年金統計), 算出方法:受給者総数/総支給額から算出)
詳しくはこちらをご覧ください。
国民年金額の収入内で加入できる可能性のある老人ホームの種類は以下の4種類です。
①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) ②介護老人保健施設 ③介護医療院 ④自立型ケアハウス
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