療養型病院の対応はひどい? 不満の声が上がる原因や実際の体験談まで詳しく解説

療養型病院の対応はひどい? 不満の声が上がる原因や実際の体験談まで詳しく解説

療養型病院とは、長期の療養を必要としている要介護者に医療・介護サービスを提供する施設です。

療養型病院のほとんどは医療法人によって運営されているため、医療体制が充実していることが大きな特徴となっています。

他の施設と比べても看護師の配置人数が多かったり、インスリン投与や経管栄養、たん吸引などの医療処置にも対応しているため、日常的な医療ケアを必要とする方も安心の環境と言えるでしょう。

しかし、ネット上には「療養型病院の対応はひどい」「入所してみて後悔した」などの意見も少なからず見受けられます。

「どうして療養型病院の対応はひどいと言われるの?」

「ネットではひどいと言われているけど、実際のところ安心できる環境なの?」

そんな疑問をお持ちの方々のために、今回は療養型病院がひどいと言われる理由や、実際の体験談、療養型病院以外に医療ケアを受けられる施設まで詳しく解説して行きます。

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徳島赤十字病院
監修郷 正憲
所有資格:日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT
専門分野:麻酔科、精神科(心療内科)、 脳神経外科、整形外科,、総合内科、口腔外科など

香川大学医学部医学科を卒業後、同年4月より徳島赤十字病院で研修、2013年より正式に従事する。 専門分野は麻酔科をはじめ、精神科(心療内科)、 脳神経外科、整形外科,、総合内科、口腔外科など多岐にわたる。 著書に「看護師と研修医のための全身管理の本」(2022)などがある。詳しくはこちら

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療養型病院がひどいと言われる原因

療養型病院がひどいと言われる理由はさまざまですが、主に以下の4点が挙げられます。

  • 求めている医療ケア・介護受けられないから
  • 施設の設備に不満があるから
  • 身体拘束を行う施設があるから
  • 症状によって退居を促されるから

それぞれについて詳しく解説して行きます。

求めている医療ケア・介護受けられないから

療養型病院がひどいと言われる原因の1つ目は、家族が求めている医療ケア・介護が受けられない場合があることです。

療養型病院ではパーキンソン病や末期がんなどの重度の医療行為にも対応していますが、その一方で「日常のサポートはずさん」という声も見受けられます。

例えば入居者のシーツやおむつの交換の時間が決まっており、それ以外の時間では職員が対応してくれないとケースもあるようです。

これには介護度が高い入所者が必要なケアに対し、職員の数が不足していることが原因として挙げられます

リハビリや必要不可欠な医療ケアはきちんと行ってくれますが、その他の部分までのきめ細かな対応は難しい場合あると言えるでしょう。

残念ながら高齢化に伴って高齢者の割合が増えているなか、介護や医療に関わる担い手が人材不足があることは事実です。

もちろん実情は施設によって異なりますが、入所者や家族が期待していたサービスを受けられなかった場合、それが直接苦情や不満という形になって表れてしまうのも無理はないでしょう。

以上のことから療養型病院がひどいと言われる原因の1つ目は、自治体や担当職員によって対応の質が異なることが挙げられます。

施設の設備に不満があるから

療養型病院がひどいと言われる原因の2つ目は、施設の設備に不満を持たれることです。

というのも「療養型病院」という名前のとおり、居室はほとんどの場合で病院のような相部屋となっています。

したがって一般的な有料老人ホームなどのような個室と比べると、どうしてもプライバシー面では劣ります。

また治療の内容によっては自由に施設内を歩けない場合もあり、自宅のような生活を望むことは難しいと言えるでしょう。

もちろん職員に悪意があって入所者の行動を制限しているわけではないのですが、家族からは「本人が可哀そう」という声も上がってきます。

以上のことから療養型病院がひどいと言われる原因の2つ目として、施設の設備に不満を持たれることが挙げられます。

身体拘束を行う施設があるから

療養型病院がひどいと言われる原因の3つ目は、身体拘束を行う施設があることです。

身体拘束とは入所者の治療や安全のために、手足を拘束したりベッドに縛ったりする処置を指します。

身体拘束は認知症が進行している方などが、自ら点滴や医療器具などを外してしまうことを防ぐことを目的に行われています。

しかし治療のためと言えど、本人の手足を縛り身体の自由を奪うことは「非人道的でひどすぎる」と大きな問題になっているのです。

平成12年度に介護保険制度が導入されると同時に、療養型病院での身体拘束は原則として禁止となりましたが、実際のところ身体拘束は完全撤廃には至っていません。

認知症の方に適切な形で医療行為を届ける手段がほかにないことや、拘束をせずに24時間入所を監視することは不可能であるためです。

厚労省は身体拘束の廃止に向けて拘束を行った施設の減算などの取り組みをしていますが、身体拘束の完全撤廃はまだ難しいと言えるでしょう。

以上より治療のためにやむを得ないと言えど、場合によっては身体拘束を行うケースがあることが、療養型病院はひどいと言われる原因のひとつになっています。

症状によって退居を促されるから

療養型病院がひどいと言われる原因の4つ目は、症状によって退居を促されることです。

というのも療養型病院は、急性期を過ぎた寝たきりの入所者などに医学的管理を行うことを目的としています。

したがって、症状が改善し集中的な療養が必要ないと判断された場合は、退所を促されます。

しかし家族の目線の気持ちとしては「本人はまだ健康ではなさそうなのに」「在宅介護なんてできないのに退居しないといけないなんて」といった思いがあることも事実です。

医学的管理で安心が確保されていた施設から見放されたような気分になってしまうことが、療養型病院がひどいと言われる原因のひとつとなっています。

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療養型病院にひどい対応を受けた体験談

本章では、療養型病院でひどい対応をされたという体験談を紹介していきます。

もちろん全ての施設に該当するわけではありませんが、実際に利用者が不満に感じたことについて解説します

体験談①:本人の身体状況が悪化したにも関わらず、元々の持病のせいにされたという体験談

医者は自分の治療方針には非がなかった。身体状況の悪化はもともと持病のせいだと説明されたという体験談です。

療養型の病院は呼吸器専門にも関わらず総合病院で毎日欠かさずやっていた痰を出しやすくする薬の吸入を止めてしまい転院後わずか1週間後の大みそかに父は呼吸停止。
看護師が気付いたときにはわずかに脈があったのですぐに人工呼吸器を装着されたそうですが脳にダメージを受けたのか父は寝たきりになりました。
それにもかかわらず医師は簡単な検査をして診断した結果が脳や肺は入院当初と変わらない状態なので今のように体が動かないのはパーキンソンのせいだと診断結果を伝えてきました。
そして今度はひどいことにその担当医は全身状態は入院時よりいい状態だと言いました。そして元いた総合病院に送られてすぐ検査した結果MRSAの反応が出て脳も療養型病院へ転院時よりもかなりひどいダメージを受けているようだと主治医から説明がありました。
(yahoo知恵袋より引用)
担当医には異なる意図があって薬の服用を止めたのかもしれませんが、結果的に本人の体調は悪化してしまいました。
療養型病院の医師と総合病院の医師の診察に、大きな差があるのかと思わざるをえなかったという体験談でした。

体験談②:本人はリハビリを求めているのに、ほとんど行ってくれないという体験談

療養型病院に移ったあとに満足のいくリハビリを受けられず、不満が募っているという体験談です。

父が療養型の病院に入院しています。気管切開、胃瘻、透析をしています。大きな大学病院にいたときは、色々とリハビリなども行なってくれ(立つ練習や、座る練習など)、車椅子に座れる程まで回復しましたが、今の病院に移ってからはほとんどリハビリを行なってくれません。大学病院にいるときは、話をしてくれたり、字も少しは読めていたのですが、今はぼーっとしていることが多くなり、字も読めなくなりました。
本人は早く自宅に帰りたいらしく、「家に帰りたいと」言います。胃瘻も、咀嚼のリハビリをすれば取れますと、先生はおっしゃってくださいましたが、全くリハビリをしてくれる気配がありません。
このような状態でいると、だんだん寝たきりになってしまうのではと、心配です。
(yahoo知恵袋より引用)

家族はリハビリを専門的に行っている病院へ移ることを検討していますが、なかなか空きが無く悩んでしまっています。
病院側の怠慢であるかは定かではありませんが、求めているほどのリハビリを受けられず、家族が心配を抱えてしまうといった体験談でした。

体験談③:対処法が身体拘束しかないと言われ、本人が可哀そうという体験談

親戚のおじが認知症がひどく進行しておりコミュニケーションが全く困難、他人からの指示や介助には叫び声を出し暴力をふるうことも多い、辛うじて立てるが転倒する可能性が高い状況でもうすぐ病院から退院します。
諸事情で、身寄りがなくなってしまい、私が保護者(?)のような状態ですが、家で働き手は私しかおらず、私は夜勤頻繁の交代勤務の仕事をしている為、継続的な介護がほぼ無理です。
そう言う状況なので、退院後の受入をお願いできる施設を探してみたのですが、療養型病棟や精神病院でも「身体拘束が必要になる」という結果になり、行き先がありません。おじは病院で身体拘束 or 薬漬けにされて、完全に四肢が拘縮して全く動けなくさせられて、その後、特養とかショートステイしかもう運命はないのでしょうか?
(welより引用)
認知症が進行によって治療のためには身体拘束が必要なのは分かっていても、本人の気持ちを考えると療養型病院の利用を悩んでしまうでしょう。
重度の認知症にも対応しているグループホームなどを探すという手段もありますが、施設探しが大変になってしまうのは事実です。
療養型病院の身体拘束がどうしても受け入れがたいという体験談でした。
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療養型病院は本当にひどい?メリットも紹介

ここまでは療養型病院が「ひどい」と言われることについて解説してきました。

しかし、もちろん療養型病院はデメリットばかりではなく、メリットも存在します。

本章では療養型病院のメリットに絞って解説して行きます。

具体的には以下の3つです。

  • 入居一時金がなく比較的料金が安価
  • 重度の医療ケアにも対応している
  • 容体が悪化しても一般病棟への移動ができる

それぞれについて詳しく解説して行きます。

入居一時金がなく料金が比較的安価

療養型病院のメリットとして1つ目に紹介するのは、入居一時金がなく比較的料金が安価であることです。

具体的な料金は入所者の介護度によっても異なりますが、月額費用はおよそ7~13万円ほどが目安となります。

民間で医療ケアが充実している施設と知られる介護付き有料老人ホームの月額費用は、およそ15~30万円とされていることから金銭的なメリットがよく分かるでしょう。

また一般的な有料老人ホームの場合は初期費用として高額な入居一時金が発生することがありますが、療養型病院では入居一時金は設けていないため、初期費用は0円で入所することができます。

どうしてここまで安価な料金で利用できるのかと言うと、療養型病院は国や自治体が協賛して運営している公的な施設であるからです。

必要な費用の一部は国や自治体からの補助金によって賄われているからこそ、低価格な料金でありながら重度の医療・介護が必要な人も適切なケアを受けながら生活できる環境が構築されています。

以上より療養型病院のメリットとして、入居一時金がなく料金が比較的安価であることが挙げられます。

重度の医療ケアにも対応している

療養型病院のメリットとして2つ目に紹介するのは、重度の医療ケアにも対応していることです。

療養型病院のほとんどは医療法人によって運営されているため、医療体制が充実していることが大きな特徴となっています。

他の施設と比べても看護師の配置人数が多かったり、インスリン投与や経管栄養、たん吸引などの医療処置にも対応しているため、日常的な医療ケアを必要とする方も安心の環境と言えるでしょう。

また理学療法士などの専門のスタッフによるリハビリテーションが受けられたり、重度の認知症の方の入所も可能な点も魅力のひとつと言えます。

一般的な介護施設・老人ホームよりもかなり病院に近い環境で、日常的かつ専門的な医療ケアが受けられることは大きなメリットとして挙げられるでしょう。

容体が悪化しても一般病棟への移動ができる

療養型病院のメリットとして3つ目に紹介するのは、容体が悪化しても一般病棟への移動ができることです。

というのも前述のとおり、療養型病院は医療法人によって運営されていることが多くあります。

そのため施設が病院に併設されている場合も多く、入所者の容態が悪化した場合はスムーズに一般病棟へと移動することができるのです。

寝たきりや医療依存度が高い方にも対応できる環境であることに加えて、もしもの際にも迅速・的確な対応が受けられることはメリットのひとつとして挙げられるでしょう。

また療養型病院をはじめ、重度の医療ケアに対応した介護施設をお探しの方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、入居相談員が施設ごとに実施するサービスや立地情報などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。

「身体状況に最適なサービスを受けながら、安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。

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療養型病院以外に医療ケアを受けられる介護施設

ここまでは療養型病院について解説してきました。

本章では施設選びにお困りの方々のため、療養型病院以外にも医療ケアを受けられる介護施設を紹介していきます。

  • 老健(介護老人保健施設)
  • 特養(特別養護老人ホーム)
  • 介護医療院

老健(介護老人保健施設)

介護老人保健施設とは

療養型病院以外に医療ケアを受けられる施設として1つ目に紹介するのは、老健(介護老人保健施設)です。

老健は、要介護1以上の方が入居の対象となり、専門的なリハビリテーションで高齢者の在宅復帰を支援するため施設です。

医師の常駐や理学療法士をはじめとするリハビリスタッフの常駐が義務付けられており、手厚い医療・介護サポートが受けられることが特徴として挙げられます。

療養型病院ほど重度の症状にも対応しているかは施設によって異なるため、入所を検討の際はよく確認してみましょう。

また老健は在宅復帰を目的とした施設のため、入所から3~6か月経過し、健康上問題ないと判断されると、原則として退所しなければなりません。

在宅復帰や短期の入所を前提として、専門のスタッフによるリハビリテーションを受けたい方には最適な環境と言えるでしょう。

特養(特別養護老人ホーム)

特別養護老人ホームとは?

療養型病院以外に医療ケアを受けられる施設として2つ目に紹介するのは、特養(特別養護老人ホーム)です。

特養は国からの補助金により比較的安い費用で入所できることや、介護サービスが充実しており、終身に渡って利用することができる点が大きな特徴として挙げられます。

常勤の医師はいないため、日常的に高度な医療ケアを受けることはできませんが、長期にわたって手厚い介護サービスを受けられることは大きなメリットと言えるでしょう

ただし、恵まれた環境である分だけ人気が高く、施設によっては入居待ちがあることも多々あります。

都心ではなく地方部であれば、入居待ちがなく入所できる場合もあるため、立地にこだわりが無い場合は地方の特別養護老人ホームも選択肢に入れてみることも大切です。

介護医療院

介護医療院とは?

介護医療院とは、主に高度な医療ケアを必要とする方を対象に、手厚い医療・介護サービスを提供する施設です。

介護医療院は療養型病院が対応できなかった長期療養と生活支援の提供を目的として、2018年に創設された施設となっています。

食事や排せつ、入浴などの介護サービスはもちろん、胃ろうや経管栄養といった高度な医療ケアも受けることができます。

しかし、療養型病院同様に基本的に居室は相部屋となるため、プライバシーの確保が難しいなどの注意点もあります。

介護医療院は以下の2つのタイプに分かれています。

  • Ⅰ型:要介護高齢者で、重篤な身体疾患がある方や身体合併症がある認知症高齢者の方を受け入れている施設
  • Ⅱ型:Ⅰ型に比べて容体が安定した人で、介護老人保健施設と同等の介護・医療ケアを必要としている方を対象とした施設

手厚い介護サービスに加えて専門的な医療ケアを受けられるため、日常的な医療処置が必要な方には、最適な環境と言えるでしょう。

【まとめ】療養型病院はひどい?

療養型病院がひどいと言われる原因は大きく分けて4つあります。

  • 求めている医療ケア・介護受けられないから
  • 施設の設備に不満があるから
  • 身体拘束を行う施設があるから
  • 症状によって退居を促されるから

残念ながら介護・医療での人材不足もあり、期待していたほどの医療ケアを受けられないうことは一定の事実だと言えます。

療養型病院の中には治療のために病む負えず身体拘束を行う施設も存在しており、本人の自由を奪うことも非人道的であると大きな「ひどい」と言われる原因となっています。

しかし、もちろんすべて療養型病院の対応がひどすぎるというわけではありません。

実際に入所を検討するために足を運んだり、ソーシャルワーカーやお住まいの福祉課に相談しながら、本当にその施設は信頼に足るのか考えてみることが大切です。

どうしてもお住まいの療養型病院がひどいという場合には、ほかの病院や介護施設も検討しながら、最適な選択肢を探っていきましょう。

療養型病院は対応がひどいって本当?

介護・医療での人材不足もあり、施設によっての対応に当たり外れがあることは事実のひとつであると言えます。療養型病院がひどいと言われる原因として以下が3つ挙げられます。①求めている医療ケア・介護受けられない場合があるから ②施設の設備に不満があるから ③身体拘束を行う施設があるから ④症状によって退居を促されるから詳しくはこちらをご覧ください。

療養型病院以外に医療ケアが受けられる介護施設はある?

療養型病院以外に医療ケアを受けられる施設としては、以下の3つが挙げられます。①老健(介護老人保健施設) ②特養(特別養護老人ホーム) ③介護医療院詳しくはこちらをご覧ください。

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