一番の理由は、もともと入居を希望していた特別養護老人ホームに空きが出たことです。そのため、1ヶ月という短い期間でのお別れとなりました。
ただ、もし特養の空きが出なかったとしても、この施設で長くお世話になるのは、母にとっては難しかったかもしれません。退去を決めたもう一つの大きな理由は、母が感じていた「寂しさ」です。
この施設はアパートや寮のような作りで、各階に分かれた完全個室でした。プライバシーがしっかり守られる点は良いのですが、裏を返せば、他の入居者さんと顔を合わせる機会がとても少なかったのです。私が面会に行った時も、廊下はいつもシーンと静まり返っていて、「本当に誰かいるのかな?」と思ってしまうほどでした。
母に「普段、誰かお部屋に来るの?」と聞いても、「用事がある時にしか来ないよ」と。もちろん、スタッフの方は何かあればすぐに対応してくださいますし、皆さんとても親切で、決して悪い印象はありませんでした。
でも、母のように、常に誰かの気配を感じていたい、おしゃべりがしたいという性格の人間にとっては、少し物足りない環境だったのだと思います。食堂も食事の時間以外は基本的に使えないとのことだったので、日中は自室で一人静かに過ごすことになります。以前お世話になっていた施設は、共有のリビングに出ればいつでも誰かがいておしゃべりをしているような賑やかな場所でしたから、そのギャップが大きかったのでしょうね。
結果的には、もっと他の入居者さんとの交流が多い施設に移ることができて、母にとっては良かったのかなと感じています。
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