入居前はどのような状況でしたか?
施設に入居する前は、父と母の二人で暮らしていました。もともとは私の家から少し離れた場所に住んでいたのですが、高齢ということもあって日々の暮らしが心配になり、呼び寄せるような形で私の自宅の近くのアパートに引っ越してきてもらいました。
近くに住んでもらうことで何かあればすぐに駆けつけられるようにしたものの、次第に二人だけの生活を支えることに対して限界を感じるようになっていきました。父はその当時からかなり認知症の症状が進んでおり、見守りや日常生活の手助けが欠かせない状態でした。
一方の母についても、過去に胃の全摘手術を受けていた影響で血流が悪く、重い貧血を抱えていました。その貧血が原因で頭に血が回りにくくなっていたのか、物忘れをはじめとする認知症のような症状が現れていました。父の認知症の介護だけでも大きな負担がかかる中で、母の健康状態や認知機能にも不安が生じ、私自身も家族としてのサポートをどこまで続けられるのか、精神的にも体力的にも先行きへの不安を抱えながら見守っていた状況でした。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを本格的に始める直接のきっかけとなったのは、父が病院に入院したことでした。父はもともと認知症が進行していたため、入院生活を経て退院するにあたり、以前のように夫婦二人でアパートで暮らすのは難しいのではないかという話になりました。
父が退院を迎えるタイミングで、病院の担当者から退院後の療養先や生活の選択肢についていくつか検討材料を提示されました。その中で、サービス付き高齢者向け住宅が良いのではないかと提案を受けたのが最初のきっかけです。
実はその際、病院側から一度、長期療養型病院も選択肢の一つとして勧められたことがありました。しかし、実際にその病院を見学に行ってみたところ、担当の方から「ここは死を待つ病院なんです」というような説明を受けました。父は認知症こそ重く進んでいたものの、まだ自分の足でしっかりと歩くことができていました。それにもかかわらず、歩ける状態の親に対して「死を待つ」と言われるような環境に預けることには強い抵抗があり、そこはお断りすることにしました。
また、病院側からは「お父さんとお母さんは離れ離れにせず、一緒におられた方がいいのではないか」とアドバイスをいただきました。そこで、父と母の二人が揃って同じ場所で安心して生活を継続できる施設を探そうと考えました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
親を施設に預けるという決断について、私自身には罪悪感や心の葛藤はまったくありませんでした。
というのも、私の両親がこちらの施設に入居するよりも前に、主人の両親の介護や施設探しを経験していたからです。主人の母が特別養護老人ホームや老人保健施設などに入所する過程を間近で見ており、施設見学や入所の手続きといった流れをあらかじめ知っていました。
そうした経験があったため、親を介護施設にお願いすること自体に対して特別な抵抗感はなく、ある意味で慣れていた部分がありました。そのため、自宅での介護に限界を感じた際にも、無理に抱え込むのではなく、プロの整った環境に預けるという選択を迷いなく下すことができました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学の際に感じた不安については、こちらの施設に対して特別にネガティブな印象や強い心配を抱いたということはありませんでした。
先に見学した長期療養型病院では、まだ歩ける状態の父に対して「死を待つ場所」という説明をされて大きな違和感を持ちましたが、こちらのサ高住に関してはそうした暗い印象はなく、夫婦で一緒に生活を始められる環境として受け止めることができました。
スタッフの方々の対応についても特に気になるような点はなく、自宅から近い場所にあったこともあり、安心してお任せできる候補として前向きに検討を進めることができました。