入居前はどのような状況でしたか?
父と母は、自宅で同居している親族とともに暮らしていました。ただ、ずっと自宅だけで生活していたわけではなく、2015年頃からは月の半分にあたる2週間ほどを有料老人ホームのショートステイで過ごし、残りの2週間を自宅で過ごすという生活サイクルを繰り返していました。
母はアルツハイマー型認知症を患っており、症状はかなり進んでいました。直前の出来事を覚えていられる時間が1分も持たないような状態で、入居を検討する頃には家族の顔や認識もおぼつかなくなっていました。計算などの頭を使う作業はもちろん難しく、朝晩の着替えに関しても周りの者が服を用意して促さなければ自分で行うことができない状態でした。ただ、身体面に関しては最後まで自力で歩行することができていました。
一方の父は、以前に脳梗塞を患った経歴があり、その影響からパーキンソン症状が出ていました。そのため歩行が極めて困難で、自宅内のごく短い距離であれば誰かが支えることでなんとか歩ける程度でしたので、移動の基本は車椅子を使用していました。
また、脳梗塞の後遺症もあって言葉を発することや会話自体が特に難しく、細かい意思疎通をとることは困難な状態でした。認知症の確定的な診断は受けていませんでしたが、脳血管性認知症やアルツハイマー、レビー小体型認知症などが疑われていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
以前から利用していたショートステイ先では、月のうち2週間預かってもらい、また自宅へ戻るという暮らしを続けていたのですが、次第に2週間という長期のショートステイを継続して受け入れてくれる施設が少なくなってきました。
直近で利用していたSOMPOケアの施設からも、ある時期以降はショートステイとしての受け入れが難しくなるという連絡を受けました。ショートステイのような一時利用の形では、施設の受け入れ態勢や都合によって行き場がなくなってしまうリスクを常に抱えることになります。
そうした不安定な状況を解消するためには、権利をしっかりと買い取って長期的に定住できる施設を確保する必要があると考え、2018年の初め頃から本格的に施設探しを始めました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
私個人の考えとしては、施設と自宅を頻繁に行き来させるよりも、施設に腰を落ち着けてずっと過ごしてもらうほうが生活としても安定して望ましいと考えていました。しかし、自宅で同居している親族との間には考え方に温度差や意見の違いがありました。本人の生活の安定を第一に考えれば定住させたほうが良いという私の考えと、自宅での生活も継続させたい親族側の意向との間で、方針をどのようにすり合わせるかという点には難しさを感じていました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に訪れた際、こちらの施設は新しくできたばかりのタイミングだったこともあり、建物内は非常にきれいで清潔感がありました。共用のスペースもかなりゆとりのある広々とした作りになっていたのが印象的でした。
居室そのものはそこまで広いわけではありませんでしたが、ベッドやトイレ、クローゼット、そしてちょっとした私物の家具を置くスペースなど、生活に必要な設備はしっかりと整っており、過ごすには十分な環境だと感じました。さらに、リハビリのための設備も充実していました。そうしたハード面の環境が整っていたため、見学の段階で不安やネガティブに感じるような要素は特にありませんでした。